提供会社:T&Dフィナンシャル
商品名:R246+
この保険の弱点はここだ!!
何と言うか、ある意味では斬新な商品だ。
本商品はT&Dフィナンシャル生命が出してはいるが、実質的には「りそな銀行」のためにお膳立てしたようなもの。
そのため、原則的にはりそな系列の銀行でしか、この商品は販売されていない。
一時払の変額保険というもので、契約者はお金を預け、保険会社はそれを運用する。
運用は「安定型」、「安定成長型」、「成長型」という3つのファンドから選択し、運用結果については自己責任となっている。
増えることもあれば、減ることもある。
商品としては、T&Dのハイブリットアセットライフという商品と「ほぼ同じ」なので詳細については、以下を参照して欲しい。
T&Dフィナンシャル生命 ハイブリットあんしんライフ/アセットライフ ★☆☆☆☆
違いは「ファンド」
先のハイブリッドアセットライフで使用されているファンドは、日興アセットマネジメントや、東京海上アセットマネジメントなどの大手運用会社が運用しているファンドを利用しているが、本商品ではりそな銀行が提供しているR246という投資信託を使っている。
R246はりそなが提供している投資信託で、R246+はりそなとT&Dが組んで提供している生命保険という位置づけ。
冒頭、「斬新」と述べたのはこの点で、まさか投資信託の名前とリンクさせるとは、なかなか肝が据わっている。
実は銀行の窓口で販売されている一時払の変額保険には、「裏」がある場合が多い。
例えばA銀行が、B生命という会社が出す「X」という一時払いの保険商品を顧客に勧める。
顧客は商品XはB生命のものだと認識していて、事実そうなのだが、その裏側には再びA銀行が登場する。
資金の運用先がA銀行の系列の運用会社なのである。
A銀行としては、自行に貯金をしてくれているので、誰がどの程度のお金を持っているか知っている。
しかし、預金を預かっているだけでは何の利益も生まない。
そのため、「資産運用をしませんか?」と勧誘をするのだが、いきなり自行の系列会社が販売している投資信託を提案しても、あまり受けが良くない。
受けが良くないというよりは、「何だか良く分からないから・・・」というような理由で断られてしまう。
そこで「保険」を提案する。
主に高齢者を狙い、
「預金であれば相続税がかかってしまうが、保険金なら非課税です!!」
などと説明をして、勧誘するのである。
高齢者にとっては、投資信託よりは保険の方が馴染みがあるし、相続税が安くなる、などと言われればそれなりに話を聞いてくれる。
そして、B生命のXが出てくる。
A銀行は「あくまで紹介するだけ」というスタンスなので、何となく公平に見える。
しかし、実際にその商品にお金を預けると、B生命を通して、A銀行系列の運用会社にお金が移動し、投資信託(ファンド)に組み込まれる仕組み。
A銀行からすれば、まず保険を販売することで販売手数料を得て、次に系列の運用会社が、ファンドの運用関係費用として毎年数%(0.3%~0.8%程度)の報酬を得る。
ほぼゼロとは言え、預金の場合、金利を付けなければいけないのに対し、それを保険化させ、さらのそれを投資信託化させることで、銀行は何度も美味しい思いが出来るのである。
このようなスキームは、数年前から金融庁が「契約者保護」の観点から問題視していて、そのため、どこの銀行も「裏側の運用が自行系列と分からないように」上手くごまかしながらやっているものが多い。
だが、本商品はその点、大きく開き直っている。
自行にR246という投資信託があることを大々的に謳い、R246+がそれを使った保険である。と正々堂々と言っている。
(パンフレット等でも「投資信託R246と生命保険R246+の違い」など、投資信託と保険がリンクしていることを説明)
この点、潔くて良い
こそこそやるより、「裏のファンドはうちの商品ですが何か?」という感じで、ここまで真正面から言われると、
「まあ、別にそれならそれで良いか・・・」
と思ってしまうから不思議だ。
他の銀行が、保険会社(実際には裏で手を組んでいる)の裏でコソコソしているのに比べれば、幾分が小気味いい。
以上商品概要。
では弱点。
弱点1 ファンドが弱い
ファンドがなぁ・・・ダメだね。
本商品のファンドの価値(ユニット単価と言う)は以下の通り。2022年10月8日時点
安定型 92.29
安定成長型 98.08
成長型 104.52
ユニットはスタート時100から始まるのだが、現状、安定型、安定成長型は100を割り、成長型だけがかろうじて104と多少プラスになっている。
結局のところ、裏にどんな思惑があろうが、運用しているのが誰であろうが、契約者からすれば「金が増えれば文句はない」わけで、その点、結果がマイナスでは話にならない。
パンフレットには、安定型の目標リターンが年2%、安定成長型が4%、成長型が6%と大書されているが、結果を見ると
はあ?
としか言いようがない。
本稿を書いている2022年10月時点では、アメリカの利上げや景気先行きの不透明感により、株は乱高下しているし、債券価格も軒並み「下げて」いるので、運用環境が厳しいのは分かる。
だが、「大暴落」までには至っておらず、その段階で3つのファンドのうち2つがマイナスというのは、あまり褒められた話ではない。
弱点2 パンフレットが胡散臭い
いちゃもんを付けるようで申し訳ないが、パンフレットがかなり大袈裟というか、全て仮想、シミュレーションの話ばかり。
一応、「上記の数字は確定しているものではありません」というような注意書きはあるものの
15年間ファンドを保有した場合
というような「タラレバ」の数字が並び過ぎている印象。
このようなシミュレーションは、ファンドを構成している資産を「15年前に買っていたとしたら」という想定の元、計算をしているのだが、こんなもん
20年前にマイクロソフトの株を100万円買っていたら今頃・・・・
という程度の話であって、何のあてにもならない。
一流の銀行が出す資料にしても、随分と胡散臭く感じてしまう。
自行のR246という投資信託を使ってます!!と大々的に言う潔さと、このあたりの資料の怪しさが何ともアンバランス。
前項でも述べた通り、結果はユニット単価が表しているので、あまりパンフレットに影響されない方が良いだろう。
この保険の弱点、こう考えろ!!(解決策)
りそな銀行と何かしらの関係があり、入ってあげたい、もしくは入らないといけない、という方であれば「別に良いんじゃない?」という感じ。
参考コラム:「お付き合い保険」の断り方と「お付き合い保険」に入るメリット
検討した方がいい他社商品
ソニー生命 バリアブルライフ 変額終身・変額定期 ★★★☆☆
アクサ生命 アクサの「資産形成」の変額保険 ユニット・リンク ★★☆☆☆
プルデンシャル生命 変額保険(終身タイプ/一時払タイプ) ★★☆☆☆
メットライフ生命 ライフインベスト/ライフインベスト プラス ★★☆☆☆
編集後記