この保険の弱点はここだ!ニッセイウェルス生命「エムソリューションⅢ 終身保険型」

提供会社:ニッセイウェルス生命

商品名:エムソリューションⅢ 終身保険型(米ドル建/豪ドル建)
終身保険プレミアム(米ドル建/豪ドル建)
ニッセイ・ウェルスえらべる介護終身保険(外貨建)
そなえてあんしん介護プラス
はじめての介護

参考コラム:
外貨建一時払終身保険特集!!
「こんな商品には騙されるな!!」はコチラ

利率と利回りの関係を知りたい方は・・・
「超」わかりやすい!!予定利率と利回りの違い!!』

この保険の弱点はここだ!!

ニッセイ・ウェルス生命はその名の通り、日本生命の子会社で主に銀行の窓口で販売される商品(窓販書品)を開発・販売している会社。

もともとはマスミューチュアル生命という外資系(米国)を日本生命が買収した。

マスミューチュアルは日本で「節税商品」を売りまくっていた保険会社で、グレーゾーンぎりぎりのかなり際どい商品を出していたのだが、あまりにやり過ぎて金融庁に目を付けられ、それが直接の原因でもないだろうが、日本市場から撤退した。

そのケツを日本生命が拭いたような感じだろう。

さて、本商品。

日本円でドカッとまとまったお金を支払い、それを米ドルか豪ドルにして運用をするタイプ。

商品としては「外貨建一時払終身保険」という分類になる。

なんだかえらく複雑な商品だが、使い方次第では「悪くないかな?」とも思う。

3つ星評価。

なお、かなり多くの金融機関から販売されており、当サイトが把握している限りでは、以下のようになっている。

また扱っている金融機関ごとに名称が異なるので、なんともややこしい。

エムソリューションⅢ 終身保険型(米ドル建、豪ドル建):三菱UFJモルガン・スタンレー証券
NK介護Select:SMBC日興証券
終身保険プレミアム:東海東京証券、みずほ証券
そなえて安心介護プラス:大和証券
ニッセイ・ウィルスえらべる介護終身保険(外貨建):野村證券
はじめての介護 地銀 秋田銀行、福岡銀行、山口銀行、横浜銀行 他

それなりに販売が見込める大手には差別化のため「そこ専用の名称」を、その他の小さな金融機関(地銀など)には「はじめての介護」ブランドを使わせているようだ。

名前は違うが、中身はほとんど同じである。

さて、商品構成としては、告知型と無告知型が選べて、更に介護の保障がそこに組み合わさる。

そのため、以下4つの「コース」がある。

まず、そのあたりをざっとさらってみたい。

① 告知コース 介護保障なし

単純に死亡保障のみで、一時払したお金の1.6倍~1.7倍程度の死亡保障が付く(年齢、性別、加入時期によっても異なる)

② 告知コース 介護保障あり

このタイプを選択すると、死亡時だけでなく要介護2に認定された時にも保険金を受け取れる。
(死亡保険金の一部もしくは全部が前払いされるイメージ)

介護保険割合というものがあり、10%、30%、50%、100%から選択可能。

③ 無告知コース 介護保障なし

体の健康状態について一切告知せず(無告知)に加入出来る。

しかし、加入直後の死亡保障は支払った金額と同額で、そこから2年もしくは5年(自分で選択可能)待つと、以後、保険金がドカンと増える。

健康状態を告げないということは、どんな持病があるか分からないということで、保険会社からすれば怖い。

そのため、2年間(もしくは5年間)の「様子見期間(第一保険期間と言う)」を設け、その間に何もなければ保険金が増えるのである。

④ 無告知コース 介護保障あり

前項と同じく無告知で加入可能だが、要介護2以上に認定された際に保険金の一部、もしくは全部を受け取れる。

なお、こちらも「様子見期間」があり、期間は3年もしくは5年。これも自分で決める。

告知コースの介護保障ありと同様。介護保険割合があり、10%、30%、50%、100%から選択可能。

以上4つコース。

そして更に介護保障ありには介護保障割合「10%,30%,50%,100%」の4つの選択肢があることから、以下10のパターンが存在する。
(実際には無告知コースの各パターンに更に第一保険期間(様子見期間)の2年、3年、5年などの選択肢がある)

