提供会社:エヌエヌ生命
格付:S&P A+
商品名:就業不能保障保険
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この保険の弱点はここだ!!
節税一本槍のエヌエヌにしては珍しく「骨太」な商品だと思う。
会社経営者向けの「働けない時の保険」という位置づけ。
ざっと見た印象では、保障内容は「悪くない」が、保険料は「高い」という感じ。
また、経営者の「働けない」という点については、いささか思うところもあり、全体評価としては星2つ。
本商品では就業不能(働けない状態)を、以下のように定義している。
1 入院中
2 在宅療養
医師の指示に従うもの。具体的には在宅療養に伴い診療報酬点数が発生していることが条件。
つまり、医師から「自宅で安静にしていなさい」というレベルでは対象外で、定期的な医師の訪問診療や看護師の訪問看護などが必要。
3 身体障害者手帳1,2,3級
4 障害等級1,2級
5 要介護2以上
6 器質性認知症、かつ見当識障害
参考コラム:認知症の基礎。器質性認知症、見当識障害、MCIとはどんな状況?
7 要介助
歩行について「全介助 or 一部介助」+着替え、入浴、食事、トイレのうち「2つ以上が全部もしくは一部介助」
8 精神疾患特則を付加している場合、精神障害等級1,2級も対象
「働けない」という状態を定義するのは難しいのだが、それでも本商品は、わりと範囲を広めにとっている。
一般的に「働けないよね」と言われるような状態はほぼ網羅しているのではないだろうか?
また給付も、
1 「就業不能 月◯◯万円」
2 「重病が原因の場合の上乗せ(就業不能と同額を上乗せ)」
就業不能の原因が9疾病(以下参照)の場合、就業不能の更に上乗せで同額を毎月給
9疾病(がん、急性心筋梗塞、脳卒中、慢性腎不全、肝硬変、糖尿病、高血圧性疾患、慢性膵炎、良性脳腫瘍、臓器移植、指定難病)
3 「入院/手術の一時金(就業不能の1ヶ月分)」
がん、急性心筋梗塞、脳卒中、慢性腎不全、肝硬変で「入院」、冠動脈・大動脈バイパス手術、弁置換術で「手術」した場合、1ヶ月分を一時金として給付。
という3段階構成となっており、普通の就業不能保険より手厚い。(通常は1の就業不能状態に対して、毎月◯◯万円を支払うだけ。上乗せや一時金はない)
但し、支払対象外の期間として60日間が設定されており、そのため、2ヶ月を超える入院でないと支払われない。
例えば、脳卒中などで入院・手術をして、その後、リハビリなども含め4ヶ月入院したような場合、月額100万円のプランに加入していれば、給付は以下のようになる。
・就業不能 4ヶ月 400万円
・特定疾病上乗せ 4ヶ月 400万円
・入院/手術 一時金 100万円
合計 900万円
法人経営者向けというだけあって、このあたりの内容は豪華である。
冒頭で述べた通り、保障範囲、保障内容は悪くはない。
また、解約返礼金が「ある」タイプと「ない」タイプがあるが、前者は多少でもお金が貯まるが、後者は完全に保障だけを買う掛け捨て。
ただ「お金が貯まる」と言っても、返戻率は最高で60%程度で、しかもそのピークがわりと早い段階(60歳くらい)に来てしまう。正直、
60歳近辺くらいが、一番「就業不能状態」になりやすく、そのあたりこそ保障が必要な時期であるので、この近辺での解約はしずらい。
そういう意味では使い勝手は悪い。
あくまで筆者の感想だが、入るなら「掛け捨て(返戻金なし)」で良いのでは?とも思うが、このあたりは経営者の好みによる。
以上、商品概要。
では弱点(デメリット)の話に入る。
弱点1 そもそも経営者に就業不能保険は必要か?
商品そのものを全否定するようで申し訳ないのだが、筆者は経営者には就業不能保険は必要ないと思っている。
経営者の場合、通常の社員の「給与」とは違い「役員報酬」を受け取っている。
給与が時間の切り売り的な性格なのに対し、役員報酬は結果に対するもの。
つまり、給与は会社が儲かっていようがいまいが、働いた分だけ受け取る権利があるが、役員報酬はそうではない。
普段ボケーとしていても、利益が出ているのであれば、いくらでも取れば良い。
しかし、利益が出ていないのであれば、いくら朝から晩まで働こうが報酬は少なくても仕方がない。
それが経営者だ。
つまり、働けなくなったからと言って、即収入が減るわけではない。
また「お金があれば良いのか?」となると、それは違う。
月50万円とか100万円とか、そのレベルのお金を貰ったところで、どれほどの役に立つのか?
