この保険の弱点はここだ!三井住友海上プライマリー生命「生存保障重視型平準払個人年金保険」

提供会社:三井住友海上プライマリー生命

商品名:生存保障重視型平準払個人年金保険
別名
あしたも充実:地方銀行他、あいおい生命、三菱UFJ銀行 等
100年時代応援つみたて:三井住友銀行
みらい、そだてる:沖縄銀行、千葉銀行、等(地銀、信金多数)

この保険の弱点はここだ!!

良い商品だと思う。

約款上の正式な名称は「生存保障重視型平準払個人年金保険」というものだが、商品名としては主に地銀で販売されている「あしたも充実」と、全国の三井住友銀行の支店で販売されている「100年時代応援つみたて」に別れる。

商品としてシンプルな外貨建の年金商品で、流れは以下のような感じ。

・積立金額は「円建て」で一定(月1万円など)

・毎月、その予算で買えるだけのドル(米ドル/豪ドル)を購入

・それを毎月変更される利率で運用。
 注:本稿執筆時(2023年1月)は米ドル10年超で4.30%、豪ドル10年超で4.50%。但し1.50%は最低保障

・将来の年金額は「運用結果」による

・年金保険料控除の対象となる

保険料の控除枠は「一般生命保険料」、「介護医療保険料」、「年金保険料」の3つの枠があるが、年金保険料控除枠は意外と使っていない人が多い。

これらの控除枠は節税効果もあり、還付金を得ることが出来るので、年収が高ければ高いほど利用するメリットが増す。

参考コラム:一から解説、控除って?何で保険で還付金が戻ってくる?

例えば、年収600万円程度の方であれば、年金保険料控除枠(年間8万円以上を支払うことで、最大4万円控除)を利用すれば8000円程度の還付金を得ることが出来るのだが、

8万円支払って、8,000円の還付(収入)

であれば、その利回りは10%。

実際には「自分の税金が戻ってくるだけ」であり「運用」ではないのだが、得られる効果は一緒だ。

今どき、ノーリスクで10%の運用などできないので、是非利用した方が良い。

この控除枠を利用しようとする場合、従来であれば円建の年金商品などに入るのだが、現状ではとにかく利率が悪い。

ほとんどの商品が「20年以上支払ってトントン程度」という感じで、還付が得られたとしても、金融商品としては全く魅力がないのである。

そこで、金利(利率)が高い外貨ということになる。

筆者の記憶では「外貨建年金で控除対象にもなる」という商品を作ったのは、確かマニュライフ生命の「こだわり個人年金(詳細は以下参照。本商品とほぼ同じ内容なので参考になる)」だと思うのだが、本商品もそれを意識したものだろう。

マニュライフ生命 こだわり個人年金[外貨建] ★☆☆☆☆

現状、外貨建年金で年金保険料控除の対象になる商品は少ないので、なかなか貴重な選択肢と言える。

また、最近流行りのトンチン性も組み込んでいるが、これは弱点2にて考察したい。

以上、商品概要。




弱点1 「100年時代応援」つみたてでは、保険料のミニマムが1万円

本商品は、販売されている金融機関によって「あしたも充実(地銀、他)」と「100年時代応援つみたて(三井住友銀行)」に分かれているが、「あしたも充実では」契約のミニマム保険料が「5,000円~」となっているのに対し「100年時代応援つみたて」では1万円~である。

これは金融機関のスタンスと言うか、要は地銀は小さい金額でも対応するが、三井住友銀行くらいのメガバンクになると「1万円以下は面倒なのでやりたくない」ということだろう。

先に述べた通り、本商品の特徴は「利率の高い外貨建て」、「年金保険料控除の対象」という2点だが、後者に魅力を感じている場合、投資効率は「年間8万円」がベスト。

年金保険料控除枠は「年間8万円以上支払えば、4万円控除」というルールとなっており、これが10万円、20万円となっても「最大4万円」というのは変わらない。

つまり控除(還付金)が欲しいだけなら、年間8万円が丁度良いのである。

これを想定すると「あしたも充実(地銀、他)」では、毎月7,000円(保険料は1,000円刻み)で年間8.4万円という構成が取れるが、「100年時代応援つみたて(三井住友銀行)」では最低1万円なので、年間12万円の予算が必要になる。

