提供会社:明治安田生命
商品名:明治安田のケガのほけん
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この保険の弱点はここだ!!
結論から言えば、
普通の医療保険に入った方が良い
ということになる。
そのため、星一つ評価。
明治安田のライトシリーズは、結構尖った商品が多く、「じぶんの積立」や「つみたて学資」などは当サイトでも高評価であるのだが、この商品は「うーん」という感じ。
では、まずは商品概要から。
本商品はケガにフォーカスした商品で、ネット上では
「骨折、関節脱臼、腱の断裂、熱傷(やけど)、永久歯の損失したら一時金」
という内容と、
「ケガで入院した時の実費負担」
という2つの保障を大きく取り上げているが、実際には結構複雑な商品で、以下のようなランナップで構成されている。
注:このあたりは約款を見ないと分からない。
1 特定損傷給付特約(先の一時金)
2 傷害入院治療保障特約(入院時の実費負担)
注:このように実費を負担するタイプの保険を、当サイトでは「実費精算タイプ」と呼んでいる。
以下コラムにて、そのメリット・デメリットを論じているので、興味がある方はご参照頂きたい。
参考コラム:医療保険 実費精算タイプのメリット・デメリット
3 傷害入院特約(ケガで入院した時に1日5,000円など)
4 傷害退院後通院治療保障特約(通院後の保障)
5 傷害外来時手術保障特約(外来でケガの手術をした際の保障)
6 傷害特約(事故が原因で死亡した場合の保障)
これらの保障の中で、1と2は必須(絶対契約しないといけない)で、残りはオプション扱いとして好きに付けたり、外したりすることが出来る。
それぞれを細かく見ていくとキリがないので、大枠「ケガをする場面」で役に立つ保険なんだな、ということだけを理解頂ければ良いだろう。
では、弱点の解説にうつる。
弱点1 ケガだけ。病気はダメ。保険料が安くて高い?
知ってる人からすれば「何を当たり前のことを・・・」と呆れるだろうが、意外と勘違いしている人が多い。
本商品はケガだけ。
病気は払わない。
保険業界では「傷害」と名がつくものは、ケガか、事故が原因で死亡した場合の保障と相場が決まっており、そのため商品名に「傷害」と入っているものは、病気(もしくは病気で死亡した場合)は対象外となっている。
これは総称して「傷害保険」などと呼び、かなり昔からあるのだが、筆者自身は以前から思っていた。
必要か?これ
と。
もちろんケガのリスクは誰にだってある。
だが普通の医療保険に入っていれば、ケガが原因で入院や手術を受けた場合でもお金を受け取れるので、であるならば病気とケガ、どちらもカバーしてくれる医療保険で良いではないか。
なお、ケガだけを対象にした傷害保険にメリットがあるとすれば、それは保険料が安いことである。
保険会社からすれば「病気では払わない」ので、その分、契約者に支払う給付金が減る。だからこそ保険料を安く設定出来る。
では、入院における、病気とケガの割合はどんなものなのだろうか?
下記は、厚生労働省の「平成29年患者調査」から抜粋したものだが、これによると人口10万人の中で「ある日」に入院している人数は1,036人とのこと。
ざっくり言えば入院する確率とも言える。
0.1%程度で、1,000人に1人くらいだ。
なお、入院の原因は、
1位 統合失調症 121人
2位 脳血管疾患 115人
3位 悪性新生物 100人
4位 骨折 77人
5位 心疾患(心臓) 50人
6位 アルツハイマー 39人
7位 肺炎 28人
8位 気分障害 24人
9位 糖尿病 15人
総数 1,036人
となっている。
ケガの代名詞でもある骨折は全体の4位に入っているものの、入院の総数1,036人に対し、77人で7.4%に過ぎない。
傷害保険の対象は、骨折以外にも、ヤケドや腱の断裂、脱臼なども含まれるが、それらを考慮したとしても、入院全体の1割(10%)程度だろう。
つまり保険会社は、契約者が入院しても10%しか払わない。だから保険料も安いということ。
本商品も「見た目」は安く、当然、医療保険よりお手軽な価格設定となっているが、10%だけと考えると高いような気もする。
弱点2 超ド級のケガには役不足
子供の頃や若いうちなどは病気などしない。するとすればケガだろう。
そんな動機で傷害保険に入る人も多いのだが、病気のリスクもゼロではない。それどころか全体の9割は病気なのだから、やはり傷害保険だけでは片手落ちではないか?
