提供会社:明治安田生命
商品名:えらべる外貨建一時払終身

参考コラム:
外貨建一時払終身保険特集!!
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利率と利回りの関係を知りたい方は・・・
「超」わかりやすい!!予定利率と利回りの違い!!』
この保険の弱点はここだ!!
明治安田生命が、銀行窓口向けに卸している商品だが、正直なところこの分野(外貨建の一時払商品)では明治安田はあまり存在感がない。
と言うか、それほど力を入れていない印象で、銀行の窓口でも、この商品が勧められているところをあまり見ない(筆者が知らないだけかもしれないが)
商品としては、単純な「ドル建貯金」のようなもので一時払で支払った日本円を米ドル、豪ドルに換えて運用していく。
選べるのは以下の3タイプ。
・増やすタイプ
純粋な貯金のようなもの。一定の利率で増えていく
・受け取るタイプ
毎年の「増えた分」をお小遣いのような形で受け取れる
・贈るタイプ
一時払したお金は「運用しながら(ちょっとづつ増えながら)」も、一定金額を子や孫などに贈与される
の3タイプ。
それぞれの詳細は以下の通り。
・増やすタイプ
加入時に「第1保険期間」というものを決める。
設定は、5・7・10年から選択。
第1保険期間中の死亡保障は基本的に「一時払いした金額(ドルベース)」
第2保険期間以降は死亡保険金が増加する。
契約時に初期費用として、以下の手数料がかかる。(第一保険期間に選択によって変動)
5年:2.0%
7年:2.8%
10年:4.0%
イメージ図(パンフレットから抜粋)
・受け取るタイプ
毎年の運用成果を、お小遣いのような形で受け取ることができる。
死亡保障は、一時払保険料の金額(ドルベース)を保証。
契約初期費用は、0歳~65歳で4.40%
当初10年間の予定利率は契約時のものが続くが、10年後にはその時の状況に応じて変動する。
イメージ図(パンフレットから抜粋)

・贈るタイプ
契約後すぐにや孫に生前贈与を開始する。
贈与の回数は15回 or 20回から選択可能。
贈与の途中に死亡した場合、
一時払したお金(ドルベース) - 既に贈与を実行したお金
この差額が受取人に支払われる仕組み。
生存給付金の円建の上限額を指定するオプションが用意されており、毎年の贈与金額を、円換算額で設定できる。
例としては、毎年110万円(基礎控除額)以下に設定しておいて、ある年の為替が「円高(1ドル120円など)」で、贈与金額が日本円で110万円を超えてしまう場合、それを超えた分は、翌年以降に繰り越しする。
最終支払時にも繰り越す分が残っている場合には契約者に返却する。
契約時に初期費用が必要。
贈与15回の場合:4.95%
贈与20回の場合:5.50%
弱点1 初期費用が嫌だ
この商品、外貨建一時払商品としては「古いタイプ」にあたる。
契約時に初期費用があるが、最近の商品は「初期費用なし」を謳うものが多い。
どのタイプに入るか?期間をどうするか?によっても異なるが、初期契約時に2~5.5%程度の初期費用がかかる。
例えば1,000万円を預ければ、20万(2%)から55万(5.5%)の初期費用がかかることになるので、
いきなりマイナスからスタートする
ということになる。
予定利率は全般的にライバル商品より「高め」ではあるが、このスタート時のマイナスを埋める(もとに戻すため)に、どのタイプでも2.3年かかる計算で、結局、その期間はムダである。
結局のところ、この初期費用というのは明治安田と販売をする銀行の「利益確保」であり、手間賃とも言える。
初期費用がかからない商品は、始めに手間賃を取れないので「後から回収」するしかない。
そのため、予定利率を低めに設定して、「上振れ」する分が保険会社や販売する銀行の利益に充てられる。
初期費用がないタイプ → 予定利率が低い(運用していく中で手数料を取られていく)
初期費用があるタイプ → 予定利率が高い(その代わり、始めに手数料を取られる)
こんなような関係だと思えば分かりやすい。
本商品は後者のタイプ。
「初めにお金を取られても、利率が高い方が10年後には増えるのでは?」
という意見もあるだろうし、
「それでも初めに減っちゃうのは嫌だよね」
と考える人もいるだろう。
10年後にどうなっているのか?という点については、各社の設計書を並べて比較してみるしかない。
性別な年齢などによっても将来のリターンは変わってくるだろうが、うーん、どうだろう。
筆者は「多分、そんなに変わらないんじゃないか?」とは思う。
予定利率が高くても「当初2.3年はムダ」というのは痛い。
実質的に運用が開始するまでのタイムラグがあるので、後半早くても(利率が高くても)結局のところゴールは同じくらいなのではないだろうか。
だったら「初めに減る」という方が嫌だ。
運用商品なのだから、やっぱり翌年からちゃんとリターンが出て欲しい(どちらと言うと精神衛生上の話)
その点からも、このような「初期費用がかかる商品」はあまりお勧めできない。
特に、毎年の運用益をお小遣いのような形で貰える「受け取るタイプ」、贈与を代行してくれる「贈るタイプ」
この2つは何のメリットがあるのか分からない。
初期費用を払ってまで、お小遣いをもらうことと、贈与代行をお願いする理由なんてあるか?
