提供会社:三井住友海上プライマリー生命
商品名:災害保障型変額終身保険
別名
えらんで、そなえる:三井住友信託銀行
ページコンテンツ
この保険の弱点はここだ!!
参考コラム:変額保険総論
三井住友海上プライマリー生命が販売する一時払いの変額保険。
正式名称は「災害保障型変額終身保険」だが、本商品を販売する三井住友信託銀行では「えんらで、そなえる」という商品名で販売されている。
商品の流れとしては、以下の通り。
1 一時金を預ける(例:1,000万円)
2 14本のファンド(特別勘定)から自分の好きなものを選ぶ
3 コースを選ぶ(基本コース、死亡保障コース、介護・認知症保障コース、生存給付コース)
4 選択したコースによって、以下のような形で保険金や年金を受け取れる。
なお、どのコースでも災害死亡(交通事故など)だけは、預けた一時金と同額が保障されている。
基本コース
死亡時にそれまでの運用結果を反映した金額が戻ってくる。
一時金より増えることもあれば、減ることもある。
死亡保障コース
死亡時にそれまでの運用結果を反映した金額+一時金の10%が上乗せして戻ってくる。
一時金より増えることもあれば、減ることもある。
介護・認知症保障コース
死亡だけでなく「認知症+要介護1」、認知症でない場合「要介護2」でも保険金を受け取れる。
受け取れる金額は前項、死亡保障コースと同額(10%増)
生存給付コース
本コースのみ毛色が違う。
加入直後から、預けたお金が年金として分割で戻ってくる。そのため原資がなくなれば、そこで終了。
運用が上手くいけば、受け取れる期間が長くなるが、運用に失敗すれば受け取れる期間は短くなる。
一時金より増えることもあれば、減ることもある。
以上、商品概要。
では弱点。
弱点1 ファンドの実力が不明
うーん、なかなか評価が難しい。
本商品の開始は2021年9月1日。
コロナショックで全世界同時全面安が発生し、その後、各国が異次元の金融緩和を行ったことで「金あまり」が発生し、日経平均も大きく上がっていた頃で、同月中旬には3万円を超えている。
要は
「もの凄い高値の時にスタートした」
ということ。
変額保険のファンドは、スタート時1ユニット100から開始し、その後、増減していくのだが、こんな高値の時に始めてしまったので、現状、本商品で設定されているファンドはほとんどがマイナスとなっている。
本稿執筆時点(2023年2月6日)では以下の通り。
バランスWF 100.33
バランスSS 77.64
バランスSK 101.66
バランスPM 92.59
国内株式NK 92.82
国内株式ES 97.90
外国株式ES 97.90
外国株式UG 94.78
外国株式DJ 113.56
外国株式GP 107.94
リートJR 90.52
リートGR 108.99
国内債券 94.58
外国債券 96.89
マネー 99.83
2021年9月から、1年5カ月(2023年2月時点)、14本中、100を超えているのは5本のみ。
その5本の中でもバランスWFは100.33、バランスSKは101.66と「ほぼ100と変わらない」ので、実際に「上がっている」と言えるのは、外国株式DJ 113.56、外国株式GP 107.94、リートGR 108.99の3本のみということになる。
まだ1年5カ月。
しかも、最高値から、その後のウクライナ戦争、全世界的なインフレ、各国の利上げなど、まさに「激動」の期間を経ているので、現時点ではなかなか評価が難しい。
但し、全体的に
「なんか小難しいファンドが多いなぁ・・・」
という印象を受ける。
例えば、上記の中でもバランスSSの77.64というのがマイナスの大きさで目を引くが、このファンドは3倍程度のレバレッジをかけて投資をしているようなので、マイナスも3倍に膨らんでしまう。
これなども素人には分かりにくい。
ファンドの大部分は三井住友トラスト・アセットマネジメントが運営を担当している。(14本中11本)
本商品を販売する三井住友信託銀行の兄弟会社であり、うがった見方をすれば、
「親戚筋にあたる三井住友海上プライマリー生命の保険の裏に、三井住友トラスト・アセットのファンドを入れ、兄弟会社の三井住友信託銀行が販売している」
というような流れでもあり、
グループ間でお客さんのお金をゴロゴロ廻してるねぇ・・・・
という感じもしなくもない。
別に悪い事ではないが、資本関係や、人的交流もある兄弟、親戚間でお互いに厳しい注文を付けられるのか?という点は疑問。
弱点2 死亡保障コース、認知症・介護保障コースはやめておいた方が良さそう
本商品の約款上の仕様としては、ベースは「基本コース」であり、そこに「特約(オプション)」を付けることで、死亡保障コースや、認知症・介護コースに変更することが出来る。
