この保険の弱点はここだ!三井住友海上プライマリー生命「新通貨選択生存保障重視型個人年金保険(指数連動型)」

提供会社:三井住友海上プライマリー生命

商品名:新通貨選択生存保障重視型個人年金保険(指数連動型)
別名
選べるみらい年金:三井住友銀行
ふりかえるあしあと:三井住友信託銀行
みらいに届けるプレゼント:千葉銀行、横浜銀行

この保険の弱点はここだ!!

何だか得体の知れない商品だな。というのが第一印象。

また、パンフレットがあまりにも不親切で、これを見て内容が理解出来る人はほぼいない。

と言うか、一体、どのように運用しているのか全く分からない。

もちろん筆者が、それを理解できるだけの知識がないからかもしれないが、20年以上、金融の世界で生きてきてFP1級を持っている筆者ですら分からないのだから、まあ一般の人は推して知るべしだろう。

「こんな商品を銀行の窓口で売って良いのかね?」というのが本音。

さて、まずは本商品について、なるべく分かりやすく説明をしたい。

但し、パンフレットを読んでも、約款を見ても「分からない部分」が多いので、一部筆者の推測も含む。(誤っているなら、関係者の方々にご指摘頂きたい)

まず、本商品はカテゴリーとしては保険ではあるものの、基本的には運用商品。

契約者はまず、まとまった一時金を預ける。

それを「円」か「ドル」のどちらで運用するか決める。(三井住友信託銀行にて提供している「ふりかえるあしあと」では豪ドルも選択可能)

預ける期間は5年 or 10年。(三井住友信託銀行にて提供している「ふりかえるあしあと」では7年も選択可能)

積立利率は本稿を執筆している2023年1月29日時点では以下のようになっている。

米ドル 5年  3.80%
米ドル 10年  4.10%
円   5年  0.70%
円   10年  1.10%

利率は総じて高めに設定されているような印象。

本商品は、預けたお金を

① 上記の利率で運用する部分と

② 指数連動で運用する部分

の2つに分けている(多分)

実際の例を見てみよう。

例えば、1,000万円を預けたとする。

ここではドルで10年としよう。

預けた時に1ドル130円だとすると、1,000万円はすぐに76,923ドルとなる。

これを、① 60,000ドルと、② 16,923ドルに分ける。
注:実際にどの程度の割合で「分ける」のかは、商品やプランによって変わり、契約時に決定。上記はあくまで「こんな感じ」という一例。

①に関しては、先に述べた利率で運用する。

米ドル10年の場合、毎年4.10%。

この利率で10年間運用すると、60,000ドルは10年後に89,672ドルになっている。

つまり「元本(76,923ドル)」を超えて、これは「確実に戻ってくる分(年金や一時金など)」になる。

なお、本商品は販売されている金融機関によって「内容が微妙に違う」

そのため、上記の「割り振り」は商品やプランによって変わる。

パンフレット上の情報であ、三井住友銀行で販売されている「選べるみらい年金」よりは、三井住友信託銀行で販売されている「ふりかえるあしあと」の方が、①の固定利率で運用する部分が多めに設定されている印象。




次に②の「指数連動で運用する部分」

こちらに振り分けられたドルは「選べるみらい年金(三井住友銀行)」の場合、ソシエテ・ジェネラルが設定している「FIAグローバルバランス指数P」に連動した運用を行う。

なお、「ふりかえるあしあと(三井住友信託銀行)」では、ソシエテ・ジェネラルの代わりにBNPパリバの「ラップ戦略指数P」が使われている。

ソシエテ・ジェネラルもBNPパリバもフランス系の金融機関。(BNPパリバが首位、ソシエテが2位。日本で言えば三菱UFJと三井住友銀行のようなイメージ)

パリバは、この手の一時金払系の商品の裏方としてよく出てくるのだから、ソシエテ・ジェネラルはあまり聞かない。

一生懸命営業して、どうにかBNPパリバから一席を奪ったのだろう。

で、本商品。

このあたりの「運用」に関しては極端に情報が少ない。

おそらくは、この指数を対象としたオプション取引でもしているのだろうが、実際に何をどう運用しているのかは不明。
(どこかに書いてあるのかもしれないが、ざっと読んだ感じでは見つからないので情報提供不足感は否めない)

この指数に連動した部分が、先に述べた元本に「上乗せ」されるのだが、そこには以下のようなルールがある。

「選べるみらい年金(三井住友銀行) ルックバックコース」
「ふりかえるあしあと(三井住友信託銀行)」

・運用開始日(基準日と言う)の指数の「数値」と、運用期間中の「最高値」の差。その上昇率に応じて「上乗せ分」が決まる。

例:基準日 90 最高値 110の場合、+22.22%が適用

・運用開始日(基準日と言う)の指数の「数値」を運用期間中、一度も上回らない場合には、「上乗せ分」はなし。

「選べるみらい年金(三井住友銀行) 満期判定コース」

・運用開始日(基準日と言う)の指数の「数値」と、満期前日の「指数」を比較し、上がっていれば「上昇率に応じて上乗せ」
下回っていたら「なし」

例:基準日 90 満期前日 110の場合、+22.22%が適用
基準日 90 満期前日 89の場合、ゼロ

まあ、このあたりも何だかよく分からない。

これでも、なるべく「分かりやすい」ように書いたつもりだが、本文を読んでチンプンカンプンという方も多いだろう。

以上、商品概要。

では弱点。




弱点1 「ルックバック」に騙されるな!!

