この保険の弱点はここだ!アフラック「終身保険どなたでも」

提供会社:アフラック

商品名:終身保険どなたでも

この保険の弱点はここだ!!

本商品は無選択型終身、もしくは無告知型終身などと呼ばれる。

加入する際に、健康状態について一切、自分の健康状態を報告する必要がないため、誰でも入れる。

商品名の「どなたでも」というのも、そのあたりのニュアンスを伝えるためだろう。

通常の終身保険であれば、加入するのに直近過去3ヶ月以内の通院や、5年以内の病歴、そして健康診断結果などについて問われる。

また、緩和型と言って通常の終身保険より「質問事項が緩和」されているものもあるが、これでも、過去3ヶ月以内の入院やがんなどについては聞く。

しかし、無選択型(無告知型)では、そもそも一切何も聞かないので、たとえ入院中でも、末期がんであっても入れる。

なお、保険会社からすれば、一定の質問をクリアした人より、無告知の人の方が怖い。

加入してすぐに亡くなってしまう可能性が高いからだ。

そのため、無告知型は保険料が「かなり」割増しされている。

保険料の高いで言えば、

通常型 < 緩和型 < 無選択型

という順番になる。

無選択型の終身保険を販売する保険会社は少なく、大手では本商品を提供するアフラックと、ひまわり生命、そしてマイナーどころでは、富国生命の子会社のフコクしんらい生命、そしてみどり生命という会社でも販売している。

SOMPOひまわり生命 新・誰でも終身(無選択型終身保険) ★★★☆☆ 

フコクしんらい生命 ご長寿万歳(無告知型) ★☆☆☆☆

みどり生命 みどりの終身Ⅲ(無告知型終身保険) ★☆☆☆☆

みどり生命 みどりの終身メモリアルⅢ ★☆☆☆☆

これらの中では、ひまわり生命が保険料が安く、更に保障内容も優れているため優位性が高い。

本商品は全体的にひまわり生命より保険料が2、3割高く、そのため星2つ評価とした。

なお、本商品の特徴は「保険料」が千円刻みで決まっていること。

通常、終身保険は、まず死亡保険金を決め、次に年齢・性別から「保険料」が算出される。

しかし、本商品はその逆で、まず保険料を決める。

2,000円から千円刻みで、3,000円、4,000円など。

そして、年齢、性別によって、死亡した場合の保険金が決まる。

例えば、保険料4,000円の場合、保険金は年齢・性別で以下のようになる。

40歳 男性 1,114,800円 女性 1,372,000円
50歳 男性 838,000円   女性 1,073,200円
60歳 男性 604,400円   女性 788,800円 
70歳 男性 392,000円   女性 512,400円

これが大きな特徴。

本商品に入る方は、相対的に高齢者である可能性が高く、そうなると保険料の原資は年金収入などだろう。

そのため

「毎月3,000円くらいなら払えるかしら?」

という感じて、まずはいくら払えるか?という点からアプローチしているのだろう。

結果、

「毎月3,000円なら、70歳女性のあなたの場合、保険金は51万2,400円です。」

となり、高齢者にはこちらの方が分かりやすい。

このあたりはマーケティング的には上手い手法だと思う。

また、本商品は死亡時の「死に方」によっても保険金が変わる。

通常死亡は、先に挙げた金額だが、災害死亡(交通事故など)の場合、この保険金が4倍になる。

この災害死亡の保障がついているため、ライバルのひまわり生命(災害死亡時も通常死亡と保険金は同じ)より割高なのだろう。

以上が商品概要。

では弱点を解説していきたい。




弱点1 加入してから2年間は実質的には保障はない&逆ザヤの危険性

本商品だけに限った話ではないが、無告知型の終身保険には「待期間」が設定されている。

無告知型では、どんな病気、症状の方が加入してくるか分からないため、保険会社側の防御策として、この待期間を設けているのである。

そのため、本商品でも加入してから2年以内に亡くなった場合「それまで支払ってきた保険料だけを返す」という処置をとっている。

つまり、お金が戻ってくるだけなので、保険としては意味がない。

なお、他社商品ではひまわりが同じく2年、フコクしんらいも2年だが、3年目でも満額の保険金の60%、4年目で80%となっており、100%になるのは5年目以降。

みどり生命は3年となっている。

その点では「2年でもまだ条件が良い方」ということになる。

と言うことで、2年経過してから保険が始まるのだが、その2年間は「ただ単に保険料を支払っているだけ」なので、既にその時点で結構な保険料を積み立てている状態。

実際の例を見てみよう。

70歳 男性が月額4,000円のプランに入ったとする。

この場合、保険金は392,000円。

2年経過した段階で、支払っている保険料の合計は9.6万円(4,000円×12ヶ月×2年)