なお、「上乗せ」として傷害保険に入る場合もある。
通常の医療保険に加入した上で、「ケガの時には更に保障が手厚くなるように」という考え方だろう。
ケガが多いスポーツをやっている(もしくは子供にやらせている)方などに多い。
まあ、これは「好きにすれば良い」とは思うものの、筆者からするとやはり合理性はない。
入院に関して、病気に比べてケガの方がお金がかかるということもないし、上乗せする理由はないように思う。
だが、「超ド級のケガ」の対策をしておいた方が良い。
特にラクビー、アメフト、スキー、スノーボード、柔道など。
これらのスポーツでは「脊髄の損傷」が時折発生する。
保険会社の支払事例などを見ていると、特にスノーボードが多い。
首の骨を折ってしまい全身不随、もしくは腰のあたりの神経を損傷し、下半身麻痺など。
誠に残念ながら、その後の人生を変えてしまうほどの大怪我であり、これは「入院がどうこう」というようなレベルではなく、傷害保険程度では役不足。
別途、就業不能保険や、高度障害保険金が受け取れる死亡保険(基本的に死亡=高度障害となっている)などに入っておいた方が良い。
弱点3 面談必須。ドアノッカー商品
本商品はネットだけでは加入出来ない。
わずか1,000円か2,000円そこらの保険料ではあるが、明治安田のセールスレディーとの面談が必須である。
保険業界ではこのようなものを「ドアノッカー商品」と呼ぶ。
ドアをノックするための商品、つまり、お客さんに会うためのきっかけ作りだ。
そのため、こちらはこの商品だけの話を聞くつもりでも、
「良い機会ですから、ライフプランを考えてみませんか?」
などと言われ、結局は色々ヒアリングされた挙げ句、普通の医療保険や死亡保険なども提案される可能性も高い。
なお、それが別に悪いと言っているわけではない。
そのような話を聞くことも良い機会だし、自分で気付いていないリスクを認識できるかもしれない。
また、明治安田としての貴重なセールスのチャンスなので、興味があれば耳を傾けてあげて欲しいのだが、とは言え
面倒臭いよね
というのはある。
こちらは、ほんの軽い気持ちで「ケガとか怖いから、1000円くらいなら入っておこうかな」と思っているだけなのに、意外と本腰で来られる引いてしまう。
なお、「今回はこの保険だけで良いです」と言えば、あっさり引くセールスレディが多いと思うが、中にはグリグリ来る人もいる。
こればかりは運。
「そういうのは嫌だな」と思うなら、やめておいた方が無難。
弱点4 実額給付タイプ
本商品は実額給付タイプと言って、入院した時に受け取れるお金が診療報酬点数と連動している。
なお、当サイトではこのような保険を実費精算タイプと呼んでおり、以下でも解説している。
参考コラム:医療保険 実費精算タイプのメリット・デメリット
医療行為というのは、どんな些細なものでも「診療報酬点数」というものが設定されており、病院はこの点数に応じて、7割を国から、3割を患者本人から受取る。
なお、1点あたり10円である。
例えば、手術を行い、数日入院したとしよう。
この場合、手術自体にも点数があるし、その後の検査、点滴、宿泊など、全てが点数化され、それが累積していく。
退院した時に、その合計が3万点だとしよう。(4,5日の入院ならこの程度のことが多い)
1点10円だから、3万点 × 10円 =30万円ということになる。
この7割の21万円が国の社会保険制度が負担してくれて、残りの3割の9万円が自己負担となる。
本商品の給付金は「診療報酬点数×3円」で計算されるので、この例では、3万点×3円 =9万円となる。
注:2円タイプ、1円タイプも用意されている。
