この保険の弱点はここだ!あんしん生命「あんしんねんきん介護R」

提供会社:東京海上日動あんしん生命

商品名:あんしん年金介護R

この保険の弱点はここだ!!

参考コラム:
介護保険の基礎を学びたい方は、まず

『民間の介護保険は必要か?「介護保険の考え方」』
をご覧いただきたい。

音声解説はこちら↓

 

本商品については、当サイトの読者である「DUさん」よりご紹介頂いた。(情報提供ありがとうございます)

結論から言えば、3つ星。

しかし、自身の中では、限りなく4つ星に近い、3つ星という感じだ。

4つ星とならない理由は追々説明していきたいが、商品としては「かなり良く出来ている」と感じる。

率直に言って、この商品にはほとんどデメリットがない。ただし、目をみはる「メリット」もない。

まずは、商品としての仕様をざっと説明しよう。

本商品の目的は、介護状態になった時に「年金」を受け取ることにある。

条件は要介護2以上、もしくは会社所定の「要介護状態」に該当した時。

なお、会社所定の要介護状態とは、下記のどちらかを指す。

1 ア.ベッド周辺の歩行が自分では出来ない

   +(更に)

 着替え、食事、入浴、排泄のうち「2つ以上」で他人の介護が必要

2 器質性認知症

1に関しては、そもそも「ベッドの周りを自分で歩けない=ほぼ寝たきり」が大前提で、更に着替え、食事、入浴、排泄のうち2つ以上が自分では出来ない(介護が必要)ということ。

2の器質性認知症は、やや専門用語だが、平たく言えば「結構進んだ認知症」と理解して差し障りない。逆に言えば「物忘れがひどい」くらいでは該当しない。

この1,2両方とも、あんしん生命が独自に設けた基準ではあるが、基本的には要介護2より重い。




この状態に該当するのに「要介護2が認められない」ということは考えにくい(と言うかどういう状態ならそうなるのだろうか・・・・)ので、まず「要介護2」で年金開始と思っておいて良いだろう。

要介護2で払う、というのは昨今の介護系商品のスタンダードな基準なので、その点において本商品は他社並(優れてもいないが、劣ってもいない)ということになる。

参考までに。要介護1から5まであり、数字が大きくなればなるほど「症状が重い」と判断される。つまり、要介護5が最も「重い」ということ。

そう聞くと、「要介護2は随分軽いのか?」と思うかもしれないが、実際に要介護2の方と接すると「結構大変だな」と感じるだろう。その点、要介護2は、そこまで軽くもない。

本商品では、この「介護」になった時に受け取りたい年金金額を決める。

年間30万円とか、年間50万円など。

年金金額が増えれば、その分、保険料も増える。

ここでは実例として、60歳男性の保険料を取り上げたい。

年金50万円で保険料は以下の通り。

・5年年金   15,700円 
・10年年金 21,100円
・終身年金  25,800円  

いざ、介護状態となった時に年金を「何年間受け取れるか?」で保険料が変わる。

なお、本商品のサイトでの見積もりでは「10年」しか選べないが、実際には3つの選択肢がある。

期間が長くなればなるほど、保険会社からすれば「支払うリスク」が増えるため、保険料は上がる。

ここでは「10年年金(保険料21,100円)」を選択したこととしよう。

さて、本商品の最大の「売り」は、この保険料が将来戻ってくる、ということである。

これは、あんしん生命の「R」シリーズの特徴で、Rはリターン(戻ってくる)を表している。

なお、途中で介護状態になり、実際に年金を受け取った場合、その受け取った金額を「引かれた」金額が戻ってくる。

そのため、この商品に加入した場合、その後のストーリーは、以下の3つの「どれか」になる。

ケース1 介護にならず還付金給付年齢になる

保険料が戻ってくる(還付)される時期は、加入した年齢によって自動的に決まり、50歳までなら、70歳、51~55歳は75歳、56~65歳は80歳となっている。

本例では「60歳加入」なので、保険料が戻ってくるのは80歳ということになるが、その合計は

21,100円×12ヶ月×20年=506万4,000円

これが80歳の時に全額戻ってくる。

そして、この段階で、この保険をこの時点で止めるか(解約)?続けるか?という選択をしないといけない。

止めるなら、506万円が手元に戻ってきて、それで終わり。

続けるなら、今まで支払ってきた21,100円を引き続き支払えば、以後も保障(介護の時に50万円を10年間)が続く。しかし、80歳以降の保険料は純粋な掛け捨てとなり、これらの保険料が戻ってくることはない。

これが「介護にならない」場合。





ケース2-1 介護になった場合(年金が支払保険料の総額を上回らない場合)

