この保険の弱点はここだ!はなさく生命「はなさく一時金」

提供会社:はなさく生命

商品名:はなさく一時金

この保険の弱点はここだ!!

8大疾病一時金について解説しています。本文とともに参考にして下さい!!

3大疾病や8大疾病の際に一時金を受け取れる商品で、本来、これらの保障は医療保険のオプション(三大疾病一時金特約など)で用意されていることが多い。

本商品は、その部分のみを「切り出して」一つの商品に仕立て直したようなイメージ。

なお、3大疾病一時金については、以下のコラムでも考察しているのでご参照頂きたい。

参考コラム:がん診断一時金、3大疾病一時金は付けるべきか?

先行する商品で、一番近いのは朝日生命の「スマイルセブンsuper(既に販売停止)」や、その後継となるなないろ生命(朝日生命グループ)の「なないろセブン」。

他にもメディケア、ネオファーストなどからも類似商品が出ている。

朝日生命 スマイルセブンSuper

なないろ生命 なないろセブン ★★★★☆

ネオファースト生命 ネオdeからだエール ★★★☆☆

メディケア生命 メディフィットプラス ★★★☆☆

また、各社の医療保険のオプションとなる「三大疾病一時金特約」も比較対象となる。

下記に三大疾病一時金の支払い条件が良い商品を列記する。

・心疾患、脳血管疾患が対象。範囲が広い

SOMPOひまわり生命 健康をサポートする医療保険 健康のお守り ★★★★☆

三井住友海上あいおい生命 新医療保険 Aプレミア ★★★☆☆

・三大疾病一時金の特約保険料が安い

オリックス生命 新CURE ★★★★☆

本商品は、それら先行商品を追ったもの。

このような後追い商品の場合、マーケティング的には

「保障内容を揃えて、保険料を安くする(安売り戦略)」

「保障内容を上回り、やや保険料を高くする(付加価値戦略)」

しかないのだが、日本生命グループのはなさく生命が「安売りすること」はプライドが許さないのか、本商品では後者の「付加価値戦略」を取っている。

つまり、先行商品より「保障内容を良くして、その代わりちょっと高い保険料を設定する」というもの。

だが、筆者が思うに、本商品においては、その戦略が「裏目っている」

それらについては、弱点(デメリット)にて解説していきたい。




弱点1 保険料高め & 商品をこねくり回しすぎ

実際に保険料を比べてみよう。
(ここでは比較対象として、商品内容が極めて近い、なないろ生命のなないろセブンを採用する。)

30歳 男性 一時金50万円 終身払のケース

はなさく一時金
3大疾病  Ⅰ型 1,165円
3大疾病  Ⅱ型 1,300円
特定疾病 Ⅰ型 1,515円
特定疾病 Ⅱ型 1,670円

なないろセブン 1,085円

どのケースでも、はなさく生命の方が高く、なないろセブンが7つの病気を対象にしているのに対し、はなさくでは3大疾病のみのプランでも保険料で負けている。

筆者が「ほぼ同条件なのでは?」と思うのは、特定疾病Ⅰ型(8つの病気+臓器移植)だが、それと比較すると保険料は400円近く高い。

無論、保険料が高いだけあって、保障内容ははなさく生命の方が優れてはいいる。

だが、その付加価値が分かりにくい・・・

ちょっとひねり過ぎたんじゃない?

というのが、筆者の感想。

細かいところで、色々知恵を絞っているものの、「何故高いのか?」という点において訴求力がないように感じる。

もちろん筆者はプロなので「何が違うか」は分かるが、普通の人にこの「差」を分かりやすく説明しきれる営業マンがどれくらいいるだろうか?

まずは商品の構成について見てみよう。

本商品は冒頭でも述べた通り

・「がん」
・「心疾患」
・「脳血管疾患」

の3大疾病の際に一時金を受け取れるというもので、オプションで3大疾病を特定8疾病に拡張することも出来る。

つまり、一時金の対象を「3大疾病」だけにするか「8疾病」にするかを選択するのだが、更に3大、8疾病それぞれでⅠ型、Ⅲ型という選択がある。
注:昔は「Ⅱ型」というものがあったが、今は販売停止。

結果的に、選択肢としては以下の4つがあることになる。

1 3大疾病    Ⅰ型
2 3大疾病    Ⅲ型
3 特定8疾病 Ⅰ型
4 特定8疾病 Ⅲ型

なお、「Ⅰ型とⅢ型で何が違うのか?」という点については、「心疾患、脳血管疾患における支払い条件」に違いがあるのだが、これを理解するにはまず「心疾患、脳血管疾患とはなんぞや?」という話をしないといけない。

参考コラム:心疾患と急性心筋梗塞、脳血管疾患と脳卒中、何が違う?

