大手が続々参入 別働隊「第二生保設立」の裏事情とは?

昨今、国内大手保険会社が、別働隊として保険ショップ向けの商品の開発・販売を專門とする「新しい」保険会社を作るという動きが活発化している。

ざっと挙げると、以下のような会社がある。

ネオファースト生命 第一生命資本

メディケア生命     住友生命資本

はなさく生命          日本生命資本

なないろ生命    朝日生命資本

これらの保険会社の商品は、保険ショップ(保険の◯◯など)などで見かける機会が多いが、商品としての完成度は高く、保険料も安い。

そのため、各種媒体の保険商品ランキングなどでも上位に食い込むことが多いのだが、本コラムではこれらの「裏側」を解説したい。

そもそも、大手の各保険会社は、何故わざわざ「別働隊(別名の保険会社)」を作る必要があるのか?

第一、ニッセイ(日本生命)、住友、朝日、どの保険会社も、自社のCMに有名タレントや女優を起用し、朝から晩までCMを流している。

莫大なコストを使って、自社の「ブランド」を確立しているのだから、その名前を使って新商品を出した方が良い。

ネオファーストだ、メディケアだ、と誰も知らない保険会社より、第一生命、住友生命の方が、顧客への訴求力もある。

しかし、そうは出来ない理由がある。

膨大な「既存顧客」がいるからだ。

複数の保険商品を比較販売方式で提案する保険ショップなどで「選ばれる商品」を作るには、保障内容、保険料ともにナンバーワンにならなくてはいけない。

オリンピックと異なり、銀メダルでは意味がないからだ。

だが、本体の保険会社で、そんな金メダルクラスの商品を作ってしまえば、当然、既存顧客の「切り替え」が大量に発生する。

これが困る。

従来の大手保険会社が主戦場として来たのは、「セールスレディー」による「パッケージ型商品」の販売であり、端的に言えば、保障内容のわりに保険料は高い。

前述の通り、垂れ流しにしている広告や、保険を販売するセールスレディー達の人件費などが、保険料に「乗っかっている」ためだ。

そこに、安くて良い商品を出したらどうなるか?

前述の通り、切り替えが多く発生する。当然、今まで貰っていた保険料は落ち、保険会社としての保険料収入(売上)は減る。

こうなればジリ貧だ。

だから「別ブランドで」ということになる。

ユニクロにおけるGUのような「セカンドライン」という扱いで、別会社を作るのだが、だがこの場合、本体よりセカンドラインの方が品質も良く、安いという「逆転現象」が発生する。

新保険会社は、高額な広告料や、セールスレディーの人件費、そして本社に大量にいる「働かないおじさん」などの不良資産がないため、身軽。

それでいながら「巨大な後ろ盾(資本力)」はあるのだから、良い商品が作れるのである。

だが、このような動き、昔から本体を支えてくれた既存のお客さんからすれば良い面の皮だろう。

良く分からないところで「安くて良い商品」を販売しているのに、自分たちには「高い商品」を押し付ける。

デパートが昔からの馴染みには、高い商品を売っているのに、実は隣の空いている土地でディスカウントストアを経営していて、そっちでは同じもの、むしろもっと良いものを安く売っている。

例えるならそんな感じで、商売上の信義則からすれば、なんとなく薄汚い印象を受ける。

しかし、大手各社も「そうせざるを得ない」事情がある。

それが、若者の保険離れ、特に大手離れ。

一昔前は、新人社員が入ると、先輩から「社会人なんだから保険くらい入りなさい!!」と言われ、旧知のセールスレディーを紹介される。

目の前の厚化粧のおばさんの迫力と、先輩からの紹介というプレッシャーで「何となく入る」というのが一般的だった。

そうこうしているうちに結婚して、子供が出来て、とライフステージが進み、保険のおばちゃんとも仲良くなり、「保険は◯◯生命の◯◯さんに任せてるから」となる。

今の50代以上などは、そういう人が多い。

これが大手保険会社の「ビジネスモデル」だったのだが、昨今では、セキュリティの観点から、職場にセールスレディーが入れない。

更には先輩から後輩に紹介する、というような流れもなくなった。

下手するとパワハラになってしまうし、また若者の方も「結婚しない」、「結婚しても共働き(嫁さんの方が稼ぎが良いなんてことも多い)」、「子供も作らない」となると、保険の必要性を感じないのである。

直接的にアプローチすることも出来ず、保険自体のニーズを低下、更にはコンサル型の外資系生保や、損害保険会社の子会社のカタカナ生保、ネット生保などの「新興勢力」が続々と出てきたことから、大手保険会社には何となく「古臭い」というイメージがついてしまった。

要は顧客が高齢化し、顧客の年齢構成が極端に偏っている。

保険という仕組みは、ある段階までは契約者がせっせと保険料を上納するが、ある段階になると保険会社がせっせとお金を払わないといけない。

死亡した場合の保険金や、貯蓄型保険の年金など。

顧客の高齢化は、保険会社にとって「今後は払うだけ」であり、資産が減り続けることを意味する。

「若者を取り込まねば!!」

それが大手の各保険会社の至上命題であり、そのためにはなりふり構っていられない。

既存の客を裏切ることになろうが、そのことで自社のセールスレディーに文句言われようが「やるしかない」というところだろう。

で、第二生保が乱立しているわけだ。

今風の社名に看板を取り替え、その横に「◯◯生命グループ」などとセコくブランドをアピールする手法が流行っている。

筆者のように業界が長い人間からすれば、このような動きは「良い気」はしない。

正論で言えば、商品群を「戦える商品」に仕立て直し、昔からのお客様にもそれらに切り替えてもらう。

セールスレディーが過剰なのであれば、一部には退職して頂く。

そのことにより例え短期的に保険料収入(売上)が下がったとしても、ちゃんと整理整頓をしてから、真正面から若者を取り込みにいく。

それこそ保険会社のあるべき姿だと思うのだが、大手でそのような動きをしているのは明治安田くらいのもので、他は全て「小手先」でごまかしているのが現状。

「あなたのために」的な偉そうなCM流していても、保険会社なんて所詮そんなもんだと思った方が良い。

とは言え、商品自体は悪くないので有力な選択肢になることは事実である。

但し、本体より経費を削減するために、普通の保険会社にはある復活制度(失効した状態の保険を元に戻すこと)がなかったり、医療保険の日数カウントのルールが本体より厳しかったり(変則的)、等々の「安かろう、悪かろう」という類のデメリットもある。

参考コラム:新興系保険会社のデメリット 保険の復活が出来ない?!

参考コラム:180日ルールとは?通常型、変則型の違いを解説

そのような各論については、各商品の解説ページをお読み頂きたい。

そのため、本コラムで述べた内容が、保険選びに直接関係することはない。