この保険の弱点はここだ!FWD富士生命「がんベスト・ゴールド」

提供会社:FWD富士生命

商品名:がんベスト・ゴールド

この保険の弱点はここだ!!

参考コラム:
商品の詳細に入る前に「そもそもがん保険って何?」という方は、
『保険屋の口車に乗る前に読みたい、がんと保険の真実』
をご覧いただきたい。

かなり完成度が高い商品だと思う。

実際、来店型保険ショップでは売れ行きは好調のようだ。

がん保険としては、「がん診断一時金」をメイン据えた、珍しいタイプの商品である。

なお、がん保険の3つの種類については、以下で解説しているので、「自分にはどういうがん保険が良いのか?」と迷われている方はお読み頂きたい。

自分に合ったがん保険を探すために がん保険の3タイプ

FWD富士は、以前からがん診断一時金を前面に出したがん保険の開発に力を入れており、バージョンアップの度に、商品の精度を上げてきている。

そういう意味では、悪い商品ではないのだが・・・

ただ、FWD富士、何やらその周囲が最近騒がしい。

リストラ報道や2019年度の決算(2020年3月末までの業績)で、赤字であったことも気になる。

そのあたりは弱点3にて詳細を述べる。

その点を考慮し、3つ星とした。




弱点1 内容は良いが、保険料が少々高い。もう一声!!という感じ。

30歳 男性 主契約100万円で、保険料は2,752円/月。

内容としては、

1 がんと診断された時に100万円が受け取れる

2 上皮内がんも支払対象

3 1年に1回を上限に「何度でも」受け取れる

4 がんと診断されれば、以後の保険料は免除(払込免除が含まれている)

5 同じがんで、1年後も闘病中(通院)であれば再び100万円を受け取れる

というもの。

他社との違いは、

・「2回目のがん」も診断だけで払う。他社は1回目のがんは診断だけで払うが、2回目は「入院 or 手術」が条件となっていることが多い

・1回目のがんが1年経過後も治らず、引き続き抗がん剤などの治療(通院だけでOK)を受けている場合には再び一時金を払う

という点。

これらの利点があるため、保険料は他社比較で多少高い。

例えばオリックスのcureという医療保険のオプション(特約)に、がん診断一時金がある。

こちらの保険料は1,970円(30歳 男性)であるので、先の2つのメリットがこの保険料の差となっている。

だが、正直、2回目以降のがんで、「診断だけで払う」か「入院、手術で払うか」というのは、どちらでも良いかな、という気もする。

がんであれば、入院する可能性はかなり高いので、そうなれば一時金に該当するだろう。

筆者の個人的な感想だが、保険料が割高なのは、恐らく2つ目「1年後にも治らずに2回目を払う」というケースが結構あるからなのではないか?

筆者のお客様でも、実際にこういう方がいた。

毎月の抗がん剤で「なんとか凌ぐ(がん自体は小さくならない)」という感じで、精神的にも、経済的にもキツイ。

このような時に、2回目のボーナスが受け取れるのであれば、それはかなり助かるだろう。

その点は評価出来るのだが、実際にはレアケース。

筆者自身、がん関連で30人以上の方の給付金を支払ってきたが「1年後も治療中」という方は2人しかいない。

また、このようながんの長期療養リスクに対応するには、働けない時の保険である就業不能保険や、がん保険のオプションとして用意されている「抗がん剤治療特約(抗がん剤などの治療を受けた月に10万円などが受け取れる:本商品でも用意されている)」の方が実効的かな?という気もする。

