この保険の弱点はここだ!朝日生命「かなえる介護年金」

提供会社:朝日生命
(格付:R&I BBB)

商品名:かなえる介護年金

この保険の弱点はここだ!!

商品解説の前に、そもそも民間の介護保険を理解したい方は、以下、コラムをお読み頂きたい。

参考コラム:民間の介護保険は必要か?「介護保険の考え方」

では商品解説。

一言で言えば、何とも評価が難しい商品。という感じ。

・介護保険の

・緩和型(持病がある方でも入りやすい保険。そのかわり保険料が割高)

というなかなか珍しいもので、同じような商品は見たことがない。

詳しくは後ほど説明するが、商品としては「うーん」という感じではある。しかし、緩和型ということで、一定のニーズはあるのでは?と思い2つ星とした。

但し、これを本当に「緩和型」と言って良いのかどうか・・・

と言うのも、他社の介護保険も、そもそも告知事項が少ない。

一般の保険の告知書とは別に「介護保険専用の告知書」となってるものが多いのである。

その理由は加入者の年齢層。

介護や認知症の保険に加入するのはほとんどが高齢者で、早くて50代、メインターゲットは60代といったところ。

この年齢層になると「全く問題なく健康です!!」というような方は稀で、何かしら持病があったり、薬を飲んでいたりすることが多い。

そのような方にあまり細かいことを聞くと、結果「保険に入れない」ということになり、契約者が集まらない。

そうなると、保険会社としても困ってしまう。

そのため、やや手心を加えていると言うか、若い人向けの保険よりは告知項目を少なくし「入りやすく」しているのである。

介護系の商品の告知は、保険会社によって結構違うのだが、だいたい以下の4点を聞かれることが多い。

1 過去3ヵ月以内に医師から、入院や手術を勧められた

2 過去1年以内に入院、手術を受けた

3 過去5年以内に、がん、肝硬変、心疾患、脳血管疾患、うつ病、統合失調、アルコール依存症、パーキンソン、アルツハイマー(ここで挙げている病気名も会社によって異なる)で診察、検査、治療、投薬を受けた

4 公的介護保険の申請をしたことがある

以上の4つが、わりとスタンダードに尋ねられる内容なのだが、本商品は「緩和型」なので、大きく2点異なるところがある。

1 他社では過去1年以内の入院、手術はダメだが、本商品ではそれが3ヵ月以内に短縮されている。

2 他社では具体的な病名を挙げ、5年以内にそれに罹患しているとダメ。しかし、本商品はそれが2年以内に短縮されている。

1については、明確に「緩和されている」と言えるだろう。

だが、2については、本商品で具体的に挙げられている病名は、他社の介護系の商品で挙げられるものより「数が多い」

下記がその一覧

・がん
・脳血管/血管疾患(脳梗塞、脳出血、一過性脳虚血発作、閉塞性動脈硬化症)
・糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害
・肺気腫、慢性気管支炎、COPD(慢性閉塞性肺疾患)
・アルコール依存症、統合失調
・パーキンソン病、ALS、等
・骨折を伴う骨粗鬆症、等
・脊髄損傷
・慢性心不全、慢性腎不全、肝硬変、リウマチ、等

これは他社の類似の告知項目より明確に数が多いし、病名も細かい。

また、一度かかると一生付き合っていく。つまり投薬などが続くものも多く、そうなれば告知項目の「投薬」に該当するため、加入は難しくなる。

そのため、この告知については

「期間的には緩和(5年が2年)されているが、病気の種類的にはむしろ増えている」

という感じ。

以上のことを踏まえ、ざっと見た印象では、以下のような2つの例であれば、この「緩和」がプラスに働く。

1 列挙されている病気「以外」で入院手術をした。
他社では1年待たないとダメだが、本商品であれば3ヵ月経過後から入れる

2 列挙されている病気の中でも、「一度治れば継続的な投薬などはがない病気」もある。がん、肺気腫など。
他社では肺気腫などはそもそも問わないが、がんについては「5年ルール」が適用される。しかし、本商品なら2年で入れる。

