提供会社:SBI損害保険
商品名:がん保険(自由診療タイプ)
商品の詳細に入る前に「そもそもがん保険って何?」という方はコチラを
また、各社のがん保険を比較したい方には、当ブログでまとめた以下の資料が便利なので、是非ご参照頂きたい。
この保険の弱点はここだ!!
この商品「是非、解説して欲しい」という要望を以前から頂いていたが、正直、あまり気乗りしていなかった。
本商品は「がんになった際の実費を全額支払う」というもので、同種の商品にはセコム損保のメディコムがある。
ちなみに、セコム損保がメディコムを販売を開始したのは2001年10月で、SBI損保が本商品を販売し始めたのは2012年8月であるので、いわゆる「後追い商品」である。
セコム損保の「自由診療保険 メディコム」を丸パクリした商品と言える。
そのため保険料は10~20%程度安い。
だが、「ある一点」において、この2つの商品は全然別物とも言える。
実態としては「似て非なるもの」、それは後述する。
まずは、多くの人が魅力を感じるであろう「保険料」を比較してみよう。
女性の保険料は大差はないが、男性の方では結構違うことが分かる。
なお、セコム損保のメディコムは「がん診断一時金100万円」が標準的に含まれている。
治療費の実費全額を補償しつつ、更にがんと診断されただけで100万円を受け取れるのだが、SBI損保の方ではこの「一時金」を、外すことも出来る。
つまり、がんになった時に「実費のみ」という形も選べる。
当然、一時金がないので、その分保険料は安くなる。
以下は、「一時金なし」の保険料の比較も含めたもの。
「一時金なし」の場合は、「一時金あり」に比べると、かなり保険料が安いことが分かる。
特に高齢になってからは、保険料の差は激しい。
それくらい「がんになったら一時金100万円」は、保険会社にとって「怖い(リスクが高い)」ものだと言うことは分かる。
さて、この商品の「本家」はセコム損保のメディコムであることは先に述べたが、当サイトではメディコムには実質的な最高評価である4つ星をつけている。
しかし、本商品は2つ星。
「オリジナリティのかけらもない丸パクリ商品が嫌い」という筆者の個人的な思いも多少はあるが、本商品を肝心なところで本家を「パクれていない」
その点で大きくマイナスだし、実際保険料が安い理由もそれが大きい。
では、それを解説していこう。
弱点1 高額療養費分は相殺される
もうこれは最大の弱点だろう。
ちなみに本家のセコム損保「メディコム」は相殺しない。
Q&Aにもその旨が記載されている。
Q.公的医療保険制度から高額療養費や附加給付を受け取れる場合、SBI損保のがん保険から支払われる保険金はどうなりますか?
A.高額療養費や附加給付から支払われる金額は、この公的医療保険制度にて保障されるべき金額に該当するため、重複して支払われません。
Q.健康保険等(公的医療保険)から高額療養費や付加給付が支払われる場合は、メディコムワンの保険金はその部分も重複して支払われますか?
A.「ガン外来保険金」「ガン入院保険金」は、高額療養費や付加給付等の有無には関係なく、通常3割の一部負担金相当額をお支払いします。
これが「肝心なところをパクれていない」というところ。
では、高額寮費費と相殺する、ことと、しない、ことが何が違うのか?という点について説明したい。
まずは、高額療養費から。
ご存知の方も多いと思うが、公的医療保険制度には高額寮費費制度というものがある。
簡単に言えば、
「ある一定以上の治療費がかかった時には(高額療養)、『一定を超えた分』は後で返してあげますよ」
というもの。
なお、この「一定」とは、その人の収入で変わる。
本稿は高額療養費制度について詳しく述べるものではないので、ここでは割愛するが(気になる人は「高額療養費制度」で検索して欲しい)、一般的な収入(月給28~50万円程度)の場合
801,00円+(総医療費-267,000円)×1%
という計算式で求められる。
例えば、医療費が100万円かかったとしよう。
この場合、病院の窓口では3割負担となるので、100万円の3割、30万円を支払うことになる。
しかし、ここで高額療養費制度の出番となる。
先の計算式に当てはめると、「一定の金額(自己負担の上限)」は
801,00円+(1,000,000円-267,000円)×1%=87,430円
となる。
この場合、窓口で30万円を支払っていても、87,430円を超えた分の212,570円は戻ってくるので、要は自己負担は87,430円で済むということ。
