提供会社:アクサ生命
商品名:アクサの外貨建ての変額終身 アップサイドプラス
本商品は、2020年2月1日で販売停止中
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この保険の弱点はここだ!!
参考コラム:
ドル建商品の検討ってどうすればいいか?悩んだら
『ドル建商品の比較検討はこうすれば良い!!』
をご覧ください。
アクサ生命が販売元ではあるが、ほとんどの場合、銀行の窓口販売で見かけることが多い。
取り扱い銀行は、以下の通り。
東邦銀行、高崎信用金庫、新生銀行、富山第一銀行、富山銀行、北伊勢上野信用金庫、但馬銀行、
但馬信用金庫、鳥取銀行、鳥取信用金庫、もみじ銀行、山口銀行、北九州銀行、佐賀共栄銀行、
長崎銀行、大分銀行、宮崎銀行
要はアクサ生命は「メーカー」で、その販売を代行しているのが、各銀行の窓口という構成。
専門的には
「一時払型」
「外貨建」
「変額」
という3つの特徴を持つ商品で、貯蓄+資産運用を目的としている。
一言で言えば、
複雑
ということに尽きる。
この項で筆者が
「なるべく分かりやすいように」
説明するが、これを読んでチンプンカンプンなら、はっきり言って契約しない方が良い。
では説明を続ける。
まず、お金を預けるところからスタート。
ここでは例として1,000万円としよう。
それをドルか、豪ドルに換える。
なお、2019年8月現在、豪ドルの受付は停止しているので、現時点ではドルの一択しかない。
1ドル=110円だとすると、1,000万円は90,909ドルになる。
まず、この90,909ドルの8.5%は契約時の初期費用として、金融機関に取られてしまう。
1,000万円の8.5%なので、85万円(7727ドル相当)がまず無くなる。
次に残ったドルを「定額部分」と「変額部分」に分ける。
ものすごくざっくり言えば、以下のようになる。
1 定額部分 → 決まった利率で運用
2 変額部分 → 結果は運用次第
1の定額部分は、為替リスクはあるものの、20年間で100% or 110%の元本が保証されている。
「100%」か「110%」かは自分で選択する。
注:パンフレット上は110%も選択できるが、2019年8月現在では受け付けておらず、100%しか選べない様子。
この元本保証というは、何とも変な言い方なのだが、先に述べたように「8.5%」の初期手数料が取られているので、この商品はスタートした段階から、
元本が91.5%(100%-8.5%)
になってしまっている。
これが100%に戻すことを、元本保証と言っているだけに過ぎない。
なお、2019年8月現在、100%を指定した場合、90,909ドルは以下のように分けられる。
初期手数料 90,909ドルの8.5%→ 約7727ドル
定額部分 90,909ドルの86.4% → 約78,545ドル
変額部分 90,909ドルの5.1% → 約4,636ドル
この割合は契約時にアクサ生命側が決めていて、契約者側が選択することはできない。
定額部分の78,545ドルに関しては、始め5年が0.32%、次の15年が0.87%の利率で運用されることが「決まっている」
この5年+15年の合計20年で、78,545ドルは元々の元本である90,909ドルに戻る。
セールストーク的には、
「20年間お待ちいただければ、「必ず」元本が戻ります。(あくまでドルベースですが)」
ということになるが、言ってみれば自分たちが取った初期費用の8.5%+変額で運用する5.1%で「減った部分」を戻すために20年間かかるだけとも言える。
さて、一方変額部分の5.1%。約4,636ドルだが、これは主に海外株式や海外債券などで運用される。
いわば投資信託(ファンド)のようなもので、過去の運用結果を見てみたが、可もなく不可もなくと言ったところ。
この4,5年の株高を見れば
「もうちょっと利益が上がっていても良いのでは?」
とも思うが、資産の運用先を見ると、43%が米国債と米国以外の債券になっているので、わりと手堅い運用をしているのだろう。
そのため株高の波に完全には乗れず、中途半端な結果となっているのかもしれない。
とは言え、減っているわけではない。
2015年のこの商品のスタート時に契約していれば、変額部分だけは「100→130」くらいになっているので、悪くはない。
元本は定額部分が回復してくれるので、この変額部分が「お楽しみ部分」として利益を稼いでくれることになる。
また、これらの運用自体はアクサ生命ではなく、さらにそこから移管された「アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー」という投資会社が行っている。
ここまでの話を整理しよう。
まず、8.5%の初期費用が取られて、元本が目減りする。
次に「定額(86.4%)」と「変額(5.1%)」に分けられて、定額だけで20年かけて元本を回復する。
変額部分が「オマケ」として利益になる。
その結果は「悪くはない」
どうだろう?
