提供会社:第一フロンティア生命
商品名:プレミアジャンプ2・終身(円建)
プレミアセレクトM2・終身(円建)
ダブル・フロンティア終身(円建/米ドル建/豪ドル建)
この保険の弱点はここだ!!
まあ、この保険に入るのはやめておいた方が良いだろう。
筆者の母などが、銀行の窓口でこの商品を勧められたら、まず止めるし、その窓口担当者に対して
「自分の金、これにいれられる?」
とでも聞いてやりたい。
このあたりは後ほどじっくりと説明するが、まずは商品概要から。
本商品は、一時払の保険だが、保険というよりはただの運用商品。
預けたお金は、「定額部分」と「変額部分」に分けられる。
定額部分は、いわば「元本保証用」の資金で、一定の金利で運用され、15年後、もしくは20年後に「必ず」元本を回復する。
例えば、1,000万円を預けた場合、2020年11月現在(利率0.06%:運用期間20年)であれば
定額部分 988万1,000円
変額部分 11万9,000円
注:金額は当サイトの推測なので、あくまで参考まで。
実際の設計書を元にしたものではないが、さほどの違いはないと思われる。
に分け、運用を開始することになる。
この988万円1,000円を20年間、0.06%で運用を行うと、20年後には1,000万円に「戻っている」計算。
つまり、20年待てば元本は回復する、ということ。
次に変額部分だが、こちらは第一フロンティア生命が作った「ファンド」で運用する。
実際に運用を行うのはアセットマネジメントONEという第一生命とみずほ信託の運用部門が2016年に合併して出来た資産運用専門の会社。
第一フロンティア生命からすれば、兄弟会社(お互い親が第一生命)という位置づけだ。
先程の変額部分の11万9,000円は、このファンドに入れられ運用を行うが、その結果は保証されていないので、運用がうまくいけば増えるし、失敗すれば減る。
窓口では、
「20年間で必ず元本は回復します。ですから、元本が減るリスクはありません。変額部分は海外の株や債権などに投資をしますので、その結果は未来のお楽しみ。増えると良いですねぇ」
などという感じで販売しているようだ。
なお、本商品、販売している金融機関によって、名前や選べる通貨が異なる。
プレミアジャンプ2・終身(円建) …地方銀行、他
プレミアセレクトM2・終身(円建) …みずほ銀行
ダブル・フロンティア終身(円建/米ドル建/豪ドル建)…SMBC日興証券
SMBC日興証券で扱っているダブル・フロンティア終身のみ、円の他、米ドル、豪ドルを運用通貨として選択できるが、仕組みは同じ。
米ドル、豪ドルの方が、多少利率が高いので、円建てより元本部分が少なくて済むというだけだ。(その分、変額部分が増える)
なお、定額部分の利率は、通貨ごとに以下のようになっている(2020年10月現在)
円 20年:0.06% 15年:0.07%
米ドル 20年:0.26% 15年:0.14%
豪ドル 20年:0.31% 15年:0.30%
変額部分に関しては、商品ごとに以下のようなファンドを設定されている。
・プレミアジャンプ2・終身(円建)/プレミアセレクトM2・終身(円建)
ファンド名:グローバル運用型WL(円建)
運用対象資産:株式(日本、先進国、新興国)、債券(日本、先進国、新興国)、リート(日本、先進国)
運用手数料:年0.22%(税込)
その他保険契約関係費:年2.35%
・ダブル・フロンティア終身(円建/米ドル建/豪ドル建)
特別勘定名:グローバル分散型SMBC2(円建/米ドル/豪ドル)
運用対象資産:株式(日本、米国、欧州、香港、新興国)、債券(日本、米国、欧州)、商品(エネルギー、産業金属、農業、金)
運用手数料:年0.22%(税込)
その他保険契約関係費:年2.35%
弱点1 普通に国債を買った方が良い
冒頭でも説明したように、本商品は元本回復用の資金である「定額部分」と、株や債権などで運用を行う「変額部分」に分かれているが、実質的には
定額部分 = 日本国債を買っているようなもの
変額部分 = 投資信託を買っているようなもの
と言える。
これをセットにすることで、「元本保証&運用も出来ちゃうよ!!」という雰囲気を演出しているが、裏側を見れば何のことはない。
15年、もしくは20年の国債の運用で「儲かる分(元本回復分)」で、投資信託を買っているだけだ。