注:病院の食事代やクリーニング代、差額ベット代などは高額療養費の「対象外」なので、実際には自己負担が87,430円で済むわけではないが、ここでは話を単純にするためのこのように記載している。
これが高額療養制度。
なお、この治療の計算は「月ごと」で締めるので、高額療養費制度は毎月使える。
話を本筋に戻すと、SBI損保のがん保険は、この高額療養費制度適用後のお金(87,430円)を支払うのに対し、セコム損保のメディコムは窓口で支払った金額(30万円)を支払う。
注:誠にややこしいが、セコム損保の方でも(もちろんSBI損保も)差額ベット代は対象外なので、仮に差額ベッド代も入れて30万円であった場合には、その差額ベット代を引いた金額となる。
がんで入院したら、ほぼ100%、この高額療養費制度の対象となる。
その時に、高額療養費制度「前」の総治療費の3割を支払ってくれるセコム損保のメディコムと、高額療養費制度「後」の8万数千円のSBI損保のがん保険。
補償内容としては「全然違う」ものである。
なお、高額療養費制度だけでなく、自分が加入している健康保険組合などから、独自に支給される「付加給付(お見舞金など)」においても、セコム損保は「相殺しない」、SBI損保は「相殺する」となっている。
前述の高額療養費制度で自己負担が8万円数千円、更に健康保険組合からお見舞金5万円を受け取ったら、保険からは3万円ちょっとしか受け取れることになる。
筆者の感覚では
この補償内容だとほとんど払わないで済むんじゃねーの?SBI損保・・・
という印象。まあ、これなら保険料は安くなるだろう。(もっと安くても良いくらい)
それなのに、サイトやパンフレットでは「セコム損保のメディコムとほぼ同じような感じ」にしているところに、何やら胡散臭さを感じてしまう。
あれを読むと、普通の人なら「ああ、メディコムの後追い商品で、だから保険料が安いんだな」と勘違いしてしまう。
もちろん、先進医療や一部の自由診療など「保険適用外」の治療では実費を支払ってくれるので、全く無駄な商品というわけではないし「実費負担全額補償」自体、嘘ではない。
だが、先進医療、自由診療など「めったに受けるものではない」し、あくまでがん治療の「正統」は保険適用されているものである。
その時に、「本当に実費(数万円)かよ!!(SBI損保)」となるか、「高額療養費制度も使えて、3割分も受け取れて(セコム損保)」となるか、これは天と地ほどの違いがある。
よって2つ星。
弱点2 メディコムと同じ弱点
メディコムのパクリ商品なので、弱点も本家と同じ。
同じことを書くのも無駄なので、詳細はメディコムの解説ページを参照のこと。
この保険の弱点はここだ!セコム損保「自由診療保険 メディコム」
弱点3 がん診断一時金の給付ルールが厳しい
がん診断一時金では、初回は「がんです」と診断されただけで一時金を受け取れるが、2回目以降の給付ルールが結構厳しい。
まずはパンフレットの文面だけを見てみよう。(2回目の場合)
「原発がんを治療したことにより治癒または寛解状態となり、その後、初めてがんが再発したと診断確定された場合」
「原発がんがほかの臓器に転移したと診断確定された場合」
「原発がんとは関係なく、がんが新たに発生したと診断確定された場合」
要は、1回目のがんが転移した場合か、1回目のがんは完全に治った(治癒 or 寛解)が、別のがんになった場合ということで、一般的な「がんの再発(乳がんになって、一部を切除したが、他の場所で再発など)」はダメということ。
しかも、1回目のがんから2年以上経過していないといけない。
他社のがん診断一時金では、このような細かいルールはなく「1回目から1年以上経過していれば払う(再発でも転移でも新たながんでも)」というところが多いので、それに比べると「随分やかましいな」という感じ。
口コミ
40代 男性 既婚/子供ありさんからの口コミ
元々はセコム損保のメディコムを検討していたが、保険料の安さに惹かれてSBI損保のものにした。しかし、今後、保険料も上がっていくので、このままで良いか?という点については思案中。
高額療養費制度で受け取った分が相殺されることは知っていたが、正直、加入時にはそこまで深く考えておらず「赤字にならないければ良いな」という程度だった。
しかし、最近、身近にもがんになる方が出てきて、話を聞くと、治療費以外にも色々お金がかかるようだ。
その点からも通常のがん保険に切り替えた方が良いのでは?とも思っている。