保険からの給付金が、先の自己負担額と同じということになる。
が、実際には食事代や差額ベット代、クリーニング費用などは、保険適用外であり、それらの費用は全額自己負担となる。
そのため、実費精算型の場合「ちょっとだけ赤字」になることが多い。
弱点というよりは「仕組み上、そういうもんだよ」という程度の話だが、完全に「実額」を給付してくれるわけではないので要注意。
なお、現在、医療保険の主流である「日額タイプ」は、診療報酬点数とは関係なく、1日いくら、手術をしたらいくら(5万円、10万円など)という形で給付金を受け取れる。
4,5日程度の入院であれば、実費精算タイプでも日額タイプでも、受け取れる給付金は「大差ない」(もしくは実費精算の方が高いかもしれない)のだが、入院が長くなると、日額タイプの方が給付金が多くなる傾向がある。
特にケガの場合、手術後は「様子見でじっとしていなさい」というだけで、特別な医療行為もないので、そうなると点数もそれほど加算されない。
実費精算タイプでは、診療報酬点数が増えなければ、給付金も増えないが、日額タイプであれば、「1日寝てるだけ」で増えていく。
どちらが良い悪いということでもないのだが、筆者自身はケガで長期入院するなら日額タイプの方が良いのでは?と思っている。
弱点5 何か色々うるさい・・・
約款を読むと、色々とルールがやかましい。
例えば、本商品では
「骨折、関節脱臼、腱の断裂、熱傷(やけど)、永久歯の損失したら一時金(5万円 or 10万円:加入時に決める)」
とあるが、この中で一番起こりやそうなのは、やけどだろう。
だが、約款には、その条件として
・深達性Ⅱ度熱傷「以上」(直径2cm未満を除く)
とある。
何のことやら分からないだろうが、簡単に説明すると、
結構、皮膚の奥までヤケドしている状態
ということ。
人間の皮膚は、表皮、その下に真皮、更にその下に脂肪組織があるのだが、ヤケドの被害の程度は、
・表皮だけ→Ⅰ度
・真皮まで達した場合 → Ⅱ度
・脂肪組織まで損傷が及ぶ → Ⅲ度
と分類されている。
日常生活で発生するヤケドなどでは、ほとんどⅠ度であり、Ⅱ度となると「結構ひどいね」という感じだろう。
かつ、2cm未満は対象外なので、本件で払われる「ヤケド」は結構なケガということになる。
また、ケガが原因で、日帰り手術(入院をともなわない外来手術)をした際に給付金を受け取れる「傷害外来時手術保障特約」でも、
診療報酬2,000点以上であること
というルールがある。
診療報酬2,000点は、金額にして2万円。
3割負担だと6,000円程度なので、手術というより「処置レベル」のものだろうが、それは対象外ということ。
何だか、細かいところでうるさいな
という印象。
実際に請求して「えー、払われないの!!」ということが多そう。
この商品の弱点、こう考えろ!!(解決策)
文章全体で訴えている通り、必要性は感じない。
それでもケガのためだけに保険に入りたいなら、本商品でも良いが、弱点3でも述べた通り、たかが傷害保険のために営業マンとやりとりするのも面倒。
傷害保険自体はクレジットカードのオプションなどでも用意されていることが多いので(しかも保険料も安い)、そちらを調べてみても良いかもしれない。
口コミ・評判(契約者から)
・なし
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保険会社勤務、代理店勤務の方でも、販売現場の情報や、当サイトで指摘していない弱点(デメリット)などには謝礼(amazonカード300円)をお支払い致します。
編集後記