変額保険では「投資先」を自分で決める必要があるが、その選択肢として各商品ごとに「ファンド」というものが設定されている。
なお、それらのメニュー(ファンド)は保険会社ごとに「異なる」ので要注意。
そのため、A社には用意されているファンドが、B社にはない。というようなことがある。
一例を挙げると「不動産に投資をするREIT」に関するファンドなどは「ある会社」と「ない会社」があり、これなどは分かりやすい「違い」である。
さて、これらのファンドだが、大別すると以下の5つに分類することが出来る。
1 株式
2 債権
3 REIT(不動産)
4 ミックス型
5 ほぼ貯金型
1,2,3の株式、債権、REITについては、更に「国内」、「海外」に別れ、株式においてはそこから「インデックス」と「アクティブ」に分岐する。
現在、販売されている各社の変額保険のファンドを分類すると以下のようになる。
注:各ファンドの詳細は保険会社のホームページを確認して欲しい。
それでは、各ファンドについて解説していきたい。
1 株式ファンド
株に投資をするものだが、前述の通り「国内市場を対象にしたもの」と「海外市場を対象にしたもの」に別れる。
また、海外市場も「アメリカ中心」、「全世界にまんべんなく」、「新興国中心」など、各社によって様々なものが用意されている上、インデックスとアクティブという選択肢もあり、ここで迷う方は多い。
株式ファンドについて理解するためには、まず「インデックス」と「アクティブ」を知る必要がある。
インデックスについては、日経平均を例に話すと分かりやすかもしれない。
日経平均という言葉は、良く耳にするだろうが、これが一体何なのか知っている人は意外と少ない。
日経平均は日本のプライム市場(旧:1部市場)に上場している2,000の企業の中から「代表的な225の銘柄(会社)」を選び、それの平均値を求めたものである。
そのため日経225などとも呼ばれる。
インデックスファンドとは、この日経平均(日経225)などの「指数」に連動するようなファンドを指す。
ではどのように「連動」させているのか?
答えは簡単。
「225の銘柄の株を全部買う」
これだ。
あるファンドが日経平均の対象となる225社の株を全部均等に買えば、当然ながらその価値は日経平均に連動する。(と言うか全く同じ動きをする)
注:アメリカの場合、ナスダック総合指数、ダウ平均株価(どちらも代表的な銘柄の株価の平均値)を使う。
そのため、市場全体が上がれば、ファンドも上がるし、逆に下がればファンドも下がる。
これの利点は「考えなくて良い」ということと「手間がかからない」ということ。
対象は「225社」と決まっているので、1つ1つの会社の企業情報や業績などを分析せずとも、それをコンピューターが自動で買うだけ。
そのためインデックスファンドは「手数料が安い」のである。
ただ、こう考える人もいるのではないか?
「225社の中には業績の悪い企業もあるはず。そんな『ハズレ』まで買うのは損だ!!」
まさにおっしゃる通りで、銘柄を選別すれば、よりよいパフォーマンスが出るかもしれない。
そして、それこそが「アクティブファンド」なのである。
アクティブファンドには、いわゆる「ファンドマネージャー」という人たちがいて、
・これからどういう業界、会社が伸びるか?
・どの銘柄を買えば利益が最大化できるか?
などと検討をして、投資戦略を決める。
先のインデックスファンドは機械が自動的に決まった銘柄を買うだけだが、アクティブファンドの場合、人が(今ではAIも活躍している)銘柄を決めている。
但し、こちらは「手間」がかかる。
各社の業績や事業を分析する必要があり、また「いつ買うか?」、「いつ売るか?」ということも考えないといけない。
そのため、コストがかかり、結果、アクティブファンドは手数料が高い傾向がある。(実際にインデックスと比較すると2~3倍程度高い)
これらのことを書くと、素人ほど
「多少手数料が高くてもアクティブの方が良さそう」
と考えるのだが、実はそれも早計である。
過去の色々な論文では、
「長い目で見ればどちらも変わらない。むしろインデックスファンドの方がやや良好」
という結論が出ている。
アクティブファンドは短期的には良いパフォーマンスを出すこともあるのだが、長期的に見れば「市場全体の成長」にリンクするインデックスファンドと「さほど大差ない」ということになることが多い。
むしろ手数料が高い分マイナスになってしまリスクもある。
そこまでこだわりがないのであれば、インデックスファンドに入れておくのが無難である。
注:但し、アクティブファンドに中でも「かなり良い成績」を出しているものもあり、一概に全てのアクティブファンドを否定しているわけではない。そのあたりはご自身で判断して欲しい。
以上のことから、株式に投資をする場合、以下のような選択肢がある。
・国内 or 海外 or 先進国
・インデックス or アクティブ
なお、過去の実績で言えば「アメリカ市場のインデックスファンドに長期投資」が一番パフォーマンスが良い。
2 債権ファンド
債権とは主に国債のこと。
日本債権とは、ほぼイコール、日本国債だと思って良い。
昨今の低金利の影響から、これに投資しても「ほとんど増えない」ので、これに投資をするのであれば変額をやる必要はない。
海外債権の場合、主にアメリカ国債、ドイツ国債などが対象。
今後、欧米を中心に国債の利回りが上昇するため、それなりのリターンは期待出来るかもしれないが、それでも株式市場に比べると魅力は落ちる。
3 REIT
不動産ファンドの総称。
過去のパフォーマンスは株式に比べても悪くないが、株式市場以上に変動性が激しい。
国内REITは日本の不動産、海外REITは欧米やアジアなどの不動産ファンドを投資対象にしている。
分散投資の対象として一部REITを組み入れるのも良いかもしれない。
4 ミックス型
会社によっては総額型などとも呼ばれる。
「保険会社にお任せ」という感じで、株式市場と債券とにバランスよく投資してくれる。
会社によっては、株式に75%、株式に50%など、比率を選択することも出来る。
何とも中途半端な印象も受けるのだが、商品によっては「総合型が一番良い」ということもあるので、選択肢の1つと考えても良いだろう。
面倒なことは考えたくないので、適当にやっておいて!!
そんな方には向いている。
5 ほぼ貯金型
会社によっては「短期金融市場型」、「短期市場型」、「マネー型」などと呼ばれるが、単なる貯金と同じ。
変額保険の選択肢としては「やる意味がない」のだが、一時的な避難先として使われることもある。
例えば、株式市場の先行きが不透明になり「そろそろ暴落か?」と予想されるような時、そのまま株式ファンドやREITに資金を入れておくと価値が下がってしまう。
そのような際、「一時期的に資金を短期金融市場型」に移しておく。
そして、株価や不動産が下がった時に、下落したファンドに資金を戻す。
高い時に売って、安い時に買う
これをやるための「金庫代わり」に使うために、一応、各社が用意しているファンド。
以上、各ファンドの特徴について解説した。
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