提供会社:はなさく生命
格付:評価なし。
但し日本生命の子会社であるため、日本生命の「A+:S&P」に順ずると考えるのが妥当
商品名:はなさくがん保険
参考コラム:保険屋の口車に乗る前に読みたい、がんと保険の真実
ページコンテンツ
この商品のポイント!!
はなさく生命は日本生命の子会社で、主に保険ショップや金融機関の窓口向けの商品を供給している。
当サイトでは「第二生保」という名称で呼んでいる。
参考コラム:大手が続々参入 別働隊「第二生保設立」の裏事情とは?
親会社の日本生命では自社で数万人にも及ぶ営業部隊を保持し、商品の企画、製造、販売までを一気通貫で手掛けているが、はなさく生命では企画、製造までで販売は委託している。
そのため、本商品も保険ショップなどで見かけることが多いだろう。
さて、はなさく生命としては初めてのがん保険だが、筆者の印象としては
手堅くまとめたけど、保険料と内容でインパクト薄め
という感じ。
また、お手軽プラン、標準プランに含まれるがん一時給付金が「1回のみ」という点については、「そもそも保険としてどうなのかね?」という気もして、星2つ評価とした。(この点については、弱点その3にて詳細を述べる)
初作品でいきなりホームラン級の大ヒットを狙ったわけではなく、成熟しきったがん保険市場において「まずは出してみて、反応を見ようか・・・」というところだろう。
保障内容としては以下の3つのタイプを用意している。
全体的に「分かりやすさ」を重視した構成。
① お手軽プラン(契約上は「Ⅰ型」と呼ぶ)
本プランに含まれるもの
・がん一時給付金(1回のみ)
② 標準プラン(Ⅱ型)
本プランに含まれるもの
・がん一時給付金(1回のみ)
・がん治療給付金
・がんによる払込免除
③ 保障充実プラン(Ⅲ型)
本プランに含まれるもの
・がん一時給付金(1年に1回を限度として何度でも)
・がん治療給付金
・がんによる払込免除
本商品を構成する「パーツ」は3つ。
がん一時給付金、がん治療給付金、払込免除。
がん一時給付金について
がん一時給付金は、がんになった時に受け取れる「一時金(50万円、100万円など)」で、初回は診断のみ、つまり「がんです」と言われただけで受け取れる。
なお、本商品ではお手軽プラン、標準プランでは「初回だけ(1回だけ)」だが、保障充実プランでは1年に1回を限度に「何度でも」一時金を受け取れる。
だが、2回目以降は「1日以上の入院」もしくは「手術のために通院」、「放射線治療のための通院」、「抗がん剤治療のための通院」のどれかに該当することが条件。
ちなみに、主に乳がんの再発防止のために行われるホルモン剤治療のための通院・入院は「対象外」となっている。
この条件は「他社なみ」と言ったところだろう。
がん治療給付金について
入院、通院どちらでも構わないので、手術、放射線治療、抗がん剤治療・ホルモン剤治療など、がんの治療を行った「月ごと」に給付金(5万円/回など)を受け取れる。
がんの治療が長期化した時のための保障で、昨今では他社でもこれががん保険の主流になりつつある。
標準プラン、保障充実プランにて適用される。
なお、がん一時給付金ではホルモン剤治療は適用外だったが、こちらでも支払い対象となっている。
払込免除について
がんと診断された以後は保険料は免除される。
標準プラン、保障充実プランにて適用される。
これら3つの保障を柱にしており、オプションとしても「女性がん早期発見サポート特約」と「がん先進医療特約」の2つのみ。(詳しくは後述)
内容としてはごくごくシンプルで分かりやすい。
では、弱点の解説に入る。
この保険の弱点はここだ!!
その1 保険料が高い
うーん、がん保険で先行する他社を「追いかける」はずの商品としては保険料がイマイチ。
年齢性別にもよるのだが「ちょっと高いかな」という気がする。
実際に比べてみよう。
当サイトで高評価のなないろ生命(朝日生命グループ)の「なないろがん一時金保険」と以下の条件で比較する。
30歳 男性
がん一時金 50万円
がん治療給付金 10万円
払込免除あり
はなさく生命 がん保険 保障充実タイプ
2,285円/月
なないろ生命 なないろがん一時金保険
1,730円/月
保障内容が「ほほ同じ(細かいところで言えば多少の違いはあるが)」で、なないろ生命の方が20%近く安い。
国内ナンバーワンの「日本生命」というブランドもあるので、数十円の違いであればそこまで気にすることでもないのだが、これだけ差があると厳しいのではないか?
