この保険の弱点はここだ!マニュライフ生命「未来を楽しむ終身保険」

提供会社:マニュライフ生命

商品名:未来を楽しむ終身保険

この保険の弱点はここだ!!

参考コラム:
ドル建商品の検討ってどうすればいいか?悩んだら
『ドル建商品の比較検討はこうすれば良い!!』
をご覧ください。

マニュライフ生命の「未来を楽しみ終身保険」は一時払いの外貨建て運用商品。

主に銀行の窓口で販売されている。

筆者、個人としては、なかなか面白い商品だとは思うが、

「これを銀行で売るか?」

というのが率直な感想。

面白い、と言ったのは金融に精通する人間であれば、

「こんな商品、個人が銀行で手軽に買えるんだ。(と言うか、販売しちゃうんだ・・・)」

という意味で、やや嫌味でもある。

一言で言えば、複雑すぎる。

であるから、この解説ページを見て、「まったくチンプンカンプン」という方はやらない方が良い。

銀行の担当者のセールストークに踊らされるだけ。

では、まずは根本的な商品説明からいこう。

なお、マニュライフのサイトにある情報から分析しているので、サイトの図などを見ながら読んで頂く方が分かりやすいだろう。

本商品には「ターゲットタイプ」と「定期引出タイプ」の2つがあるが、まずはターゲットタイプから。

ここでは円で1,000万円を支払い、その時の為替が110円だった。こんな場合で説明する。

そもそも、ターゲットタイプの「ターゲット」とは何なのだろうか?

これは専門用語では「円転」と言うもので、例えば外貨(米ドル or 豪ドル)で運用している途中、急激に円安(110円が130円になる)になった時、

「今、円に換算したら1,000万円が、110%の1,100万円になってるよね」

というタイミングがある。

この時に運用していた外貨を強制的に円に転換して(円転して)、利益を確定させてしまう方法。

これを契約時に110%,120%,130%,140%,150%,200%で設定しておく。

「私は110%にでもなれば御の字。」

という方であれば110%を設定しておけば良いし、

「いやいや、私はもっと利益が欲しい。」

という方は130%とか150%を指定すれば良い。

但し、これは「たられば」の話。

運用が上手くいって、為替が円安に振れて、という2つの良い条件が重なった瞬間に発動されるだけで、当然ながら130%を指定したからと言って130%になるわけではない。

そのため、営業の現場では、120%、130%あたりは

「基本的には最後まで外貨で運用したが、もし120、130%まで伸びるならそこで利益確定したい方向け」

150%、200%は

「最後まで外貨で運用したいので、円転しないで欲しい方向け」

という方に説明しているのではないか?

まあ、率直に言って130%なんて運用が相当上手くいって、1ドル130円くらいまで行かないと無理だろうから、実際には現実的ではないのだが、なかなか上手く射幸心を煽っている。

まず、これが「ターゲット」の概要。

本当に「ターゲット(目標)」でしかないということを理解するべき。




次に「定額部分」と「変額部分」の説明。

本商品はお金を入れた瞬間、「定額」と「変額」の2つに分けられて運用が始まる。

1,000万円を支払った場合、定額900万、変額100万円、もしくは定額950万、変額50万円。というイメージ。

この「割合」は、最低保証と入るタイミングによって変わる。

最低保証は100%と110%から選択出来るのだが、10年もしくは15年後の満期の時に、預けたお金の100%、もしくは110%を「保証」するというもの。

例えば1,000万円を入れて米ドル(入れた時の為替は110円とする)で運用する。

1,000万円は9万909ドルになる。

この9万909ドルを10年後に100%保証して欲しい。

これが10年 100%保証。

この9万909ドルを15年後に110%になることを保証して欲しい。

これが15年 110%保証。

但し、保証されるのはあくまでドルベースで、円ではない。

10年後に9万909ドル(100%)戻ってきても、その時に為替が1ドル80円であれば損をしてしまう。
(但し、ドルで受け取ることも出来るだろうから、ひとまずはドルで受け取っておいて、為替が回復した時に円に換えれば良いだけ。別に損が確定するわけではないが)

