提供会社:ライフネット生命
商品名:認知症保険be
この保険の弱点はここだ!!
何ともライフネット「らしくない」商品。
保険料も高いことから星一つ評価。
ライフネット生命は個人的に好きな保険会社の一つだが、この商品には「良いところ」を探すのが難しい。
商品の概要としては、以下の通り。
・認知症と診断されたら一時金(100万円~300万円まで設定可能)
・その手前の「軽度認知障害(MCI)」になれば一時金の10%か20%を受け取れる(加入時に設定)
MCIとは昨今の保険業界で流行っている言葉で、認知症になる前の初期症状を指す。
MCIの詳細については以下のコラムを参照して欲しい。
参考コラム:認知症の基礎。器質性認知症、見当識障害、MCIとはどんな状況?
つまり、初期段階のMCIで一時金の10%(もしくは20%)が払われ、その後、症状が進行し本当の認知症になった時に本丸の一時金を受け取れる。
コンセプトとしては
認知症だけでなく、その前段階からサポートしますよ!!
ということなのだろう。
だが、これは既に多くの保険会社から同じようなものが販売されており、何の目新しさもない。
ただの後追い商品であり、このあたりライフネット「らしくない」と感じる。
では弱点。
弱点1 後発なのに保険料が高い・・・・
次に保険料。
60歳 男性 一時金100万円 軽度認知障害診断一時金10%(10万円)
この条件で保険料は2,927円/円(終身払)となっている。
対して、本商品のライバルと思われる他のネット生保は以下の通り。
楽天生命 認知症保険
一時金100万円 2,210円/月(終身払)
ネオファースト生命 認知症保険 to スマイル
一時金100万円 1,580円/月(終身払)
これだけ見ても、保険料が高いことが分かる。
なお、一応ライフネットが「高い理由」を解説すると、楽天生命には軽度認知障害診断一時金(MCI)での給付金がない。
+10万円、かつ早期でも払う、というのが対楽天生命の高い理由。
次にネオファーストだが、ライフネットは「認知症と診断されたら」払うのに対し(楽天生命も同じ)、ネオファーストは「認知症&要介護1」が支払条件となっている。
要介護1にならないと受け取れないので、ライフネットよりややハードルが高い。
但し、MCIになればかなりの高確率でその後認知症になるし、認知症になれば、これもかなりの高確率で要介護1に認定される。
多少の時間差はあるが「いずれ100万円が受け取れる」のであれば、そこまで大きな違いではない。
10万円を先にもらうためだけ、要介護1に認定される前に、そのような理由だけで高い保険料を負担する理由はないように思う。
結果「ライフネット、後発なのに高いよね」という結論になってしまう。
弱点2 認知症の備えは「保険」以外で
ここまで書いてきて、元も子もないことを言うが、当サイトでは基本的に
認知症の備えは保険以外の方が良い
というスタンス。
そのあたりの考え方は以下のコラムにまとめてあるので、是非、ご一読頂きたい。
参考コラム:認知症保険は「原則」必要ない
本商品でも、一時金100万円(+MCI10万円)を受け取れるために、毎月2,927円を支払う必要があるが、見ると1年間で35,124円。
10年間で35万円、20年間で70万円を支払うことになる。
対して、認知症になる「確率」だが、ライフネットの商品サイトにも記載がある通り、高齢者のおおよそ5人に1人が認知症になる。
実際、厚生労働省発表などのデータを解析しても、介護になる人(認知症だけでなく、麻痺や身体的な障がいなど)が男性3人に1人、女性2人に1人で、認知症はさらのそのうちの半分程度だ。
男性は介護に至る手前でがんや心臓、脳などで死んでしまう人が多く、人生の終盤で介護を必要とする人は3人に1人。
女性は男性より総じて長生きであるため(がん、心臓、脳で亡くなる数が少ない)、男性より介護状態になる可能性が高い。(2人に1人)
ただ、介護になったとしても、その原因が認知症である方は、男女ともに50~60%程度。
一般的には「介護=認知症」というようなイメージもあるが、実はそうでもない。
そうなると、男性の6人に1人、女性の4人に1人が「認知症になる可能性がある」ので、男女を総合すればライフネットの言う通り「5人に1人」というのが適当だろう。
話を戻す。
先に述べた通り、認知症になった際に100万円を得るために60歳 男性の場合、毎月2,927円、10年間で35万円を負担する。
60歳から10年、まだ70歳なので認知症を発症するまでには少々早い(もちろん、70歳で罹患する方もいるが)
もう少し先まで払うと思った方が良い。
では「認知症を発症する年齢は何歳か?」と言うと、実は明確なデータがない。
但し、諸々の統計を見ると、男性は75歳近辺、女性は80歳近辺あたりに「山(ピーク:発症が一番多い)」があるようだ。
そうなると、
・認知症になる人(5人中1人)は75歳まで、約53歳まで払う
→ 約53万円を負担し、110万円を得る(初期MCI10万円を含む)
・認知症にならない人(5人中4人)は平均寿命(85歳)あたりまで払う
→ 約88万円を負担し、何も得られない(保険料を捨てる)
という構図が見えてくる。
どうだろうか?
受け取れるのは5人に1人、しかもオッズは2倍(53万円が110万円)
筆者は「かなり不利な勝負(保険会社が有利)」のように感じる。
であるならば、この勝負には乗らずに、自分で貯めておけば良い。
5人に4人は「戻ってこない」可能性がある掛け捨ての保険より、毎月5,500円を貯めておけば、15年(75歳)で99万円になる。
認知症になればそれを使えば良いし、ならなければ別のことに使えば良い。
これらのことが、
「認知症の備えは保険以外で(自分で)」
と主張する根拠だ。
この保険の弱点、こう考えろ!!
前述の通り、認知症というリスクを保険でカバーする必要はないし、仮に保険に入るにしても、本商品より保険料が安いものの方が良い。
ライフネットには申し訳ないが、この商品に加入する理由はない。
また、どうしても認知症に関する保険に入りたいなら、貯蓄を兼ねた保険を勧める。
認知症になれば保険金が、ならなければ最後に死亡した時に保険金が、という商品があるので、是非、検討して欲しい。(以下「比較した方が良い商品」にて紹介)
もしくは保険ショップなどで、複数商品を比較検討してもらうのも良いだろう。
口コミ・評判(販売側から)
なし
口コミ・評判(契約者から)
なし
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比較した方が良い商品
貯蓄型
ジブラルタ生命 米国ドル建介護保障付終身保険(低解約返戻金型) ★★★☆☆
東京海上日動あんしん生命「あんしんねんきん介護R」★★★☆☆
掛け捨て
編集後記:
2024年9月6日 初稿