もちろん会社の規模にもよるし、無いよりはあった方が良いのも事実だろうが、それをわざわざ保険で賄う必要性は低いと考える。
一般的に「働けない」という状態、例えば長期の入院などであっても、経営者は指示命令さえ下せれば、会社は動かせる。
つまり、この状態を「働けない」と言えるかどうか。というところ。
実質的な収入が下がらないのであれば、別に保険はなくて良いのではないか?
但し、一口に「働けない」と言ってもレベルがある。
入院していても、頭がクリアであれば、電話、メールなどで仕事は出来る。
そして、半年程度であれば、保険がなくとも事業に影響は少ないだろうから、「なるべく早く復帰する」ことに尽力した方が良い。
しかし、脳梗塞や脳出血で障害が残ったり、もしくは認知症などの場合、いくら経営者と言えども、この状態で仕事を続けていくことは難しいだろう。
こうなれば、後進に道を譲るか、後継者がいないのであれば廃業するしかない。
このようなケースであれば、就業不能保険も役には立つ。
だが、本商品の場合、そのような場面でもやや欠点がある。
弱点2 最長5年しか受け取れない
前述のように「経営者としても働くことが難しい」という状態となり、毎月の給付金を受け取ったとしても、本商品では給付期間は最長5年(60回)となっている。
注:36回(3年)か、60回(5年)から選択する。
対して、他社の就業不能保険では、就業不能の状態が続くなら、60歳とか65歳とか、長期で支払う。
5年もあれば十分、と考えるか、いや、やっぱり長期が良い、と考えるか。
それは人ぞれそれだろうが、筆者としては「どうせ入るなら長いほうが良いのでは?」とも思う。
ただし、他社の就業不能保険は、そもそもネットで入るものであったり、もしくは通常の営業職員から入るものでも「法人では入れない」ようなことも多い。
その点、本商品は「法人で加入出来る就業不能保険」ということに特化しており、貴重と言えば貴重。
弱点3 保険料が高い
実際の加入例を見てみよう。
50歳 男性
基準給付金月額 100万円
精神疾患特則「なし」
解約返戻金「なし」
保険期間:80歳まで
この場合、保険料は150,893円/月
年間181万円、60歳までの10年間で1,810万円、70歳までの20年間で3,620万円を支払う計算。
がんや、脳卒中などの「特定疾病」が原因で、1年ほど就業不能が続ければ2,500万円ほどの給付、2年続ければ4,900万円の給付。
損益分岐点は「1.5年」というところか。
筆者の個人的な見解だが、「1.5年の就業不能」はないわけではないが、やはり稀かな、とも思う。
そういう意味では、「払い損」になる可能性も高い。
同種の商品(法人経営者向けの就業不能保険)がないので、イマイチ比較は出来ないのだが、感覚的には「ちょっと高いよね」という感じ。
弱点4 エヌエヌ生命という会社
以下参照
この弱点、こう考えろ!!(解決策)
商品自体は悪いものではない。
保障内容、保証範囲も広く、また給付条件も良いので、いざ就業不能状態になったら、かなり助かるとは思う。
ただ、その分保険料は高く、それを負担してまで、本当にこれが経営者に必要なのか?という点については疑問。
保険料も高いので、これに入るのであれば、この分を貯蓄性のある保険などに入れておいて、
・いざ就業不能状態になったら、それを解約して解約返戻金を受け取る
・ならなければ勇退時に退職金として受け取る
という方が良いのでは?などとも思う。
なお、一部の代理店で、本商品を「従業員向けの福利厚生」として販売しているケースがあるようだが、本商品は従業員向けとしてはオーバースペック。
ここまで給付が盛り沢山である理由はないだろう。
従業員向けであれば、損害保険会社などが提供しているGLTD(団体長期障害所得補償保険)などの方が保険料も安く手頃かと思う。
法人と言っても、個人事業主レベルの会社などの社長が「自分の金で入るより、会社の経費で入りたい」というような場合には良いかもしれない。
口コミ・評判(販売側から)
・なし
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口コミ・評判(契約者から)
・なし
比較した方が良い商品
法人では加入出来ないが、経営者が個人負担で入るなら、以下の商品がオススメ
以下、商品であれば法人でも加入が可能
三井住友海上あいおい生命 新総合収入保障(Ⅴ型:くらしの応援ほけん) ★★☆☆☆
編集後記