この最低保証と、積立利率で、先の「割合(定額と変額)」が決まる。

2019年9月29日時点での利率は以下の通り。

米中貿易摩擦に端を発したFRBの利下げが反映され、利率も随分と下がってしまった。

米ドル 10年で0.5%。

この利率は10年間固定される。

ざっと10年間で+5.1%という感じだろう。

と言うことは、9万909ドルのうち、8万6500ドルを定額に入れておけば、これが+5.1%増えるので、10年後には自動的に9万909ドルになる。

これで「元本保証」ということ。(あくまでドルベースだが)

定額部分に8万6500ドルを使ってしまっているので、変額部分は

9万909ドル - 8万6500ドル = 4409ドル

となる。

ざっと、950万円が定額、50万円が変額。

という感じだろう。

つまり、利率が高ければ高いほど、元本保証に必要な定額部分が減るので、変額部分が増える。ということになる。

あくまで筆者の手計算だが、15年だと利率が1.25%と随分上るでの、定額部分は7万1,000ドル程度で済む。

そうなる変額部分が2万ドルくらいに設定できる。

流石に変額部分が50万円しかないと、あまりにも原資が少ないので、どんなに運用が上手くいっても旨味がない。(利益が知れている)

そのため、セールスの現場では「15年 1.25%の方が変額部分も大きく旨味がある」というように誘導しているのではないだろうか?

つまり定額部分は、マニュライフが指定した金利(保険では利率と言う)で貯金しているようなもので、10年後に100%、15年後に100%になるのは当たり前の話。

ちなみに余談だが、10年後に110%保証というのは、理論上、不可能だ。

0.5%だと前述の通り、10年で5.1%程度の投資効果しかないので、入れたお金をそのまま運用しても105.1%になるだけで110%に届かない。

そのため、銀行窓販に勤務する知人に聞くと「10年110%は確か売り止めになったはず」とのことだった。

このあたりは、直接問い合わせて欲しい。




さて、それでは肝心の変額部分に行きたい。

この変額部分。

別にマニュライフが運用を行っているわけではない。

裏にはPNBパリバというフランス系の投資銀行がいる。

投資はこのPNBパリバが設定している「ダイナミックベータ戦略連動債券」というものにされてるのだが、この名前自体はパリバが適当に付けているだけなので、さしたる意味はない。

投資先は、国内株式、海外株式、各国の先物債券、金、銀などの現物、そして各国通貨など。

そこにオプション取引、デリバティブ商品を組み合わせている。

このような商品を専門用語で「仕組債」と言う。

極めて複雑な商品で、まず素人には理解出来ない。

とは言っても、別段、全てを理解する必要もないし、そこまで情報開示もされていないので、要は

「パリバにお任せ」

ということ。

筆者のように金融の世界が長いと、

「うーん、パリバか」

とは思ってしまう。

今をさかのぼること12年前。

あのリーマンショックの引き金を引いたのがパリバだった。

当時、パリパが運用していたサブプライムに関連したファンドを突然、

「解約凍結(解約できない)」

と顧客に通達し、それが一気に信用不安をもたらしてリーマンショックに繋がった。

しかし、別にパリバが悪い会社だと言っているわけではないし、リーマンショックは起こるべくして起こったので、パリバが原因ということではない。

あくまで筆者のイメージなので、悪しからず。

本商品の「変額」で使われている仕組債は、そこまでリスキーなものでもないし、2015年11月の設定からの騰落率(どれくらい増えたか)は61%程度。

4年で+61%は凄い!!

