抗がん剤治療特約は付けるべきか?

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結論!!抗がん剤治療特約「だけ」では不十分!!

医療保険やがん保険の特約(オプション)で、抗がん剤治療特約というものがあります。

会社によって呼び名が違うこともありますが、内容としては

「抗がん剤やホルモン治療を受けた場合、その月に一定金額(例:10万円など)を受け取れる」

というもので、がんと戦っている間の治療費や生活費の「経済的なサポート」を受けられるものです。

では、この特約には入っておいた方が良いのでしょうか?

まず結論から言いますが、筆者はこれらの特約には懐疑的です。

これらの特約は、主に「がんによる収入減」をカバーするためのものですが、「病気で働けない」という観点で言えば、がんだけでなく、脳系の病気もありますし、病気以外にも交通事故による怪我などもあります。

そのため、「がんだけ」にフォーカスするより「働けないリスク全体」をカバーした方が良い、と考えるからです。

抗がん剤治療特約誕生の背景とは?

まずは抗がん剤治療特約が、どのような場面で役に立つかを考えてみましょう。

それを理解するためには「がんによる就労不能」という社会問題を知る必要があります。

近年、抗がん剤の研究が劇的に進み、がんによる死亡率が低下しました。

それ自体は良いことなのですが、同時に「治療が長期化」するケースが増えてるのです。

現在の医療で、がんの治すための治療は第一に外科手術、つまり、がん化した細胞を「物理的」に切ってしまうということです。

ただし、がんの中には「切れない」ものも存在します。

血液のがんである白血病や、脳の中の悪性腫瘍などです。

死亡率が高い肺がんも「切れないがん」として有名です。
注:場所によって外科的なアプローチが出来る場合もある。

このような場合、抗がん剤やホルモン治療を実施するのですが、一気にがん細胞を「切り離す」外科的な治療と異なり、「がんを徐々に弱らせていく」ため時間がかかります。

半年以上かかることも多く、個人差はあるものの、一般的に抗がん剤は副作用がきついので、この間は仕事が出来ません。

それでも、がん細胞が消えれば良いのですが、中には一進一退を繰り返す場合があります。

「悪くはならないが、良くもならない」

というケースであり、このような場合、月に一回の抗がん剤治療を続ける必要があります。

抗がん剤は、おおよそ一ヶ月に1回のペースで実施することが多く、

第一週     入院し抗がん剤投与
第二週     入院 or 自宅で療養
第三週/第四週   比較的、体調も穏やか

人にもよりますが、このようなスケジュールを繰り返すことになります。

そうなると、月のうち半分が治療で潰れてしまうため、なかなか仕事をすることが難しくなります。

体調が良い、第三週、第四週であっても、そもそもが「がん患者」であるため、体力を大きく消耗するような仕事は出来ません。

そのため、「収入が激減してしまう」ということが発生します。

これが「がんによる就労不能」です。

医療保険やがん保険の抗がん剤治療特約は、主にこれらの状況をカバーするためのものです。

そのため「抗がん剤治療やホルモン治療を行った「月」には、給付金を払う」という内容になっています。

なお、冒頭で抗がん剤治療特約に入る必要はない、と断言しましたが、その保障内容自体を否定しているわけではありません。

実際にこのような状況になれば、毎月一定金額(例:10万円など)を受け取れれば、それはかなり心強いでしょうから、ないよりはもちろんあった方が良いでしょう。

しかし、「働けないリスク」はこれだけではありません。

まだまだある「働けないケース」

「就業不能」になるケースとしては以下のようなものがあります。

1 がんによる就業不能

2 脳の病気(脳卒中、若年性アルツハイマー、筋ジストロフィーなど)によるもの

3 交通事故、スポーツ中の事故による後遺障害

4 その他、原因の不明の難病など

この中では1と2で、全体のほぼ8割を占めると言われています。

実際、がんによる就業不能も多いのですが、脳系のものもそれと同じくらい多いのです。

なお、この2つ。どちらが怖いか?と言われれば脳系の方です。

がんによる就業不能は、良くも悪くも「結論が早い」のです。

半年で治る方もいれば、2,3年抗がん剤治療を続ける方もいますが、残念ながら後者の場合、ほとんどの方が亡くなってしまいます。

そういう意味では「長くても2,3年で決着がつく」という言い方も出来ます。(大変冷たい言い方で申し訳ございません)

対して、脳系の病気では、後遺障害などがあってもその後、長い間生きられる方も多く、例えば巨人軍の長嶋監督も、半身麻痺の障害がありながら、今でも時折メディアに出ておられます。

当然、働けない期間も長くなる傾向があります。

そのため、冒頭で述べた通り「がんだけ」を心配するよりは、「働けない」というリスク全体のことを考えた方が良いでしょう。

その解決策として、筆者は就業不能保険が良いと思っています。

がんだけにフォーカスした抗がん剤治療特約などよりは、範囲が広い分、保険料は高いですが、こちらの方が万能と言えます。

そのため、抗がん剤治療特約に入るにしても、ベース部分として就業不能保険を持った上で「上乗せ」として入るべきでしょう。

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