告知コース  介護保障なし
告知コース  介護保障あり   10%
告知コース  介護保障あり   30%
告知コース  介護保障あり   50%
告知コース  介護保障あり 100%
無告知コース 介護保障なし
無告知コース 介護保障あり   10%
無知コース  介護保障あり   30%
無告知コース 介護保障あり   50%
無告知コース 介護保障あり 100%

契約者にとってはかなり分かりにくいが、「どれが良いか?」という点については、後述の「この保険の弱点こう考えろ!!(解決策)」にて述べたい。

さて、以上10のパターンだが、それぞれの保険金額も異なっている。




ここではパンフレット上に記載されている「70歳 女性」のケースで見てみたい。

この表を眺めていると、2つの素朴な疑問が出てくる。

1 なぜ無告知コースの方が全体的に保険金額が多いのか?

2 介護保障割合が増えると、反比例して保険金が下がるのは何故か?

1について。

例えば告知コースの介護保障なしの保険金は172,038ドルであるのに対して、無告知コースの介護保障なしは185,378ドルとなっている。

無告知コースには2年間の様子見期間があり、この間に死亡すると支払った金額の10万ドルしか戻ってこないものの、それさえクリアしてしまえば死亡保険金は無告知コースの方が高い。

これは、端的に「リスクを取った結果」と言える。

先に述べた通り、無告知コースはどのような健康状態の方が入るか分からず、保険会社としては怖い。

そのため2年間の様子見期間を設けているのだが、契約者側からすればこの2年間の間に亡くなれば保険金は「支払った分だけ」ということになる。

また、保険会社からすれば、この2年間は「死んでも元本しか返さない(一応、多少増える仕組みはあるにはあるが微々たるもの)」ため、少なくとも赤字になる可能性はなく、腰を据えて運用に取り組める。

双方の思惑が一致しているため、そのボーナスとして「2年経過後は保険金を増やす」という処置をしている。

これは「介護保障あり」でも同様のことが言える。

2について。

告知コースでも、無告知コースでも、介護保障ありでは「介護保障割合(%)」が増えると、保険金が減るという現象が発生している。

これは死亡より介護の方が払う確率が高いから。

例えば70歳女性の場合、死亡の平均年齢は88歳から90歳くらい。

保険会社からすれば、18年から20年程度の「運用期間」が期待出来る。

対して、要介護2になる平均年齢は80歳から85歳の間。

運用期間は10年から15年と、死亡に比べて随分と短くなってしまう。

そのため、介護の保険金の割合が増えれば増えるほど、運用期間が短縮されるため、用意出来る保険金も減っていくのである。

以上、商品概要。

では、弱点の解説に入る。




参考コラム:「超」わかりやすい!!予定利率と利回りの違い!!』

弱点1 初期手数料がかかる

本商品、外貨の一時払商品にしては珍しく「初期手数料」がかかる。

手数料は年齢や性別によっても異なるが、4.7%~6.5%がかかるので、例えば1,000万円を預けても、スタート時点で最大65万円(6.5%)の手数料がさっぴかれる。

減った状態から運用が開始するので、元本を回復するまでに2,3年はかかる計算。

ここで2つの視点がある。

本商品を「保険」として考えるか?

「貯蓄」として考えるか?だ。

前者だと思うなら解約はしないだろうから、返戻金がいくらであってもあまり気にならない。

フォーカスすべきは死亡保障の金額であり、本商品は他社比較でもわりと良い数字を提示している。

だが、後者の「貯蓄」として考えるのであれば、スタート時点からマイナスでは話にならない。

本商品に加入するなら「保険を重視し、貯蓄としてはイマイチ」だと認識した方が良いだろう。

弱点2 市場価格調整に要注意

弱点1でも述べたが、本商品に入る人は基本的に「保障重視」だと思うが、もし解約をすることになると、市場価格調整がある。

参考コラム:市場価格調整とは?