だったら、こんな余計なことをせずに、国債と投資信託を買えば良い。
詳しくは弱点3で挙げるが、本商品には早期解約のペナルティなどもあるので、一度始めてしまうと、なかなか途中で止めることが出来ない。
自分で国債と投資信託を買えば、そのような無用のリスクを負うこともないので、その方が良いだろう。
先程も説明した通り、本商品に1,000万円を預けると、以下のように資金が振り分けられる。
定額部分 988万1,000円 → 国債
変額部分 11万9,000円 → ファンド(投資信託)
という感じだが、1,000万円の「1.2%」程度しかない、11万9,000円を「運用」したところで、そのリターンなどたかが知れている。
また、定額部分に関しても、金融機関ごとに開催しているキャンペーン中などに国債を買えば特別でボーナスを付けてくれるので、運用益が欲しいのあれば、その方が手軽だし、堅実だろう。
金融機関によっても異なるが、1,000万円を預ければ、だいたい3.4万円(0.3%~0.4%程度)をくれるケースが多い。
注:国債の発行元である財務省が、販売窓口になっている金融機関に対して支払う販売手数料をそのまま、顧客に配るキャンペーン。金融機関としては、全く儲からないが、お客さんとのコンタクトを増やすことや、国債の取扱額を増やすために、このようなことをやっている。
15年、20年またなくても、預けた瞬間に3,4万円のバックがあるのだから、こちらの方が美味しい。
銀行の窓口にいる人間も、絶対にこのことを知っているはずだが、このような提案はまずしないだろう。
このようなキャンペーンは毎年やっているので、1度買った国債を解約し(数千円のペナルティは取られる)、再び国債を買うようなことを何度もやり、3,4万円の「お小遣い」を稼いでいる人もいる(私がこれを教えてあげたので、うちの母もやっているようだ)
これなら、何のリスクもなく、1,2年に数万円の利益があるので、それを元手に投資信託を買えば良い。
そもそも、この商品で使われているファンド(投資信託)は、かなり「いまいち」なので、投資しないと方が良いだろう。
それが、次の弱点2につながる。
弱点2 変額部分のファンド、ボロボロ・・・
パンフレットを見ると「8つの資産に分散投資!!」などと、色々な能書きが書いてあるが、結果は散々たるもの。
以下が、2020年10月時点での運用結果。
・プレミアジャンプ2・終身(円建)/プレミアセレクトM2・終身(円建)で使用されているファンド
グローバル運用型WL(円建) +12.47%
・ダブル・フロンティア終身(円建/米ドル建/豪ドル建)で使用されているファンド
グローバル分散型SMBC2(円建) -20.44%
グローバル分散型SMBC2(円建) -18.19%
グローバル分散型SMBC2(円建) -23.09%
かろうじて、グローバル運用型WLのみプラスの状態だが、そのほかの3つは大きくマイナス。
またプラスと言っても、本ファンドが運用を開始して5年も経過しており、その途中、世界は株高に不動産高に湧いていたのに、わずか12%程度のリターンはショボいとしか言いようがない。
原因としては、2020年のコロナ暴落。
世界中、どのファンドもこの時には大きく価値を下げたので、本商品で使われているファンドも同様に下がったこと自体は仕方がないのだが、その後が良くなかった。
暴落時、本商品のファンドは、コロナによる株安が一弾と進む、もしくはこのまま株価が冴えないと読んで、底値で株を処分し、手堅い債権に変えてしまったのだ。
しかし、予想に反して、株価は一気の急上昇。
最近では日米ともに過去最高レベルの株価まで上がった。
が、このファンドは債権を持ち続けてしまったので、「株価急上昇」に乗れなかったのである。
今でも資産のほとんどが債権になってしまっているのだが、ここから株に戻すのは正直怖い。
今の市場など、全く実態経済を反映していないので、いつ崩れるか分からない。
株にした瞬間、再暴落などしたら、目もあてられないだろう。
だが、これは仕方がない。
運用のプロでも間違う時は間違うし、人に任せている以上、結果について何も言えないだろう。
とは言え、結果はボロボロであることは事実で、多くの顧客に損をさせてしまったわけだ。
