トンチン型年金とは何か?特徴、背景、デメリット

トンチン型年金というものが、最近、販売され始めている。

当サイトで把握しているものは、以下の通り。

第一生命

日本生命

太陽生命

だが、これらの商品。

結論から言えば「本当のトンチン」とは言えない。

商品の分類としては「支払保証期間付終身年金」というもので、特に目新しいものでもない。

この分野の商品は、従来から色々な保険会社から販売されていたのだが、長引く低金利によって、どんどん契約条件が悪くなった。

その言い訳として「トンチン」という便利な言葉があり、その一風風変りな響きを持つ言葉をマーケティングに利用しただけなのかな?という気もする。

このあたりの事情については、おいおい説明していくが、まずは「本来のトンチン」の仕組みから理解して頂きたい。

その特徴を簡単に言えば、「長生きすればするほど年金額が増える」というもので、いわば「勝ち残り型」の年金と言える。

イタリアの銀行家L・トンチが考案したことからトンチン型年金と言われるが、大枠の仕組みは以下の通り。

1 保険会社が加入者を募る。ここでは分かりやすいように、全員が30歳 100人だとする。

2 各加入者は将来の年金原資のために、毎月保険料1万円を60歳まで支払う

1人あたりの総支払保険料:1万円×12ヶ月×30年=360万円
これが100人分なので、全員の年金原資は3.6億円となる。

3 この年金原資は「皆のもの」。保険会社はこの年金原資を少しでも増やすために運用を行う。
ここでは3.6億円が60歳までに4億円に増えたとする。

5 加入者が60歳になると、年金開始。皆で貯めた原資4億円から、各々が年間10万円を受け取る。
年間の年金総額は10万円×100人=1,000万円なので、原資4億円からすれば40年程度(加入者が100歳)で無くなる計算。

6 しかし、60歳が100人もいれば、ポツポツと亡くなる方が出てくる。
65歳の段階で10名が亡くなり、90名が残っていたとしよう。
それでも、毎年支払われる年金の「総額」1,000万円は変わらない。そして、ここからは、この1,000万円を残った90名で山分けする。
ざっと1人頭11万円。

7 以下、人数が減るごとに1人当たりの年金は増えていく。
70歳 残存80名 年金額12.5万円
75歳 残存70名 年金額14.3万円
80歳 残存60名 年金額16.7万円
85歳 残存50名 年金額20万円
90歳 残存30名 年金額33.3万円
95歳 残存10名 年金額100万円
100歳 残存1名 年金額1000万円

長生きすればするほど、亡くなった人の年金の権利が「上乗せ」されるので、額が増えていく。

特に終盤の方は、人数が少ないのでグングン金額が増え「最後の1人」になれば大勝ちというわけだ。

そんな「勝ち残りゲーム」がトンチン型年金の本質である。

なお、一昔前の話だが、日本でも、このトンチン型年金は戦争遺族への年金制度に採用されていた。

「採用されていた」というよりは、意図せず「トンチン型になっていた」というほうが正確だが、戦争年金の場合、毎年予算が組まれるのだが、その目的が目的なだけに、誰も「減らせ」とは言えず、長い間ほぼ同額の予算が組まれていた。

だが、戦争で亡くなった方のご遺族、特に奥さんなどは、どんどん高齢になるので亡くなってしまう。

つまり残った遺族の数を減る。

しかし、年金総額は変わらないので、結果、トンチン型のように「年金額が増える」という現象が発生していた。
注:これらは昭和50年代、60年代の話で、現在は遺族もかなり少なくなったので、ほぼ固定金額が支給されている。

この例からも分かる通り、トンチン型を語る上では「残れば年金が増える」ということが欠かせない特徴となっている。

さて、では現在の「トンチン型年金」はどのような商品なのだろうか?

契約の一例としては、以下のようなものがある。

総支払保険料 600万円
年金開始 65歳
年金額 30万円
保証期間 10年

65歳までに600万円を保険料を積立てて、65歳から30万円の年金を受け取れる。

しかし、これは「生きている限り」受け取れる権利であり、死ねば年金は受け取れない。

だが、それでも最低保証期間はある。

本人が亡くなっても、10年間は残された遺族が絶対に年金を貰えるのである。

これを保証期間付終身年金と言う。

一定の保証期間がありながらも、一生涯(終身)で年金が受け取れるという意味だ。

この保障期間があるため、

30万円×10年=300万円

は必ず回収できることになるが、支払っている総額は600万円なので、これでは大赤字ということになる。

早く死ねば大損。これがトンチンの最大のデメリットである。

では元本を回収するには、どの程度の時間がかかるのか?

