提供会社:明治安田生命
商品名:メディカルスタイルF
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この保険の弱点はここだ!!
パッケージ型商品の総論は以下コラム参照。
参考コラム:古い日本の保険会社が提供する「パッケージ型商品」総論
動画(音声)でも解説!!
なかなか判断が難しい商品。
分類としては、国内大手生保によくある
「パッケージ型商品(色々なものがセットになったもの。明治安田では組立総合保障保険と言う)」
であり、テレビCMなどでも放映されている同社の看板商品「ベストスタイル」が死亡・医療・就業不能など、広範囲の保障を網羅しているのに対し、メディカルスタイルは医療分野に特化している。
ベストスタイルの解説は以下参照。
明治安田生命 ベストスタイル健康キャッシュバック ★★☆☆☆
ただし、分類上はパッケージ型(組立総合保障保険)となっているものの、その実態は医療保険だと思って良い。
そのため、当サイトでは医療保険として扱う。
で、その保障内容だが「悪いか?」と言われると、そこまで悪くもないし、約款を読む限り、保障内容はかなり作り込まれている。
現状、巷にある様々の医療保険の「全て」を網羅しているような構成で、この商品で出来ないことはほとんどない(いくつか弱点はあるが、それは後述)
ただ、選択肢が多すぎるが故「ちょっと複雑過ぎるなぁ・・・」という印象。
昨今の生命保険業界で流行りの、
素人にも分かりやすく、シンプルに!!
という流れには逆行している。
この商品は、自分で組み立てるというよりは、明治安田のセールスレディに「お任せで作ってもらう」という感じにならざるを得ない。
そのため、良い保障内容になるかはそのセールスレディの力量による。
素朴な疑問として、これをちゃんと理解している営業(セールスレディ)がどれほどいるのだろうか?
筆者も業界歴20年以上で、こんなサイトの編集長もやっているので、保険には「かなり詳しい」が、本商品の約款は、あまりに長く、読解するのに骨が折れた。
注:但し、約款自体の文法は非常に分かりやすく書かれている。また相互にリンクなども張っているため、「分りにくい約款」をなるべく簡易に書くというユーザーライクな姿勢には好感を持っている。
3万3000人いる明治安田のセールスレディ。
社内教育などには定評があるので、ちゃんと勉強をしているとは思うが、とは言え、その知識は、人によってかなりグラデーション(濃淡)があるのではないか?
そもそもが、保険業界は「大量採用、大量脱落」が前提であり、ほとんどの営業が数年で辞めてしまう。
そのため、ベテランと新人では、その知識量に相当の差があるのだが、更に持たされる商品も複雑とあっては、最終的な提案にはかなりの差が生じてしまう。
知識のないセールスレディにとっては「ちょっと扱いきれないんじゃないか?」というのが筆者の率直な感想。
知識、経験の乏しい人が提案すると、カツ煮にカレーをかけて、更にポテトフライと唐揚げを山盛りに乗っけた「ゲテモノ料理」のような医療保険が出来上がり、売ってる方も、買ってる方も、その実態が良く分からない、というようなことが発生しかねない。
扱いが難しい商品である。
商品構成は、下記のように多岐に渡る。
いちいち解説していてはキリがないので、簡単に流していく。
・新入院特約/終身入院特約
入院1日あたり5,000円など、入院した日数分のお金が受け取れる。10年更新か終身型かを選択出来る。
・入院治療保障特約
診療報酬点数に基づいて、給付金額が変わる。当サイトでは「実費精算タイプ」と呼んでいる。
参考コラム:医療保険 実費精算タイプのメリット・デメリット
・外来時手術保障特約
入院をせずに、外来だけで手術を受けた際にお金が受け取れる
・退院後通院治療保障特約
その名の通り、退院してからの通院で給付。こちらも診療報酬点数に連動。
・先進医療特約
保険適用外の先進医療を受けた場合、実費を補償(2,000万円まで)
・特定損傷給付特約
骨折などのケガの保障
・傷害特約
事故が原因で死亡した場合の保障
・重症化予防支援特約
