提供会社:朝日生命
(格付:R&I BBB)
商品名:人生100年時代の認知症保険
この保険の弱点はここだ!!
ネット専用の認知症保険。
一言で言えば「面白い。」
認知症保険については、筆者はそもそもその存在意義を認めておらず「必要ない」というスタンスなのだが、本商品はその「必要ない」中では「すごく良い」という感じ。
朝日生命が「身(利益)を削っている」のが良く分かる。
なお、認知症保険に否定的な立場である理由は、以下のコラムにまとめてあるので、ご一読頂きたい。
参考コラム:認知症保険は「原則」必要ない
「必要ない」ということから、当サイトで認知症保険は基本的に星1つか、2つ程度の評価が多いのだが、本商品は星3つとした。
保険料が安い。その一点のみを評価した。
率直に言ってかなり頑張っているのでは?と思う。
「掛け捨て」で「認知症になったら一時金」という同種の商品と比較すると、保険料が3,4割安い。
例えば、テレビCMなども流れている第一生命の「ジャスト認知症保険」
商品内容は本商品にかなり似ており(多分、朝日生命が内容を模倣した)、契約例で見ると、以下のようになっている。
一時金 200万円
60歳 男性の場合 保険料 3,238円/月
しかし、本商品では同じ条件で1,886円/月。
なお、支払い条件はどちらも、
・加入して2年経過してからの保障
・要介護1 & 器質性認知症と診断されたら一時金
参考コラム:認知症の基礎。器質性認知症、見当識障害、MCIとはどんな状況?
となっている。
ほとんど同じ内容で、保険料は4割引。
後追い商品だとしても、これは結構インパクトがある。
認知症保険というのは、実質的には「認知症総取りゲーム」でもある。
例えば、先程例として挙げた60歳の男性。
確率論的には「男性6人に1人」が認知症になる。
注:女性は4人に1人。そのため認知症保険は女性の方が保険料が高い。
つまり、この保険に60歳の男性が6人加入した場合、保険金を受け取れるのは1人で、残りに5人は払い損ということ。
ざっと計算してみよう。
一時金200万円で保険料は1,886円なのだから、年間22,632円。
これをいつまで払うのか?
それは分からない。何歳まっで生きるかは人にもよる。
だが、男性の平均寿命が83歳であることを考えれば「平均すれば」60歳から83歳まで23年間支払うことになるだろう。
その合計は約52万円。それが6人分で312万円。
保険会社はこの保険料を「回収出来る」ということになる。
で、この中の一人が認知症になれば200万円。
312万円を集め、200万円を支払う。
返金率は64%。
これは「認知症保険としては」結構な返金率だと思う。
先の比較でも使った第一生命の商品であれば保険料が3,238円なので、6人から回収出来る保険料総額は536万円となり、1人に200万円を支払えば、その返金率は37%。
返金率が高いということは、それだけ保険会社側の利益が減っているということ。
冒頭で述べた通り「朝日、身(利益)を削ったな」ということになるだろう。
必要はないが、お得。
スーパーのレジ前に並んでいる
「疲労回復に効き目バツグン!!」
と書かれた栄養ドリンク。
普段なら手が出ないが、1000円が9割引で100円になっているのを見て「お得感」だけで思わず買ってしまう。
例えるならそんな感じだ。
弱点1 払い損のリスク
前述した通り、認知症保険は仕組み上、男性6人に1人、女性4人に1人が「勝ち(認知症になって一時金を受け取る)」、残りは負ける。
本商品においてもその原則は変わらない。
保険料が安くなってはいるものの、認知症にならなければ払い損。
60歳で、一時金200万円で加入したとしすると、毎月の保険料1,886円。
70歳までに約23万円、80歳までに45万円、90歳までに68万円、100歳までなら91万円。
それが認知症にならなければ「捨てる」ことになる。
なる確率も、ならない確率も高い認知症。
ならない場合のことを考えると「勿体ないよね」という気はする。
但し、こればかりは感覚と言うか、1,886円くらいなら・・・という気もしなくもない。
筆者自身の感想で言えば「毎月3,000円」と言われたら入らない。
だが、1886円なら迷う。
実際、筆者の父は認知症で10年ほど介護生活であり、認知症は遺伝的要素もあるので、怖いと言えば怖い。
その時に一時金200万円が入ってくれば、家族には多少の慰めにはなるだろう。
もちろん、当サイトでも何度か言っている通り、認知症や介護は「お金の問題ではない」ことの方が多い。
日本の公的介護保険は手厚いので、最低限の介護は誰でも受けられるからだ。
むしろ、介護をする家族の体制や、精神的な問題の方が大きく、それらはなかなかお金では解決出来ないのである。
とは言え、お金は「ないよりはあった方が良い」のも事実。
200万円あるのと、ないのでは違う。
その保障が1,886円。
なかなか良いところを突いてきていると思う。
ただし、原則的には「捨てる」可能性が高いですよ。ということだけはお伝えしておきたい。
あとは個々人の判断。
弱点2 2年間は保障なし
これは弱点というか、商品の仕様なので仕方ないが、本商品は加入して2年間は何の保障もない。
加入にあたり、かなり条件が緩和されている(持病などがあっても入れる)ため、
「皆さん、2年間は様子を見せさせて下さいね」
ということだろう。
また「多分、私、完全に認知症だ・・・」というような初期症状が出ている方が、病院にかかる前に本商品に入ることを防ぐ意味もある。
もし、加入して2年間のうちの認知症と診断された場合、それまで支払ってきた保険料は全額返金されるので、別に損をしているわけではないが、2年間の待機期間があることは認識しておく必要がある。
この商品の弱点、こう考えろ!!(解決策)
今まで何度も述べてきた通り、保険料の安さ、という点では魅力のある商品だと思う。
筆者のように原則的には「必要ない」、「自分で貯めておいた方が良い」という立場であっても、あまりの保険料の手軽さに思わず「入っておいても良いかな」と揺らいでしまう。
もし入るとすれば、筆者なら一時金200万円か300万円程度を設定する。
認知症を含めた介護では、「年間100万円、平均5年、最長10年」という基準がある。
年間100万円くらいかければ、それなりの介護が受けられ、介護の期間は平均で5年、長いと10年くらい、という統計上のデータだ。
必要なお金はマックスで考えれば、100万円×10年で1,000万円ということになる。
しかし、介護生活のはじめから100万円かかるわけでもなく、期間についても10年まで行くのは結構稀。
そのような点から考えると、500万円程度を持っていれば「まあまあかな」という気がする。
その半分程度を保険でまかない、残りは貯金でまかなう。
そんな考え方で200、300万円程度が妥当ではないか?
老後のリスクは認知症だけではないので、やはり手元にお金を持っておいた方が何かと良いだろう。
本商品は保険料は安いが、「払い損」のリスクも高いことから、あまりやりすぎない方が良い。
また、認知症と診断されただけで、一時金の10%(300万円なら30万円)を受け取れる「認知症診断一時金」というオプション(特約)もあるが、これは筆者なら付けない。
どうせ認知症と診断されれば、遅かれ早かれ一時金の受け取り条件である「要介護1」になってしまう。
手前で小銭を受け取ったところで、別に意味はないし、そのための保険料(特約保険料)を支払う必要もないと考える。
口コミ・評判(契約者から)
・なし
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比較した方が良い商品
貯蓄型の認知症保険
本商品に酷似。しかし保険料は本商品より高い
編集後記