提供会社:東京海上日動あんしん生命
商品名:あんしん年金介護
この保険の弱点はここだ!!
掛け捨て型の介護保険としては、わりとよくまとまっているとは思う。
可もなく不可もなく、ということで2つ星評価とした。
なお、同社には介護年金のリターン型(一定のお金が戻ってくるタイプ)もある。
以下で解説しているので、ご参考まで。
東京海上日動あんしん生命「あんしんねんきん介護R」★★★☆☆
本商品をどう評価するかは「考え方次第」だな、というところ。
そのあたりを説明する前に、まずは、実際の契約例を見ながら商品概要を解説していきたい。
60歳 男性
年金額 30万円(10年)
健康祝金 3万円(5年毎)
認知症一時金 100万円
介護一時金 100万円
このような内容で、毎月の保険料は8,860円となっている。
・介護年金について
まず、本商品の本丸とも言える「介護年金」だが、これは
・要介護2以上
・もしくは会社所定の要介護状態が180日以上継続した時
に支払い対象となる。
なお、「会社所定の要介護状態」とは2つある。
1つ目は、身体的な介護状態について。
まず、
ベッド周辺の歩行が自分では出来ない
ということが絶対条件で、更に以下の4つの中で「2つ以上」で介助が必要な状態。
着替え、入浴、食事、トイレ
2つ目は、認知症。
ただ認知症と言っても軽度なものではなく、見当識障害がある状態。
見当識障害とは、時間、空間、人の顔などが認識できない状態を指すので、「結構すすんだ認知症」だと思えば良い。
参考コラム:認知症の基礎。器質性認知症、見当識障害、MCIとはどんな状況?
これら2つは保険会社が決めた基準ではあるが、実際のところこれに該当すれば「ほんとど要介護2以上」だと思って良いだろう。(要介護2より保険会社基準の方が厳しい)
そのため「要介護2で払われる」と認識しておけば良い。
この条件に該当した場合、年金が最大10年間支払われる。(10年より長いプランもある。加入時に決める)
・健康祝金について
これは付ける、付けないは自由に選べるが、あんしんの関係者に聞くと、付けている契約が多いらしいので、一応解説しておく。
その名の通り、健康であればお小遣い(祝金)が受け取れるオプションで、5年間何もなければ、年金額の10%を受け取れる。
年金が30万円であれば3万円ということになる。
ただし、実際には自分で貯めているようなものなので、特段、お得なものでもない。
・認知症一時金特約について
こちらもオプション。
まず、認知症の初期段階である「MCI(軽度認知症)」と呼ばれる状態になった時に、一時金の10%が受け取れる。
一時金の設定が100万円であれば、10万円ということ。
その後、認知症が進行し「正式に」認知症と診断された時には、残りの90%が受け取れる。
なお、MCIで10%を受け取らず、「一発で認知症」と診断された場合には、一度に全額支給となる。
・介護一時金について
これもオプション。
こちらの支払い条件も、先に述べた介護年金と同じで「要介護2以上」か「会社所定の状態」
この時に一時金(100万円)を受け取れる。
年金開始前の初期費用のような位置づけ。
以上が商品概要となる。
では、本商品をより深く、より多角的に解説していきたい。
弱点1 当たり前だが介護にならなければ大損
本商品の有効性を調査するために、介護になった場合と、介護にならなかった場合の2パターンを見てみよう。
サンプルとして、「60歳で加入」、「80歳で要介護2」というケースで計算する。
プランは冒頭で挙げた内容をそのまま流用したい。
60歳 男性
年金額 30万円(10年)
健康祝金 3万円(5年毎)
認知症一時金 100万円
介護一時金 100万円
保険料 8,860円
各種データ、統計を見ると、男性の場合、80歳で要介護2というのがほぼ中央値(最も可能性が高い)かと思われる。
まず、60歳から80歳まで、20年間で負担する保険料の総額は、
8,860円×12ヶ月×20年=約213万円
となる。
但し、ここまでに3回(65歳、70歳、75歳)お祝い金の3万円を受け取っているので、その分の9万円を引くと、実質負担は204万円。
で、80歳で要介護2に該当した。
まず、介護一時金として100万円が給付され、以後年金30万円が受け取れるのだが、統計的には要介護2から死亡までは平均4,5年である。
本商品では最長10年間の年金が受け取れるが、そこまで長いのは全体の10%もない。
そのため、ここでは5年としよう。
30万円×5年=150万円
先に受け取った一時金100万円と合わせると、250万円となる。
また、認知症が発症していれば、更にここに認知症一時金100万円が上乗せされるので、350万円となる。
以上のことから、要介護2以上に「なれば」、かなりの高確率で支払った保険料以上のリターンがあることが分かる。
また、幸か、不幸か、介護が5年で終わらず10年近くになり、更に認知症であれば最大500万円(介護一時金100万円、認知症一時金100万円、年金10年分300万円)を受け取れることになり、安心感はある。
だが、介護にならなければどうだろうか?