7つの生活習慣病をカバー。他社の7大疾病一時金に近い。次項の「重度疾病継続保障特約」と似ているが、こちらの方が「入院しただけ」などでも給付される(病気による)ため、支払い条件が緩い。
つまり、払われやすい。
・重度疾病継続保障特約
前項の「重症化予防支援特約」とかなり似ているが、こちらの方が給付条件が厳しい。
・がん保障特約
がんと診断された時や、再発/転移の際に一時金
・がん/上皮内新生物保障特約
がんと上皮内がんの際に一時金。前項のがん保障特約では上皮内がんは対象外なので、上皮内がんでも一時金を受け取りたい時には、この特約を付ける。
・保険料充当原資積立特約
10年後の更新時、保険料の上昇を抑えために事前に貯金をしておく特約
・終身保険特約
一生涯の死亡時(もしくは高度障害)の保障。貯蓄型の保険
・がん保険料払込免除特約
がんと診断された時に、以後の保険料免除
以上、さらっと流してみたが、とにかくパーツが多いし、似ているようなものも多々あるので、正直、筆者ですらちゃんと整理出来ていない。
注:明治安田の関係者の方。もし間違っているところがあればご指摘頂きたい。
では、筆者が思う弱点について話をしたい。
弱点1 10年更新、90歳まで
一部例外(終身医療特約)もあるが、本商品は原則的に10年更新となっている。
そのため、若いうちは保険料が安い。入院やがんになるリスクが低いからだ。
だが、歳を取れば保険料が上がる。
ほぼ10年ごとに1.5倍から2倍になると思えば良い。
将来的に保険料は上がるが、筆者自身は10年更新は「あり」だとは思っている。
特に若いうちは、保障内容のわりに保険料が安く済むでの「とりあえず」という考え方であれば、10年更新でも良い。
だが、一つリスクがあるのは、途中で大きな病気をしてしまったケースだ。
例えば、30歳で加入し、38歳の時にがんになってしまった。幸い、がんは寛解(がんでは、完治ではなく寛解と言う)したが、一度、がんを経験すると、他の保険には入れないことが多い。
そうなると、この商品から逃れることが出来ない。
いくら保険料が高くなっても、10年ごとの更新を受け入れざるを得ない。
リスクとしては、かなり低いが、ない話ではないので、10年更新型の一つのデメリットと言えるだろう。
また、90歳で契約終了なので「その後はどうする?」という話もある。
大半が90歳までには死亡するだろうが、女性に関しては、統計上10人に1人くらいは、90歳を超える。
90歳で無保険になってしまうのも、何とも心細い。
と言うことで、あれや、これやと考えると「別にこれじゃなくても良いのでは?」とは思う。
弱点2 保険料が高い
まあ、これは仕方がない。
大手の保険会社は総じて保険料が高い。
このあたりの事情は、以下のコラムをお読みいただきたい。
参考コラム:古い日本の保険会社が提供する「パッケージ型商品」総論
保険料だけなら、同じような保障で安いところはいくらでもある。
弱点3 諸々、細かい弱点を一気に羅列
本商品。冒頭でも述べた通り、保障内容が膨大なので、いちいち細かいところを指摘しているとキリがない。
そのため、筆者が気になった弱点を羅列したい。
・入院日数
本商品では、1回の入院限度日数は180日となっている。
そして、入院した理由が「がん」の時のみ「無制限」となる。
だが他社では、「がん、急性心筋梗塞、脳卒中」いわゆる3大疾病で無制限になるものが多い(そういうオプションが用意されている:3大疾病無制限特約など)
他社は脳、心臓でも無制限。本商品はそうではない。という点ではデメリットだろう。
とは言え、そもそもが180日までは払うので、十分と言えば十分だとは思う。
・外来時手術保障特約の手術は60日空いてないとダメ
これは、外来での手術でもお金を受け取れる特約だが、手術をして一回給付されると、その後、60日経過しないと、2回目の手術は支払い対象にならない。
他社では、「別の日」であればOKなところが多い。
これは白内障や、眼瞼下垂などの目の病気の時にデメリットになることが多い。
両目を一緒に手術すると、術後の経過が悪い場合、「両目とも見れない」ということになりかねない。