保険ショップなどに訪れるのは主に若い層であり、
「なるべく良いものを、なるべく安い価格で」
というのが基本スタンス。
大手生保が作った第二生保はブランドで言えばユニクロ傘下のgu(セカンドブランド)のようなもので、プライスこそが請求ポイント。
いくら日本生命ブランドがあったとしても、この層には通用しないような気がする。
はなさく生命の初期の商品は「保険料勝負で負けない!!」という気概を感じたが、本商品に関してはそのあたりが「薄ぼんやり」してしまっている。
売れ行きなどを見て、あまり芳しくなければ、どこかのタイミングで保険料をドカッと下げる可能性もあるように思う。
その2 設計の自由度がない
前述の通り、本商品では3つのタイプを用意しているが、それぞれのプランは内容が固定されているため、自由度が低い。
例えば、標準プランと保障充実プランでは「がんと診断された」際に以後の保険料が免除されるが、これは他社商品では「払込免除特約」という形でオプション扱いで取り外し自由になっている。
この払込免除特約を付けると、おおよそ保険料は20~40%程度上がる(年齢、性別によって異なる)ため、これのあるなしで保険料は随分と変わる。
つまり、本商品ではそれが「標準装備」されているがために、その1でも述べた「保険料高め」の理由ともなっている(もっとも、払込免除を「付けた」状態で他社と比較しても高いのだが・・・)
本商品の売りは「分かりやすく、シンプルに」という点だと思うが、保障内容を「シンプル」に見せようとすると、どうしてもパッケージ化をせざるを得ない。
つまり「シンプル化」と「自由度」は相反するものなので、どちらを優先させるか?という点にはその会社のスタンスが出る。
本商品においてはシンプルであることを優先したのだろうが、流石に払込免除くらいはオプション扱いでも良かったのでは?とも思う。
その3 一時金「1回だけ」は無責任。お手軽プランはやめた方が良い。
お手頃プランと標準プランでは、がんと診断された時に受け取れる一時給付金が「1回のみ」となっている。
これは保険会社としては、
無責任
のような気がする。
がんは初回よりも2回目以降の方が怖い。
初回は外科的アプローチで「切って終わる(治る)」ことも多いが、転移や再発となった時はなかなか厄介。
再び「切れれば」良いのだが、そうでないと放射線や抗がん剤などを使用し、長期的にがんと闘っていくことになる。
この状態になると仕事などにも影響してくるので、経済的、精神的に辛い。
筆者も長い保険屋人生でそのような方を何人も見てきたが、このような時こそ「お金」が大事になる。
だが、お手軽プラン、標準プランでは一時金は「初回のみ」であり、再発、転移の時には何もない。
肝心の時に役に立たないという点では、保障として不完全だと思う。
そもそも、この「がん一時給付金」は、2010年代初めに損保系生保や外資系などの新興の保険会社が販売を開始した。
それらの商品は当初から「何度でも払う(但し、2年に1回が上限。今は1年に1回が主流)」という仕様になっていたが、それを大手生保が真似た経緯がある。
だが、新興生保と同じく「何度でも払う」という仕様では、大手生保では保険料で太刀打ちできない(高コスト体質のため)
そこで生み出されたのが「1回こっきり」という変化球。
保険会社とすれば、「何度でも」より「1回だけ」の方が支払いリスクは下がる。
その分、保険料は安く出来る。
また、保障内容としては天と地ほどの差があったとしても、
「がんになったら一時金が受け取れます!!(1回だけですが・・・)」
と契約者に対して訴求できるわけで、何となく見た目的には同じような印象を与えることが出来る。
だが、既に述べた通り、がんの怖さは2回目、3回目だ。
もちろん50万円、100万円の一時金だけで生活していけるわけではないが、本当に困った時に受け取れる「まとまったお金」が与える安心感は決して小さいものではない。
その点からすると、「1回だけ」というのは保障として不完全だと思う。
また、一度でもがんになってしまえば、その後、他社のがん保険に入ることは出来ない。
例えば、本商品のお手頃プランに「保険料の安さ」だけに惹かれて入り、それだけでがん対策が「出来ているような気」になってしまったとしたら、それは怖い。
実際にがんになれば、一時金を受け取っただけで「放り出される」わけで、その時になって「もっとしっかりしたがん保険に入っておけば良かった」と後悔しても、遅いからだ。
このあたりのリスクをしっかりと説明していれば良いのだが、販売の現場では「安さ」だけを売りにして「がんはこれだけで大丈夫!!」というような適当なセールスも横行しているので要注意。
なお、本商品では、長期のがん治をサポートするために、がん治療給付金も用意されている。(標準プラン、保障充実プラン)
がんの治療を目的に入院、手術、放射線、抗がん剤などを受けた月ごとに給付金を受け取れるもので、これがあれば治療をしている限り、ほぼ毎月お金が受け取れるので大変ありがたい。
しかし、これは標準プラン、保障充実プランにしか付いておらず、お手頃プランには含まれていない。
