提供会社:アクサ生命
商品名:スマート・ケア 認知症重点プラン
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この保険の弱点はここだ!!
本商品は、同社の医療保険である「スマート・ケア」に認知症の際に一時金を受け取れる「認知症一時金特約」と、通院関係の補償「通院支援特約」をセットにしたものである。
認知症一時金特約は、あくまで「オプション(特約)」なので、これ単独では契約出来なず、主契約(メイン)となる「スマート・ケア」の契約が必須となる。
スマート・ケアについては、既に以下にて解説をしているので、本稿においては認知症の部分(認知症一時金特約)と、通院の「通院支援特約」だけにフォーカスしたい。
参考コラム:アクサ生命 スマート・ケア ★★☆☆☆
ここではサイトに掲載している契約例を参考に見ていこう。
50歳 男性のケース
認知症一時金特約 一時金150万円 保険料 1,665円/月
つまり、毎月1,665円を支払っていれば、認知症になった時に150万円の一時金を受け取れるのだが、「単に認知症になっただけ」ではダメで、
1 要介護1以上の認定
2 器質性認知症と診断されていること
という2つの条件をクリアしなくてはいけない。
要介護1は、要支援1,2の更に上で、本格的な介護の入り口ではあるが、意外とハードルは高く、特に認知症の場合には、かなり症状が進行していないと認められにくい面もある。(ただし、自治体によっってもこのあたりの事情はかなり異なる。率直に言えば、認めてくれやすい自治体と、認めてくれにくい自治体がある)
器質性認知症は、言葉としてはかなり難解な印象を受けるが、簡単に言えば
ガチの認知症
ということ。
ちょっと物覚えが悪い、とかそんなレベルではなく、誰がみても「ああ、認知症なんだな」ということが分かるレベルで、医学的には「時間、空間などに認知が出来ない状態」と定義されている。
器質性認知症については、以下のコラムにて詳細を解説しているので、気になる方はご一読頂きたい。
参考コラム:認知症の基礎。器質性認知症、見当識障害、MCIとはどんな状況?
だが、これらの基準はごくごく一般的で、他社の同種の商品もこんなもの。
なので、本商品が特段に「厳しい」ということでもない。
次に「通院支援特約」
こちらも契約例では以下のようになっている。
50歳 男性のケース
通院支援特約 特約基本給付金額 5,000円 保険料 845円/月
これは、通院支援特約という名前が付いているものの、他社で言うところの「退院一時金」に近い。
入院や手術(外来でもOK)をした際、通常の給付とは別に日額の5倍(5,000円/日であれば2.5万円)を受け取れる。
要は「退院後に通院した場合の足しにして下さいね」という意味なのだろう。
また、入院が30日を超えた場合にも、日額の10倍(5,000円/日であれば5万円)が給付される。
こちらは「長くなって大変ですね。多少ですが受け取って下さい」という程度の意味だろう。
以上、この2つが「スマート・ケア 認知症保障重点プラン」の特徴となる。
では弱点の解説に入ろう。
弱点1 セットにしないといけない
冒頭でも書いたが、本商品の「介護」や「通院」はあくまでオプション(特約)なので、それ単体では契約出来ない。
必ずスマート・ケア(医療保険)というメイン部分が必要。
だが素朴な疑問として
「セットにする必要があるか?」
という気もする。
介護の保障に必要性を感じているような方は、大体高齢者であり、ほとんどの方が既に医療保険に入っているだろう。
であるならば、わざわざ追加で医療保険に入る必要もないだろう。
ある意味では本体となる医療保険が「余計なもの」となってしまう可能性が高い。
弱点2 介護保障はそもそも必要ない
商品そのものを全否定してしまって申し訳ないが、当サイトでは認知症の保障は原則的に「必要ない」というスタンス。
その理由は「確率」
認知症と聞くと、長生きすればほとんどの人がなるような印象を持つかもしれないが、まず実態を知った方が良い。
各種統計などを見ると、おおよそ男性の5,6人に1人、女性の3,4人に1人が、人生の最終コーナーで認知症と付き合わないといけないのだが、これを「多い」と感じるか、「そうでもない」と感じるかは人それぞれだろう。
筆者としては「なる確率も高いけど、ならない確率も高いよね」という感じ。
なお、男性より女性の方が比率が高いのは、総じて女性の方が長生きだから。
男性は認知症になる前に、がんや脳卒中、心筋梗塞などで死んでしまうのだ。
そのため、結果的には女性の方がリスクが高く、それを反映して認知症関係の保険は女性の方が保険料が高い。
そのあたりの事情は以下コラムに詳しいので、ご参照頂きたい。
参考コラム:認知症保険は「原則」必要ない
さて、「男性5,6人に1人、女性3,4人に1人」という認知症リスクをどう考えておけば良いのだろうか?