2年1ヶ月目で死亡した場合、10万円を支払って39.2円を受け取るので、19.2円儲かっていることになる。

しかし、こんな都合の良い話はなかなかない。

実際、問題として人の生死ほど読めないものはなく、もうダメかも?などと言われていても、そこから1年、2年生きた、というような話はザラにある。

例えば70歳で加入してから5年後の75歳で亡くなったとしよう。

総支払保険料は24万円、保険金39.2万円なので、+15.2万円

当たり前の話だが、長生きすればするほど、儲けは減る。

計算上、加入してから8年2ヶ月(78歳)で39.2万円の保険料を支払うことになるので、そこで保険金とトントン。

そこから先は逆ザヤだ。

もし90歳まで生きたとしたら、96万円も支払うことになり、39.2万円の保険金を受け取っても57万円の赤字ということになる。

つまり、本商品は

加入してから2年1ヶ月目(72歳)~8年1ヶ月(78歳)

のうちに死亡しないと旨味はない。

わずか6年間のうちにピンポイントで亡くなれば「勝ち」ということ。

無選択型の終身保険に入りたいというくらいだから、この保険に入る人はおそらくは何かしらの大きな病気や、健康上の不安を抱えているのだと思うが、あまりに直近に危機が訪れても「当初2年は保険なし」の壁に阻まれ、逆に8年以上長生きしてしまえば、逆ザヤの谷。

ちょうど良いところは、2-8年の間にしか存在せず、なかななシビアな商品である。

弱点2 保険料が高い

同じ「待期間2年」とひまわりと比べると、男女どの年代でも、本商品の方が2割程度保険料が高い。

これは、本商品に「災害死亡保険金(交通事故で死亡した場合、通常の保険金の4倍)」があるためだが、災害死亡など、実際には

ほとんどない

この国では年間140万人程度が死亡しているが、そのうち交通事故は3000人前後。

確率0.2%で500人に1人ということ。

499人は病気で亡くなっている。

保険会社からすれば「契約者のうち500人に1人だけ保険金が4倍」になるということで、悪い言い方だが「交通事故クジ引き」のようなもの。

保険金が2割増しの特典は「クジ引き」だけ。

筆者は、単に保険料が高いだけだと思う。




この保険の弱点、こう考えろ!!(解決策)

商品としては、前項の通り保険料が高く、総じてひまわりの方が良いと感じる。

前項の通り、違いは災害死亡の保障のみ。

この文章を読んで「災害死亡はいらない」と思えるなら、ひまわりの方を選択し、「交通事故は怖い。保険金4倍ならその方が良い」と考えるなら、本商品を選択すれば良いのではないか?

なお、以下は無選択型終身保険に対する筆者の感想。

本商品だけに限った話ではないが、そもそも「入るべきか?」、「いや、必要ないか?」と悩んでいる方には参考になると思う。

まず、根本的に、無選択型の保険は「誰でも入れる」という点から、保険会社側も慎重にならざるをえない。

このことを理解しておく必要がある。

2年以内で亡くなった場合、それまで支払っていた保険料全額を返金するが、契約者にとって「プラスマイナスゼロ」であっても、保険会社にとっては実質的には損だ。

契約を引き受けるための事務のコスト、代理店への販売手数料などが発生しているおり、全額を契約者に返したのでは割が合わない。

また「2年1ヶ月目から8年目に死亡」などはもっと大損だ。

つまり、保険会社としては、契約者に出来るだけ長生きしてもらって、出来るだけ逆ザヤの保険料を収めてもらわないと、この商品は存在出来ないとうこと。

なお、これらのことは、保険会社が意地悪でやっているわけではない。

「無選択型に入る人は病気に苦しんでいる人たちなのに、そんな可哀想な人達を相手に保険会社は自分たちの利益しか考えていない!!」

そう思う方もいるかもしれないが、保険はボランティアではない。

仮に明日亡くなるかもしれない人たちに、損を覚悟で多額の保険金を支払ったとして、その原資は何だろうか?