単純計算で30万円×20年=600万円となるので、元本を回収するには、20年間、年金を受け取らないといけない。

65歳の20年後は85歳なので、ようは85歳まで生きていれば「トントン」、それ以上長生きすれば「儲かる」、しかし、その手前で亡くなってしまえば「損をする」ということ。
注:国内のトンチン型年金の多くは、85歳から88歳の間のどこかで元本を回収出来るようになっているものが多い。

早く死ねば損、長生きすれば得、という「勝ち残り」という点に関していえば「トンチン」と言えるが、それでも年金額が増えることはないので、原始的なトンチンと比べれば「マイルドトンチン」という感じかもしれない。

なお、冒頭でも述べた通り、この保証期間付終身年金という商品自体は、昔からある。

いや、「あった」というべきかもしれない。

当時の保証期間付終身年金の概要は以下のようなもの。

総支払保険料 600万円
年金開始 65歳
年金額 30万円
保証期間 20年

総支払保険料も、年金額も同じだが、先ほどのケースとは、保証期間が10年→20年という点で違う。

この場合、65歳から年金を受取り始めて、途中で亡くなっても「20年間」は遺族が確実に年金を受け取れるので、

30万円 × 20年 =600万円

は返ってくる。

つまり、600万円支払って600万円返ってくるので、マイナスはない。

しかも65歳から20年後の85歳になっても生きておれば、その後も年金を終身で受け取れる。

どうだろうか?

これなら何のリスクもないと思わないだろうか。

途中で亡くなっても、「元本分」は家族が受け取れる。

しかも長生きすれば、元本を回収した後も、年金を受け取れる。

「長生きすれば得」という点ではトンチン的でもある。

が、先に述べた通り、今はこのような商品はみかけない。

何故か?

その理由、冒頭にも述べた「あり得ない低金利が長引いたせい」だ。

そのため、保険会社がこのサービスを提供しきれなくなった。

以前、まだ国債が年1%程度の利回りがあった頃は「全ての契約者に元本を返した上で」更に「長生きした人には年金を払うこと」が出来たのだ。

運用益で何とかこれが実現できた。

だが、今の0.1%程度の国債の利回りでは、到底これは無理な話。

各契約者に元本を返すくらいなら出来るだろうが「長生きした人の世話」までは見れない。

で、トンチンの出番だ。

運悪く早く死に、保険会社が支払わなくても良くなった分で、長生きした人の年金を「補填」する。

運用環境が悪すぎるので、そうせざるをえないということ。

今までは保険会社が全契約者が損をしないように面倒を見ていたが、もう限界・・・

今の時代、長生きする方が大変ですよ?長生き怖いでしょ?

だから、あなたが先に死んじゃって損するかもしれないけど、長生きしたら大儲けなんだから、契約者間でお互いに助け合って下さいね。

保険会社の本音を代弁すれば、こんなところではないだろうか?

何のことはない。昔から見れば「契約条件が悪くなった」だけ。

このような状況の中、たまたま本音を隠せる良い言葉があった。それが「トンチン」

何だか人を煙に巻いたような響きを持つこの言葉で、契約者を煙に巻く。

それが現代のトンチン型年金の真の姿だと思う。

憎むべきは、日本政府の無責任なゼロ金利政策だろう・・・・

ちなみに筆者は、

「なんで見ず知らずの爺さん(もしくは婆さん)に俺の金やらないといけないんだよ!!」

と思っているので、基本的にはトンチン型年金には入らない。

爺さん、婆さん同士で「助け合う」なんてまっぴらご免だ。

そのため、トンチン型よりは、利率の高いドル建の年金や株などに連動する変額型の商品の方が良いと思っている。

以上のことから、当サイトではトンチン型は総じて評価が低い。

改めて、当サイトで解説済のトンチン型年金商品を以下に掲載する。

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