この保険の弱点はここだ!三井住友海上あいおい生命「ガン保険Sセレクト」

提供会社:三井住友海上あいおい生命

商品名:ガン保険Sセレクト

この保険の弱点はここだ!!

前シリーズ「がん保険スマート」の後継商品。(解説は以下参照)

三井住友海上あいおい生命 ガン保険スマート ★★★☆☆(販売停止)

前作同様「まあ、無難にまとめてきたな。」そんな印象の商品。

特に明確な弱点もなく、保険料も安いので星4つ評価とした。

他社の動向を見て、最近流行りの

「主契約(メイン部分)を選べる」

構成にしており、特約(オプション)も変に凝ることもなく、シンプルなものをそつなく揃えている。

特に面白みはないものの、奇をてらうことのない正統派のがん保険と言える。

主契約は、がんと診断された時にまとまった一時金を受け取れる「がん診断給付型」か、がんで入院した時、入院日数に応じて日額を受け取れる「がん入院給付型」のどちらかを選択する。

がん診断給付型 

がんと診断された時、一時金(100万円など)を受け取れる。1年に1回を上限として、回数無制限(上皮内がん含む)

がん入院給付型

入院1日に対して◯万円という形で受け取れる。また、入院5日目までは、まとめて5日分を給付。
例えば1日1万円の場合、5日以内の入院なら5万円、以後、1日1万円ずつ上乗せされていく。手術に関しては日額の20倍(日額1万円の場合、20万円)

最近、この手の「主契約を選べる」というタイプのがん保険が増えている。

その理由はがんやその治療に関しての情報がネットなどで大量に流布されたことによる、各個人の「がん観」が多様化していることだろう。

つまり、がんとは?がん治療とは?ということに関して、考え方が人それぞれ違っているということ。

一昔前は、がんといえば「手術で切る」、「長期間入院する」というイメージが強かったが、最近は1週間程度の入院で済むことも多いし、腹腔手術(お腹に何か所か「穴」をあけて、手術をする)などにより、メスで大きくお腹を割かなくて良いケースもある。

また医療技術の進歩、特に抗がん剤の進化によって、昔ならすぐに亡くなっていたような方が、数年単位で延命出来るようにもなっている。(これはこれで辛いのだが)

このように、一口にがんと言っても、様々なケースがある。

そして、各個人の「がん観」は、これらのどのケースを見聞きしているかによって異なる。

例えば、家族や友人ががんになり、1週間程度の入院で済めば「がんとはそういうものだ」と認識するし、逆に長期の抗がん剤治療などを目の当たりにすれば「これががんの治療だ!!」と思う。

もしくは、ドラマや映画や漫画などからも影響を受け、その人なりの「がん観」が形成されていく。

これらの「がん観」にアプローチするため、現状では各保険会社から主に以下の3つが提示されている。

1 日額タイプ 1日いくら、という形で給付+手術給付金 
  オールマイティーな仕様

2 一時金タイプ がんです。と言われたら100万円。など 
  短期入院志向に支持される

3 抗がん剤治療タイプ 抗がん剤を受けた月に10万円。など(抗がん剤を毎月受ければ、毎月10万円が受け取れる)。
  長期治療志向に支持される

ちょっと前には、がん保険と言えば1の日額タイプがメイン。

そこにオプションとして2の診断一時金や、3の抗がん剤などをつける形式の商品が多かったのだが、そうなると

「私は別に日額は要らない。診断だけで良い。日額の部分の保険料が無駄だなぁ」

「本当に怖いのは長期治療。抗がん剤だけが欲しいのに・・・」

というようなニーズに対応出来ない。

要は保険会社が「メイン(主契約)」を決め打ちしてしまうことで、そのメインにハマらない層を切り捨ててしまうことになるのだ。

これはマーケティング上、かなり痛い。

そのため、各社「メインも自分で選んで下さい」というスタンスに変わってきている。

本商品の場合、その選択肢してオーソドックスな日額と、短期入院志向の一時金を用意している。

なお、余談ながら、同じ損保系生保としてあいおい生命(三井住友海上系)のライバルであるひまわり生命(損保ジャパン系)のがん保険「勇気のお守り」では、一時金と抗がん剤の2つから選べるようになっており、旧来の「日額型」をオプション扱いに「格下げ」するという大胆な戦略を取っている。