と思ってしまう。
どちらのタイプも他社で「初期費用がかからないもの」があるので、この2つのタイプに関しては絶対にそっちの方が良い。
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弱点2 今が良いか?
前項でも述べたが、本商品は「見た目」の予定利率は高い。
だが、それでも1.75%(2020年6月末日時点:ふえるタイプ10年選択の場合)程度。
この商品には為替リスクがあり、為替は1.75%程度は余裕でブレる。
リスクとリターンが合っていないと感じるし、今はコロナ禍によりどの商品の利率も落ち込んでいる。
コロナによってアメリカの中央銀行が大規模な金融緩和をしているため、金利が低下。
それによって保険会社がこのような商品で運用の中心に据える米国債の利回りが低下しているのである。
だから、この程度の利率となってしまう。
ちょっと前には3%、4%が当たり前だったのだが、急激に落ち込んだ。
今やるべきか?
そう問われれば「やめておいた方が良い」としか言いようがない。
少なくとも筆者の親が「契約する」と言い出したら止める。
弱点3 市場調整価格
本商品だけに限った話ではないが、このような商品には解約時に「市場調整価格」というものがある。
加入した時に金利
と
解約した時の金利
を比較して、その「差」に応じて、返戻金が増減する仕組みで、加入した時より解約した時の金利が下がっていれば返戻金が増える。
逆に加入した時より解約した時の金利が上がっていれば返戻金は減る。
単純に言えば「金利=景気」だと思えば良い。
金利が低い → 景気が悪い
金利が高い → 景気が良い
こういう構造。
景気が良い(金利が高い)時に入って、景気が悪い(金利が低い)時に解約するのがベストである。
では今はどうか?
誰がどう見たって景気が悪い。金利も低い。だから予定利率も低い。
今入ったらどうなるか?
1,2年で見れば「今より悪くなっている」可能性もあるが、それ以降には景気が上がっている可能性が高いだろう。
だとすると市場調整価格が大きくマイナスに働き、返戻金が大きく減るリスクがある。
この点からは「今は最悪」と言える。
市場調整価格の詳細について知りたい方はコチラ(市場調整価格とは?)
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弱点4 銀行から入る必要があるか?
そもそも論だが、この手の商品に銀行から入る必要はあるのだろうか?
筆者は銀行の窓口販売には非常に懐疑的。
まず一番のデメリットは担当者がコロコロ変わってしまうこと。
2,3年おきに支店を移動するので、加入した時に熱心に説明してくれた担当は絶対にいなくなる。
このような商品は運用期間が10年を超えることが多いのに、加入時に経緯や事情に精通した人がその後にフォローしないのでは話にならない。
これは銀行窓販の構造的な欠陥だと思っている。
本商品が明治安田が銀行の窓口販売用に提供していることは既に述べたが、明治安田の営業職員も販売できるかどうかは分からない(当サイトの調査不足)のだが、入るなら長い期間ちゃんとフォローしてくれる保険会社のベテラン職員からの方が良いのではないか?