提供会社:ニッセイウェルス生命
商品名:エムソリューションⅢ 終身保険型(米ドル建/豪ドル建)
終身保険プレミアム(米ドル建/豪ドル建)
ニッセイ・ウェルスえらべる介護終身保険<外貨建>

参考コラム:
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この保険の弱点はここだ!!
ニッセイ・ウェルス生命はその名の通り、日本生命の子会社で主に銀行の窓口で販売される商品(窓販書品)を開発・販売している会社。
もともとはマスミューチュアル生命という外資系(米国)を日本生命が買収した。
マスミューチュアルは日本で「節税商品」を売りまくっていた保険会社で、グレーゾーンぎりぎりのかなり際どい商品を出していたのだが、あまりにやり過ぎて金融庁に目を付けられ、それが直接の原因でもないだろうが、日本市場から撤退した。
そのケツを日本生命がふいたような感じだろう。
さて、本商品。
なんだかえらく複雑な商品だな。という印象。
告知型と無告知型が選べて、更に介護の保障がそこに組み合わさる。
合計で4つのコースがある。
・告知あり 介護保障なし
単純に死亡保障のみで、一時払したお金の1.3倍~1.5倍程度の死亡保障が付く(年齢、性別、加入時期によっても異なる)
・告知あり、介護保障あり
このタイプを選択すると、死亡時だけでなく要介護2に認定された時にも保険金を受け取れる。(死亡保険金が前払いされるイメージ)
介護保険割合というものがあり、10%、30%、50%、100%から選択。
例えば死亡保険金が10万ドルの場合、10%だと「要介護2」で10万ドルの10%の1万ドルが受け取れる。
30%で3万ドル、50%で5万ドル、100%であれば10万ドルまるまるということ。
ただし、この「%」が上がれば上がるほど保険金が減る。
「要介護2」で払う、ということは死亡する「随分手前で保険金を払う」ということで、保険会社からすれば運用期間が短くなる可能性が高い。
10%プランであれば、要介護2になっても払うのは所詮10%程度、残りの90%は死亡するまで保険会社が運用を続けられるが、これが100%となると「わりとすぐ」払わないといけないかもしれない。
運用期間がそれほど取れないので、用意出来る保険金は少なくなる。
下図参照(パンフレットより抜粋、なお下記は予定利率が3.5%の場合なので、今はもっと低くなっているはず)
・告知なし 介護保障なし
体の健康状態について、一切告知せずに加入出来るため、加入直後の死亡保障は支払った金額と同額。
10万ドル払えば、そのまま10万ドル。
しかし、これが年々少しづつ増えていき5年経過にドカンと増える。
要は「5年間様子を見させて下さいね」ということ。
・告知なし 介護保障あり
基本的には前項と同じなのだが、ここに無料の保険金の「介護前払い特約」を付けるだけ。
そうなると要介護4以上になった時に保険金を前払いしてもらえる。
だた、要介護4というと相当重い。
言い方は悪いが、ここから1,2年、もしくは数ヶ月で亡くなってしまう人も多いので、保険会社からすれば
「保険金を払うのがちょっと早くなったかな」
程度の話。
そのため、この介護前払特約は、多くの保険会社から無料のオプションとして提供されている。
それを「告知なしタイプ」にくっつけることで、何となく介護の保障があるように感じさせているだけ。
以上が商品概要。
では、弱点の解説に入る。
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弱点1 初期手数料がかかる
本商品、外貨の一時払商品にしては珍しく、「初期手数料」がかかる。
手数料は年齢や性別によっても異なるが、4.7%~6.5%がかかるので、例えば1,000万円を預けても、スタート時点で最大65万円(6.5%)の手数料がさっぴかれる。
減った状態から運用が開始するので、元本を回復するまでに4,5年はかかる計算。
本商品を「保険」として考えるのであれば、別に解約はしないだろうから、返戻金がいくらであってもあまり気にならない。
だが、運用として考えるのであれば、スタート時点からマイナスでは話にならないだろう。
本商品に加入するなら、「保険機能を重視、貯蓄性は二の次」という覚悟が必要。
弱点2 利率が低下
まあ、コロナの影響で時節柄仕方がないのだが、利率が随分下がった。
パンフレットでは3.5%と書いてあるが、今の利率は2.14%(70歳の場合)となっており、1%以上低下してしまっている。
今やるか?
という点については慎重に検討した方が良い。
筆者なら、やはりパンフレット通り3%以上は欲しいところ。
弱点3 市場価格調整に要注意
弱点1でも述べたが、本商品に入る人は基本的に「保障重視」だと思うが、もし解約をすることになると、市場価格調整がある。
市場価格調整とは、解約時の利率が、契約時の利率より
下がっていれば解約返戻金が増える
上がっていれば解約返戻金が減る
というもので、この手の一時払系の商品にはだいたいある仕組み。
例えば、Aさんが加入時の利率が2%だとする。
保険会社としてはAさんの契約を2%で「まわす」ために、運用の方針を決めておく。
具体的にはアメリカ国債なで2%以上のリターンがあるものを仕入れておいて、それを保有(運用)することで、Aさんの2%を実現するわけである。
しかし、数年後、解約。
で、その時に同じ商品を申し込んだ場合、予定利率は1%の場合、
保険会社としては、Aさんが放棄した2%の枠が空くので、ここに1%の新しいお客さんを入れれば良い。
だが、2%で運用してあげるわけではない。あくまで約束は1%なので、2%と1%の金利差は保険会社の利益となる。
この利益に関して、一定の割合をAさんの解約返戻金に上乗せする。
だから「増える」のである。
逆に解約した時に、新規の契約が3%だとする。
以前は2%でしか提供できなったのに、今は3%で回せる。
経済が好調で、アメリカ国債などの利回りが高いということだろう。
そうなると2%の権利には価値がない。保険会社としても返されても処分に困るわけだ。
損を承知で、安くして売るしかない。損失が出る。
そのため、解約返戻金が減る。
こういう仕組みになっている。
本商品にもこれが導入されているのだが、前項でも書いた通り、今は利率が低い。
低い時にスタートすれば、将来利率が上がっている可能性が高く、そうなると「損をする」ということ。
なお、市場金利調整はあまり甘く考えていると、思いもかけず大きな損をするので、注意した方が良いだろう。
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