市場価格調整とは、解約時の利率が、契約時の利率より

下がっていれば解約返戻金が増える

上がっていれば解約返戻金が減る

というもので、この手の一時払系の商品にはだいたいある仕組み。

例えば、Aさんが加入時の利率が2%だとする。

保険会社としてはAさんの契約を2%で「まわす」ために、運用の方針を決めておく。

具体的にはアメリカ国債なで2%以上のリターンがあるものを仕入れておいて、それを保有(運用)することで、Aさんの2%を実現するわけである。

しかし、数年後、解約。

で、その時に同じ商品を申し込んだ場合、予定利率は1%の場合、

保険会社としては、Aさんが放棄した2%の枠が空くので、ここに1%の新しいお客さんを入れれば良い。

だが、2%で運用するわけではない。

あくまで約束は1%なので、2%と1%の金利差は保険会社の利益となる。

この利益に関して、一定の割合をAさんの解約返戻金に上乗せする。

だから「増える」のである。




逆に解約した時に、新規の契約が3%だとする。

以前は2%でしか提供できなったのに、今は3%で回せる。

経済が好調で、アメリカ国債などの利回りが高いということだろう。

そうなると2%の権利には価値がない。保険会社としても返されても処分に困るわけだ。

損を承知で、安くして売るしかない。損失が出る。

そのため、解約返戻金が減る。

こういう仕組みになっている。

本商品にもこれが導入されているのだが、前項でも書いた通り、今は利率が低い。

低い時にスタートすれば、将来利率が上がっている可能性が高く、そうなると「損をする」ということ。

なお、市場金利調整はあまり甘く考えていると、思いもかけず大きな損をするので、注意した方が良いだろう。

弱点3 無告知ではあるが、何でも良いわけではない

弱点と言うより注意喚起。

気をつけないといけないのは、無告知とは言え、介護に関しては注意が必要。

本商品の無告知コース 介護保障付きでは、3年間の様子見期間を終えれば、預けたお金がドカンと増える。

70歳女性であれば、無告知コース 介護保障付き100%であれば、3年後には

10万ドル → 15万5,061ドル

になっている。

しかも要介護2でそれらを受け取れるため、こう考える人もいるだろう。

「現在、要支援1で介護の入り口にいる。今から入っておいて、3年後に要介護2まで進んでいれば、預けたお金が増えて戻ってくる」

将来、要介護2以上になる確率が高い方からすれば、これはかなり魅力的だろう。

だが、そうは問屋が卸さない。

本商品で介護の保険金を受け取る条件は

・責任開始以後(契約後)に生まれて初めて、公的介護保険制度による要支援、要介護の認定を受けた場合
・責任開始以後(契約後)に発生した傷害または疾病を原因として、要介護2以上になった場合

とある。

つまり、あくまで契約後に介護になった方が対象で、契約前に既に要支援などを受けている場合は、対象外ということ。

加入時に無告知であるため何も聞かれない。

そのため現時点で既に要支援認定を受けていても、入れるのは入れてしまうが、その後要介護2になっても保険金は払われない。

また、公的制度であるため、要支援の認定日などは、調べればすぐに判明するので、誤魔化しようもないだろう。

保険会社からしても、これは仕方がない処置。

もしこのルールを設けなければ、既に介護認定を受けている人が大挙して押し寄せ

3年で1.5倍にして返す

という契約ばかりになってしまい、収支が維持できないだろう。

ただ、「無告知」という表記の仕方から、誤解してしまう人もいるのではないか?