心疾患とは、心臓に関わる病気(疾患)全般というような意味合いで、当然色々な病気があるのだが、その代表的なものは「急性心筋梗塞」と「狭心症」の2つだろう。

急性心筋梗塞は「ウッ!!」と来て、バタンと倒れ、処置が遅ければ死ぬ。

日本でもがんに次いで、長らく死因第2位となっている(ちなみに世界全体では死因1位)

つまり即死に繋がる大病である。

対して狭心症は、そこまではないというか、キューと心臓を掴まれたような痛みを感じるものの(いわゆる発作)それ自体で亡くなることはほとんどない。

心筋梗塞の前触れという感じの病気。

次に脳血管疾患だが、これもその名の通り「脳の血管に関する病気(疾患)全般」となるが、心疾患における「主役」が急性心筋梗塞であるように、こちらの場合も「脳梗塞」、「脳出血(クモ膜下出血含む)」が命に直結する病気で、一般的にはこれらをまとめて「脳卒中」と呼ぶ。

そして脳血管疾患の中には、脳卒中以外でも一過性の虚血発作(一瞬、血管が詰まる)などがある。

要は「心疾患」、「脳血管疾患」ともに「主役級の病気」と「脇役の病気」があるということなのだが、このことと先のⅠ型、Ⅲ型が絡んでくる。

まず「主役級の病気」に関しては、Ⅰ、Ⅲ型ともに扱いは同じ。

心疾患であれば急性心筋梗塞、脳血管疾患であれば脳卒中は、Ⅰ型であれⅢ型であれ「入院 or 手術」で一時金を払う。

だが、「脇役」の場合、Ⅰ型とⅢ型で取り扱いが違う。




ここでは狭心症を例に挙げよう。

狭心症で入院した場合、Ⅰ型では20日以上入院 or 手術をした場合に払う。

手術をしない場合には、かなり長期の入院が必須ということ。

狭心症くらいでは、なかなか手術もしないし、入院も1週間程度で済んでしまうことが多いので、正直「20日以上」というのは結構ハードルが高い。

だが、これをⅢ型にすると「1日以上の入院」で受け取れる。
注:従来のⅡ型は「5日以上の入院」が条件。だが、競合のメディケアが心疾患、脳血管疾患でも「入院すれば払う」という条件の商品を出してきたため、急遽、はなさくも「入院だけで払うⅢ型」を創設した経緯がある。

まあ、「様子を見て2,3日」ということが多いだろうから、実際にはほとんどのケースで一時金をゲット出来る。

つまり、Ⅰ型、Ⅲ型の差は、脇役の心疾患、脳血管疾患で入院した場合に「20日で払うか?」、「1日で払うか?」という違いであるのだが、率直に言って脇役の病気で20日以上入院することは「相当稀(筆者自身はそのようなケースは知らない)」