先の例で言えば、60歳で加入し80歳でポックリ死んでしまったら。
200万円近いお金を捨てだだけという結論で、当然ながら大損だ。
介護になって得をする、介護にならずに損をする。
これは保険である以上、仕方がない話なのだが、では得をする確率、逆に言えば損をする確率はどの程度なのだろうか?
答えは、男性33%、女性50%。
これが統計上の回答となる。
誰も全員長生きして介護が必要になるわけではない。
また長生きしたからと言って、必ずしも介護のお世話になるわけでもない。
データでは、男性の33%、女性の50%が、人生の最終幕で介護を必要としている。
男性の方が率が高いのは、女性に比べて男性の方が短命で、介護とか認知症になる前に、がんや心臓、脳などの病気で死んでしまうから。
対して女性は長生きなので、最後には約半分が介護状態となる。
なお、上記の介護を必要とする方々の中で、認知症の割合は5,6割と言われている。
つまり全契約者の中で、介護年金を受け取れる人が男性33%、女性50%。さらに認知症一時金を受け取れる人は、各々その半分か、半分よりちょっと多いくらいだと思えば良い。
いかがだろうか?
介護になる確率は「高い」のだが、介護にならない確率も「高い」のである。
本商品を含んだ「民間の介護保険商品」は、やや下品に言い換えてみれば、高齢者間での丁半博打のようなもの。
本商品においても、介護や認知症になれば、204万円支払って平均250万円(介護一時金+年金5年)から、最大500万円を受け取れるが、ならなければマイナス204万円である。
そのため当サイトでは、原則的には介護保険には懐疑的で、
自分で貯めておけば良いのでは?
というスタンスである。
例えば、この保険に入らなければ「確実に」204万円は貯まる。
実際に介護になったら、それを使えば良いのではないだろうか。
また、足りない分は貯金などの資産を使えば良いだろう。
「毎月これくらいなら払える。介護は怖いから入っておこう」
などと安直に考えず、まずは冷静に自分の資産を棚卸し、介護になった場合、
どの程度の出費に耐えられるのか?
「掛け捨てする」リスクを抱えてまで、本当に保険が必要なのか?
という点について検討した方が良いと思う。
この保険の弱点、こう考えろ!!(解決法)
既に述べた通り、ちゃんと貯金がある方なら、別にこの保険に入る必要はないだろう。
起こるか、起こらないか分からない介護や認知症のことなど考えず、人生を楽しんだ方が良い。
なったらなったで、その時は貯金を崩せば良いのだから。
だが、「ちゃんと貯金がない」のであれば、消去法として本商品のようなものに入らざるをえないだろう。
特に60代に入ってしまっていると、そこから収入を得るのも難しく、つまり貯金を作ることができない。
仮にそのような状況の方が入るのであれば、基本的には「介護年金だけ」で良い。
こういうちゃんと貯金が出来ない方に限って、お小遣いを受け取れる「健康祝金」とかが好きな傾向があるが、もうそのような余計なものにお金を使ってる場合ではないだろう。
しっかりと支出を切りつめて、保険以外の貯金もちゃんとしておくべき。
介護一時金や認知症一時金も必要ない。
これらは保険料も高いし、また、実際に介護や認知症になっても「一時金」は必須というわけでもない。
介護保険の利用料などを支払える「年金」こそが必要最低限の保障であり、まずはこれだけに入ることをお勧めする。
営業マンは色々言ってくるかもしれないが、そういう言葉に騙されて余計なものを付けてしまうから「今まで金が貯まらなかったのだ」と自戒すること。
口コミ(販売側から)
なし
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口コミ(契約者から)
なし
比較した方が良い商品
ジブラルタ生命 米国ドル建介護保障付終身保険(低解約返戻金型) ★★★☆☆
東京海上日動あんしん生命「あんしんねんきん介護R」★★★☆☆
編集後記