他の契約者の保険料だ。

保険会社は多くの契約者の保険料を預かり、その中で不幸にも死亡したり、病気になったりした人にお金を配る。

その過程で、組織を維持・拡大するための「手間賃」を頂く。

それが「保険の仕組み」である以上、重病人だろうが、がん患者だろうが、そのリスクに見合った保険料を頂き、そのリスクに見合った保障を提供するだけだろう。

その点、無選択型の条件(保険料、保障内容)がシビアなのは、フェアでもある。

なお、このあたりの考察はひまわり生命の無選択型の解説でも、別の角度から述べているので、ご参照頂きたい。

SOMPOひまわり生命 新・誰でも終身(無選択型終身保険) ★★★☆☆ 

では、こんなシビアな、下手をすれば大きく逆ザヤになるような保険に「入るべき」なのか?

このあたり、筆者は明確な解を持っていない。

経済的な合理性としては「入らない方が良い」とは思う。

そもそも2年間は保険がない。

余命宣告をされているような方にとって、2年間は普通の人の5年、10年と同じくらい「長い」

どう考えても2年は持たない。本人も他人もそう思っている中で、この保険に入ったとしても無駄ではある。

無用な希望を持たせるだけ残酷と言うか、登れない蜘蛛の糸を垂らしているような印象がある。

また、2年でどうこうなるような病気ではないが、長生きは出来ない。そんな病気もある。

人工透析をしているような方や、心臓や肺が極端に弱っていて、あと数年で徐々に弱まり、静かな死を迎える。そんな状況だ。

このようなケースだと、逆ザヤになる前に保険金を受け取れる可能性は高いのだが、それでも5,6年支払って保険金を受け取ったとしても、儲けはさほどのものでもない。

そして、「辛い、痛い」と言いながらも、計算外に長生きして逆ザヤになるリスクもあるので、大した保険金(実質的に受け取れる金額:保険金と総支払保険料の差額)のためにそれらのリスクを引き受けるのは割が合わないような気もする。

以上のことから、無選択型終身保険に経済的な合理性はない。

だが、精神的には別の面がある。

「保険に入る、保険に入れた」

これは、死に直面している人には別の効果をもたらす。

死を意識した時、誰もが妻や子供など、遺す家族に「何かをしてあげたい」そう望む。

その点、無選択型の終身保険は、余命宣告をされているような方でも「2年頑張れば保険金を残してあげられる」という淡い期待を持たせてくれる。

また、大きな病気に苦しむ方は「長生き出来るなら逆ザヤでも良い」と考える方も少なくない。

これらのことは理屈ではない。

たかが保険が、前向きになれるきっかけになり得るのなら、それはそれで無選択型にも価値がある。

経済的、精神的、その両面から考えて、筆者は無選択型終身保険への明確な答えが出ないでいる。

なお、このあたりの考察はひまわり生命の無選択型の解説でも別の角度から述べているので、ご参照頂きたい。

SOMPOひまわり生命 新・誰でも終身(無選択型終身保険) ★★★☆☆ 




口コミ・評判(販売側から)

アフラックのお客様も総じて高齢化しているので、「何も聞かずに入れる」という点では一定のニーズがある。
また、毎月◯千円、という形で入れるので、気軽な死亡保障として、それなりに売れている。
私の場合、3000円プランが多い。3000円というのが、なんとなく人が「掛け捨てしても良い」と思える一つのラインなのかもしれない。
長生きすると、逆ざやになる可能性があるので、そのあたりはちゃんと説明するが、ほとんどの方が「どうせそこまでは生きられない」などと言い、あまり気にしないが、それでも結果的には逆ザヤになっている人が大勢いて(笑)、販売している方としては、申し訳ない気持ちと、それでもお客様が長生きしてくれることは嬉しくて、複雑な気分になる。
中には「この保険がお守りだから、損しているからもしれないけどやめない」というようなことを言ってくれる方もいる。

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口コミ・評判(契約者から)

なし

比較した方が良い商品

SOMPOひまわり生命 新・誰でも終身★★★☆☆

フコクしんらい生命 ご長寿万歳★☆☆☆☆

みどり生命 みどりの終身Ⅲ★☆☆☆☆

みどり生命 みどりの終身メモリアルⅢ ★☆☆☆☆

編集後記

約款