1については、緩和されていると言っても非常に「弱い」

3ヵ月と1年と、9ヵ月の差しかないので、1年間待って他社の商品でも良いと思う。

だが、2のがんについては、

「がんをやってしまったので、介護保険に入りたいが入れない」

という方などに一定のニーズがあるかな?という気もする。

但し、それ以外の病気となると、正直、入りやすさは他社の商品と変わらないか、逆に具体的に列挙している病名が多い分「入りにくい」ような印象を持つ。

冒頭、「これを緩和型と言ってよいかどうか」と述べたのは、このあたりの事情から。

なお、商品としては、わりとシンプルな掛け捨ての保険で、要介護3以上に該当すると年金を受け取れる。

年金の期間は、5年、10年、15年、終身から選択するのだが、これは加入時に決める必要がある。

受け取れる期間が長くなればなるほど、当然ながら保険料は上がる仕組み。

これについては、弱点2にて詳細を述べる。

では、弱点(デメリット)の解説に入ろう。




弱点1 要介護3以上

他社の介護系の商品では、要介護1で一時金、要介護2から年金などが受け取れるものが多いが、本商品では要介護3以上でないと受け取れない。

公的介護保障は、要支援1、要支援2、要介護1、2、3、4、5と数字が大きくなればなるほど「状態が悪い」ということ。

要介護3は、数字だけを見れば「真ん中あたりかな」と思うかもしれないが、実際には「かなり後半部分」だと言って良い。

介護になられた方の全員が、要介護5まで行くわけでもなく、要介護4で亡くなる方も多い。

また、要支援1,2、要介護1あたりで長く過ごし、そこからは一気に2,3,4と進む方もいる。

筆者の見てきた中では、要介護3まで行くと、

「よく頑張ってきましたね。(本人もご家族も)」

という感じで、介護生活も結構長く経験し、そろそろお迎えが、というところ。

そこまで行かないと、本商品は年金を受け取れない。

最終コーナーを回ったあたりで年金を受け取っても「遅いよ」という印象は拭えない。

弱点2 有期年金という言葉の使い方がおかしい

本商品。

介護年金が受け取れる期間を「5年」、「10年」、「15年」、「終身」から選ぶ形となっているが、先の5、10、15年を「有期年金」、終身を「終身年金」と呼んでいる。

だが、これは「最長で受け取れる期間」でしかない。

例えば、有期年金10年で契約をしていた契約者が、80歳で要介護3になった。年金が始まった。

こんな場合、年金を受け取れるのは、契約者が「生きている場合」に限る。

そのため、81歳で亡くなってしまえば、年金は1年分しか受け取れない。

約款を読めばそのことが分かるのだが、このようなケースで「有期年金」という言葉を使うことに、違和感を感じる保険関係者は多いのではないだろうか?

通常、有期年金と言えば「その期間の年金は必ず受け取れる」ということを指す。

通常の年金などで、「有期10年」と言えば、仮に契約者が途中で亡くなっても、その後遺族が年金(10年分)を受け取れるのである。

そのような点から見ると「ん?これを有期年金って言っちゃうのかぁ」という感じ。

もちろん、販売の現場ではちゃんと説明しているだろうが、ネットの情報を見る限り、あの表記では誤解を招く。

そのためこちらでも、あえて指摘している。

弱点3 元を取れないケースがほとんどでは?