そのため、これらのコースを選択すると、別途、特約の保険料を取られる。
詳細はデジタルパンフレット(P63,P64)に記載してあるが、ここでは男性 60歳で契約した場合の保険料を例に挙げる。
死亡保障コースで0.4525%、介護保障コースで0.5607%
これが預けた一時金に対してかかり、毎年、差っ引かれていく。
1,000万円を預けた場合、死亡保障コース45,250円、介護保障コースで56,070円となる。
60歳男性が平均寿命の82歳で死亡したとすると、22年間分、この保険料を負担することになるので、
死亡保障コース 99万5,500円
介護保障コース 123万3,540円
を運用資産から引かれることになる。
これによって得られるものは、死亡時や認知症、介護の時に+100万円(一時金の10%)
わりが合わないので、やめておいた方が良い。
0.45%など、極めて小さいパーセントで話をされると、些細なコストのような気がするが、塵も積もれば山となるということ。
弱点3 生存給付コースは変額のメリットが活きない
4つのコースの中で、やや毛色が違う生存給付コース。
これは主に暦年贈与を意識したプランだろう。
資産家が、将来の相続税を抑えるために、生前から子や孫に贈与をする。
年間110万円以内であれば無税なので「相続対策のイロハのイ」のような手法だが、それを保険でやるというものが本コース。
このコースを選択した場合、毎年、110万円の範囲で子や孫に「年金」という形で贈与を行う。
仮に現金が1,000万円あった場合、現金で贈与をしていれば、110万円×9年=990万円で、9回の贈与が出来ることになる。
しかし、本商品にお金を預けた場合、運用を行ってくれるので、運用が好調で元本が増えれば110万円×10回とか、110万円×12回になる可能性もある。
もちろん、運用が不調であれば110万円×8回で終わってしまうこともある。
これはある種の賭けではあるが、「運用」ということだけにフォーカスすると、効率は悪い。
変額のメリットは複利にある。
増えた分も、元本に加えて長期間運用していくから増えるのだ。
対して、このコースでは預けたそばから、年単位で元本が減っていくので、運用が好調でもどんどん元本が減少してしまう。
もちろん、毎年+10%とか、+15%というようなハイパフォーマンスが出ていれば、元本をほとんど減らさずに贈与が出来るようなこともあるかもしれないが、そんなことが長期間続くことは考えにくい。
逆に運用が失敗して、結局資産を目減りさせてしまう可能性もある。
暦年贈与をするような資産家であれば、変なリスクを取らず「普通に現金」でやった方が良いのでは?という気もする。
この保険の弱点、こう考えろ!!
正直、現時点では何とも言えないが、
・複雑なファンドが多い
・開始以降、荒波の「1年5カ月」だったとしても、現時点でプラスが出ていない
・ファンドの手数料や、特約の保険料も高め
という点から「別にこれじゃなくても良いのでは?」というのが率直な感想。
保険ショップなどで、「これと似たもので、もっとファンドの実績があるもの」と言えば、すぐに2,3は紹介してくれるだろう(ソニー生命とか紹介されそうだが)
ただ、それでもやるのならば、余計なものがついていない「基本コース」が良いだろう。
ファンドはインデクッスファンド(インデクッスファンドが何か分からない方は以下コラム参照)で手数料も安い「外国株式DJ」と「リートGR」あたりに半々で入れておく。
筆者ならそうする。
参考コラム:変額保険の「ファンド」を超解説!!インデックスとは?アクティブとは?
参考コラム:変額保険総論
口コミ(販売側から)
なし
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保険会社勤務、代理店勤務の方でも、販売現場の情報や、当サイトで指摘していない弱点(デメリット)などには謝礼(amazonカード300円)をお支払い致します。
口コミ(契約者から)
なし
比較した方が良い他社商品は?
ソニー生命 バリアブルライフ 変額終身・変額定期 ★★★☆☆
アクサ生命 アクサの「資産形成」の変額保険 ユニット・リンク ★★☆☆☆
プルデンシャル生命 変額保険(終身タイプ/一時払タイプ) ★★☆☆☆
メットライフ生命 ライフインベスト/ライフインベスト プラス ★★☆☆☆
編集後記
注:どうでも良いが三井住友海上プライマリーの商品は、約款が非常に見つけにくい。
現役で販売されている商品の約款はサイトに記載されているが、過去の商品は契約者が知る「約款コード」がないと見れない。
約款コードなどいつ紛失してもおかしくないので、仮にそれがないとなると、簡単に約款が見れないということ。
このあたりもユーザーライクとは言い難い。