では、「介護になった」場合はどうだろうか?これは2つのケースが考えられる。

2-1 介護になったが、介護生活はごく短期で終わる。そのため年金もさほど受け取れなかった場合

2-2 介護がかなり長期に渡った場合

60歳の男性が、70歳で介護となり3年後に亡くなったとしよう。

その場合、保険料は60歳から70歳まで10年間支払ったので(介護年金が始まれば保険料も免除となる)、その総額は

21,100円×12ヶ月×10年=253万2,000円

となる。

対して、介護年金は50万円でそれを3年間受け取ったので、

50万円 × 3年=150万円

ということに。

この場合、死亡時には「差額」の103万2,000円が遺族に戻される。

支払った総額が戻ってくる、という点ではケース1と変わらない。

では最後。介護状態になり、それが長くなった場合だ。

ケース2-2 介護になった場合(年金が支払保険料の総額を上回った場合)

同じく、60歳で加入した方が、70歳で介護になり、年金を満額の10年間を受け取り亡くなったとしよう。

支払い総額は、先ほどと同じ253万2,000円。

しかし、受け取った金額は、50万円×10年間で、総額500万円となる。

この場合、「差額」は発生しないので、死亡時に遺族への支払いなどは何もない。

以上、3つのケースの「どれか」になる。

この中で「保険」として意味があるのは、最後の2-2のケースだけだ。

保険料は253万円支払った。介護になった。結果、500万円を受けった。

「介護」という非常事態に対し、支払った以上の給付金が支給されているので、まさに「保険」ということになる。

対して、ケース1、ケース2は、単に「自分で貯めたお金が戻ってきた」もしくは「自分の貯めたお金を一部使った」というだけ。

保険会社から「年金」という形で受け取っているので、何やらありがたいみを感じてしまうが、その実、何ということはない。

自分の金を返してもらっただけ。ということ。

ただし、介護のリスクを考えた時、最後の2-2のケースも考えられるし、実際、これ(介護が長くなる)が一番最悪だ。

本商品では、その最悪のケースに関しては「保険」を提供し、それ以外の「介護にならない」、「介護になったが短期だった」というケースでは、契約者から預かったお金をプラスマイナスゼロで返している。

このように考えた場合、契約者からすれば、どう転んでも「損することはない」と言える。

以上、ここまでが商品の解説。

では次に、本商品の確信に迫りたい。




ここで少々、視点を変えてみよう。

何故、あんしん生命はこんな商品を作ったのか?

ということだ。

よく考えてみて欲しい。この商品、保険会社からすればリスクしかない。

介護にならなければ全額キックバック。なっても年金を支払った分をのぞき、余った分をキックバック。

それでいて、介護が長くなれば、預かった保険料以上の保険金(給付金)を支払う可能性もある。

どう考えても「儲からない」

では慈善事業でやっているのか?

そんなことがあるはずもない。

筆者の知る限り、あんしん生命はそんな会社じゃない。(と言うか、そんな保険会社ない)

ここからは、複数のあんしん生命の社員から来た「推測」だが、「当たらずとも遠からず」というところだと思う。

本商品の目的はズバリ「運用益」である。

本商品では、還付のタイミングが「加入時の年齢で決まっている」と説明した。

~50歳まで            70歳で還付
51~55歳まで    75歳で還付
55歳~65歳まで   80歳で還付

最低でも、15年間(65歳加入で80歳還付の場合)、大抵は20年以上の保険料支払期間が設けられている。

また、実際のところ80歳までに「要介護2」になる可能性は、かなり低い。

もちろん個人差のあることなので、65歳過ぎで認知症になり、1,2年で要介護2まですすむようなケースもあるにはあるが、それらはレアケースで、ほとんどの場合で要介護2以上になるのは「80歳以降」だ。

そのため、契約者の大部分は満期まで(還付まで)保険料を支払うことになる。

そして、本商品には解約返礼金があるにはあるが、かなり低く抑えられているので、わざわざ損をしてまで解約する人も少ないだろう。

あんしん生命としては、その間、預かった保険料を腰を据えて運用出来る。

その運用益こそ、保険会社の利益となり、契約者から提供してもらった「元手」は全額返してもOKということ。のようだ。(あくまで推測)

なお、もう1つの収益として「還付後も継続してもらう」というものもある。

保険料が変わらずに、還付後も保障が続く、というやつだ。

だが、こちらは「あまり期待していない」というのが本音の様子。

と言うのも、還付時に何百万円というお金を返しているので、普通の契約者なら

「このお金を取っておいて、介護になれば、これを使えば良い」

と思うだろう。

そのため、本商品は還付金を渡した瞬間に、解約する契約者が多い。

もちろん中には、過度な心配性や、断れない性格で

「なんとなく続けてくれる人」

もいるだろうが、商品の収益計算上は「あまり見込んではいない」というところではないか?