本商品の最大の「売り」がルックバックと呼ばれる謎の機能。

前述の「上乗せ分」に関して、運用期間中、日々上下する「指数」の最高値が適用されるというもので、過去の最高値を「ルックバック(振り返る)」出来ることから、この名が使われている。

これも、おそらくは「ルックバック・オプション」から流用している用語だろう。

少々、小難しい話になるが、オプション取引には「ルックバック・オプション」というものがある。

まず、この話をする前に、オプション取引について簡単に触れたい。

オプション取引とは、株や債券などの「リアル」な取引に連動した指数に賭ける取引。

例えば、日経平均が上がるか、下げるかに賭ける日経225オプションなどがある。

日経平均自体は、各銘柄の売り買いの結果として、日々上下している。

その結果が日経平均(指数)なのだが、この指数そのものをギャンブルに対象にするのがオプション取引である。

ある者は 「1ヶ月後の日経平均は『下がる』」と読む。対してある者は「いや『上がる』」と読む。

下がる派、上がる派がそれぞれいて、自分の金を張るわけだ。

実際にはコール(買い)、プット(売り)という権利(オプション)を組み合わせた複雑なものなのだが、その本質はギャンブルでしかない。

このようなオプションの中に「ルックバック・オプション」がある。

ルックバック・オプションとは、ある一定期間の中で、終了時点で過去の最高値で「売る」ことが出来るオプション(権利)

本商品の場合で言えば、

10年間の運用期間中の最高値で「売る」権利を「買っている」のである。(多分)

前項にて本商品に1000万円を米ドル、10年間で預けた場合、

・固定利率部分の60,000ドルと、

・指数に連動する16,923ドルに

分けるのでは?と推測したが、この16,923ドルで先の権利を買う。




受け手はソシエテ・ジェネラルやBNPパリバだろう。(これも推測)

契約者 

「10年の中で、後から『ルックバック(振り返って)』して最高値で売れる権利を得るために16,923ドルを支払う」

受け手 

「良いでしょう。その代わり、基準日を一度も超えなかった時には、その16,923ドルは没収します」

こういう取引が成立している。

だが、冷静に考えてみて欲しい。

こんな不利な取引、あなたなら受けるだろうか?

10年間もの長期間で、後から「最高値で売れる」

そんな都合の良い話があるか?

競馬で言えば、レース結果を見てから馬券を買えるようなもの。

しかも相手は世界を相手に戦う海千山千のフランス系金融機関だ。

もちろん裏はある。

掛金19,923ドル(繰り返すが推測)のルックバック・オプションというギャンブルの「オッズ」だ。

つまり、勝った時にいくら貰えるのか?ということ。

これも推測ながら、

多分、トントンくらいか、下手したらマイナス

だろう。

19,923ドル張って、指数の最高値で売っても、リターンはせいぜい1,5万ドル~2万ドルくらいではないだろうか?

つまり、受け手は19,923ドルを受け取って、10年後に1.5万~2万ドルを返すだけ。

差額で儲かるし、かつ預かった資金は、この10年間で運用できるので、その運用益分がプラスになる。

しかも、この指数を管理しているのが、受け手である金融機関である。

まさか、恣意的にそこの数値をコントロールする(わざと下げる)ようなことはしないだろうが、それでも

「やろうと思えばできる」

というのが怖い。

冷静になって考えれば分かる。

金融機関は儲からないことは絶対やらない。

「過去をルックバック出来る」などということは原則的にはあり得ない。

しっかりと統計分析をして「絶対に損しない掛金とリターン」を設定しているはず。

だが、本商品では、このルックバックを強烈にアピールしている。

「そんな夢のようなことが出来るのか!!」

金融リテラシーの低い老人などはたまげて腰を抜かしてしまうかもしれない。

しかし、裏側では世界レベルの金融機関相手に、分の悪い勝負を引き受けているだけのこと。

これをやるくらいなら、始めから全額、定率の4.10%で運用しておいた方が確実に増えるだろう。

本商品の本質は、本来得られる「金利分」を、あちこちの金融機関にかすめ取られているだけかもしれない。

なお、ここで述べたことは全て筆者の推測。

だが、当たらずとも遠からずというところだろう。




弱点2 途中解約に大きなペナルティ!!

本商品には、解約時に市場調整価格が適用される。

これ自体は、一時払系の商品には普通のことだが、一応、こういうリスクがあるということだけは理解しておいた方が良い。

市場調整価格については、以下コラム参照のこと。

参考コラム:市場価格調整とは?

この保険の弱点、こう考えろ!!

あまり他人様の商売を邪魔したくないが、ちょっとこの商品は嘘臭い。

裏側が全てブラックボックスになっていて、全容が全く分からない。

また、銀行の窓口で保険に入るような人は高齢者が多いので、正直、その高齢者がこの商品を理解出来るとは思えない。

「ルックバックって凄い!!」

と思い込んで、お金を預ける人もいるかもしれないが「良く分からないもの」に金を預けるのは、ただのギャンブルでしかない。

やめておきななさい。というのが率直な感想。

この商品に入るくらいなら、預けたお金の全額を決まった利率で運用してくれる商品の方が良い。

保険ショップなどに行けば、いくらでも資料をくれる。

大きなお金を預けるのだから、銀行の窓口で安易に決める前に、しっかりと調査した頂きたい。

口コミ(販売側から)

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編集後記

約款

注:どうでも良いが三井住友海上プライマリーの商品は、約款が非常に見つけにくい。
現役で販売されている商品の約款はサイトに記載されているが、過去の商品は契約者が知る「約款コード」がないと見れない。
約款コードなどいつ紛失してもおかしくないので、仮にそれがないとなると、簡単に約款が見れないということ。
このあたりもユーザーライクとは言い難い。