がんと保険

死亡保険  ✕
医療保険  ✕
緩和型医療 ✕

がん保険  ✕
無告知型  ◯

解説

本稿では、掛け値なしに「本音」でがん患者のための保険を論じてみたい。

通常では書かない(書くべきではない)「ウソをついて入る」ということの是非についても触れる。

なお、筆者はあまり遠回しな言い方が出来ないので、文中、カチンと来ることもあるかもしれないが、悪意はないのでご容赦頂きたい。

まず、「がん患者」を3つに分類する。

もちろん医学的には色々な考え方があることは知っているが、あくまで「保険加入」という目的のための便宜的なものだと思って欲しい。

筆者が考える分類は以下のようになる。

1 がんに罹患していたが、既に完治している

2 今現在、がんに罹患しているが、ステージⅠ、Ⅱで十分回復の見込みがある

3 今現在、がんに罹患していて、残念ながら状況は良くない

それぞれの状態によってアドバイスは変わる。




1 がんに罹患していたが、既に完治している

まず、1については、「完治してからの時間」が重要になる。完治後1、2年だと正直、かなり厳しい。入れる保険はまずないだろう。

但し、3,4年経過していれば、死亡保険については「通常通り入れる」か、「特別条件付きで入れる」可能性が高い。

特別条件というのは、通常1万円で入れる保険が、1.5万円になる、というようなもので、割増保険料を払うことで加入出来るというもの。

もしくは、「加入2年以内に死亡した場合は保険金が減る」という「削減」という特別条件もある。

これらの条件が付く可能性は高いが、「入れないことはない」という感じ。

ただ、これもがんの部位による。

男性の前立腺がんや、女性の甲状腺がんなどは「極めて転移しずらい」がんなので、その分、保険会社の診査もゆるくなる。

実際、男性の前立腺がんの5年生存率は99.1%、女性の甲状腺がんも95.8%と高い。

参考資料:最新がん統計 4のがんの生存率を参照

逆に肺がんや、肝臓がんなどでは「転移しやすい」ため、完治後3,4年では難しく、一般的に「一安心の基準」と言われる5年を経過していても、断ってくる保険会社もあるかもしれない。

とは言え、やはり「5年経過している」という事実は大きいので、いくつか保険会社をはしごすれば、おそらく入れないことはないのでは?という感じ(あくまで死亡保険に限った話である)

筆者自身、過去に肺がんで完治後5年という方の保険を通した経験もある。

では医療保険はどうか?と言うと、こちらは結構厳しい。

保険会社からすると、医療保険は「わりと払う機会が多い商品」であるため、「ほとんど払う機会がない」死亡保険より、診査が厳しい。

そのため、がん経験者の場合、5年経過していても、断れるケースが多く、そのため、アフラックの「生きるためのがん保険 寄りそうDays」(解説は以下参照)や、セコム損保の「自由診療保険メディコムワン(にゅうがんを経験した女性専用の保険)」などが販売されている。

アフラック 生きるためのがん保険寄りそうDays ★★★★☆

セコム損保 自由診療保険 メディコムワン ★★★★☆

これらは、保険料などが割増されているがんサバイバー専用の保険なのだが、つまりは「このような保険しか入れない」という裏返しでもある。

で、「5年も経っているのだから、黙ってればわからないんじゃない?」という話になる。

筆者自身もそのような相談を受けたこともあるが、結論としては

「かなりの確率で『わからない』、しかし絶対ではない」

という言い方になる。

その論拠が「カルテの法的保管義務」だ。

法律で、病院などがカルテを保管しなければいけない期間は「最後の受診をしてから5年」と定められている。

そして、この5年を過ぎると、病院はできるだけ情報を破棄しようとする。

「5年も来てない患者(お客)」が再び来る可能性は低いし、余計な情報を持っていることで、漏洩事件を起こす可能性もある。

また、なにかのタイミングで過去の医療ミスなどをほじくり返され、自ら保管しているカルテが「証拠」となってもバカらしいので、5年経過後は「捨てる」ようにしているところが多いのである。

となると、仮にウソをついて入り、その後、入院や手術をした場合、保険会社が調査をしようとしても、5年以上前のことは調べようがない。

そのため、保険会社でも「調査は過去5年まで」と決めているところが多い。

だから、「ほぼ大丈夫」なのだが、それでも保険会社の調査能力というのは相当なもので、何かの拍子にバレることもある。

特に個人クリニックなどは、カルテの管理が杜撰で、過去5年以上経過したものを持っていたりするので、がん発覚のきっかけとなった自宅近所で受けた健康診断の結果などを発見し、そこから全容が判明するようなこともある。