SOMPOひまわり生命 がん保険 勇気のお守り ★★★★☆

本商品も、このひまわり生命のがん保険にかなり影響を受けているようで、実際、旧知のあいおい生命の関係者も

「今回はひまわりの商品をかなり意識した」

とも言っていた。

少々長くなったが、以上のような経緯があり、本商品でも「主契約選択制」が導入されている。

そこに、以下のオプションを付けて、自分なりのがん保険を構成するスタイル。

・がん保険料払込免除
・がん診断給付特約(ただし、主契約ががん診断給付型の場合、内容が同じなので選択不可)
・抗がん剤治療給付特約
・がん先進医療特約
・がん治療通院給付特約
・がん担任療養給付特約
・がん死亡保障特約

これらの特約の良し悪しについては、後ほど解説する。

以上、商品概要。

では、弱点。




弱点1 抗がん剤をメインに据えることが出来ない

本商品では、がん診断一時金と、日額型が主契約(メイン)に据えられているが、抗がん剤をメインにすることは出来ない。

そのため、抗がん剤治療(抗がん剤を受けた場合、その月に10万円など)が欲しい場合には、診断一時金か日額のどちらかを契約する必要がある。

そのため「抗がん剤だけが欲しい」という人にとっては、それらは余計なコストとなってしまうだろう。

ここで筆者の個人的な見解を述べたいが、筆者自身は「抗がん剤だけ」というのはアリだと思っている。

と言うのも、これに該当した時が、一番キツイからだ。

がん治療には様々なケースがあることは先に述べたが、正直なところ「外科的手術でパッと切れて、1,2週間で復帰出来る」のであれば、がん保険に入っていなかったとしても、さほどの負担はない。

そもそも日本では保険適用の範囲の治療であれば、個人負担は3割でしかない。

また、一定の金額以上(年収によって変わる)の負担をした場合、それをオーバーした分は高額療養費制度で戻ってくる。

つまり、そこまでお金はかからない。

このようなケースであれば、普通の医療保険でも十分対応可能と言える。

しかし、切れない場所にあったり、白血病のように外科的手術が通用しない場合であったり。

そのようながんは本当に厄介で、抗がん剤、放射線などで少しずつ叩いていくしかない。

数ヶ月、下手をすれば治療が数年に及ぶこともあり、精神的にも経済的にも苦しい。

そのような時に「治療をすれば毎月10万円」というような保障はかなり心強い。

もちろん、それですら足りないのだが、ないよりはあったほうが絶対に良いだろう。
注:同じように働けない時の保険である「就業不能保険」なども有効。

以上のようなことから、がんのリスクをカバーするために「抗がん剤だけ」というのも悪くない選択だと考えている。

この考え方に同調する方にとっては、本商品はそもそも選択肢から外れ、他社の「抗がん剤治療」に重きを置いた商品の方が良いと言える。

弱点2 エッジの効いた特約はない

他社では、保険適用外の自由診療の抗がん剤治療などもカバーするような特約や、「もう助からない・・」となった時の疼痛治療(痛み緩和)などを対象にするような「エッジの効いた特約」を用意しているところもあるが、本商品ではそのようなものはない。

ごくごく一般的な特約しかないので、そのあたりは少々物足りない。

この保険の弱点、こう考えろ!!

