提供会社:三井住友海上あいおい生命
商品名:アンドライフ 医療保険Aセレクト(引受緩和型)
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この保険の弱点はここだ!!
2023年9月から販売開始された商品。
従来、あいおい生命には緩和型の医療保険(持病などがある方向けの保険)はなかったのだが、今回、新しくラインアップされた。
緩和型の医療保険としては後発も後発なので、他社の内容をほとんど丸パクリし、保険料も「ちょい安」という感じで設定している。
と言うことで、特に目新しさ、面白みはないものの、これと言った弱点もない。
以上のことから星4つ評価とした。
過去に大きな病気を経験していたり、現在進行形で持病があっても、以下の3つの質問にすべて「いいえ」であれば加入できる。
1 最近3カ月以内に医師から入院または手術を勧められたか?
2 過去1年以内に、病気やケガで入院をしたこと、または手術を受けたことがあるか?
3 過去5年以内に、がん、認知症、アルコール依存症、統合失調症、肝硬変で医師の診察・検査・治療・投薬のいずれかを受けたことがあるか?
なお、中耳炎や食中毒、脱臼などの軽微な病気・ケガは上記の対象外となっている。
他社の緩和型医療保険では、2の質問において「過去2年以内」となっているところも多いが、本商品ではより期間を短縮して「過去1年以内」となっている。
その分、入りやすいということ。
但し、最近リリースされている緩和型はほとんど「1年以内」なので、特に差別化されているわけでもないが、緩和の条件としては「最新式(もしくは他社並み)」と言える。
まず良い点から言うと、緩和型の医療保険は、普通の医療保険と比べると特約(オプション)が少ないのだが、本商品ではかなり多種多様な特約が揃っており、同社のメインの医療保険である「A(エース)セレクト」と遜色ない仕様となっている。
ざっと挙げると以下の通り。
入院一時給付特約
先進医療特約
通院給付特約
ガン診断給付特約
三大疾病入院一時給付特約
保険料払込免除特約
女性疾病給付特約
緩和型としてはかなり充実している。(緩和型で払込免除があるところは、まだ少ない。これについては後述する)
次に「本商品ならでは」という特徴を解説すると、本商品では原則として「初期入院10日給付特則」というものが付いており、これは
「短期入金でもとりあえず10日分の入院給付金を払いますよ」
というものだ。
昨今、入院期間が短くなっており、例えば日額5,000円のプランの場合、1泊2日の入院では1万(5,000円×2日)円しか受け取れない。
そうなると「何のために保険に入っているのか?」という満足感が低下してしまう。
それを解決するための方法として「10日分まとめて」という考え方が出てきたのだが、あいおい生命はわりと早くからこの方式を採用している。
これを聞くと「えっ?どんな短期でも10日分もらえるなら良いね!!」となるのだが、当たり前だがその分、保険料は高い。
先に挙げた通り1泊2日であれば10,000円で済むところを、5万円(5,000円×10日分)払わなくてはいけなのだから、その分、割高な保険料を回収しておく必要がある。
保険会社の立場からすれば別に「サービス」でやっているわけでもないので、これは当然のこと。
では、どの程度「高い」のか?
この初期入院10日給付特則は「外す」ことも可能なので比較してみよう。
例えば60歳 男性で「日額5,000円 60日型 手術Ⅰ型 終身払」という条件で見積もると、
初期入院10日給付特則なし 4,755円/月
初期入院10日給付特則あり 5,025円/月
と270円ほどの差がある。
このあたり、なかなか上手い。
これくらいの差であれば、
「うちはちょっと高いですが、どんな短期入院でも10日分受け取れるんですよ!!」
というセールス文句が響きやすいし「短期でも得」という印象を与えられる。
だが、わずか270円とは言え、年間で見れば3,240円、10年間では3万2,400円だ。
1泊2日で1万円のところ5万円もらえた(4万円得した!!)。2泊3日で1.5万円のところ5万円もらえた。(3.5万円得した!!)
その瞬間は儲けたような気になるが、実際には「自分で積み立てているだけ」とも言える。
医療保険とは本来、
「がんでの入退院や、大けがでの長期入院など、経済的な大きなダメージを支える」
ためのものであり、そういう意味では「10日分」というのは小銭にしか過ぎない。
そういう意味では筆者としては「別に必要ない」とは思うのだが、この手のオプションは意外と人気で、それに惹かれてしまうという人間の心理も面白い。
以上、商品概要。
では、弱点。
弱点1 払込免除がバカ高い!!まだ様子見が賢明か?
弱点と言うよりは注意喚起という面で取り上げたい。
本商品の「売り」の一つが払込免除特約であり、あいおいの社員もしきりにその点を強調しているようだ。
払込免除は保険会社指定の状態に該当した場合、以後の保険料が免除されるというもので、通常の医療保険にはだいたい用意されている。
本商品における免除の条件は以下の通り。
1 がん(上皮内ガン含む)と診断確定された時
2 心疾患、脳血管疾患で入院した時
これに該当すると、以後の保険料を払わなくても「払っているもの」として扱われ、保障が続いていく。
要は保険料が無料になるということ。
先にも述べたが、緩和型においてはこの払込免除がない商品が多い。
何故か?
リスクが高すぎるからだ。
もちろん保険会社から見てだ。
ただでさえ持病があり、しかもその病気が何だか分からない。
保険会社が知っているのは、冒頭で上げた3つの条件
1 最近3カ月以内に医師から入院または手術を勧められたか?
2 過去1年以内に、病気やケガで入院をしたこと、または手術を受けたことがあるか?