そのため、実質的にはⅠ型が「がん、急性心筋梗塞、脳卒中」、Ⅲ型が「がん、心疾患、脳血管疾患」が対象ということになるだろう。

このあたりが、相当分かりづらい。

また、その他の保障内容についても、ちゃんと比較すると、確かに先行商品より「ちょっとだけ良い」のだか、ここも「細かいなぁ」という感じ。

一応、説明だけはしておこう。

ここでは、本商品が「おそらく」仮想敵だと想定しているだろう「なないろ生命」の「なないろセブン(7大疾病一時金保険)」との比較をしてみる。

・対象となる病気について

はなさく一時金
1 がん
2 心疾患
3 脳血管疾患
4 肝硬変
5 慢性膵炎
6 慢性腎不全
7 糖尿病
8 高血圧性疾患に関連する動脈疾患
9 臓器移植

なないろセブン
1 がん
2 急性心筋梗塞
3 脳卒中
4 肝硬変
5 慢性腎不全
6 糖尿病
7 高血圧性疾患

ざっと見比べてみると、まずはなさく生命の「5 慢性膵炎」、「9 臓器移植」の2つが、なないろ生命には含まれていない。

そして、先程も説明した「心疾患と急性心筋梗塞」、「脳血管疾患と脳卒中」の違いがある。

はなさく生命は「心疾患・脳血管疾患」としているが、なないろでは「急性心筋梗塞、脳卒中」であるので、はなさく生命の方がやや範囲が広い。

また、同じ肝硬変であっても、支払基準が

はなさく生命 肝硬変と診断されたら払う

なないろ生命 食道・胃静脈瘤の破裂と診断 or 手術、肝移植手術にて払う

と、なないろ生命の方は、「破裂」したり、「手術」をしないと給付されないのに対し、はなさく生命では「肝硬変と診断されただけ」で払うので、条件は緩い。

また、糖尿病に関しても、

はなさく生命 インスリン治療180日以上 or 糖尿病性網膜症の手術 or 糖尿病性壊疽を原因とした切断術

なないろ生命 糖尿病性網膜症の手術 or 糖尿病性壊疽を原因とした切断術

と、はなさくではインスリン治療を180日以上継続すれば払うのに対し、なないろは網膜症や壊疽の手術をしないと対象にならない。

これだけを列挙すると、はなさく生命の方が良いような気もするのだが、色々とツッコミどころも多い。

例えば、

・心疾患、脳血管疾患って言っても、Ⅰ型だと急性心筋梗塞、脳卒中以外は「20日以上の入院」が条件。そんなことって実際あるの?(かなり可能性は低い)
もし、ほとんど払われないのであれば、Ⅰ型は実質的には「がん、急性心筋梗塞、脳卒中」が対象でなないろ生命とほぼ同等なのでは?

・なないろ生命でも、肝臓と腎臓の移植手術は「給付の対象」
国内の移植手術の8割は腎臓と肝臓の移植(家族間が多い)なので、ほとんどはカバー出来るのでは?
2019年の全移植手術2680件中、腎臓1,827件、肝臓307件となっており、全体の8割を占める。
 参考:日本移植学会「データで見る臓器移植2019年」

などなど。

肝硬変の「診断だけで払う」、糖尿病の「インスリン180日で払う」というように、なないろ生命より明確に良いところもあるものの、イマイチ分かりにくい。

だがそれでも、敢えてはなさく生命のメリットを挙げるなら、

1 慢性膵炎が対象
2 肝臓、腎臓移植「以外」の移植の時に給付対象
3 心疾患、脳血管疾患も5日以上の入院で給付対象(Ⅱ型の場合)
4 肝硬変、糖尿病の支払い基準が他社より多少緩い

という感じか。

これが「保険料の差」で得られることになる。

筆者自身は、割高の保険料を支払ってまで、上記の保障がカバーされている方が良いのか、正直判断がつかない。

開発者としては「きめ細かい」と思っていても、販売する方からすると「分かりにくい」

保険業界で良くある話だ。

特にはなさく生命の場合、日本生命グループであることから、これらの商品を開発する社員も親会社のニッセイから来ていることが想像出来る。

ニッセイのように自社で大量のセールスレディを抱え、売る商品も「ニッセイのものだけ」であれば、どれだけ商品をこねくり回しても、セールスレディはそれしか売るものがないのだから、それなりに商品を理解しようとする。

だが、はなさく生命のように「主に保険ショップ向けの商品」を卸すような立場だと、あまりに複雑な商品は敬遠されてしまう。

保険ショップでは、はなさく生命など「ワンノブゼム(選択肢の一つ)」でしかないので、イマイチ分かりにくい商品よりは「この病気になったら払います。以上」というようなシンプルなものの方が好まれる。

特に、本商品の守備範囲は「医療保険の一分野」に過ぎず、保険全体(死亡保障とか年金とか)からすれば、「小さな話」である。

営業マンとしては、ここであまり時間を使いたくない。

先で比較したなないろセブンと本商品を並べて出した時、お客さんからは当然

「なんでこちら(はなさく)の方が保険料が高いんですか?」

という質問が来る。

そんな時、

「保障される範囲が広いんです。」

という一言で済めば良いが、

「具体的には?」

などと突っ込まれると地獄である。

今まで長々と説明してきた「心疾患とは?」から始まり、「肝硬変の時はうんぬんかんぬん」、「糖尿病の時はうんぬんかんぬん」なんていう話をしていたら、時間がいくらあっても足りない。

何故この商品は高いのか?

という点について、明確な説明がしずらく、全体的に「独りよがり」な印象の商品である。

弱点2 復活出来ない

はなさく生命の商品全体に言える弱点(デメリット)

同社の医療保険「はなさく医療」の弱点1にて詳細を解説しているので、そちらをご参照頂きたい。

この保険の弱点はここだ!はなさく生命「はなさく医療」 弱点1「復活できない」

この商品の弱点、こう考えろ!!(解決策)

今まで説明してきた通り、保障内容としては「悪くない」

同種の商品をよく研究し、「なるべく払おう」というスタンスは良い。

だが、他社比較をしても、あまりに細かい違いであり、更には「自分の保険をどうするべきか?」という全体像からすると、本商品がカバーしているのは「入院した時の一時金」なので、ほんの一部の話でしかない。