保障充実プランであれば、一時金が「1回だけ」だったとしても、治療給付金はあるため、再発などでがんの治療が長期化した場合も、それなりのお金は受け取れる。
だが、お手軽プランでは、2回目以降のがんや、1回目でも長期化してしまったような場合には「1回だけの一時金」しかなく、後は丸裸。
お手軽プランはやめておいた方が良いと思う。
なお、女性特有のがんで一時金を受け取れる「女性がん早期発見サポート特約」でも一時金が受け取れるのは1回のみ。
どうやらはなさく生命は「1回だけ」が好きなようだ。
この保険の弱点、こう考えろ!!(解決策)
あのニッセイ(日本生命)が作ったはなさく生命は、創立以来、保険業界の人間の耳目を集めてきた存在で、過去の商品はどれも結構「強い」印象がある。
保障内容が斬新とか、新しいアプローチがある、というようなことはないのだが、収入保障保険や、健康状態に不安のある方が入れる緩和型などの「売れ筋商品」で、先行するライバルたちに「保険料で負けない!!」という気合を感じるものが多かった。
だが、このがん保険は何だかぼんやりしてい印象で、正直、あまり良いところが見つからない。
別にこれでなくても良いのでは?というのが筆者の感想。
保険ショップなどで、「これ(はなさく生命)を検討しているが、同じようなもので、もっと安いものはあるか?」と聞いてみると、比較検討が楽かもしれない。
付けるべき特約!!(三大疾病無制限入院、先進医療)
がん先進医療特約
がんに関わる先進医療に関する治療費用を実費で2,000万円まで補償してくれる。
重粒子治療や中性子治療など、がんの先進医療は多い。
実際に受けるとなると相当な高額になり、自腹ではかなりキツイ。
本特約に入っていれば、お金を気にすることなくそれらの治療を受けられるので、別の医療保険などで入っていないのであれば+70円~100円程度なので、加入しておいた方が良いだろう。
付けても良いかも?な特約!!(疾病・災害入院、女性疾病、払込免除など)
女性がん早期発見サポート特約
女性特有のがん(にゅうがん、子宮がん、卵巣がんなど)になった場合に主契約とは別に一時金が受け取れる。
また、2年に1回(契約日からスタート)、がん検診を受け、
1 その結果に異常がないこと
2 2年ごとの契約日の翌日に生存していること
を満たした場合、1万円が給付される。
一時金 50万円、がん検診のお小遣い1万円のプランで、30歳女性の場合+661円/月
保障は80歳まで継続される。
一般的な「女性がん一時金特約」と、がん検診の受け忘れなどを防ぎ、早期発見を促すための「がん検診を受けたらお小遣い1万円」を組み合わせたような特約。
2年に1度、1万円を受け取れるとなると「受けないと権利が消滅してしまって勿体ないし、1万円もらえるから受けるか」というモチベーションにはなる。
但し、この1万円は結局のところ「自分が貯めた保険料の中からもらう」ものなので、毎月
1万円 ÷ 24か月(2年)=416円
を積み立てているようなもの。
30歳女性の場合、毎月の保険料は661円なので、そのうち417円は「お小遣い1万円のため」、残り一時金50万円を受け取るための保険料は244円ということになる。
244円を30歳から80歳まで50年間負担した場合、
244円 × 12か月 × 50年=146,400円
となる。
本特約で受け取れる一時金は「1回だけ」なので、人生のどこかで女性特有のがんをやれば50万円。
やらなければ146,400円を捨てることになる。
確率で言えば3分の1であり、にゅうがんの生涯罹患率が9%、子宮がん、子宮頸がんが2%弱であることを考えると、実際には3分の1ほどには確率は高くない。
が、やはり「良く聞くがん」ではあるし、女性にとっては人生の転機になると言うか、にゅうがんであればちぶさを失う可能性もあり、子宮がんであれば基本的には子宮を全摘出することが多い。
そのような時に50万円はないよりはあった方が良いかもしれない。
前述の通り、しっかりをがん検診を受ける動機付けにもなるし、それを受けて2年に一回1万円をゲットしていれば、実質的な負担は毎月244円ほどなので、余裕があるなら付けておいても良いだろう。
付ける必要なし、な特約!!(健康祝金、通院、ケガ、終身など)
なし
口コミ・評判(販売側から)
なし
謝礼Amazonギフトカード300円!! アナタの口コミ教えて下さい!!
保険会社勤務、代理店勤務の方でも、販売現場の情報や、当サイトで指摘していない弱点(デメリット)などには謝礼(amazonカード300円)をお支払い致します。
口コミ・評判(契約者から)
なし
比較検討した方が良い商品
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アフラック 生きるためのがん保険寄りそうDays ★★★★☆
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編集後記
初稿:2024年10月18日