なお、本商品では、「1年以上の長期療養で2回目の一時金」というものだけを、オプションで「減らす」ことも出来るようになっている。

がん診断給付金通院不担保特則を付けることで「1年後も通院していた場合に一時金を『払わない』」となるのだが、これを付けると、その分、保険料が安くなる。

それでも30歳 男性 一時金100万円で2,468円(2,752円から300円弱安くなる)であり、それでも「ちょっと高いかなぁ」という印象。

FWD富士は国内でも知名度が低く、「後発組」であることを考えると、もう少し保険料にインパクトが欲しい。

「何だかよく分からない保険会社だが、安いから良いか」

新しい保険会社の商品を選ぶには、そのようなモチベーションも大事だろうから。

なお、本体(主契約)が高い分、オプションは他社比較で安い。

セットにすることで「割安感」を出しているのだろうが、特約には何だか良く分からないものも多く、付ける必要のあるものは少ない。このあたりは弱点2で述べる。

新興勢力らしく、シンプルに「一時金、安おまっせ!!」という感じでドカーンと来てほしかった。




弱点2 特約、ひねり過ぎ・・・

なかなか面白い特約を「開発」しているが、ちょっとひねり過ぎかな?という感じ。

他社であまり見かけないのが「がん収入サポート特約」

がん一時金とは別に、がんと診断された後、毎月○万円(最大15万円まで設定可能)を12ヶ月受け取れる。

しかし、これ、がん診断一時金と何が違うのか?・・・

がんになれば「必ず受け取れる」のであれば、一時金と分割の違いでしかない。

が、保険料はかなり違う。

30歳 男性の場合 一時金100万円で2,752円だが、この特約で「毎月5万円(12ヶ月で60万円:70歳まで保障)」を付けると、その保険料はわずか596円。

100万円貰うために2,752円なのに(10万円あたり275円)、かたや60万円で596円(10万円あたり100円)。

単価として倍以上違う。

しかし、これには理由がある。

この特約は最長70歳までしか入れないからだ。

つまり、「がんになるリスクが低い」時期までしか入れない。

実際、がんになるのは70歳を超えてからが多いので、それ以前のリスクが低い時期だけに限定して半分以下の価格で提供出来るのである。

また、この特約があったところで「どれほどの意味があるのか?」という気もしている。

がんになっても、すぐに仕事に復帰出来るのであれば、別に毎月5万円を貰う必要もないし、逆に仕事が出来ないのであれば「12ヶ月」で終わってしまう本特約より、抗がん剤治療を受ける都度、毎月受け取れる抗がん剤治療給付金などの方が有効。

どっちつかずのオプションだな。という感想。

ただし、70歳までにがんになった時に「大きなお金が欲しい」という人には保険料も安く良い特約と言える。

筆者も「使い方次第だな」と思っているので、このあたりは、「この商品の弱点、こう考えろ!!(解決策)」で述べたい。




最後に自由診療抗がん剤特約。

これは面白い。

保険適用外、だけでなく、先進医療からも除外されている未承認の抗がん剤やホルモン剤を使った場合、3,000万円まで実費負担をしてくれるというもので、先進医療特約の「更に先」を行くようなオプションだ。

同じようなコンセプトにセコム損保のメディコムがある。(解説は下記、参照)

セコム損保 自由診療保険 メディコム ★★★★☆

がある。こちらも自由診療OKであるが、保険料がムチャクチャ高い。

それに対して、FWD富士は30歳男性で359円で提供すると言う。

なお、この特約に関しては、年齢による保険料の差があまりなく、20歳でも358円だし、60歳でも393円となっている。

支払い条件は

1 抗がん剤またはホルモン剤治療を受けた時点における、米国National Comprehensive CancerNetwork (NCCN) ガイドラインが推奨する治療方針に基づき処方または投与される適応外使用の
薬剤
2 患者申出療養として処方または投与される適応外使用の薬剤または未承認薬

となっており、イマイチ何が適用されるのか良く分からないが、NCCNとはアメリカの主要がんセンターが集まって作った非営利団体で、最新のがん治療の情報交換などをしている機関のことで、平たくいえば

「欧米で認められている抗がん剤なら(だけど日本未承認)、保険適用外でも払いますよ」

ということだろう。

何でもかんでも認めるわけではないが、かなり範囲は広い印象を受ける。

実際、2018年の国立がんセンターの調査(リンク)でも、欧米では承認されているのに、日本では承認されていない抗がん剤は65種類ほどある。

そして、その中には、1回数千万円もかかるものもある。

それらを保険でカバーするという点では、これは良い特約ではないだろうか?

保険未承認の抗がん剤など、正直、自分の金では使えない。

しかも、このような薬を使わないといけないということは、かなり希少ながんか、悪化したがんのどちらかであり、

「打てれば生きられるかもしれないが、打てなければ死ぬ」

という、まさに、命の沙汰も金次第という状況だろう。

そんな時に3,000万円まで出してくれるなら、これこそ本当に「保険に命を救ってもらった」ということになる。

個人的には本商品に入るなら、絶対付けておいた方が良いと思う。

ただ、この特約。

恐らくFWD富士自身も、おっかなびっくり出しているのだろう。

どれくらい請求が来て、どれくらい払って、収支がどうなるか?多分、全然分からずに出していると思う。(何かしらの根拠はあるだろうが・・・)

