この保険の弱点はここだ!三井住友海上あいおい生命「オーナーズロード」

提供会社:三井住友海上あいおい生命

商品名:オーナーズロード

この保険の弱点はここだ!!

法人向け商品。

オーナーズロードという名前からも分かる通り、会社のオーナー向けの商品で、退職金の積立用に使われることが多い。

旧知のあいおいの関係者に聞くと「今でもそれなりに出てる。ほとんどが健康状態に問題がある50代、60代の経営者の退職金準備」とのこと。

なお、2019年7月の法人保険の税制以前は「それなりに強い商品」だったが、今では魅力は低下。

正直なところ、保険としては何一つメリットはないのだが、

「健康に問題がある人でも入りやすい」

という点を評価して星2つ。

第一保険期間と第二保険期間という考え方があり、加入してから数年(プランの設計によって変わるが、だいたい10年か15年)の第一保険期間中は、病気による死亡保障がない。

病気が原因での死亡   → 責任準備金(支払った保険料総額の9割程度が目安)
交通事故等が原因の死亡 → 契約時の保険金(例:1億円など)

つまり、第一保険期間中には、病死以外の災害死亡でしか保険金はおりない。

そのため、この第一保険期間中は保険会社側にほとんどリスクがない。

交通事故で死亡する人など、統計的に200人に1人なので、保険会社からすれば「1/200しか払わないで済む」ということ。

これらのことから、本商品に加入する際は4つの告知項目しかなく、原則的には誰でも入れる。

商品タイプとしては、現在の法人保険の税制に合わせて、以下のような2タイプが主流。

・返戻金ピークを85%以下に設定したもの(保険料の4割が損金)

・返戻金ピークを92,3%程度に設定したもの(保険料の16~17%程度が損金)
注:この他にも設定によって、返戻金のピークをコントロール出来る仕組み

以上、商品概要。

では、弱点。




弱点1 第一保険期間中に病死すると損する

本商品には第一保険期間と、第二保険期間があり、第一保険期間中は病死では責任準備金しか受け取れないことは既に述べた。

で、この責任準備金というのは、

それまで支払ってきた保険料のおおよそ9割

となっている。

正直なところ、

そんなん保険じゃないじゃん?!

という感じ。

だが、実際問題として

・健康状態がよろしくない

保険料の一部を損金としながらお金を貯めたい

というニーズを叶えるためには、ある程度仕方がないとも言える。

保険会社としても、健康状態を把握せずに保障を提供するのは怖い。

また、加入してすぐに亡くなってしまった場合、元本(保険料総額)を全て返してしまうと、代理店へ支払った販売手数料や事務手数料分だけ「赤字」になってしまうので、これでは事業的にメリットがない。

そのため

「大変申し訳ないですが、早期(第一保険期間中)にお亡くなりになった方からは1割程度お金を頂戴します・・・」

という設定になっているのではないか?

このあたりは一つのリスク。

損金のためにそのリスクを許容するか?という点を考慮した方が良い。

弱点2 節税にはならない

あいおい生命自身も、サイトやパンフレットで「節税にはなりません!!」と断言しているが、それでも販売の現場では節税性を強調してセールスされているようだ。

だが、当サイトでもはっきり言うが節税にはならない。

このあたりは、以下コラムにて詳細を解説しているのでご一読頂きたい。

参考コラム:法人保険の「節税」今、昔。原則的に保険で節税は出来ないよ、という話

この保険の弱点、こう考えろ!!

まず、本商品の「将来のシミュレーション」を見てみよう。

ここでは、返戻率を重視したプラン(返戻率ピーク93%、損金16%)を例とする。

毎年1,000万円を支払ったとして、そのうち160万円が損金になるのだから、毎年の節税金額は48万円。

これを10年継続すれば、

総支払保険料 1億円(1,000万円×10年)

損金合計  1,600万円(160万円×10年)

節税合計  480万円(48万円×10年)

解約返戻金 9,300万円

となる。

要は480万円の節税が出来てはいるが、その代わり保険会社に700万円取られているので、トータルでも220万円ほど損をしている。

また、仮にこの10年間の途中で死亡すれば、戻ってくるのは「支払った保険料総額の90%程度」なので、保障という点でも損。

これが通常の保険(長期定期保険、逓増定期保険)であれば「死亡時の保障」があるので、仮に220万円(22万円/年)損をしていても

「まあ、保障がついていたから良いか・・・」

と納得も出来るのだが、本商品はそうではない。

唯一得をするのは「交通事故で死亡した」場合のみということになる。

このようにして見ると、何のメリットもない保険なのだが、正直、ここまで全体を見通して保険加入を検討しているような経営者は少ない。

まず、

「目先、ちょっとだけでも節税になる」

というのは経営者にとっては魅力。

そして、本商品がターゲットとしている「オーナー」と言われる50代、60代の経営者からすると、自身の退職金を用意するのに、

俺はあと◯年で引退するから、今年から毎年◯◯◯万円を積み立てるぞ!!

と決めるのは意外と言い出しにくい。

後継者の問題もあるし、「何だよ、自分だけ」と思われるのもつまらないからだ。

また、企業は生き物なので、お金があると何故か出て行ってしまい、予想通りには貯まらないことも想定出来る。

この点は多くの経営者の悩みだろう。

その点、保険であれば毎年一定金額を外部によけておけるし、その上「節税にもなる」というのは、絶好の言い訳にもなる。

これが健康状態が悪くて「入れない」のであれば、保険は選択肢から外れるのだが、本商品の場合「入れる」ので、その点では

「保険っていう言い訳があると、やりやすいなぁ」

という方には一定のニーズがあるのかもしれない。

先に挙げた「220万円の損」も「途中で死んだら損をする」というのも、この「言い訳代」かな?というのが筆者の考え。

冒頭でも述べた通り、販売実績としては「ほとんどが健康状態に問題のある50代、60代の経営者の退職金準備」とのことなので、極めてニッチなニーズに適合した商品なのだろう。

口コミ(販売側から)

なし

謝礼Amazonギフトカード300円!! アナタの口コミ教えて下さい!!
保険会社勤務、代理店勤務の方でも、販売現場の情報や、当サイトで指摘していない弱点(デメリット)などには謝礼(amazonカード300円)をお支払い致します。

口コミ(契約者から)

なし

比較した方が良い他社商品は?

法人保険の良し悪し、ランキングは年齢、性別によって極めて流動的。

返戻率重視だけで言えば、損保系生保、あいおい、ひまわり、あんしんなどが強い。

このあたりは保険ショップなどに行けばすぐに見積もってくれる。

なお、当サイトでも法人保険の相談を受け付けている。

参考コラム:法人保険のご相談を受け付けています!!

編集後記

約款

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