提供会社:東京海上日動あんしん生命
商品名:あんしんがん治療保険
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この保険の弱点はここだ!!
2022年2月から販売された新商品で、あんしん生命としてはかなり力を入れてマーケティングしているのだが、他社比較で
ちょっと力負けしてるかなぁ・・・・
という印象。
詳しくは後述するが、がん特定治療保障特約など、エッジの効いたオプションがあったり、面白い部分もあるのだが、ベースの保障が弱く、また全体亭に保険料も割高。
同種のライバル商品と比較されると「選ばれにくいのでは?」と感じる。
そのため、3つ星評価とした。
さて、まずは商品の概要から触れていこう。
本商品はがん保険の中でも「治療給付型」と呼ばれるもので、最近、増えてきたタイプのがん保険である。
従来、がん保険の主契約(メイン部分)は「1日入院したら1万円」というような「日額給付型」が多かった。
「1日」あたりに決まった「額」を給付するから「日額給付」という意味。
これをベース(主契約)として、その上にオプション(特約)を付けていき、自分が望むような「がん保険」を作っていくのである。
オプションには、がんと診断された時に50万円とか100万円などの一時金が受け取れる「がん診断一時金」や、がん治療の通院に対して、1回5,000円などを受け取れる「がん通院」、がんにかかわる先進医療を受けた際に実費(2,000万円上限)を受け取れる「がん先進医療特約」などがあるのだが、そのラインナップの中に、10年ほど前から「がん治療給付金特約」というものが並ぶようになった。
これは、抗がん剤や放射線、ホルモン治療などを受けた場合に
「その治療を受けた月ごとに10万円を支払う」
というような内容で、要は外科的な手術以外の抗がん剤などを使うケースに対応する保障である。
但し、一口に抗がん剤と言っても
「手術で全部取ったけど、念のために1,2回やっておこうか?」
というものもあれば、
「外科的にはアプローチ出来ないので、抗がん剤で何とか頑張ろう・・・」
というものまで、その範囲は広い。
前者は乳がんの手術の後「フォロー的にやる」ようなケースがあるが、後者は肺がんなど「メスが入れられないがん」や、再発転移を繰り返し「体が手術に耐えられない」という場合が多い。
がんにも色々なものがあるので、一概には言えないが、率直に言えば、抗がん剤は「簡単ではないがん」に適用される。
そのような時に役に立つのが「がん治療特約」なのだが、この特約が出てきて数年経過した頃から、
本質的にはこれ(がん治療特約)が一番重要なのではないか?
という意見が出てきた。
実はがん患者の中でも「サクッと切って1週間で退院できる」ようなことが結構多いのである。
筆者の感覚で言えば、7,8割はこのタイプで、そこまで大騒ぎするようなことでもない。
また、この場合、従来型の日額給付タイプのがん保険では、さほど給付金も多くならない。
入院する「日数」で給付金が決まるので、入院が短期化している現在では、給付金の総額が伸びないのである。
更に1週間程度で退院できるのであれば、経済的にもさほどのダメージはないので、
普通の医療保険でも良いではないか?
という程度。わざわざがん専用の保険に入る必要もないだろう。
だが、先に述べた通り、これで済むのは7,8割で、残りの2,3割には「結構大変な治療」が待っている。
1,2ヶ月入院して集中的に治療をし、後は「月1回1週間入院して抗がん剤」という形でがんと闘うことになるのだが、これは精神的にも経済的にもかなり辛い。
このようなケースに最も力を発揮するのが「治療をすれば毎月10万円」を受け取れるがん治療特約であろう。
そのため、がん治療特約こそ「本質的ながん保険」であり、究極的にはこれさえあれば良いのではないか?という考え方がある。
理屈としては、筆者もその通りだと思う。
そこで、ここ2,3年。昔は「オプションの一つ」でしかなかったがん治療特約をメインの主契約に据える商品が出てきている。
脇役が主役に抜擢されたようなものだ。
本商品もその流れに乗ったもので、主契約が
・手術
・放射線
・抗がん剤
・ホルモン治療
・緩和療養治療
を受けた場合、その月に10万円を給付するという内容になっている。
この治療給付をベースとして、オプションには、従来、主役であった「入院1日いくら」の入院給付金や、通院給付金、先進医療、診断給付(診断一時金)、保険料払込免除などが用意されているが、その中でも、肝いりの特約が「がん特定治療保障特約」
本特約は以下の2つを対象に「最高1億円」を実費で(実際に発生した分だけ)給付してくれる。
1 患者申出療養また評価療養
2 対象病院にて行われる所定の自由診療
要は「保険適用治療と先進治療『以外』」の費用を持ってくれるということ。
自由診療の全額という点ではセコム損保の「メディコム」が有名だが、本特約はそれを模倣しているのだろう。
他社でも既に先行して提供しているので、目新しいわけではないのだが、セコム損保などは極めてマイナーな保険会社であり、あんしん生命という準メジャーな保険会社がこれを始めた意義は大きいと思う。
以上、商品概要。
では弱点を解説していきたい。
弱点1 抗がん剤治療の上限が60回まで
冒頭、「力負けしている」と述べたが、そのメインがこれ。
本商品では抗がん剤治療や緩和治療に関しては、60回を上限としている。
月に1回の給付なので、実質的には約5年程度で保障が切れるということ。