ここまでで、????が並ぶようなら、契約しない方が良い。
商品に知識が追い付いていないので、ただのギャンブルになってしまう。
逆に「フムフムなるほど」と理解出来るなら、その方も契約しない方が良い。
そこまで知識があるなら、他にも良い選択肢はいくらでもある。
少々前置きが長くなったが、具体的な弱点を解説していこう。
参考コラム:
ドル建商品の検討ってどうすればいいか?悩んだら
『ドル建商品の比較検討はこうすれば良い!!』
をご覧ください。
各社の外貨建終身保険の☆評価一覧は、コチラ
各社のドル建一時払終身保険の☆評価一覧は、コチラ
弱点1 初期費用が高すぎる
8.5%はずいぶん高い。
保険商品だけに限れば、このくらいは「相場」とも言えるが、実際のところ本商品は
米国債 + 海外ファンド
の組み合わせでしかない。
どちらも証券会社で買うような商品だが、証券会社であれば8.5%という高い手数料はあり得ない。
スタート時に91.5%になってしまう。
ということはちゃんと認識した方が良い。
弱点2 定額部分の利率が低すぎる
定額部分は主に米国債で運用されるが、それにしては利率が
当初5年 0.32%
次の15年 0.87%
とかなり低い。他社でも1.5%程度で販売してところが多いので、この点でも魅力がない。
弱点3 やたらと手数料・・・・
初期費用の8.5%だけでなく、
・変額の運用部分に最大年0.9%の運用手数料
・貯まったお金を年金方式で受け取る時に年金額に対して1%
・解約した時の市場価格調整(解約時に手数料が「かかることもある。」というもの)
やたらと手数料が多い。
これらの手数料は別に本商品だけで限ったことではないが、ここまでの手数料を負担してまで入った方が良い商品とは思えない。
これは同種の商品全般に言えることだが・・・・・
弱点4 変額は「高値掴み」とになる可能性大
変額は基本的に株式市場の影響を濃厚に受ける。
今の株の状況が「高い」のか、「安い」のか。それは人それぞれ感想が異なるが、筆者自身は「高い」と思っている。
今投資するのは「高値掴み」になる可能性もあり、個人的にはあまりお勧めできない。
弱点5 保険である必然性がない
本商品は「保険か?」と聞かれると、なかなか微妙である。
保険ならではということで言えば、一応死亡保障があるにはあるが、実質的には「貯まっているお金」が戻ってくるだけ。
あとは「目標値」を設定して、自動的に円建ての終身保険に移行してくれる「機能」があることくらい。
この「機能」は、例えば以下のような指定をしておくことで「発動」する。
契約時に、このように指示を出す。
この1,000万円が110%、つまり1,100万円の「価値」になったら、その時点で利益を確定して欲しい。
こんなニーズを満たしてくれる。
先の例でも説明した通り、この商品は初期費用を取られて、元本が91.5%からスタートするが、以下の2つの理由で資産価値が「瞬間的」に急上昇する可能性がある。
1 変額部分の運用成績が跳ね上がる
2 円安が進む 110円で買ったドルが130円などに上がる
この2つのどちらか、もしくは両方が発生した場合、
「今、円に換えれば1,100万円になる」
というタイミングがあるかもしれない。
そんな時「自動的に」円建ての終身保険に換えるてくれる。
芸が細かい機能で、長年の低金利に苦しんできた高齢者はこういうものが好きだ。
要は大儲けしなくても、100万円も儲かれば御の字。という発想。
このような「細かい機能」は、保険会社が得意なことの一つで、やや「保険らしい」とは思う。
しかし、商品構成としては弱点1で挙げたように米国債+投資信託でしかないので、この機能だけを使うために、低利率+高手数料を承知してまでこの商品を選ぶ必然性はないのでは?と思う。
参考コラム:
ドル建商品の検討ってどうすればいいか?悩んだら
『ドル建商品の比較検討はこうすれば良い!!』
をご覧ください。
各社の外貨建終身保険の☆評価一覧は、コチラ
各社のドル建一時払終身保険の☆評価一覧は、コチラ
比較した方が良い他社商品
どうしても保険が良い。
というような奇特な人でないなら、
米国債購入 + 海外投資信託
をお勧めする。
この商品は「元本保証」とは言いながら、為替リスクは自分で負っている。
また変額部分に関しても当然ながら全リスクを負う。
であるなら、自分で米国債と投資信託を買った方が良い。
証券会社(支店のあるような大手)に行って、
「既発(過去に発行されたという意味)米国債をください」
と言えば、利回り1.5%~2%程度の米国債はいくらでも売っている。
なお、新規に発行された米国債を「新発」と言うが、これを買うのはなかなか難しい。
稀に証券会社から声がかかることがあるが、基本的にはタイミング次第。
その証券会社が米国債を「仕入れていれば」買える。という感じ。
また、最近は新発より既発の方が利回りが高いので、別段、新発にこだわる必要はないだろう。
このあたりの話は証券会社の窓口で聞けば、分かりやすく教えてくれる。
本商品の運用期間は20年。
それだけの期間があれば、既発債を買えば「元本保証」どころか、単純計算で130~140%くらいには増える。
本商品は米国債を「原材料」として、色々と機能を付けて、それによって手数料を得ている仕組み。
であるなら、原材料そのものを買った方が効率が良いだろう。
投資信託に関しては、色々種類があるので、ここでは触れないが、要は
米国債+投資信託
の組み合わせで、本商品を上回る投資効果がある。ということをご理解いただきたい。
要は本商品も含め、投資は自己責任。
保険だからと言って安心していると痛い目を見る。
しっかりと自分で勉強することが大事だろう。
参考コラム:
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