なお、医療保険で「調査が入る」のは、ほとんどが加入してから1年以内の入院、手術だ。

「入ってから1年で給付金が発生している。これは怪しいな・・・」

そう思って、保険会社の調査が入るのだが、この1年ルールもほとんどの保険会社で共通しており、ほぼ調査されると思っておいた方が良い。

ただ、逆に言えば1年経過していれば、それほど細かくは調査しない。

稀にランダム調査(膨大な支払い件数の中から、無作為に調査をする)に引っかかることがあるものの、これは相当レアケースだ。

であるから、まず「完治してから5年経過」し、更には「保険に加入してから1年経過」していれば、入院や手術などをしても、無難に払われるケースがほとんどだろう。

「じゃあ、ウソついて入っても問題ないじゃないか。」

と思われるかもしれないが、実は別の問題もある。

精神面の話だ。

ウソをついて入る、その後、入院や手術などをする。

この入院や手術をしている間のモヤモヤ。

「ホントに大丈夫か?払われるのか?」

「ウソついたってバレたら、どうなるんだ?・・・もしかして訴えられる?」

と心配しながら過ごす時間は結構苦痛だ。

筆者の知り合いに、実際にウソをついて入り(筆者が手助けしたわけではなく、他の保険会社の人間から「ウソついてOK」と言われ加入)、その後、入院して給付金を請求した人がいるが、保険会社から電話がかかってきただけでドキドキ・・・

結果、手術と入院で25万円ほどの給付金を手にしていたが、

「たかだこれくらいのお金で、あんな後ろめたい気持ちになるのは嫌なもんだね」

と言っていた。

もちろん「全く気にしない。もらえるならウソでも何でもつく」という人もいるだろう。

だが、給付金を受け取るまでに医療保険の保険料を支払っており、実際にはさほど得しているわけでもない。

また、正確には告知義務違反による給付金詐取は犯罪でもある。

筆者としては、医療保険という「軽い保険」に、ウソをついてまで入るメリットは薄いと思っている。




2 今現在、がんに罹患しているが、ステージⅠ、Ⅱで十分回復の見込みがある

この状態の方にとっては、保険よりはまず体を治すことが先決だろうが、やはり「がん」という病気になって不安な気持ちになるのか、

「入れる保険はあるか?」

と聞かれることが結構ある。

結論としては、ない。申し訳ないが何もない。

先の「完治後5年経過してから」ウソをついて入るのと違い、この段階ではウソをついて入っても、かなり高確率でバレる。

医療保険の場合、加入してから、すぐに入院、手術をすれば、先に触れた「1年ルール」で確実に調査が入り、簡単に告知義務違反が発覚する。

死亡保険においても、死因ががん(悪性腫瘍)で加入してから2,3年であれば、ほぼ調査が入るので、そこでバレるだろう。

やはり、保険のことは、まずちゃんと体を治してから考えた方が良い。

なお、この状況の方でも「無告知型(もしくは無選択型)」と呼ばれる保険であれば、加入することは出来る。

しかし、治る見込みが高いのであれば、あまりお勧めはしない。

高いわりに保障内容も大したことはないので、そこまで無理して入る必要もないだろう。

無告知型の保険に関しては、次項で詳細を述べたい。

3 今現在、がんに罹患していて、残念ながら状況は良くない

基本的には「完治することはない」という状況で、あとは抗がん剤や放射線治療で「どれくらい生きられるか?」という方について述べたい。

誠に冷たい言い方をするが、一般的には「末期がん」と言うことになるだろう。

当然ながら、入れる保険はない。

ウソをついて入ったとしても、前項で説明した通り「ほぼ確実にバレる」のでやめておいた方が良い。

また、病身でありながら、「告知義務違反」という余計なストレスを抱えることも良くないし、仮にウソをついて入った保険で自身の死亡後に高額の保険金を遺せたとしても、それは「保険金詐欺」であり、残された家族はどこかしら後ろめたさを