そのため、この特約だけ「5年更新」となっている。

要は保険会社側が、5年毎に保険料を見直せるようになっているのだ。

「うわー、すげー給付金払うじゃん!!この特約・・・」

ということが分かったら、値上げするし、

「あれ?意外と請求、来ないね。この保険料でボロ儲けじゃん」

となれば、現状維持か、もしくは値下げだろう。

このあたりは実験的にやっている可能性が高い。

だが、これで良いと思う。

将来的に発生する「見えざるリスク」に先回りして対応していくのが保険会社の使命なのだから、その点、この特約はナイスチャレンジだと思う。

ただ、FWD富士は、以前も「がん疼痛ケア給付金特約」という終末期の治療に関する特約を出していて、当時、「凄い良い特約だな」と思っていたのに、わずか3年で販売を停止した。

チャレンジ自体は良いのだが、ウケないとみるとすぐ辞めるせわしなさもあるので、この特約も続くかどうか・・・



弱点3 FWD富士、保険会社のとしての信頼度

まず、繰り返すが本商品は良い商品だと思う。

しかし、FWD富士生命という保険会社には申し訳ないが少々懐疑的である。

特に最近は2019年期が17億円の「赤字」だったことも気になる。

保険会社で赤字は、あまり見かけない。

FWD富士という新ブランドを売り出すための初期投資だとしても、赤字なのはどうなのか?という感じ。

また、外部から豪腕社長(元、大型保険代理店の社長)を招聘し、その方針に社員が動揺しているなどというネガティブなニュースも多い。

内部の社員に聞くと、

「全然情報がおりてこないのでよく分からないが、とにかく大改革をして、大きくコストカットするらしい、という噂だけが流れていて、落ち着かない」

とのことだった。

筆者のように業界歴が長いと、保険会社の破綻や経営悪化による買収などを何度も目にしてきている。

一時期は良い商品を出すが、あまり儲からないと見ると会社ごと売却する。

こんな話が保険業界には多く、契約者はその都度、心配な思いをする。

保険は契約期間が長い商品なので、それを提供する保険会社の健全さが重要である。

FWDはPCCWという香港の財閥の保険部門であり、アジア各国で保険ビジネスを展開しているため、財務基盤としては何の問題もない。

そのFWDが2017年にAIG富士生命を買収して誕生した会社が「FWD富士生命」である。

だが、富士生命はその前にも2011年にAIGに買われAIG富士となっているので、正直なところ

「なんかしょっちゅう名前変わってるな・・・」

という印象がある。

もちろん誹謗中傷するつもりはないし、商品とも関係ない、そして前述の通り、財務基盤には文句のつけようがない。

FWDより財務が怪しい保険会社など他にもいくらでもあるので、そこは勘違いしないで欲しいのだが、率直な感想として

「日本市場でどこまで本気でやるのか?」

というところには一抹の不安を感じてしまうのである・・・

申し訳ないが、そこは実績がものを言う世界。

5年、10年と頑張って、FWDの名前を日本の保険業界に刻んで頂ければ、その時には素直に謝りたい。

また、格付けが「BBB+(フィッチレーティングスの評価)」と保険会社としては相当低いこともマイナスに評価せざるを得ない。

とは言え、少し前までは三井生命(現大樹生命)の格付けもかなり低かったし(確かBBB)、リーマン前に「日本で唯一のトリプルA(AAA)」と胸を張っていたアリコが、その後、メットライフに買収されてしまったことでも、あまりあてにならないような気もする。

そのため、「BBB+」だからダメ。と言う気はないが、そういうことを気にするならやめておいた方が無難。

特に最近のバタバタは保険会社としては、少々落ち着きがなさすぎる。

参考コラム:格付けについて気になったら
『「格付け」はどこまで信用するべきか?保険選びと格付けについて』
をご覧頂きたい




この商品の弱点、こう考えろ!!解決策

がんだけに特化する保険としては悪くない。

特約にも「自由診療抗がん剤治療」など、一歩先をゆく面白いものをあるので、それをセットにして入っても良いかもしれない。

筆者なら一時金5万円にして主契約は安くし、そこに「がん収入サポート10万円(12ヶ月で120万円)」を付ける構成にする。

この構成なら70歳までがんになったら沢山貰える(25+120=145万円)

さらには自由診療抗がん剤治療も付けておく。

70歳過ぎてがんになったら、金がうんぬんの話でもないだろう。

また、その時に100万円くらいの金に困るようなら、それまでの資産形成に失敗したということで、だったら早く死んでしまった方が良い(あくまで筆者の考え)