そのため、日をずらして、左右を別々のタイミングで手術することがあるのだが、このような場合でも、本商品は60日空けないと、両目分は支払われない。
だが、他社では、2,3日後、究極、翌日でも「手術日が別であれば支払う」ので、契約者からすればそちらの方が良いだろう。
・特定損傷給付特約の対象であるヤケドは軽いのじゃダメ
ケガやヤケドで一時金をが受け取れる特約だが、ヤケドに関しては
・深達性Ⅱ度以上
・2cm以上のもの
という条件がある。
このあたりの詳細は、同じく明治安田の「けがのほけん 弱点5」にて解説してあるので、そちらを参照して欲しい。
・がん保障特約が2年に一度
これ、結構嫌がる人が多いかもしれない。
がんと診断された時に、一時金を受け取れる「がん保障特約」
その分かりやすさから人気があるオプションだが、本商品では給付の上限が「2年に1度」となっている。
つまり、初回のがんが転移や再発しても、「前回から2年経過」していないと、支払い対象とならない。
対して、昨今では「1年に1回」というのが主流。
2年に1回、1年に1回。
どちらが良いか?と言われれば後者だろう。
但し、1年に1回の方が、保障内容が良い分、保険料が高くなる傾向があり、一概にどちらが良いとは言えない。
このあたりの事情も、以下コラムに詳しい。
参考コラム:診断給付金、1年に1回と、2年に1回、どちらが良いか?
参考コラム:がん診断一時金、3大疾病一時金は付けるべきか?
・重症化予防支援特約 支払いはそれぞれ1回だけ、合計2回で消滅
心臓、脳、糖尿病など、7つの「重大疾病」で、所定の状況になった場合、一時金を受け取れるオプション。
他社では「7大疾病保障保険」、「8大疾病保障保険」などと言われ、これ単体で販売されていることが多く、病気の範囲の広さと、それらの時にまとまったお金を受け取れるので、最近、人気が出てきた分野。
当サイトで分析済の商品は以下の通り。
なお、動画(音声)でも解説しているので、宜しければご参照頂きたい。
本商品でも、この特約は「目玉」の一つだろう。
しかし、上記で挙げたような「専門商品」に比べると弱い。
支払い条件は「まあまあ良い方(他社に比べ、払われやすい)」のだが、支払い回数で大きな違いがある。
他社では「1年に1回を上限に何度でも」というところが多いが、本商品は2回まで。
全ての病気を通して「一時金を2回受け取ったら」そこでこの特約だけ終わる。(消滅する)
これは結構大きな違いだろう。
以上、気になったポイントを挙げた。
本商品はとにかくオプションが多いのだが、各分野で最先端の商品に比べると「ちょっと弱い」という感じ。
この商品の弱点、こう考えろ!!(解決策)
前述した通り、他社の商品に比べると、些細な弱点は多い。
だが、致命的なものはない。そういう意味で、冒頭でも述べた「悪くない」という評価になる。
しかし、保険料も高いし、10年更新だし、そういう諸々のことを思うと「別にこの商品でなくても」というのが率直な感想。
「明治安田のセールスレディに義理がある(誰かの紹介とか、親戚・先輩とか)」というような人でなければ、わざわざ選ぶ理由はないのかな?という気もする。
参考コラム:「お付き合い保険」の断り方と「お付き合い保険」に入るメリット
・明治安田で入らないといけない
・義理で入るので、なるべく安く済ませたい
そんな人が、10年短期で入るのであれば、そこまで悪くはないかもしれない。
付けるべき特約!!(新入院特約、先進医療)
・新入院特約
10年更新の医療保険なので、保険料は安い。本商品に入るなら、これを軸にした方が良い。
・先進医療特約
保険適用外の先進医療を受けた際に、実費2,000万円まで補償。つけておいた方が無難。
付けても良いかも?な特約!!(重症化予防、がん保障など)
・入院治療保障特約
診療報酬点数に連動して、給付金が決まる。仕組みは以下コラム参照。
参考コラム:医療保険 実費精算タイプのメリット・デメリット
前項で「付けるべき」として挙げた日額タイプの新入院特約とこちら、どちらかを「軸」として選択するべきで、どちらもメリット・デメリットがある。
うーん、筆者は割とシンプルな方が好きと言うか「入院したら1日いくら!!」という方が分かりやすい。実費精算タイプは、退院するまで、いくら給付されるのか分からないのでモヤモヤする。