その点、パンフレットにもう少し大きく書いておいても良いような気もする。




この商品の弱点、こう考えろ!!(解決策)

他社の同種商品と比較しても競争力は高いと思う。

本稿を再編集している2022年11月時点での利率は米ドル5.19%、豪ドル4.99%と悪くない。

なお、2年前にこの商品について初めて分析した時は2%台であり、

「2%のリ率で為替リスクを負うのはちょっと怖い」

というようなことを書いた。そのため当時は1つ星評価としたが、現在アメリカでは度重なる利上げが続いていて、そのため米国債の利回りも急上昇。

結果、本商品のように米国債に投資をするような商品の利率もかなり上がってきている。

だが、これに付随して現在の為替レートは、1ドル150円に近い水準で推移しており、これに投資するのも「ちょっとアレだな・・・」という感じではある。

150円で買って、それが120円まで落ちれば「2割減」ということで、そうなるといくらドルベースで増えていても、円で見ると損をしてしまうだろう。

なので、正直「今はやるべきではない」とは思う。

だが、今後も利率が4%、5%台で推移し、為替も落ち着いて1ドル120円台まで来れば、本商品の魅力は増す。

なお、本商品には選択肢が多すぎて、イマイチどれが良いのか分からないが、筆者なら

あえて無告知コース

を選ぶ。

仮に健康であってもだ。

健康なら2年、3年程度は何事もないだろうし、それで告知コースより保険金が増えるのであれば、その方が良い。

また、健康でないなら、そもそも告知コースを選べない(告知しちゃうと入れないから)ので、必然的に無告知コースとなるだろう。

そして、介護保障についてだが、うーん、これはなかなか難しい。

参考コラム:「介護付」終身保険のメリット・デメリット

この商品に加入する人は基本的には資産家だろうから、別に介護になったところで「保険なんかあてにしなくても何とかなる」のであれば、保険金が減る介護保障付きでなく、純粋な死亡保障だけで良いと思う。

10万ドルが18万ドルを超える保障になるのは魅力である。(70歳女性の場合)

逆に「介護になったらこの保険からのお金を期待している」というような人なら、無告知コースの介護割合100%が良いかもしれない。

無告知コースの介護保障付きでは、様子見期間(第一保険期間)が最短で3年だが、まあ、仮に介護になっても3年という期間で要介護2まで進んでしまうケースは稀だし、またその手前で要介護2になったとしても、3年経過すれば保険金は受け取れるので、しばらく我慢すれば良いだけ。(但し、既に要支援、要介護認定を受けている人はダメ。詳細は弱点3参照)

それで10万ドル→15万ドル(70歳女性の場合)になるのであれば、介護の保障としては悪くないし、仮に運良く介護を必要とせずに亡くなったとしても、それは死亡保険金として全額戻ってくるので、損をすることはない。

死亡保障&介護で1.5倍になるので、10万ドルというのはちょっと大きすぎるが、老後の貯金の中から「これくらいなら預けておいても大丈夫(絶対解約しない)」というお金があるなら、入れておいても良いかもしれない。

口コミ・評判(販売側から)

販売担当者様より

ドル建であり、かつ複雑な商品なので、かなり聡明な人でないと理解出来ない。途中で飽きてしまう人も多い。だが死亡保障が欲しい、保険金非課税枠を埋めたい、というような人であれば、年齢にもよるが支払った金額の1.5倍から2倍にはなるので、メリットはあると思う。そのあたりを理解出来る人は食いつく。

謝礼Amazonギフトカード300円!! アナタの口コミ教えて下さい!!
保険会社勤務、代理店勤務の方でも、販売現場の情報や、当サイトで指摘していない弱点(デメリット)などには謝礼(amazonカード300円)をお支払い致します。

口コミ・評判(契約者から)

なし

比較した方が良い商品

ジブラルタ生命 一時払米国ドル建終身保険 ★★★☆☆

ソニー生命 米ドル建一時払終身保険 ★★★☆☆

T&Dフィナンシャル生命 みんなにやさしい年金保険 ★★★☆☆

T&Dフィナンシャル生命 ファイブテン・ワールド2 ★★★☆☆

ニッセイ・ウィルス生命 アットウィル 年金額 ★★★☆☆

PGF生命 米国ドル建介護終身保険Neo ★★★☆☆
別名:ぬくもり介護US、悠々介護終身US、米国ドル建一時払介護終身PG、介護バリューUS

明治安田生命 米ドル建一時払養老保険 ★★★☆☆

メットライフ生命 サニーガーデンEX ★★★☆☆

編集後記:

約款