どちらも得られる還付金は同じなので、仮に還付金を8,000円とした場合、

8.4万円で8,000円 9.52%
12万円で8,000円 6.67%

と投資効率で見れば大きな差がつく。

もちろん「たかが数万円の違いだろ」と思う方もいるかもしれないが、まだ給与が低い若い方々からすれば「毎月7,000円」か「毎月1万円」かは結構違う。

その点、同じ商品なのに金融機関によって扱いが違うというのは、何だかなという感じ。

弱点2 トンチン性は、多分あまり意味がない

本商品には50歳以上の契約者限定で「トンチン性」という仕組みを選択することが出来る。

トンチンについては、以下コラムにて詳細を解説しているのでご参照頂きたい。

参考コラム:トンチン型年金とは何か?特徴、背景、デメリット

平たく言えば、トンチンとは「先に死んだ人の分が、長生きした人のところに行く仕組み」であり、長生きすればするほど得をする。

本商品でも、50歳以上に加入した場合、死亡時の保障を「100%保証型」と「70%保証型」から選べるようになっている。

100%保証型を簡単に言えば

「年金開始までに亡くなってしまった場合、それまでに支払ってきた保険料全額を返しますよ(死亡保険金として)」

ということ。

これを70%保証型にすると、死亡時には支払ってきた保険料の70%しか戻ってこない。

では、返ってこない30%はどこにいくのか?

無事年金開始を迎えた他の契約者の年金原資に充てられるのである。

これがトンチン性。ある種の勝ち残りゲーム。

だが・・・実際そんな増えないんじゃない?というのが筆者の率直な感想。

そもそも50代で死亡する人は、そこまで多くない。

かつ本商品では年金開始が65歳くらいなるケースが多いだろうから、50-65歳の間で死亡する人となると、そんなにはいないだろう。

令和3年に公表されている厚生労働省の簡易生命表から、推測するに男性の場合、50から65歳までに死亡する確率はおおよそ9%程度。

だが、これらのデータは全国民を対象にしたもので、対象には経済的に困窮している人も入る。

通常、生命保険に入るような人は、経済的にはそれなりに裕福であり、そのような方々は統計上、長寿の傾向が強い。

全国民が対象のデータで9%であれば、保険、しかも比較的高額な年金保険に入るような集団のそれは、おおよそ半分の5%程度ではないだろうか?(これは筆者のただの推測)

仮に、100人の契約者がいて、年金原資が100万円だとする。

そのうち5人(5%)が途中で死亡し、それまで支払ってきた保険料の30%(30万円)を放棄しているとしよう。

1人 30万円×5人 =150万円

これを、残った95人で分ける。

一人あたり1.5万円。

100万円が101.5万円になるだけだが、対して自分が運悪く死亡してしまった場合、払ってきた保険料の30%も損をすることになり、遺族の「悔しさ」は相当なものだろう。

なんか分が悪い勝負だな、という気がする。

トンチンという流行りの言葉を使ってはいるが「長生きすると有利になる」というトンチン性がいまいち効いていないような印象。

筆者なら100%保障型を選ぶ。




この保険の弱点、こう考えろ!!

冒頭でも述べた通り、良い商品だと思う。

外貨&保険料控除となると、なかなか選択肢が少ないし、最近、金融庁から行政指導を食らったマニュライフ生命などよりは、三井住友海上というメガ損保がバックにいるプライマリー生命の方が安心。

弱点2で述べたトンチンについては、「なんかちょっとピントがずれているな」とも思うが、全体的には致命的な弱点はない。

もちろん外貨であるため、為替リスクはあるが、年金商品ともなれば積み立てる期間も長いため、ドルコスト平均法でかなりリスクは分散される。

年金保険料控除を埋めるためには良い選択肢ではないか?

なお、なるべく保険料を「年間8万円」前後にしたいのであれば「あしたも充実」を選んだ方が良い。

もしくは、保険ショップなどでも似たような商品を扱っているので、「外貨&控除対象のものを提案してくれ」と話を聞きに行っても良いかもしれない。

口コミ(販売側から)

なし

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口コミ(契約者から)

なし

比較した方が良い他社商品は?

以下がドル建&年金保険料控除となり商品。

ニッセイ・ウェルスは最低保険料が2万円~とハードルが高く、マニュライフは近々で行政指導を食らっている。

ニッセイ・ウェルス生命 つみたてねんきん2 ★★★☆☆

マニュライフ生命 こだわり個人年金[外貨建] ★☆☆☆☆

編集後記

約款

注:どうでも良いが三井住友海上プライマリーの商品は、約款が非常に見つけにくい。
現役で販売されている商品の約款はサイトに記載されているが、過去の商品は契約者が知る「約款コード」がないと見れない。
約款コードなどいつ紛失してもおかしくないので、仮にそれがないとなると、簡単に約款が見れないということ。
このあたりもユーザーライクとは言い難い。