この保険の弱点はここだ!エヌエヌ生命「生活障害保障型定期保険」

提供会社:エヌエヌ生命
格付:S&P A+

商品名:生活障害保障型定期保険

この保険の弱点はここだ!!

法人向けの節税商品で、「長期定期」という分野に分類される。

法人保険の税制改正前は「全額損金」の花形商品でかなり売れていたが、今はボチボチという感じ。

商品としては、死亡+生活障害状態(エヌエヌ生命独自の言い方)の時に保険金が支払われる。

生活障害状態とは、以下の状態を指す。

・「歩行」に関して全部介助 or 一部介助

・更に「着替え」、「入浴」、「食事」、「トイレ」の4つの項目の中で、2つ以上が全部介助か、一部介助である必要がある。

・器質性認知症、かつ見当識障害

まず、1人で歩けない(歩行)ことが大前提で、その上で、先の4つのうち2項目以上についてサポートが必要な状態。

そのため「1人で歩けるけど、食事とトイレだけ介助が必要」という状態ではダメということ。

もしくは、器質性認知症を患い、見当識障害がある状態。このあたりの「語句」については、以下コラム参照のこと。

参考コラム:認知症の基礎。器質性認知症、見当識障害、MCIとはどんな状況?

まあ、どちらも「結構な介護状態だよね」という感じ。

平たくいえば、死亡+介護(重度)で支払われる保険だと思えば良い。

なお、本商品では死亡に「生活障害状態(実態は介護)」という保障を上乗せすることで、保険料を「わざと」上げている。

例えば、50歳男性で1億円の保険金の場合「死亡だけ」なら、年間の保険料が300万円だとしよう(あくまで例え話)

しかし、そこに生活障害の保障を乗せることで、保険料を400万円にしている。

通常、個人が入る保険なら保険料は「なるべく安い」方が良いのだが、法人の場合、逆で保険料は「高い方が良い」のである。

保険料の一部を損金として、決算対策に利用するので「金額が大きい方がありがたい」のである。

何とも特殊な世界だ。

本商品も、そのようなニーズに答えるために、あえて「余計な保障」を乗せて販売している。

商品構成は、

・4割損金  最高返戻率 85%以下(75から80%くらいのケースが多い:年齢、性別によって変わる)

・全額損金 最高返戻率 50%以下

という2パターンが主流で、前者は経営者の退職金原資の積み立て、後者は「とりあえず目の前の税金を下げたい」というようなニーズを満たす。

弱点1 節税にはならない!!

冒頭「節税商品」と述べたが「節税商品」と言うのには、少々抵抗がある。

確かに「目先」の節税にはなるが、一過性のことで、最終的には解約時の返戻金に課税されてしまうからだ。

そのためトータルでは節税にはならない。

このあたりの詳細は、以下コラムをご参照頂きたい。

参考コラム:法人保険の「節税」今、昔。原則的に保険で節税は出来ないよ、という話

と言うことで、本商品における

・4割損金(最高返戻率85%以下)
・全損(最高返戻率50%以下)