もちろん、実際には60回を使い切る人は稀ではある。
治る人は1年(12回)程度で社会復帰するケースが多いし、逆に寛解(がんでは完治ではなく、寛解と言う)せずに、ずっとがんが体内から消えず、月イチの抗がん剤で
「何とかがんの暴走を止めて頑張っている」
というような方は、残念ながら60ヶ月(5年)は持たない。
筆者も多くの契約者をがんで亡くしているが、最長で4年。
その方は苦しんで苦しみぬいて、戦って戦い抜いて、小さなお子さんを遺して旅立たれていった。
そのため、実質的には60回を使い切るようなことはほとんどないのだが、それとは別問題として「60回で良いのか?」という点が疑問。
「5年以内にケリをつけて下さい」
がんと闘う人からすれば、まるでそう言われているようで気分が良いものではない。
本商品の仮想敵は、同じくがん給付金をメインに据えているひまわり生命のがん保険「勇気のお守り」だと思われるが、あちらは上限120回となっており、その方が優しさを感じる。
実務的には60回でも問題はないのだが、実際に60回を超えるような方はかなり少数なので、であるならば別に上限などつけず「無制限」もしくは120回くらいでも良かったのでは?と思う。
先に述べた通り、本商品には自由診療に対応するオプションなどもあるので、先鋭的な部分もあるのだが、一番大事なベーシックながん治療の部分で「弱いな」という感想を持ってしまう。
弱点2 がん診断給付金が2年に一回
がんと診断された時に一時金が給付されるオプション「診断給付金」
これが「2年に1回」が上限となっている。
過去には、2年に1回が主流だったが、今は1年に1回というところがほとんど。
2022年2月にリリースした商品としては「古い」し、
何で今更2年に1回?!
と少々驚いてしまう。
このあたりも他社に「力負け」している。
参考コラム:診断給付金、1年に1回と、2年に1回、どちらが良いか?
弱点3 がん特定治療保障特約は5年更新&なんでも自由というわけではない
がん特定治療保障特約に関しては、5年更新となっている。
つまり、5年毎にオプション料が「上がる」可能性があるということ。
これは保険会社側の事情による。
今回、始めてこのオプションを販売してみたので、あんしん生命としては
「どれくらい支払うことになるかわからん・・・」
という怖さがある。
もちろん事前に頭の良い連中が確率論を駆使して、一生懸命計算して「何となくこんなもんだろう」と保険料を算出しているのだが、とは言え、実際には最後の最後は「エイヤ!!」でないと決められない。
どれくらいの申込みがあって、どれくらいの給付(支払い)があるかは、
ふたを開けてみないと分からない
ということ。
また、この5年間で非常に有効な効果がある「自由診療」が出てくる可能性もあり、そんなものが出てきた日には、前提はすべて崩れる。
そのため、オプション料全体を短期的に上げ下げできるように5年更新としているのだろう。
なお、セコム損保も5年更新なので、このあたりは「まあ仕方がないのかな」というところ。
ただ、あんしん生命は過去にも収入保障保険の就業不能系のオプションで「読みが甘い」事例があり、実際に販売してみたら、意外と給付金が多く出ていってしまい、そのため、過去の入った方の「更新後の保険料」が「バカ高く」なるようなことがあった。
まあ、このオプションも将来どうなるのかな?という感じ。
また、自由診療と言っても「何でもかんでも自由」というわけではない。
例えば、海岸で波に洗われ、がん細胞を消す、とか、飲めばウソのようにがんが消える!!というようないかがわしいものは、当然ながら対象外。
自由診療と言っても、あんしん生命が指定した病院での治療に限られている。
サイトを見ると現在、460病院が登録されており、がんに関する先進的な治療をしている病院はほとんど網羅されている。
なお、自由診療の中身は実際のところ「未承認の抗がん剤」だと思って良い。
がんの治療では、重粒子線がん治療などが効果を発揮しているが、あちらは「先進医療」でカバーされているので、それらを除く自由診療となると、未承認の抗がん剤くらいしかないだろう。
確かに日本では未承認だが、海外では大きな成果が出ている抗がん剤もあるにはある。
これらの未承認の抗がん剤治療を受ける方法は現状2つある。
1つは患者申出療養制度を利用したもので、もう1つは完全自費。
患者申出療養は「自由診療の中で保険適用できるものは保険でカバーする」という主旨の制度で、自由診療の負担を軽減するという意味では立派なものなのだが、現実的にはほとんど稼働していない。
手続き申請と、それを許可するシステムが複雑&壁が高すぎて、ほとんど利用されていない。
参考コラム:患者申出療養制度とは?対応商品一覧
そのため、未承認の抗がん剤を利用するには、実際にはほとんど自由診療となり、高額なお金がかかる。
そのような時に本特約であれば上限1億円まで払ってくれるので「この保険に入っていたから助かった」というような方も出てくるだろう。
弱点4 がん先進医療特約が10年更新
がんに関する先進医療を受けた場合、2,000万円までの実費を負担してくれる「がん先進医療医療特約」
こちらは10年更新となっているので、10年ごとに保険料が上がる。
対して、加入時の保険料がずっと一定の「終身型」で提供している商品もある。
このあたりは、以下コラムにて詳細を解説しているので、ご参照頂きたい。
参考コラム:先進医療特約は「終身型」を選びなさい!!