だが、無告知型(もしくは無選択型)の死亡保険であれば入れる。

無告知型は加入時に一切健康状態について申告する必要がなく「誰でも入れる」からだ。

その代わり保険料が割高に設定されているのと、加入後2年、もしくは3年は死亡しても保険金は「それまでに支払った保険料」だけとなる。

このあたりは後述したい。

当サイトで把握している商品は以下の3つ。

ひまわり生命 新・誰でも終身 ★★★☆☆

・40~60歳は保険金500万円まで、61~75歳は保険金300万円まで設定可能

・加入後2年以内の死亡は支払った保険料のみ

フコクしんらい生命 ご長寿万歳 ★☆☆☆☆

・50~80歳まで加入可能。保険金は300万円まで設定可能

・加入後2年以内の死亡は支払った保険料のみ

・2年経過後、3年目までは保険金6割

・3年経過後、4年目までは保険金8割

・4年経過後は保険金10割となる

みどり生命 やまぼうし ★☆☆☆☆

・30~80歳まで加入可能。保険金は200万円まで設定可能

・加入後3年以内の死亡は支払った保険料のみ

アフラック 終身保険どなたでも ★☆☆☆☆(サイト未作成)
商品サイトはコチラ

・40歳~80歳まで加入可能。

・毎月支払う保険料が決まっており、その保険料と年齢によって死亡保険金が決定する。

例:40歳男性 保険料6000円/月の場合 167万円

各社商品によって、加入できる年齢や、入れる保険金は異なるが、40代、50代であれば、複数社に加入することで、それなりにまとまった保険金になる。

逆に40歳に満たない場合、加入条件を「40歳~」としている商品が多いため、加入できるのはみどり生命だけに限定されてしまい、更にはみどり生命では保険金は200万円までしか入れないということになる。更にはみどり生命だけが「加入後3年経過後」に保険金が発生するルールなので、がんとギリギリの戦いをしている身としては3年はかなり厳しい。

さて、これらの無告知型(無選択型)に加入するべきか?という点について、筆者の私見を述べたい。

筆者としては、

家族に保険金を遺したいのなら入るべき、戦うべき

だと思っている。




これらの商品は無告知であるが故、基本的には病気の方が入る保険である。

そのため、保険会社も「加入してすぐに保険金を支払い大損する」ことを避けるため、色々な仕掛けをしている。

それが「加入後2年間(みどり生命だけ3年)は死亡しても支払った保険料しか返さない」というもので、がん患者からすれば、これがハードルとなる。

要は2年経過に死亡すれば契約者の勝ち、その手前で亡くなれば負け

ということ。

末期がんの方にとって、2年は長い。

そのことは重々知っている。

実際、筆者自身が末期がんの方にこれらの商品を紹介したこともあるが、3人加入し、2年経過してからお亡くなりになり、ご遺族が保険金を手に出来たのはお1人だけだった。

勝率は3割3分。

この話に

「人の命を勝率にするなんて不謹慎だ!!」

と怒る方もいるかもしれないが、それが仕事だ。

先の3名には、

何とか2年生きてください。保険会社を負かせてください。

加入時にそう伝えた。

「2年で数百万円だもんな。頑張るよ」

皆そう言っていたが、それを掴んだのは実際には3人中1人で、そういう意味では、かなり厳しい戦いであることは承知している。

この「1人」に関しては、加入プランと保険金について書いておきたい。

・50歳 男性

・肝臓がんが複数転移し、ステージⅣ

・抗がん剤が上手く効き、一進一退で2年以上の闘病

・ひまわり生命 500万円
保険料20,405円/月
総支払保険料 51万円
保険金  500万円

・フコクしんらい生命 300万円
保険料 15,591円/月
総支払保険料 39万円
保険金 180万円(2年経過後、3年目までは保険金60%→300万円×60%)

・アフラック 125万円
保険料 6,000円/月
総支払保険料 15万円
保険金 125万円(2年経過後、3年目までは保険金60%→300万円×60%)

合計

総支払保険料 105万円
総保険金   805万円

700万円近くもの「純利益」があることになり、この方にはまだ中学生の娘さんがいたので、残された奥様は「学費として取っておく」とおっしゃっていた。

だが、その他のお二人に関しては、2年以内にお亡くなりになり、お支払い頂いた保険料をお返ししただけ。

損をしているわけではないので、ご遺族も「やるだけやってみて良かった。本人の頑張るモチベーションになった。」と言ってくれてはいたが、それでも期待をさせてしまった分だけマイナスかもしれない。

もちろん筆者だって、目の前の困っている人の力になりたい。

保険会社なんて儲かってるんだから、多少ズルしててでも末期がんの患者のために保険金をぶん取りたい、そうも思っている。

大変言い方は悪いが、この方法は「自分の命を元手に保険会社と最後の勝負」をするということ。

それが良いことなのか、悪いことなのか、筆者には分からないが、

「何とか保険金を遺してやりたい」

という切なる願いに応えるためには、この方法しかないことも事実である。

歯に衣着せぬ言い方で申し訳ないが、以上、がんと保険について、本音で述べた。

何かの参考になれば幸いである。

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