と思うかもしれないが、この4年間、様々なものの値段が上がった。

もっと分かりやすい投資信託で、ここ4年の騰落率が80%を超えているようなものはゴロゴロあるので、その点、この仕組債は複雑なわりに61%。

「まあ、こんなもんかな」

という感じもする。

ここで話を整理する。

・まず、定額部分は単純に言えばドルの定期預金。

・その金利は0.5%(2019年9月29日現在)

・変額部分の実態はPNBパリバが運用する仕組債

・その仕組債の中身は、株式、各国の先物債券、現物資産、各国通貨で運用。デリバティブ、オプションを他用しているっぽい

・4年間の騰落率は61%(2019年8月レポートより)

・優秀な投資信託よりは見落とりするが、悪くはない

これが筆者の分析。

なお、「ターゲットタイプ」とは別に、もう一種類ある「定期引出タイプ」は、変額部分で増えた分を毎年分配するもの。

定額部分で元本保証し(あくまでドルベースだが)、変額部分で儲かった分を毎年受け取れる。

お小遣いタイプ

だと思えばよい。

金融の専門家からすれば、

「ちょくちょく下ろすと、元本が目減りして複利効果がなくなる。なるべく下ろさない方(ターゲットタイプ)が良い」

と思うが、老後の生活資金として考える方もいるだろうから、ターゲットタイプか定期引出タイプにするかは、その人の考え方次第だろう。

基本的な仕組みはターゲットタイプと同じである。

さて、あまりに複雑な商品なので商品解説だけで随分長くなってしまった。

では、具体的な弱点に移る。

 

参考コラム:
ドル建商品の検討ってどうすればいいか?悩んだら
『ドル建商品の比較検討はこうすれば良い!!』
をご覧ください。

各社の外貨建終身保険の☆評価一覧は、コチラ
各社のドル建一時払終身保険の☆評価一覧は、コチラ




弱点1 定額部分はドルの定期預金の方が良い。

ドルの場合、定額部分の利率は10年で0.5%。15年で1.25%これが固定される。

豪ドルは10年で0.15%、15年で0.75%。

しかし、ざっとネットでドルの定期預金を調べてみても、

ドル  3年 1.2%(住信SBIネット銀行)
豪ドル 1年 0.8%(同)

と、マニュライフより全然良い条件のものがある。

また、今は全世界的に金利が下がっている。

そんな中、わざわざ低い金利を「固定」しなくても良いのではないか?

今は条件の良いドル(もしくは豪ドル)の定期預金に入れておいて、金利が上向いた時にまた考える。が正解のような気がする。

なお、余談だが筆者は豪ドル投資には懐疑的。

値動きが激しい割には金利も低く魅力を感じていない。

あくまで、参考意見として。




弱点2 変額部分は複雑な仕組債。投資信託の方が良いのでは?

商品解説でも書いたが、変額部分の正体はBNPパリバが提供する仕組債。

確かに運用は、騰落率が4年で61%となかなか優秀だが、

「パリバにお任せ」

なので、中身がよく分からず、何がリスクなのか判断のしようがない。

であれば、もっと中身が分かりやすい投資信託で、ここ4.5年の騰落率が高いものを買えば良いのではないか?

そこで預けても良いだけのお金を預ける方が良い。

とは言え、本商品をやるにしても、投資信託をやるにしても「今は(2019年9月)」はタイミングが悪い。

株、現物資産、全ての価格が高止まりしているのに、世界景気は米中貿易摩擦で不透明。

〇〇ショックが来る可能性も高まってきている。

今、焦って何かに投資する必要はないのではないか?

私が親にアドバイスするなら、そう言う。




弱点3 手数料が高い

この手の商品は良く分からないうちに色々な手数料を取られる。

サイトの資料、マンスリーレポートを読んだだけでも、

・特別勘定(変額部分のこと)に1.85%(死亡保険金の最低保証を行うためのコスト)

・パリバの運用する仕組債に0.2%

・解約時 10%~0.7%
注:早期解約をするとかかる。10年、もしくは15年満期時には手数料が高い

などなど、色々な手数料が並んでいる。

しかし、これは何も本商品だけに限ったことではない。

そもそも、この手の「銀行で売られている商品」は介在するプレイヤーが多過ぎる。

販売する「銀行」、商品を提供する「保険会社」、運用を行う「証券会社(投資銀行)」

それぞれの会社が「儲かる」からやるわけで、慈善事業でやっているわけではない。

少なくとも3か所が手数料を取るのだから、それが安いわけなどない。

だったらちゃんと勉強・調査をして、証券会社から原材料となる投資信託なり、仕組債などを直接買えば良い。

それが面倒で、

「銀行の窓口のお兄さん(もしくはお姉さん)は親切だから」

と言うなら、その親切代は巡り巡って自分で負担するしかないだろう。

タダで優しく教えてくれる人は、こと金融業界においてはいない。

 

参考コラム:
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『ドル建商品の比較検討はこうすれば良い!!』
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各社の外貨建終身保険の☆評価一覧は、コチラ
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弱点4 保険である必要が本当にあるか?