この保険の弱点、こう考えろ!!(解決法)
良いところと、悪いところがどちらも極端
「バランスの悪い商品」という感じもする。
弱点で述べたように抗がん剤が60回までだったり、一時金が2年に一回だったりと、基本的な保障は弱い反面、がん特定治療保障特約などの先進的なものが用意されていたり。
メリット・デメリットを眺めてみると、本商品は
がん特定治療保障特約をどう評価するか?
という一点に尽きるような気がする。
筆者の感想としては、がん特定治療保障特約は間違いなく良い保障だと思う。
だが、「5年毎に保険料が上がるので、将来いくら取られるか分からない」という点が不安で、このあたり判断が難しい。
これに対しては、同じようなサービスを提供しているセコム損保も5年更新であり、その保険料が多少の参考になるだろう。(以下に保険料も掲載)
それらを見ると、若いうちはさほど上がらないが、50代くらいからものすごい勢いで上がる。
つまり、本商品も同じような経緯をたどる可能性が高く、そうなると「うーん、年取って保険料バカ高くなるの嫌だなぁ」というのも率直な感想。
また、がん治療に関しても、
「保険の適用範囲で十分。それで助からないなら、それもまた運命」
と割り切っている方もいれば、
「良い抗がん剤があるなら、石にかじりついてでも使いたい!!」
というような方もいる。
当然ながら、前者のような考え方であれば本商品には魅力は感じないだろうし、逆に後者のような方にとっては良い選択肢となるだろう。
このあたり、自分の死生観も試されるような内容でもある。
がん特定治療保障特約に魅力を感じ、将来保険料が上がって良い、と考える方には良い商品かと思う。
付けるべき特約!!(がん特定、がん先進、がん入院、がん手術)
がん特定治療保障特約
本稿で述べた通り、自由診療までカバーする特約。本商品に入るなら付けておくべき。
と言うより、これを付けないのであれば、似たようなものでもっと良い商品は沢山ある。
がん先進医療特約
がんにかかわる先進医療を受けた場合に、2,000万円まで実費を支払う特約。
保険料もいくらでもないので、基本付けておくべき。
詳細は弱点4参照
がん入院特約
がんで入院した場合、1日1万円などを給付。
入院が短期化しているとは言え、長期の入院がないわけでもない。白血病などは半年を超えるようなこともあるので、そのような最悪のケースを想定するなら、付けておいたほうがベター。
がん手術特約
がんで手術をした場合に一時金を給付。
手術はやはり辛い。しかも保険を使ってもそれなりにお金はかかるので、あった方が良いだろう。
付けても良いかも?な特約(がん診断、抗がん剤)
がん診断特約
がんと診断された時に、50万円、100万円などの一時金を給付。
50万円、100万円を受け取ったところで、生活費としては不足しているし、また治療に影響するわけでもないのだが、やはりまとまったお金が入ると、それなりには嬉しい。
実務面よりは、精神面で「あっても良いかな」というのが正直な感想。
予算に余裕があるならつけておいても良い。
なお、本特約は2年に1回の給付となっている。詳細は弱点2参照。
付ける必要なし!!な特約(抗がん剤、がん通院、悪性新生物初回)
抗がん剤治療特約
抗がん剤を受けた際に、毎月一定金額を受け取れる。上乗せ的な性質の特約。
わざわざ上乗せする必要はないように感じる。
がん通院
がんの治療で通院した場合に、1回5,000円などの給付を受けられる。
金額も少なく、これを受け取ったところで、何がどう、というわけでもない。
あってもなくても、どちらでも良いかな?という感じ。
悪性新生物初回診断特約
始めてがんと診断された時に一時金を受け取れるワンショットのオプション。
これに入るなら、何度も受け取れる「がん診断特約」の方が良いだろう。
口コミ(販売側から)
わりと好調に売れている。特に自由診療までカバーする特定治療は「1億円」という響きもあって、客受けが良い。
ただ高齢になると保険料がかなり高いので、基本的には若い人向け。
5年更新であることは告げているが、それがどのような経緯で上がっていくか?という点は、代理店でもまだ分からないので、何となくごまかしている。
謝礼Amazonギフトカード300円!! アナタの口コミ教えて下さい!!
保険会社勤務、代理店勤務の方でも、販売現場の情報や、当サイトで指摘していない弱点(デメリット)などには謝礼(amazonカード300円)をお支払い致します。
口コミ(契約者から)
なし
比較した方が良い商品
当サイトで高評価の終身保険は以下の通り。
アフラック 生きるためのがん保険寄りそうDays ★★★★☆
編集後記