この保険の弱点はここだ!太陽生命「My介護Best(一時払)」

提供会社:太陽生命

商品名:My介護Best(一時払)

この保険の弱点はここだ!!

参考コラム:
介護保険の基礎を学びたい方は、まず

『民間の介護保険は必要か?「介護保険の考え方」』
『介護付き終身保険のメリット・デメリット』
をご覧いただきたい。

介護/認知症保険の総論について以下でも音声にて解説してます!!

 

それでは、この商品の弱点について解説をしていこう。

太陽生命の販売するMy介護Best(一時払)は介護の保障に重点を置いた一時払型の保険。

ある程度まとまったお金を一度に預け、

・預けたお金を運用してくれる

・介護状態になったら介護年金を受け取れる

・介護にならず死亡した場合には元本(一時払いしたお金)か、運用して増えた金額の「多い方」を返してくれる

という特徴がある。

この商品で言うところの「介護状態」とは、

・要介護2(国の公的機関の認定)

・太陽生命独自の基準

の2つがあり、どちらかにあてはまれば介護年金の支給対象となる。

要介護2以上というのは、他社の介護関係の商品でもよく支払い条件に挙げられている。

また、太陽生命の独自基準に関しても、

・歩行
・衣服の着脱
・入浴
・食事
・排泄

の5項目のうち、2項目以上が「全部介助」もしくは「部分介助」が条件となっているが、これも他社なみ。

支払い条件は、緩くも、厳しくもない、という感じで他社平均レベルだろう。

では具体的な弱点を解説する。




弱点1 わざわざ入る意味がない

商品として、「良い、悪い」と論じる前に、この商品、入る意味がない。

少なくとも筆者は、それを見出すことが出来ない。

ここでは65歳 男性が500万円を一時払いしたケースで解説したい。

まず500万円を一時払いする。

この保険には以下の4つのストーリーがある。

1 朝日生命が運用を行い、資産を増やす

2 介護状態になって介護年金を受け取る

3 介護になった後、死亡し、死亡保険金を受け取る

4 介護にならず死亡し、死亡保険金を受け取る

まず1だが、65歳で500万円を預けた場合、将来の返戻率(どれくらい増えるか)は以下の通り。

10年後 75歳 100.1% 500万8,580円 (+8,580円)
20年後 85歳 100.6% 503万1,870円 (+3万1,870円)
30年後 95歳 101.0% 505万600円  (+5万600円)

今の運用環境(超低金利)を考えれば仕方ないが、それにしても少ない。

30年預けて1%しか増えないのであれば、個人向け国債でも買っておいた方がまだマシだろう。

2020年1月時点の個人向け国債の利回りは0.05%程度なので、10年持っていれば0.5%(0.05%×10年分)、20年で1%(0.05%×20年分)にはなる。

「国債以下」

というのは投資対象としては失格。

運用先、投資先としては魅力はない。

次に2。介護になった場合。

65歳 男性で500万円を一時払した場合、介護状態(要介護2 or 朝日生命が定義する状態)になると年金が受け取れる。

1回目の年金が50万6,300円。2回目以降が25万3,150円。

とは言え、これは自分が預けたお金を分割で返してもらっているだけの話。

年金を19回受け取ると、総額が506万3,000円となり、支払った500万円を超える。

しかし、実際問題として介護状態が19年も続くことはほぼない。

統計データでも介護の年数は「10年以下」で90%を超えており、19年も介護状態にあるような人はレア。

「絶対いない」とは言わないが、何百人に1人だろう。




そのため、ほとんどのケースで、3の

介護になった後、死亡し、死亡保険金を受け取る

になると推測される。

この場合、残りに期間の介護年金をまとめて受け取れる。

なお、残りの期間とは

19年 - 今まで年金を貰った回数

で計算する。

先ほどの例で言えば、介護を10年間、そこで死亡した場合。

19年 - 10年 = 9年分

介護年金は25万3,150円なので、

25万3,150円 × 9年 = 227万8,350円

が受け取れる。

今まで受け取った介護年金と合わせると506万3,000円となるので、6万3,000円のプラスということになる。

最後に4、介護を経ずに死亡した場合、これは

元本 500万円

もしくは、

解約返戻金

のどちらか大きい方を戻される。

1の運用で解説した通り、本商品は10年後以降、多少は増える。

もう一度、将来の返戻金を見てみよう。

10年後 75歳 100.1% 500万8,580円 (+8,580円)
20年後 85歳 100.6% 503万1,870円 (+3万1,870円)
30年後 95歳 101.0% 505万600円  (+5万600円)

例えば85歳で亡くなった場合、解約返戻金は503万1,870円。

つまり500万円より「増えている」ので、この場合、503万1,870円を受け取れる。

以上、本商品に加入した場合の4つのストーリーを解説したが、運用にせよ、介護にせよ、死亡した場合にせよ、ほとんど増えていない。

唯一、大きくリターンを得られるのは、

介護年金を「20年超」受取り続ける場合

だけ。

19年目で既に元本をうわまっているので、それ以上に長生き(介護状態のまま)すれば、介護年金は亡くなるまで給付されるので、元本の500万円を超える。

しかしながら、要介護2以上の状態を20年以上も続けることは、本人も周りも望んでいないだろう。

筆者であればなるべく早くこの世からお暇したい。

話をもう一度整理しよう。

本商品では、当初預け入れた金額を500万円とすると、

運用 or 死亡 → 500万円が30年後に505万円(101.0%)

介護(19年以下)を経て死亡 → 506万円(101.3%)

介護(20年超) → 500万円以上の給付金

ということになり、預けた500万円がなくなったり、損失したりすることはないものの、ほとんど増えもしない。

前述の通り、「個人向け国債(年利0.05%)」でも買っていた方がまだマシという結論になる。

 

参考コラム:
介護保険の基礎を学びたい方は、まず

『民間の介護保険は必要か?「介護保険の考え方」』
『介護付き終身保険のメリット・デメリット』
をご覧いただきたい。

他社の介護保険の☆評価一覧は、コチラ




弱点2 介護になった時の自由度が低い

本商品のメインテーマである「介護」という場面を考えても、実際にその状態になった時、本商品では「年金形式」でしか給付を受けられない。

本来、自分のお金のはずなのに、そこに「鍵」がかけられている状態で、なんとも不自由。

対して、自分で持っていれば、介護を行う親族の判断で使える。

筆者自身も親の介護を経験しているが、介護には不測の事態が多くつきまとう。

お金など大してかからない時期が長く続いたと思えば、急に症状が進み、施設への長期間の入所が避けられないようなこともある。

お金は手元に置いておいた方が無難だろう。

大きく増える可能性があるなら投資しても良いが、弱点1で解説した通りわずか1%程度の利益のために「鍵」をつけるべきではないと考える。

比較した方が良い商品

朝日生命 あんしん介護 ★★☆☆☆

ジブラルタ生命 米国ドル建介護保障付終身保険(低解約返戻金型) ★★★☆☆

SOMPOひまわり生命 認知症保険 笑顔をまもる認知症保険 ★★★☆☆

明治安田生命 認知症ケアMCIプラス ★★☆☆☆

 

参考コラム:
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『介護付き終身保険のメリット・デメリット』
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