今まで述べてきたことをまとめると、

・年金のハードルが高い

・有期年金と言っても、死亡すれば受け取れない

という2点から、本商品で保険料の元を取るのは結構大変なのではないか?と思う。

実際に計算してみよう。

サイトの情報によると、60歳の男性が、

・年金額30万円
・5年有期

で契約した場合、その保険料は5,886円(保障期間:終身)となっている。

年間、約7万円。これを要介護3になるまで支払うことになるのだが、前述の通り、要介護3となると、介護生活でもかなり後半の方で、つまりは年齢もかなり高齢になってからだと予測出来る。(もちろん人によって異なるが、あくまで一般論として)

ここでは80歳としよう。

年間7万円を60歳から80歳まで、20年間支払えば、その合計は140万円。

対して年金は30万円が最長5年なので、マックスでも150万円ということになる。

要介護3になってから、5年生存して、ようやく+10万円。

仮に1,2年で亡くなってしまえば損。

別のケースでも考えてみよう。

70歳で要介護3になったら?

この場合、保険料の負担は10年間なので、70万円で済む。

年金30万円を3回受け取れば、元を取れる。5年分受け取れれば150万円だから、倍以上になるだろう。

これらのことから、本商品で「儲ける」ためには

・なるべく早く要介護3に到達

・そこから長生きする(最低でも3年程度は)

ということ。

もちろん、ありえるケースではあるが、それでも「数は多くないんじゃない?」というのが筆者の感想。

やっぱり要介護3まで行くと、そこから先はさほどに長くはない。(ということが多いし、本人、家族的にもその方が楽)

また、これらは「介護になる」ことが前提の話であり、もちろん「介護にならない」こともある。

実際には、介護になるのは男性の1/3、女性の1/2なので、介護を必要とせずに亡くなる方も結構多い。(このあたりの事情は以下コラムに詳しい)

参考コラム:民間の介護保険は必要か?「介護保険の考え方」

本商品の加入者でも、それは同じだろう。

介護年金を受け取らずに死亡した場合には、介護年金1年分が死亡保険金として受け取れるが、まあ、それでも、そこまで支払ってきた保険料のことを考えれば、赤字になることがほとんどではないか?

以上のことから、本商品で「儲かった」、「この商品に入っておいて良かった」と思う方は、かなり少ないと思われる。

この商品の弱点、こう考えろ!!(解決策)

本商品の「良さ」を挙げるなら、金銭的な損得より「精神的な安心感が得れる」ということだろう。

先の告知項目で挙げた病気。

・がん
・脳血管/血管疾患(脳梗塞、脳出血、一過性脳虚血発作、閉塞性動脈硬化症)
・糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害
・肺気腫、慢性気管支炎、COPD(慢性閉塞性肺疾患)
・アルコール依存症、統合失調
・パーキンソン病、ALS、等
・骨折を伴う骨粗鬆症、等
・脊髄損傷
・慢性心不全、慢性腎不全、肝硬変、リウマチ、等

これらの病気を経験した結果「5年間は介護系の保険に入れない」となった方々。

そのような人が、病気を克服してから2年間で加入出来る。

また、ほぼ掛け捨てなので、保険料も手頃。

それによって

「ああ、良かった。これで介護への備えができた」

そう安心出来ることが一番の効果だと思う。

経済的な合理性ではなく、感情に訴えかける商品だろう。

介護に関しては、保険より自分でお金を貯めておいた方が良い、というのが当サイトのスタンスではあるが、一度大きな病気を経験した方からすれば「それでも保険に」という気持ちになる。

こればかりは理屈ではないので、そういう方々の意図を汲み取れる商品である、という点では評価出来る。

但し、朝日生命としても、かなり「おっかなびっくり作った」という印象は拭えない。

告知事項を緩和した代わりに、指定する病名を増やしたり、支払い条件を要介護3以上としており、「保険をかけ過ぎた」結果、あまり実効的ではない保障になってしまっている。

口コミ・評判(販売側から)

なし

謝礼Amazonギフトカード300円!! アナタの口コミ教えて下さい!!
保険会社勤務、代理店勤務の方でも、販売現場の情報や、当サイトで指摘していない弱点(デメリット)などには謝礼(amazonカード300円)をお支払い致します。

口コミ・評判(契約者から)

・なし

比較した方が良い商品

本商品と類似した「介護系の商品」で、更に「緩和型」というものは他社にはない

編集後記

約款