ということで、運用益が収益の柱であるが故、本商品は実際に介護になりそうな年齢に至るまで

「ある程度の時間的余裕がある人」

しか入れない。

そのため、本商品は65歳までしか入れず、これは介護系の商品としてはかなり早い。

これがマイナスポイント。

ということで弱点の話に移る。




弱点1 65歳までしか入れない

商品の特性上、「仕方ない」ことではあるが、筆者としては65歳というのは、随分と締め切りが早い気がする。

と言うのも、介護について考え出すのは、早くても60歳くらいからで、それでも周囲からは「随分心配性だな」と言われる。

それくらい今の60代は若い。

特に65歳まで働く人が多いので、正直、介護と言ってもピンと来ない人が多いのである。

もちろん、親の介護などを経験して「自分のことも考えないとな」と思う人はいるだろうが、それでも本当に意味で「自分の介護」にまで考えが及ぶ人は少数派ではないだろうか?

更に、本商品は基本的に貯蓄型であるため、保険料も高い(毎月数万円)

本商品の説明をちゃんと聞けば「へー良い商品だね」と反応するだろうが、じゃあ実際に毎月数万円払うか?と言えば、まだそこまでマインドが熟成されていない。

介護のついて「真剣に考える」のは、筆者が色々相談に乗ってきた経験では60代後半から70代前半という感じで、そうなると本商品にはそもそも入れない。

このことをあんしん生命の関係者にぶつけてみたところ

「まさにそうです。そのため社内でも『良い商品なんだけど、あんまり売れないね』という感じです」

と言っていた。

営業の現場でも「もうちょっと加入年齢を引き上げて欲しい」と思っているらしいが、70歳くらいで加入されると、10年で80歳を迎え、実際に「要介護2」が多く発生する年齢層になる。

介護年金を払わないといけないし、運用年数も長く取れないし、ということで商品の収益が維持出来ないのだろう(繰り替えすが、筆者の推測)

ということで、次の弱点に繋がる。

弱点2 実際の介護と、タイミングのズレ

今まで述べてきたように、本商品の実態としては、

実際に介護になるまでの貯金

である。

還付される70歳、75歳、80歳までに要介護2になっている確率は「かなり低く」、そうなれば本来の介護の潜在的リスクである「介護期間が長期になる」という点はカバー出来ない。

自分で貯めたお金が全額戻ってきてしまうからだ。

そういう意味では、この保険で「勝てる人」(ケース2-2のように長期間の介護年金を受け取れる)は、かなり少ないと思う。

負けはしないが、勝ちもしない。

それがこの保険の隠れた本質でもある。

そして、80代からの「本当に保障が必要な時期」をカバーするためには、今までと同じ保険料を支払う必要があり、これは戻って来ない。

75歳とか80歳になって、毎月数万円を「掛け捨て」出来る人は多くないだろう。

ただし、この保険に加入したことで「数百万円の介護資金」が手元に出来ることは紛れもない事実。

また、還付前に要介護2になる人も「いないわけではない」ので、その点、まるっきりのムダというわけでない。




弱点3 若い人にはお勧め出来ない

50代後半以上であれば、「あまり時間もない」ので、この商品に入るのも悪くないかもしれない。

しかし、40代などであれば、まだ時間もたっぷりあるので、1円も増えないこの商品よりは、

「自分で用意した方が良い」

だろう。

株や投資信託に毎月1万円ずつでも積み立てておいた方が、20年もすればかなり「増える」

また、自分の介護のことばかり考えていても、配偶者が先に介護になるかもしれず、当然ながらそんな時に「自分の保険」など何の役にも立たない。

一番確実なのは、どんな状況にも対応出来るように、しっかり自分の資産を作り、それを守ることである。

特に老後は、体も衰え、気力も落ちる。

世間の荒波から自分と家族を守るのは、金と経験と知恵しかない。

だからこそスキルの1つとして「資産運用」という技を覚える。そのためにも、安直にこのような商品に頼るのではなく、自分で運用し、経験を積んだ方が良い。

弱点4 保険料の設定に要注意!!