本商品。冒頭でも述べた通り、良くも悪くも優等生的であり、さほどの弱点も見当たらない。

だが強烈なアピールポイントもない。

もちろん商品としての完成度は高いので、仮に「これに入る」と言われたら「まあ良いんじゃないの」という感じ。

弱点1で挙げた「抗がん剤」を中心にしたい場合、他社商品でも良いが、正直なところ本商品の「がん入院給付(日額)」があっても良いかな?という気もする。

長期治療で「月一抗がん剤」という状態になった場合でも、抗がん剤治療をすれば1週間程度は入院する。

その際に、1日1万円受け取れれば、7日で7万円くらいのはなるので、これはこれで大きい。

例えば30歳男性で、日額1万円に抗がん剤(抗ガン剤治療給付特約)を付けた場合、1,718円/月(終身払)とわりと手軽な保険料で済む。

もちろん日額を付けずに抗がん剤だけなら、800円程度で済むのだが、日額を付けても1,718円くらいなので「これくらいは払っても良いのでは?」とも思う。

弱点2で挙げた「特約にエッジがない」というのは、我ながらやや難癖。

基本的な特約は一通り揃っているので、過不足はない。

本商品はかなりスタンダードながん保険なので、がん保険を比較検討する際の「ベース」とするのは良いかもしれない。

本商品をベースとして、他社商品について「これがあるが◯◯円高い」、「これがないが◯◯円安い」というような形で比較していくと、がん保険への理解が進むだろう。

付けるべき特約!!(先進医療、抗がん剤)

がん先進医療特約

保険適用外の先進医療を受けた場合に、実費2,000万円まで給付。

医療保険などで既に先進医療を付けているなら必要ないが、付けていないなら付けておいた方が良い。

参考コラム:先進医療特約は「終身型」を選びなさい!!

抗がん剤治療給付特約

詳細は弱点1参照。

本当に怖い「がんの長期治療」に備えるなら付けておいた方が無難。

参考コラム:抗がん剤治療特約は付けるべきか?




付けても良いかも?な特約!!(がん診断、払込免除)

がん診断給付特約

がんと診断された場合、50万円や100万円などのまとまったお金が受け取れる。

実際には「自分で積み立てたお金を受け取っているだけ」なのだが、がんで弱った時に、まとまったお金を貰えるのはやはり嬉しいのも事実。

予算に余裕があるなら付けても良いかもしれない。

参考コラム:がん診断一時金、3大疾病一時金は付けるべきか?

がん保険料払込免除特約

がんと診断されたら以後の保険料が免除される特約。

実際のところ、がん保険の保険料などたかが知れているので、それが免除されたところで、生活に大きな影響はない。

筆者は原則的には「不必要」だと思っているが、好きな人は好き。

予算の余裕があるならご自由に、という感じ。

参考コラム:保険に「払込免除特約」は必要か?

付ける必要なし、な特約!!(がん治療通院、がん退院、がん死亡)

がん治療通院給付特約

がんの治療を目的とした通院1回につき1万円などが受け取れる。

通院だけでなく、往診、訪問治療も対象としている点では新しいが、内容が良い分、特約保険料が高い。

30歳 男性 終身払で、通院1回1万円で+890円。

年間10,680円、10年間で約11万円、20年間で21万円、30年間で32万円。

つまり32回通院してトントンということ。

なかなか回収は難しいのでは?と思う。

がん退院療養給付特約

20日以上入院し、その後退院した場合に受け取れる。

20日以上の入院ということだから、まあ、それなりに重いがんということになる。

だが、退院出来たのだから、そこでお金を貰う理由はないだろう。

必要ない。

がん死亡保障特約

がんが原因で亡くなった場合に保険金を受け取れる。

死因をがんだけに限定しているため、保険料は安い。

しかし、がん以外の病気で死亡した場合と比べ、がんで死亡した場合に「保険金を上乗せ」しないといけない理由など見当たらない。

子供がいるなどの理由で、死亡保険金が必要なら死因に関係なく、しっかり準備しておくべきだろう。

がん保険に、50万円とか100万円程度の死亡保障をつける必要はない。

口コミ(販売側から)

なし

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なし

比較した方が良い他社商品は?

アフラック 生きるためのがん保険寄りそうDays ★★★★☆

セコム損保 自由診療保険 メディコム ★★★★☆

SOMPOひまわり生命 がん保険 勇気のお守り ★★★★☆

メットライフ生命 ガン保険 ガードエックス ★★★★☆

なないろ生命 がん治療保険 極 ★★★★☆

ネオファースト生命 ネオdeがんちりょう ★★★★☆

編集後記

約款

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