今まで述べてきたように、本商品は「外貨定期預金」と「仕組債」の組み合わせでしかない。

また、それぞれの条件は

悪くはないが良くもない

という程度で、自分で厳選して個々の商品を買った方が良い。

だが、本商品に一つだけメリットがあるとすれば、それは

保険であるということ

保険で受け取る保険金には、

500万円 × 法定相続人

の非課税枠がある。

そのため、妻、子二人という日本に一番多い家族構成の場合、保険金で受け取れば1,500万円までは非課税になる。

銀行の窓口販売でも、これをきっかけに本商品や、それに似た商品を勧められることが多いらしい。

「保険金の非課税枠をご存知ですか?」

「株や現金だと相続税がかかりますが、保険だと非課税です。」

というのが売り文句で、非課税と聞くと、皆反応してしまうのだろう。

確かに非課税枠は使った方が良い。

但し、相続税がかかるなら。だ。

相続税にはそもそも3,000万円+法定相続人×600万円という基礎控除がある。

先の例で言えば、3000万円+3人×600万円で4,800万円。

また、自宅などは小規模宅地等の特例などがあり、そもそも資産としての評価額が低い。

あくまで感覚的なものだが、

総資産で8,000万円以上あるとかかるかもね。

という感じ。(正確には法定相続人との関係や資産内容にもよるが)

まずは、そこを整理するべきだろう。

その上で、相続税対策が必要なら本商品を検討対象としても良いかもしれない。

逆に非課税枠が必要ないのであれば、今まで述べてきた通り、運用方法としては他の良いものがある。




弱点5 あくまで自己責任

筆者の個人的感想では、本商品で損をするリスクは低い。

あくまでドルベースではあるが、定額部分が元本を回復するし、その時に為替の調子が悪くても(1ドル90円などの円高でも)、まずはドルで受け取っておいて、為替が回復したら円に戻せばよい。

今の水準の1ドル110円前後であれば、いつかは戻るだろうから、そういう意味では損はしない可能性が高い。

また、運用中、変額部分もそれなりには稼ぐだろうし、たとえ一時的に凄いマイナスが出ても、それはあくまで変額部分の話。

極端な話、変額部分がゼロになっても定期部分があるから、「損」ではない。

そういう意味では、本商品の売り込み先である老人の

損はしたくないけど、ちょっとおこづかは欲しい

というニーズをくみ取ってはいる。

だが、パンフレットやサイトに何か所にも書かれているが、

あくまで自己責任

だ。

最悪のシナリオはこう。

入った直後、しばらくは高利回りで運用が続いていたが、そのうちリーマン級の金融危機が起こる。

仕組債は利益を最大限化しようと、それなりのリスクは取っているので、景気が下がる局面では大きく下げることが多い。

変額部分は、どんどん目減り。

数年後に景気は回復するが、変額部分が元に戻るまでには相当な時間がかかる見込み。

定額部分もドルベースでは増えていくが、リーマンの時と同様、金融危機時には円高に振れるので、1ドル80円などになり、円ベースではもの凄い目減りしている。

解約しようにも解約控除があり、

「今解約したら、1,000万円が600万円になります」

などと言われ、勿体なくて決断出来ない。

そうこうしているうちに10年後の満期を迎え、トータルの収益は

「5,6%は儲かったかな」

という感じ。

1,000万円預けて、10年間で50万、60万程度。

年で言えば5,6万で、気苦労のわりには大したことはない。という結末。

こんなシナリオも十分あり得る。

こんな時に「銀行に騙された!!」と叫んでも仕方ない。

担当者はとっくに移動しているし、色々な書類にサインしてしまっているのだから、銀行も相手にしない。

自己責任だということは重々認識しないといけないだろう。

 

参考コラム:
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