本商品。解約すると大損する。

「絶対に解約出来ない」ということを覚悟し「絶対に還付まで払える保険料」を設定する必要がある。

人生には何が起こるか分からない。

後から戻ってくるから、ちょっとくらい多めでも・・・などと考えず(営業の口車に乗らず)、堅実な保険料にしたい。

商品の構成

主契約(メイン部分)について

・加入年齢
20歳から65歳まで

・年金金額(要介護2以上、もしくは会社所定の介護状態に該当した時に給付)
20万、30万、50万円から選択

・年金期間
5年、10年、終身年金から選択

特約(オプション)について

・健康祝金特則 ✕

介護年金を受け取らない場合、5年ごとに年金の10%の「お小遣い」が受け取れるオプション。

ただし、このオプションのために追加の保険料が必要であり、更にはこのオプションだけを後から解約することが出来ない。

支払った金額に対して、お小遣いは「多少増える程度」であり、保険の本質からすればあまり関係はない。

仮に介護年金を受け取った場合、それまでの保険料は没収されてしまうので、それまで多少儲かっていても、そこで利益を吐き出すことになる。

詳細は、おなじくあんしん生命の医療保険「メディカルkit エール」弱点2に詳しくかいてある。(仕組みはほぼ同じ)

参照:この保険の弱点はここだ!あんしん生命「メディカルkit エール」弱点2




・認知症一時金特約 ✕

軽度の認知症の診断された時に一時金の10%を、その後認知症と正式に診断された時に残り90%を受け取れる。

軽度の時の一時金を受け取っていない場合、認知症と診断された時に100%。

本特約の保険料は掛け捨て。

認知症には、男性の1/3、女性の1/2がなると言われているが、認知症になった時に一時金を貰っても「仕方ない」(特にお金がかかるわけでもない)

保険料は一時金100万円で、60歳男性の場合2,870円。

20年も払えば、その総額69万円にもなり、なるかならないか分からないものに対して「掛け捨て」るには少々大きい気がする。

自分で貯めておいた方が良いのでは?

・介護一時金特約 ✕

介護年金に該当(要介護2以上)した場合の一時金。

保険料は一時金100万円で、60歳男性の場合2,030円。

こちらも掛け捨て。20年間で約49万円ほどになる。

こちらも前項と同様の理由で

「なるかならないか分からない」&「掛け捨てにしては高い」

ので、入る必要はないと感じる。

口コミ・評判(販売側から)

・入っておいて損はない、というのがこの商品の売り文句だと思います。ただし、それで納得するのは「介護も心配だから、多少積み立てしておくかぁ」という感じで、気軽に数万円を支払える富裕層の方だけ。そういう点では相手を選ぶ商品です。
親御さんの介護で苦労した人には響きますが、そのような経験のない方には、全くうけません。

代理店勤務の募集人の立場からの投稿です。
この商品、現場だとドル終、変額がどうしても嫌(将来受け取る金額を確定させたい)という方向けに円建て終身の対抗馬として使われることが多いと感じています。
なので円建て終身(あんしん生命長生き支援終身や日生の介護付き終身)と比べてのメリットデメリットを…。

メリット
これからも平均寿命は伸びていくと予想されており、健康寿命との乖離は大きくなる一方だと予想されている。
その中で円建て終身とは違い、介護”年金”で、しかも”終身年金”の選択肢があるため、介護に手厚いと言えると思う。
20〜30代から始めておくことで、月々の支払いが抑えられ、全額受け取る(介護資金にする)か、ある程度手頃な保険料で還付金を受け取った後も終身年金の手厚い補償を続けるか…の選択が出来るのが強み。ドル終/変額とは違い、将来的に約束された金額が戻ってくるので、退職金的な見方も出来なくはない(無理くりではあるが)。
医療介護の保険料控除対象のため、所得控除を考えると実際は払ってる金額よりもプラスで戻るとの見方も出来る。

デメリット
単純な運用商品として見るのであれば変額/ドル終に強みあり。
途中解約が大きなリスクとなる。
現状の介護に合わせて保険金額を設定すると、将来的に足りなくなってしまい、結局自分の懐から介護費用を出す必要性がある。
払い済みが出来ない(止めるか払い続けるか)。
介護にならなければ無駄になってしまう掛け捨ての介護保険が多い中、貯蓄性がある商品で、介護保障としても手厚いところは評価できると思います。
ただ、コンプライアンス意識の低い金融機関/代理店だと貯金がわりとして案内されることも容易に想像できるが、絶対に一度持ち帰り、よく検討したほうがいい商品だとは思います。

謝礼Amazonギフトカード300円!! アナタの口コミ教えて下さい!!
保険会社勤務、代理店勤務の方でも、販売現場の情報や、当サイトで指摘していない弱点(デメリット)などには謝礼(amazonカード300円)をお支払い致します。

口コミ・評判(契約者から)

・なし

比較した方が良い商品

ジブラルタ生命 米国ドル建介護保障付終身保険(低解約返戻金型) ★★★☆☆

PGF生命 米国ドル建終身保険(介護タイプ) ★★★☆☆

編集後記

約款