筆者自身は「自分で備えておけば十分では?」と思っている。
単純に言えば、仮に認知症になってもそれなりの貯金があれば良いんじゃないの?ということ。
例えば、本商品で認知症一時金特約 150万円プランを契約すると、毎月1,665円の保険料がかかる。(50歳男性の場合)
年間 19,980円。
50歳から70歳まで支払えば約40万円、75歳までで50万円、80歳までで60万円、90歳までで80万円の負担となる。
認知症で要介護1になる「中央値(平均)」は、統計データ上おおよそ75歳前後だと推定されるので、つまり「認知症になる人」は75歳までに50万円を支払い、150万円を受け取る。
これが「平均的なモデル」だ。
だが、これを受け取れるのは男性5,6人に1人であることは既に述べた。
残りの4,5人は結局、払った保険料を捨てて、この世を去ることになる。
「いくら捨てるのか?」は人それぞれだが、男性の平均寿命が82歳であることを考えると「平均的には60万円前後」になるであろうことは容易に想像できる。
より下品に例えるなら、
・男性5,6人があつまって、それぞれが50~60万円の掛け金を出す
・あつまったお金は250~300万円くらい
・その中で認知症になった人が150万円を取り、残りは保険会社が取る
これが本商品の構図とも言える(本商品だけでなく認知症保険は総じてこんな感じのモデル)
このように「数字だけ」を見てしまうと、
自分で貯めておいた方が良くないですかね?
というのが筆者の考え。
参考コラム:
医療保険の検討ってどうすれば良いの?と迷ったら
『医療保険。こう考えれば、スッキリ決められる!』
をご覧いただきたい。
弱点3 通院支援特約も「弱い」・・・・
もうこれ以上言いたくはないのだが、本商品のもう一つの柱である通院支援特約にも正直、必要性を感じない。
退院した時に2.5万円(日額5,000円の場合)
入院が30日を超えた場合に5万円(同条件)
とのことだが、どちらにケースも「その程度のお金を貰ってもねぇ・・・」という感じ。
要は保障が小粒すぎる。
その割には保険料は結構高い。
50歳 男性の場合、845円/月。
年間10,140円。10年で約10万円、20年で20万円、30年で30万円。
男性の平均寿命が82歳なので、そこまで支払えば32万円の負担となるが、そうなると以下のようなケースでないと負担以上の給付を受けられないことになる。
・入院10回(2.5万円×10回=25万円)
・30日を超える入院を2回(5万円×2回=10万円)
・合計35万円
どうだろう。
元を取れる方の方が少ないんじゃない、と思うのは筆者だけだろうか?
しかも、こんな入院しても「わずか3万円儲かっているだけ」なので、なくても良いと思う。
参考コラム:
医療保険の検討ってどうすれば良いの?と迷ったら
『医療保険。こう考えれば、スッキリ決められる!』
をご覧いただきたい。
他社の医療保険の☆評価一覧は、コチラ
この商品の弱点、こう考えろ!!(解決策)
既に述べてきた通り、筆者は本商品の必要性は感じない。
認知症のリスクはたしかに怖いが、自分で貯めて乗り切った方が良いと思う。
また、筆者自身、認知症の父の介護を10年ほど行ったが、その経験から言えば「金があってもねぇ」というのも率直な感想である。
確かに金がないのも困ってしまうのだが、現状、日本の介護制度というのは非常の手厚く、自己負担も毎月数万円程度で済む。
父の場合も、それまでの蓄えで何とかなった。
流石に死ぬ直前の半年くらいは、ずっと病院に入りっぱなしだったので結構お金がかかったが(但し2人部屋だったので+αのお金が必要だったため)、それは認知症と言うより、突然死でもしない限り(病院で死亡した場合)誰でもかかるコストでもある。
以上のことからも、認知症のことを考えた場合、お金より、家族や友人など、いざという時に誰にサポートしてもらうのか?という点の方が重要。
またお金は保険なんて充てにせずに、ある程度は自分で貯めておいた方が良いかと思う。
むしろ、150万円程度の一時金を受け取れるだけで「これで安心」などと考えてしまう方が危険ではないか?
以上のことから、筆者は本商品には否定的。
アクサ生命の方、ごめんなさい・・・・
もしくは認知症が心配なのであれば、本商品のように医療保険のオプションというようなものではなく、単体に認知症の保険の方が良いと思う。
当サイトで高評価の認知症関連の商品は文末の紹介している。
(認知症の保険は、当サイトでは全般的に低評価だが、その中でもまだ見どころがあるもの)
口コミ・評判(販売側から)
乗り合い代理店勤務さんからの口コミ
高齢者にはわりと受けが良い。手厚い医療保険より、将来の認知症の方が心配というような方にはハマる。
ただし、医療保険とのセット契約がマストな点がネックで、そのあたりは多少売りにくい。
認知症の保障が必要、という話と医療保険の見直しを絡ませられれば良いのだが、認知症だけの話の場合、アクサは選択肢から外れる。
ただこのサイトで書かれているように、リスク確率や支払い総額などまで考える人には、そもそも認知症の保険自体の提案が難しく、そのようなケースでは本商品はサッと下げてしまうようにしている。
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口コミ・評判(契約者から)
なし
比較検討した方が良い商品
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東京海上日動あんしん生命「あんしんねんきん介護R」★★★☆☆
編集後記