緩和型死亡保険で「高度障害」が対象外なワケ

緩和型定期保険や緩和型終身保険は

持病などがあり、通常の保険に入れないような方

でも「入りやすい」ように配慮された保険商品である。

通常の保険では、加入時に「告知」と言って、自身の健康状態を正直に申告する必要があるが、緩和型においてはそれらの質問項目が少なく、例えば

・過去3か月以内に医師から入院、手術、検査を勧められていない

・過去2年以内に入院、手術をしていない

・過去5年以内に以下(注1)の病気をしていない
注1:別途リストがある。そこで並んでいる病名は保険会社によって異なるが、がん、肝硬変、認知症、アルコール依存症、統合失調症はほとんどの会社で含まれている。

などの質問だけで済む。

多少の持病があっても、これをクリアすれば入れるので、主に高齢者などにニーズがある。

しかし、緩和型の死亡保障については、ほとんどの商品で

高度障害で保険金が支払われない

というデメリットがある。

本稿ではこれについて説明をしていきたい。

まず、結論から言えば「高度障害で保険金を支払ってしまうと収支が成立しない」という問題がある。

そのため緩和型の商品では高度障害を保険金支払い対象から外している。

ここには、残酷な現実がある。

世の中には色々な病気があるが、その中には

将来的に寝たきりになるこ可能性がかなり高い病気

というものが存在する。

実名を挙げれば、ALSや筋ジストロフィーなどの難病があり、その他にも一般の方はほとんど耳にしないような病気が数多くある。

このような病気に罹患した人も、緩和型の死亡保障には入れる。

例えば定期的に検査をしていても、その「狭間」で3ヶ月ほど間を空ければ、多くの緩和型の死亡保障で問われる

・過去3か月以内に医師から入院、手術、検査を勧められていない

という項目をクリア出来るし、その病気になる前に大きな病気を経験していなければ「2年以内」、「5年以内」にも引っかからない。

大変な病気と戦う方に保障を提供出来るという面では素晴らしいことだが、先に述べたようにこれらの病気では

将来的に動けなくなる可能性=高度障害状態

となるため、仮に高度障害で保険金を支払うとなると、保険会社からして、これはかなり大きな負担となる。

もちろん「冷たい話」ではある。

「そんな契約者には、保険金を支払ってあげれば良いのに・・・」

感情的には筆者もそう思う。

だが、実際問題として保険会社は慈善事業をやっているわけではないし、そもそも支払う保険金も「他の契約者が積み立ててきた保険料」から支払っている。

緩和型に加入している契約者は、お互いが病気を持つ者同士とは言え、そこには軽重、濃淡があり、やはり一定の範囲で「公平」でないといけない。

その点、高度障害を支払対象とすれば、その公平さも成り立たず、かつ保険金支払が増えることで、全体の保険料も上がってしまう。

結果、商品として成り立たないということになってしまうのである。

筆者自身、友人に難病と戦う方が何名かいて、そのような病気の現実は良く知っている。

だからこそ、高度障害でも保険金を支払って欲しいと切に願ってはいるが、同時に保険の仕組みも良く知ているので、やはりどう考えても難しいだろうな。とは思っている。

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