も、どちらも節税にはならないのだが、経営者というのは欲深いと言うか、

「掛け捨てとかって何かイヤ!!ちょっとでもお金を貯めたい。あと節税したい」

というような人が多い。

そのため、本商品のようなもので、「目先」の節税をする。

だが、この手の保険は、解約時の返戻金が雑収入として計上されてしまい、その時に法人税を取られるため

「絶対に節税にはならない」

のだが、それでも「後のことは、その時、考えれば良い」というのが、多くの経営者の性格でもあり、先のことなど考えない。

とにかく、目先の税金が減れば良い。

そして数年後。

解約して返戻金が戻ってきて、それにはそのタイミングで課税されてしまうのだが、その時には加入時のことなど忘れていて、

「お金が戻ってきた!!やったー!!」

という感じで無邪気に喜ぶ。

過去は振り返らない。死んだ子の歳を数えるような真似はしない。

率直に言って、頭が良いとは言えないが、そんな性格でないと会社経営など出来ないのだろう。

そんなわけで、本商品のような「合理性がない」ものも不思議とそれなりには売れている。

こればかりは、双方が納得しているのであれば、別に他人がとやかく言う事ではないが・・・

弱点2 生活障害状態のハードルが高い

先にも述べたが、本商品では死亡と「生活障害状態」で保険金がおりるのだが、この生活障害状態のハードルが高く、なかなか合致することはない。

それなのに保険料だけは異様に高い。

これは前述の通り、損金を大きくするために「わざと」保険料を高くしているのだが、それにしても実質的にはほとんど意味がない保障のために保険料を支払うのも、何だかな、とは思う。




弱点2 エヌエヌ生命の信頼度

以下参照

保険会社総論

この保険の弱点、こう考えろ!!(解決策)

貯蓄がどうこう、節税がどうこう、という話ではなく「純粋な保障」として入るなら「あり」だとは思う。

実質的には「介護保障付きの死亡保険」のようなものなので、介護のリスクが上がってくる、50代後半とか60代の経営者が自分が社長でいる間(70歳~75歳くらい)までの間「保険」として入るなら、通常の「掛け捨て」の保険より、実質的に負担する保険料は安く済む。

実際の例(パンフレット掲載例)を計算してみよう。

55歳 男性
95歳満了
保険金 1億円
保険料 4,291,700円

4割損金なので、ざっと毎年172万円が損金となる。

法人税を30%とすると、毎年51万円ほど「節税」出来ている計算。

これが、10年続けば、51万円×10年=510万円ほど節税出来ていることになる。

そして10年後、65歳の時に解約をする。

総支払保険料は4,292万円、解約返戻金は3,115万円(72.58%)

だが、この解約返戻金の一部には「課税」される。

3,115万円のうち、2,575万円しか資産計上されていないからだ。

そのため、この差額540万円には法人税30% 162万円が課税される。

この10年間で節税出来ていたのは510万円だが、10年後に162万円を支払うことになるので、実際の節税額は348万円。

なお、支払った保険料4,292万円と、返戻金3,115万円の差額1,177万円は「保障」を得るための、純粋な保険料ということになる。

だが、348万円ほど「節税」出来ているので、失った保険料1,177万円のうち348万円は節税によって取り返しているので、実質的な負担は

1,177万円 ー 348万円 = 829万円

となる。

10年間で829万円。毎月にならせば6.9万円ほど。

毎月6.9万円の保険料で、55歳の男性が1億円の保障(死亡+介護)が得られるのであれば、これは安いと言える。

だが、節税という面では、節税にはなっていない。

348万円節税するために、保険会社に1,177万円とられており、

「税金は減ったけど、それよりかなり高いお金を保険会社に収めている」

ということになる。

手元に残るお金のことだけを考えれば、保険に入らず、税金を支払い、フリーキャッシュを手元に置いておいた方が良い。

結論としては、

メインを節税でなく、保障として考えるなら悪くない

ということになる。

口コミ・評判(販売側から)

・なし

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保険会社勤務、代理店勤務の方でも、販売現場の情報や、当サイトで指摘していない弱点(デメリット)などには謝礼(amazonカード300円)をお支払い致します。

口コミ・評判(契約者から)

・なし

比較した方が良い商品

「長期定期」という分野は、プレイヤーも多く、筆者の感覚では、アクサ、ジブラルタ、あいおい、ひまわり、ネオファースト、マニュライフあたりが強いかな?という印象。

だが、「どこか良いか?」という点はかなり流動的。

年齢、性別、健康状態などによっても変わるので、一概に「ここがベスト」とは言いにくい。

「4割損金」、「全額損金」などの条件を代理店に提示し、一覧表などを作らせ、数字が一番良いところを選べば良いのではないか?

編集後記

約款

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