家を建てる時に、どのような建材を使うかパッパと決めていかないといいけないのに、

「お風呂のシャワーヘッド」

について、

「Aはスイッチひとつでマッサージモードに切り替えられます。でもBは更にマッサージモードが強弱の2つあるんです!!でもBの方がちょっとだけお高いんです!!」

そんなプレゼンを聞かされているようで、正直な話「どっちでも良いわ!!」という感じもする。

「ちょっと高いくらいなら、良い方が・・・」と考えるか、「さほど変わらないのであれば安い方が・・」と考えるか、こればかりは性格。

筆者の感想としては、本商品と類似商品に「保険料の差」ほどの差があるとは思えないし、「塵も積もれば山となる」ではないが、死亡保障、学資、年金など、全ての分野でいちいち「高い方」を選んでいては、保険料ばかりが増えてしまう。

そういう意味では「どうでも良い検討課題」を押し付けるだけの商品のような気もする。

「予算に余裕があるなら、入っても良いんじゃない?」という感じ。

付けるべき特約!!(先進医療)

先進医療特約

先進医療の療養を受けたとき、技術料と同額の先進医療給付金が受け取れる。
他の医療保険などで、付けていないのであれば、入っておいた方がベター

参考コラム:先進医療特約は「終身型」を選びなさい!!

付けても良いかも?な特約(抗がん剤)

抗がん剤・ホルモン剤治療特約

抗がん剤やホルモン剤治療を行った場合「月ごと」に給付される(1~10万円まで選択)

基本的には、ガン治療が長期化した場合の、収入減を補うようなイメージの特約。

保険料もそこまで高くない(30歳男性の場合 10万円/月で+630円)ので、予算に余裕があれば付けておいても良い。

実際に、これが給付されるような状況になれば、一時金などより、こちらの給付の方が経済的、精神的にはありがたい。

参考コラム:抗がん剤治療特約は付けるべきか?

付ける必要なし!!な特約!!(払込免除、初回一時金)

保険料払込免除特則

たかだか数千円の保険料が免除されたところで、生活が根本的に変わることもない。

払込免除は「保険に保険をかけるようなもの」だとも思う。

この特約を付けた場合の上乗保険料も結構高いし、筆者としては必要ないと思う。

参考コラム:医療保険の「払込免除」は必要か?

がん一時給付特約

がんの際に、一時金が上乗せされるオプション。

本商品の場合、どのプランを選択しても、がんの場合、一時金が受け取れる。

「上乗せする必要性」はないと思うし、もしこれに予算を割くのであれば、本体の金額を上げた方が良い(50万円→60万円など)

口コミ・評判(販売から)

なし

口コミ・評判(契約者から)

50代 女性さんからの口コミ

最近、親類や友人などにがんになる方が多く、自分も不安に思っておりました。
今の保険にがんの保障を上乗せしたいと思い保険の◯◯で相談をしたところ、この商品を紹介されました。
保障の範囲が広いことと、保険料も手軽なので加入しました。
同時にネオファーストの商品を比較してもらいましいたが、保険料は安いものの、更新する度に保険料が上がる(注:健康状態によっては下がることもある)ので、一定の保険料であるはなさくの方を選びました。また、個人的なことですが、亡くなった叔父がずっと日本生命に勤めていたもので、はなさく生命がニッセイグループであることにも親近感を持ちました。
参考になるか分かりませんが、宜しくお願いいたします。

謝礼Amazonギフトカード300円!! アナタの口コミ教えて下さい!!
保険会社勤務、代理店勤務の方でも、販売現場の情報や、当サイトで指摘していない弱点(デメリット)などには謝礼(amazonカード300円)をお支払い致します。

比較した方が良い商品

同種(7つ、もしくは8つの病気で一時金)が、以下の商品。

なないろ生命 なないろセブン ★★★★☆

ネオファースト生命 ネオdeからだエール ★★★☆☆
注:3年更新型

メディケア生命 メディフィットプラス ★★★☆☆

また、各社の医療保険のオプションとなる「三大疾病一時金特約」も比較対象となる。

下記に三大疾病一時金の支払い条件が良い商品を列記する。

・心疾患、脳血管疾患が対象。範囲が広い

SOMPOひまわり生命 健康をサポートする医療保険 健康のお守り ★★★★☆

三井住友海上あいおい生命 新医療保険 Aプレミア ★★★☆☆

・三大疾病一時金の特約保険料が安い

オリックス生命 新CURE ★★★★☆

このあたりは保険ショップなどで、保障内容、保険料を一覧で貰うと分かりやすい。

編集後記:

約款