生きたいのに、金のせいで思い切った治療が出来ない

そんな状況が怖いので、70歳過ぎのことまでは考えず、若くしてがんになったら?という点から、先に述べたような構成が良いかな、と思う。

一時金は100万円でも良いのだが、弱点1で述べた通り、保険料が高いので、それなら他社の安い医療保険にがん一時金特約などを付けた方が安上がりだろう。

ただ、最大のネックは保険会社としての信用度。

こればかりは何とも言えないが、がん保険は掛け捨てでもあるので、いざ会社がヤバくなったら、すぐに解約して他社に移っても良い。

そういう意味では、FWD富士と貯蓄系の保険を契約する気にはなれないが、掛け捨てなら「まあ良いかな」という気もしなくてはない。

そういう意味でも弱点1で述べた通り「もうちょい保険料安ければ」すんなり決められるのに、という感じ。

参考:各社のがん保険を比較したい方には、
『がん保険 何で比較する?項目別 商品比較』
をご覧いただきたい

他社のがん保険の☆評価一覧は、コチラ




商品の構成について

主契約は「診断給付金」のみ。

契約年齢は、0歳~80歳までとなっている。

診断給付金は、50万円~300万円(10万円単位)で選択可

以下、診断給付金100万円の場合で説明する。

悪性新生物診断給付金

初めてがん(悪性新生物)と「診断」されたときに一時金が受け取れる。

また、2回目以降は、悪性新生物の治療を目的として「入院」または「通院」したときに100万円が受け取れる。支払限度は1年に1回。

保険料払込免除(主契約に含む)

初めて悪性新生物と診断確定されたら、以後の保険料の払込が不要となる。

これは他社ではオプション扱いで、別途保険料がかかるが、本商品では主契約に含まれている。なかなか珍しい。

参考コラム:
商品の詳細に入る前に「そもそもがん保険って何?」という方は、
『保険屋の口車に乗る前に読みたい、がんと保険の真実』
をご覧いただきたい。

付けるべき特約!!(自由診療抗がん剤治療、がん収入サポート、他)

自由診療抗がん剤治療特約

詳細は弱点2で解説。

保険適用外、先進医療適用外の「未承認薬」をカバーする挑戦的な特約。

保険料も手軽なので、筆者なら付ける。

がん収入サポート特約

詳細は弱点2で解説。

一時金の上乗せ的なオプション。

70歳までの保険ではあるが、保険料も安いので付けておいても良い。

がん先進医療特約

他に加入している医療保険などで先進医療特約を付けているなら必要ないが、そのようなものがないなら付けておくこと。

付けても良いかも?な特約(がん手術、女性ケア)

がん手術特約

がんの手術をした際に10万円が受け取れる。

保険料も安いので、予算があるなら付けておいても良いかもしれない。

女性がんケア特約

女性特有のがんでの手術や、にゅうがんによるちぶさ再建術の費用をサポート。

女性特有のがんだからと言って、他のがんよりお金がかかるということもないのだが、女性にとっては大事な体の一部を失うことを意味し、やはり悲しむ方は多い。

お金があるから解決出来る問題でもないが、「保険からお金ももらえたし」と多少の慰めになるかもしれない。

予算があるなら付けておいても良い。

抗がん剤治療給付金/がん放射線治療給付金特約

抗がん剤や放射線の治療を受けた場合に、毎月一定金額を給付(10万円など)

がんの治療が長期化した場合に有効。

保険料も安いので、付けておいても良いかもしれない。

比較した方がいい他社商品

☆評価の高い商品は・・・・

アフラック 生きるためのがん保険寄りそうDays ★★★★☆

just in case「わりかん がん保険」 ★★★★☆

セコム損保 自由診療保険 メディコム ★★★★☆

メットライフ生命 ガン保険 ガードエックス ★★★★☆

オリックス生命 がん保険 Believe(ビリーブ) ★★★☆☆

東京海上日動あんしん生命 がん治療支援保険NEO ★★★☆☆

改定履歴

・2019年7月2日
保険料の改定

・2021年2月2日
商品構成変更による改定

・2022年3月5日
文章構成を変更。

参考:各社のがん保険を比較したい方には、
『がん保険 何で比較する?項目別 商品比較』
をご覧いただきたい

他社のがん保険の☆評価一覧は、コチラ