この保険の弱点はここだ!太陽生命「My介護Best(銀行窓販タイプ)」

提供会社:太陽生命

商品名:My介護Best(銀行窓販タイプ)

この保険の弱点はここだ!!

参考コラム:
介護保険の基礎を学びたい方は、まず

『民間の介護保険は必要か?「介護保険の考え方」』
『介護付き終身保険のメリット・デメリット』
をご覧いただきたい。

それでは、この商品の弱点について解説をしていこう。

本商品は各金融機関(基本的に銀行)と太陽生命が提携して販売している商品で、いわゆる

銀行窓販商品

と呼ばれるもの。

商品の開発者、提供者 → 太陽生命
販売する者 → 各金融機関

と、役割分担されている。

銀行は販売に応じて、販売手数料を得るので、太陽生命の代理店とでも思っておけば良いだろう。

ベースとなっているのは、太陽生命のMy介護Bestというもので、商品名が同じ。

余談ながら、通常、銀行窓販の商品というのは、細かく商品名を変えることが多い。

A生命という会社のXという商品をベースに開発した商品であれば、

B銀行 Xアルファプラス
C銀行 グローイングX
D銀行 お楽しみX

などなど、名称を変え、A生命で販売しているものと、銀行で販売しているものは「別のもの」という印象を付けるのだが、本商品の場合は、太陽生命側での商品名も、銀行側での商品名も

My介護Best

で統一されている。

珍しいと言えば珍しい。

さて、太陽生命側で提供しているMy介護Bestについては、以下で解説しているが、

太陽生命「My介護Best(一時払)」は、コチラ

・自分のお金を自分で受け取っているだけ

・預けてもほとんど増えず、運用としては意味がない

・介護状態になった時も「少しずつ(年金)」でしか受け取れず、手元に置いておいておいた方が良い

という点を指摘している。

太陽生命側のMy介護Bestと、銀行窓販のMy介護Best、この両者の違いは「払い方」にある。

太陽生命の方では「一時払い(保険料を一度にまとめて支払う)」という方法しか選べないが、銀行窓販の場合、「月々支払う」という方法になる。

太陽生命のMy介護Best → 一時払のみ
銀行窓販のMy介護Best → 月払、年払のみ(但し、全期前納は可。詳細は後述)

しかしながら、基本的な商品の構造は変わらず、弱点も同じ。

基本的には自分のお金を受け取っているだけで、しかもほとんど増えないので、わざわざ預ける意味はない。

では、具体的に弱点を探っていこう。




弱点1 この保険に入る「意味」がない

ここでは、パンフレットに記載されている55歳 男性を例に説明する。

55歳 男性 介護年金 18万円のケース

保険料は29,607円/月、これを65歳までの10年間支払う。

総支払保険料は355万2,840円

考えられるシナリオは3つ。

1 将来、解約する(運用目的)

2 介護に該当し、年金を受け取る

3 介護を経ずに死亡する(死亡保険金)

まず1、55歳から65歳まで10年間で355万2,840円を支払い、55歳の15年後(70歳)の返戻金は358万2,900円。

返戻率は100.8%。

15年かけて、わずか0.8%、約3万円しか増えていない。

運用商品としては魅力はない。

次に2。介護になった時。

なお、本商品では「介護状態」を以下の2つで定義している。

・要介護2(国の公的機関の認定)

・太陽生命独自の基準

「歩行」「衣服の着脱」「入浴」「食事」「排泄」
注:上記5項目のうち、2項目以上が「全部介助」もしくは「部分介助」となること。

このいずれかに該当すれば、介護年金の支給対象となる。

要介護2以上は他社の介護商品でも同じ条件が挙げられていることが多いし、太陽生命の独自基準も他社と同等レベル。

「まあ、こんなものかな」

という印象で、介護保険としては一般的なレベル。

他社より緩い(受け取りやすい)ということもないし、他社より厳しい(なかなか受け取れない)ということもない。

この介護状態になった時に年金が支給されるが、そのルールは以下の3つ。

・初年度だけ1.3倍
・年金は「最低」でも20年(20回)は支払う。(例え途中で死亡しても)
・20年を超えて生存していた場合は終身で給付する

今回のケースでは年金額は18万円なので、初年度は23万4,000円が給付され、以後、18万円を受け取れる。

この年金は介護が続いても、途中で死亡しても20年間は続くので、確実に365万4,000円(初年度+18万円×19年分)は受け取れる。

総支払355万2,840円に対して、365万4,000円(102.8%)

介護状態になっても、10万円程度しか増えない。

もちろん3の「20年を超えて介護状態」ということもあり得る。

この場合、長生きすればするだけ介護年金が受け取れるのだから、給付金額が支払った総額を大きく超えることも考えられるが、一般論として介護状態が20年も続くことは稀。

というか、ほとんどないだろう。

通常は「あれ?お父さん(もしくはお母さん)最近おかしくなってきたね。」という状態が要支援1とか2で、そこから要介護1を経て、要介護2となる。

つまり、年金が開始される要介護2は「まあまあ、症状が進んでいる状態」と言える。

そこから「20年」である。

統計データを見ても介護が「10年超」というのは全体の10%前後で、多くは10年以内に亡くなっている。

介護が「20年以上」という方が何%いるのか分からないが、実際のところ1%もいないのではないか?