3 過去5年以内に、がん、認知症、アルコール依存症、統合失調症、肝硬変で医師の診察・検査・治療・投薬のいずれかを受けたことがあるか?
の全てに「いいえ」だと言うだけであり、例えば心臓の薬を飲んでいるかもしれないし、血圧降下剤を服用しているかもしれない。
そのような方々が「がんになるリスク」、「心疾患、脳血管疾患で入院するリスク」は、健康上のリスクがない人に比べると極めて高いだろう。
だからこそ他社では
「払込免除はニーズはあるけど、緩和型ではちょっと厳しいかなぁ。。。。」
という感じで導入を見送られてきたのだろう。
で、本商品はそこをやった。
と言うか、正確には「やってみた」という感じではないか?と推測する。
と言うのも、この払込免除を付けると、
保険料がバカ高い!!
のだ。
年齢、性別によっても異なるが、ほぼ2倍近くの保険料になる。
例えば、60歳 男性(日額5,000円、手術Ⅰ型、先進医療特約、終身払い)の場合、以下の通り。
払込免除特約なし 4,649円/月
払込免除特約あり 9,212円/月
払込免除特約だけで、4,563円のオプション料がかかっていることが分かる。
先に述べた通り、本商品の払込免除は「がん」、「心疾患、脳血管疾患での入院」だけで以後の保険料が免除されるため、わりハードルが低いと言うか「免除されやすい」内容となっている。
がん、心疾患、脳血管疾患になる可能性はおおよそ全体の7,8割と言われている。
かなり確率が高い上、元々持病などもあれば、さらに可能性は上がる。
保険会社からすれば「とてもリスキーなギャンブル」であることは間違いない。
そのため、「2倍くらい貰っておかないとヤバイだろ・・・」そんなところではないか?
もちろん、保険会社も保険料を適当に決めているわけではなく、しっかりとした統計や、確率論に基づいて計算をするのだが、とは言え、このような「新しい取り組み(緩和型の払込免除)」は、やや過剰にリスクを計算する傾向がある。
正直なところ
「実際にやってみないと分からんよね。。。」
というのが本音だからだ。
5年、10年と商品を販売してみて、どの程度「払込免除」が発生するか?それを見てみないと、どの程度の保険料をもらうのが正解なのか分からないのだ。
そのため、「今のところ」は緩和型の医療保険に払込免除を付けると「2倍程度の保険料になる」という感じになっている。
だが、数年経つと「こんな貰わなくても大丈夫かも」となって、他社が類似の商品を安く出したり、それに対応して本家も保険料を下げたりする。
契約者からすれば「初めから安くしろよ・・・」とは思うのだが、ある意味では初めの頃のお客様は「実験台」でもあるので、こればかりは仕方がない。
持病がある方は、
「私は絶対がんになる(心疾患になる、脳血管疾患になる)」
と思い込みがちでもあり、そういう面での「払込免除」はお得なようにも思える。
だが、保険料が2倍ということは、仮に免除になったとしても「結局、支払い総額は普通に払っているのと同じ」になる可能性も高い。
5,000円を20年間支払えば、5,000円×12か月×10年=60万円だが、5,000円の2倍の1万円を払って、20年の半分の10年目で免除になっても、1万円×12か月×10年=60万円となり「同額」だからだ。
むしろ「免除にならず」にズルズルと長期間支払わなくてはいけないリスクもあるし、結局、幸いにも、がん、心臓、脳の病気をやらずに亡くなる可能性もある。
これだけ高いのであれば「変なギャンブルに乗らずに、無理かない範囲で普通(払込免除を付けず)に払えば良いのでは?」とも思う。
この保険の弱点、こう考えろ!!(解決策)
弱点ではないが、払込免除について自説を述べさせていただいた。
「免除」というのは、お得感もあり、日本人は何故か好きなだが、そこにはコストがかかる。
飛びつく前に冷静に考えて欲しい。
なお、払込免除に関しては以下のコラムでも詳細を解説しているので、参考にして頂きたい。
参考コラム:保険に「払込免除特約」は必要か?
なお、緩和型医療は保険会社によって「得意な年齢帯、性別」などがある。
A社は女性は安いが、男性は高い。逆にB社は男性は安いが、女性は高い。C社は50代は高いが、60代は安い、など。
出来れば保険ショップなどで相見積りを取った方が良い。
特約について
本商品の特約は、同社の医療保険であるA(エース)セレクトとほぼ同じ。
そのため、詳細については以下サイトの「つけるべき特約」、「付けても良いかも?な特約」、「付ける必要なし、な特約」をご参照頂きたい。
三井住友海上あいおい生命 医療保険 A(エース)セレクト ★★★☆☆
口コミ・評判(販売側から)
なし
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口コミ・評判(契約者から)
なし
検討した方がいい他社商品
4つ星評価!!(保険会社の五十音順)
当サイトでの緩和型医療保険で評価が高いのは以下の通り。
払込免除がある緩和型はまだ少ないが、はなさく生命、アクサ生命、FWD生命などにラインナップされている。
ネオファースト生命 ネオ de いりょう 健康プロモート ★★★★☆
アフラック 病気になった人も入りやすい医療保険EVER ★★★☆☆
オリックス生命 医療保険 CURE Support Plus[キュア・サポート・プラス] ★★★☆☆
東京海上日動あんしん生命 メディカルKit エールR ★★★☆☆
参考コラム:
医療保険の検討ってどうすれば良いの?と迷ったら
『医療保険。こう考えれば、スッキリ決められる!』
をご覧いただきたい。
他社の医療保険の☆評価一覧は、コチラ
編集後記