どっちが好きか、こればかりは性格なので、絶対的にこちらが良い、悪いというわけでもないのだが「まあ無理して難しい方を選ばなくても良いんじゃない?」という感じ。
・重症化予防支援特約
7つの病気で一時金給付。
予算があるなら付けておいても良い。10年更新なので、若いうちはそれほど保険料は高くない。
ただし、他社の「7大疾病保険」などの専用商品に比べると、その内容はやや劣る(弱点3参照)
・がん保障特約
がんと診断された時や、再発/転移の際に一時金を受け取れる。
こちらも予算があるなら付けておいた方が良い。
・がん/上皮内新生物保障特約
上皮内がんも対象になる特約。がん保障に「上乗せ」されるイメージ。
つまり、がんだと、先のがん保障特約の一時金+この特約の一時金の両方が受け取れ、上皮内がんだと、この特約の一時金だけ(がん保障特約は受け取れない)ということになる。
このあたり、ややこしいが、まあ、がんの保障を付けるなら、上皮内がんも対象にしておいた方が良いのではないか?
実際に上皮内がんになった時に悔しいからね。という程度の話だが・・・・
・がん保険料払込免除特約
筆者自身は、医療保険に払込免除は要らないとは思っている。
そもそも保険料は数千円であり、それが免除されたところで、生活に大した影響はないだろうから。
だが、好きな人は好き。
なので、「絶対やめろ」とまでは言わない。お好きにして下さい、という感じ。
参考コラム:保険に「払込免除特約」は必要か?
付ける必要なし、な特約!!(終身入院、外来時手術など)
・終身入院特約
本商品では終身型の医療保険も提供されているが、終身型を選ぶなら他社の方が安いだろう。
わざわざ「高い保険料が固定される」終身型を選ぶ理由はないと考える。
・外来時手術保障特約
入院なしの手術(日帰り手術)でも給付金を受け取れるので、人気はあるが、筆者は否定的。
日帰りで済むような手術なのだから軽症であり、さほどお金もかからない。
本質的には必要ない。であれば、いくら安くても付ける必要はない。
・退院後通院治療保障特約
これも要らんだろう。
通院など、数千円で済むことが多く、更には本特約は「実費」しか受け取れないので、窓口で支払ったその数千円が返ってくるだけ。
年齢、性別にもよるが、恐らくわずか数百円のオプションだろうが、「塵も積もれば山となる」なので、無駄なものは省くべきだと思う。
・特定損傷給付特約
骨折などのケガの保障。これも要らない。骨折して数万円受け取ったところで、さほどの意味はない。
・傷害特約/終身保険特約
どちらも死亡に関係する保険。
医療保険とセットにしてしまうと、医療保険を解約した場合「オプション扱い」の死亡も強制的に解約されてしまう。
それぞれ単独の見直しが難しくなるので、別個のものとして考えた方が良い。
・重度疾病継続保障特約
これに入るなら、重症化予防支援特約の方が良いのでは?
・保険料充当原資積立特約
更新時に、保険料の上昇を抑えために事前にお金を積み立てておくオプション。
なんだか、存在意義が分からないが、こんなものにお金を払う奴がいるのだろうか?・・・・
10年後のことなんか、今考える必要はない。その時、考えれば宜しい。
こんなものにお金を入れるなら、手元に持っておいて運用でもした方がマシ。
口コミ・評判(契約者から)
・なし
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保険会社勤務、代理店勤務の方でも、販売現場の情報や、当サイトで指摘していない弱点(デメリット)などには謝礼(amazonカード300円)をお支払い致します。
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当サイトで高評価の医療保険は以下の通り。
アクサダイレクト生命 アクサダイレクトの終身医療 ★★★★☆
アフラック 医療保険EVER Prime プラス ★★★★☆
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編集後記