つまり、要介護2から20年以上も介護年金を受け取れる可能性は極めて低い。

最後に介護を経ずに死亡した場合。

これはシンプルで、年金の20年分。

18万円 × 20年 =360万円

ということになる。

話を整理する。

本商品では総支払保険料 355万2,840円に対し、

・解約 358万2,900円(100.8%)
・介護 365万4,000円(102.8%)
・死亡 360万円(101.3%)

という3パターンの結末が予想される。

増加額としては、どれも微々たるもので、「保険」としての意味はない。

唯一、保険機能が大きく発揮されるのは、前述の通り「介護20年超(しかも要介護2から)」ということだが、そんなことは誰も望んでいないだろう・・・

 

参考コラム:
介護保険の基礎を学びたい方は、まず

『民間の介護保険は必要か?「介護保険の考え方」』
『介護付き終身保険のメリット・デメリット』
をご覧いただきたい。

他社の介護保険の☆評価一覧は、コチラ




弱点2 お金に「鍵」をかけてしまう

本商品は一応は「介護のため」の保険だが、仮にそのような状態になった時、自分のお金なのに年金形式で少しずつしかお金を受け取れない。

これは自分の資産に「鍵」をかけてしまったようなもの。

介護とは不測の事態であり、いつ、どんなタイミングでお金が必要になるか分からない。

前述の通り、運用としてもほとんど魅力はないので、本当に介護のことを考えるのなら手元にお金を置いておいた方が良い。

なお、本商品でも介護状態になった時に、「残額分を一時金として受け取る」ということが選べる。

例えば介護年金を受取り始めて3年目、残り17年分をまとめて支払って欲しいと思えば、そのようなことも出来る。

しかし、その場合、「年金原資分を支払う」とあるので、通常の年金を受け取るよりは目減りする。

どの程度減るかは説明されていないが、筆者の経験上、3~4%程度減る。

自分のお金なのに一時金にすると減らされてしまうというのはデメリットだろう。




弱点3 全期前納が本丸。が、これも?????

この商品には「全期前納」というものがある。

全期前納とは、

全ての期間の保険料を事前に納める

というもので、要は保険料をいっぺんに支払ってしまうもの。

イメージとしては一時払に近い。(正確には違うのだが、ここでは詳細は説明しない)

毎月保険料を支払うより、まとめて保険料を集めることが出来るので保険会社としては効率が良い。

その分、保険料が割り引かれ、返戻率も上がる。

銀行の窓口では、

「預金しておいても仕方ないので、この商品に入れてはいかがでしょうか?多少は増えますし、介護の時にも安心です。」

などとセールスされているのだろう。

ここでは60歳 男性 介護年金30万円のケースを見てみよう。

一度に支払う保険料は586万4,190円。

これが、各ケースで以下のようになる。

 解約 → 20年後(80歳)の時に598万5,900円(102.0%)

 介護 → 20年分の年金で609万円(103.9%)
      注:初年度のみ1.3倍:39万円

 死亡 → 600万円(102.3%)
      注:20年分の年金。初年度上乗せなし

毎月保険料を支払うよりは、全体的に1%程度返戻率が上がっている。

とは言え、所詮は2~3%程度増えるだけ。

全期前納にしたからと言って、魅力的になった、とまでは言い難い。

弱点2で挙げたように、資産に「鍵」をかけてしまうことにもなるので、筆者としてはあまりお勧めしない。

利回りは低くとも、個人向け国債(年利0.05%)にでも入れておいて、手元に置いておいた方が良いのではないか?

なお、この手の商品のセールストークとして、生命保険金控除枠というものがある。

これは、遺族が保険金を受け取った時に、

500万円 × 法定相続人

までは非課税になる。というもの。

例えば、お父さんが亡くなり、妻と二人の子供が遺されたとしよう。

この場合、500万円×3人分=1,500万円までは、「保険金」であれば非課税となる。

銀行の窓口ではこのことを指摘し、

「預金だと相続税がかかる。保険にしておけば税金がかからない」

と説明することが多い。

そのためのツールとして、本商品のようなものが使われる。

純粋に保険としての機能を期待しているわけではないが、「保険」にしておけば税金がかからないから良いか。というもの。

ついでに介護の時にも役立つ。ということが動機付けにもなる。

これはこれで正しい。

確かに保険にしておくことは、税金面ではメリットが大きい。

その場合だけに限り、この商品を使うことは悪くはないと思う。

比較した方が良い商品

朝日生命 あんしん介護 ★★☆☆☆

ジブラルタ生命 米国ドル建介護保障付終身保険(低解約返戻金型) ★★★☆☆

SOMPOひまわり生命 認知症保険 笑顔をまもる認知症保険 ★★★☆☆

明治安田生命 認知症ケアMCIプラス ★★☆☆☆

 

参考コラム:
介護保険の基礎を学びたい方は、まず

『民間の介護保険は必要か?「介護保険の考え方」』
『介護付き終身保険のメリット・デメリット』
をご覧いただきたい。

他社の介護保険の☆評価一覧は、コチラ