また、本ファンドでは、運用手数料として、年0.22%、保険契約関係費として年2.35%が取られる。
これも痛い。
運用益がバンバン出ているなら、この程度の手数料は払っても良いが、運用もダメ、手数料も高いでは、このファンドに良いところは何もないということになる。
単純にファンドとして悪い。というのが筆者の結論。
弱点3 市場価格調整と解約控除
本商品には、早期解約時の解約控除がある。
要はペナルティ
また、解約時には市場調整価格も関係してくる。
市場調整価格の詳細については、以下のコラムを参考にして欲しいが、要は「加入時の利率」と「解約時の利率」に開きがあった場合、その価値を「調整」する仕組みのこと。
加入時に利率が0.06%で、解約時の利率が0.09%だとしよう。
要は入った時より、解約した時の方が「利率が良い」という状態。
この場合、解約返戻金が「減る」
少々小難しい話になるが、整理しながら説明したい。
先ほどの言ったが、本商品は「ほとんど国債を買っている」ようなものだ。
定額部分 = 国債
であり、変額部分など、ほんの僅かしかないので、実質的には「ほとんど国債」と言った方が良い。
加入した時に利率が0.06%ということは、これもほぼ「国債の利回りが0.06%」と言い換えられる。
(実際、現在の国債の利回りは0.05%で、ほぼ同じ)
そして、解約時の利率が0.09%ということは、これも国債の利回りがほぼ0.09%ということだ。
この保険を解約するということは、保険会社からすれば、
「利率0.06%の国債を返します」
ということになる。
だが、その時の国債の利率は0.09%なので、こちらの方が条件が良い。
例えるならば、1個100円で売っているキャベツの横に、全く同じキャベツを150円で並べるようなもの。
0.06%の国債など、誰もいらないのである。
そのため、解約時(0.06%を引き取る際)
「価値が低下している分、解約返戻金を減らしますよ」
ということになる。
しかも0.09%と0.06%を単純に比較するだけでなく、0.09%(解約時の利率)に+0.25%された数値が用いられる。
つまり、
0.34%(0.25+0.09) と 0.06%
ということ。
ご存知の通り、今は空前の低金利。
将来的には、「多少は上がっている」可能性の方が高い。
ただでさえマイナス方面に金利差が出やすい状況で、更にそこに0.25%も「下駄」を履かされてしまうとなると、普通に考えて市場調整価格による減額は
「ほぼ発生する」
と考えておいた方が良いだろう。
なお、ダメ押しながら、本商品では外貨の場合、+0.45%を用いるので、外貨の場合、より市場調整価格が重くのしかかることになるだろう。
ちなみに、外貨での+0.45%は他社の同種商品よりキツイ。
この市場調整価格だけに限らず、保険関係費など、本商品は全体的に手数料が多めだが、このあたりだけを見ても、本商品に入る理由はないかと思われる。
参考 保険金非課税枠のために本商品に入る場合
銀行の窓口で、
「資産を保険にしておくと相続税がかかりませんよ」
という謳い文句で、本商品を紹介されるケースも多いだろう。
保険金には「法定相続人✕500万円」までは非課税というルールがあるので、例えば、妻と子供1人という構成であれば、保険金1,000万円までは相続税がかからない。
このため、銀行では自行にある預金を「保険化しては?」というような提案をするのだが、本商品は死亡時に「支払った金額」は必ず保険金として戻ってくる上、変額部分で「多少は増える見込み」もあるので、このような保険金非課税枠に使われるのである。
この場合の選択肢として、本商品は悪くない。
ただし、前述の通り、「解約すると損をする可能性が高い」ため、絶対にやりすぎてはダメ。
老後、介護や病気などで思わぬところでお金が必要になることもある。
それらのことも考え、それでも「これくらいなら預けても大丈夫」という金額にしておくべき。
窓口の担当者の口車に乗って、身の丈以上の金額を預け、いざお金が必要となり解約した時に「損をした!!」と後悔しても遅い。
参考コラム:
ドル建商品の検討ってどうすればいいか?悩んだら
『ドル建商品の比較検討はこうすれば良い!!』
をご覧ください。
各社の外貨建終身保険の☆評価一覧は、コチラ
各社のドル建一時払終身保険の☆評価一覧は、コチラ
比較した方が良い商品