提供会社:なないろ生命
格付:評価なし。
但し朝日生命の子会社であるため、朝日生命の「BBB:R&I」に順ずると考えるのが妥当
商品名:なないろスリー
参考コラム:保険屋の口車に乗る前に読みたい、がんと保険の真実
ページコンテンツ
この商品のポイント!!
競合他社の同種の商品に比べて、非常に競争力がある商品だと思う。
メリットは
1 保険料が安い(特に優良区分料率が適用されると安い)
2 180日に1回給付
3 がん一時金が2回目以降も「診断のみ」でOK
という3点。
デメリットは、うーん、これと言って見当たらないが、何とか絞りだすなら「保険会社としての信用力がやや低い」と言ったところか。
これらのメリット、デメリットの詳細は後述するとして、まずは本商品が分類される「3大疾病一時金保険」の成り立ちと、商品のコンセプトを解説したい。
「そういう前提の話は別に良いから・・・」という方は読み飛ばして頂きたい。
3大疾病一時金の成り立ちとコンセプト
3大疾病とは、がん、心臓、脳の病気を指す。
何故「3大」と言うか?それはこの3つの病気が死因のトップ3を占めているからだ。
具体的な数字を見てみよう。
厚生労働省が出している「人口動態統計2023年」によると、この国での年間死亡者の死因は以下のようになっている。
1位 悪性新生物(がん) 24.3%
2位 心疾患 14.7%
3位 老衰 12.1%
4位 脳血管疾患 6.6%
5位 肺炎 4.8%
6位 誤嚥性肺炎 3.8%
7位 不慮の事故 2.8%
8位 新型コロナ 2.4%
9位 腎不全 1.9%
10位 アルツハイマー病 1.6%
日本人全体が長寿化したため老衰が3位となっているが、老衰というのは具体的な病名ではないので、死因を病気に限定すれば、がん、心臓、脳の3つがトップ3となる。
この3つを合わせれば45.6%となり、日本人の約半数が「3大疾病」で亡くなっている。
かなりの高確率であることがお分かり頂けると思う。
言い換えれば、この3つの病気でリスクの半分を占めることになり、だからこそ保険における「3大疾病対策」が重要なことが分かる。
2000年代の中盤からだろうか、この3大疾病にフォーカスした保険商品が増えてくる。
初めは医療保険の特約(オプション)として、3大疾病一時金というものが出てきた。
がん、心臓、脳の病気になった時に100万円などのまとまった一時金を受け取れるという内容で、分かりやすいことからヒット商品となる。
なお、当初、一時金を受け取れる条件は以下のようなものだった。
がん 診断のみ(がんです、と言われただけで受け取れる)
心臓 急性心筋梗塞に限定 かつ手術が必須
脳 脳卒中に限定 かつ手術が必須
しかし、保険会社間での競争が進むと「保険料の差別化」もさることながら「給付条件(支払条件)の差別化」も激しくなる。
そのため、心臓や脳については
「うちは急性心筋梗塞だけでなく、心疾患全体をカバーします!!」
注:急性心筋梗塞は「心疾患」の中の一つの病気。「心疾患」の方が範囲が広い。
参考コラム:心疾患と急性心筋梗塞、脳血管疾患と脳卒中、何が違う?
「うちは手術をしなくても10日以上入院すれば払います!!」
というような商品が出てきて、保険料の低価格化や給付条件の緩和化が進んだ。
そして、2010年代後半になると、今までは医療保険のオプション、つまり脇役扱いだった「3大疾病一時金」を主役に押し上げようとする動きが出てくる。
つまり、医療保険という旧来型(1日入院すると〇〇〇〇円)の保険に関係なく、がん、心臓、脳だけをカバーする保険として「3大疾病一時金保険」という分野が成立した。
筆者の記憶では、確かこの分野に早い段階で商品を投入したのがなないろ生命の親会社でもある朝日生命で、そういう系譜はなないろ生命にも引き継がれている。
業界の中でも「3大疾病は朝日(なないろ)が強い」という評価だ。
なお、前述の保険料や給付条件についても、朝日生命は常に他社に先駆けて、より安く、より払いやすく、ということを具現化している印象で、
「この分野に勝負をかけているのだな」
ということが感じ取れる。
以上が三大疾病一時金保険の成り立ちと、今までの経緯だ。
この保険のメリット
で、本商品だが良く出来ている。
朝日・なないろ生命の伝統して「他社より良い条件」という心意気を感じる。
本商品の良い点は、以下の3つであることは既に述べた。
1 保険料が安い(特に優良区分料率が適用されると安い)
2 180日に1回給付
3 がん一時金が2回目以降も「診断のみ」でOK
それぞれを説明していこう。
1 保険料が安い(特に優良区分料率が適用されると安い)
ここでは対象として、当サイトの「3大疾病一時金保険」の分野で評価が高いネオファースト生命の「ネオde3疾病サポート」と比べてみたい。
条件:30歳 男性 一時金100万円 終身払
ネオファースト生命 2,470円/月(非喫煙割者引保険料率適用)
なないろ生命 1型 3,160円/月(優良区分料率適用)
4,280円/月(通常体)
2型 2,500円/月(優良区分料率適用)
3,450円/月(通常体)
これを見て頂くと「えっ?ネオファーストの方が安いじゃん・・・」と思われる方も多いだろう。
しかし、この両者では「給付条件」が異なる。
それが「2 180日に1回給付」の話に繋がる。
2 180日に1回給付
3大疾病一時金保険には、給付の条件として「期間」が設定されている。
最も多いのは「1年に1回」というもの。
現行、ほとんどの商品が1年に1回ルールとなっている。
実際の例を挙げて説明したい。
例えば、2024年3月1日に心疾患になり、入院、手術を行った。
結果、一時金として100万円を受け取る。
そして、翌年2025年3月10日に再度、心疾患で入院、手術を行った。
このようなケースでは、初回と二回目の間に「1年」が経過しているので、給付金を受け取れる。
しかし、別のケースとして2024年10月20日に心疾患が再発したような場合には「まだ1年経過していない」ので、支払い対象外となる。
これが、なないろ生命の場合、「180日に1回給付」となっているため、前回の支払いから180日経過していれば払う。
改めて先ほどの保険料を見てみよう。
ネオファースト生命 2,470円/月(非喫煙割者引保険料率適用)
なないろ生命 1型 3,160円/月(優良区分料率適用)
4,280円/月(通常体)
2型 2,500円/月(優良区分料率適用)
3,450円/月(通常体)
ネオファーストは「1年に1回」、対してなないろ生命は1型では、がん、心臓、脳が「180日に1回」で、2型ではそこからがんが除外され、心臓、脳が「180日に1回」となる。
つまり、ネオファーストは1年に1回で2,470円、なないろは心臓、脳に関しては180日に1回(がんは1年に1回:2型)で2,500円なので、わずか30円の差で180日ルール適用となる。
保険料にほとんど差がない中で、180日ルールとなるので、なないろの方に軍配が挙がるのではないか?
なお、これを1型(がんも適用)にすると、保険料は3,160円と随分高くなる。
これは「それだけがんのリスクが高い」ということを表している。
がんでは短期間で再発、転移などをすることがあり、がんに関しては180日に1回と、1年に1回では随分と保険会社が負うリスクが変わってくる。
実際には2,3ヶ月で転移してしまうこともあり、そうなると180日でも1年でも「払われない」という点では同じなのだが、180~365日(1年)の間に再発・転移すればなないろでは払う、他社では払わない、ということになり、やはりこれは大きな違いだろう。
では1型と2型、どちらが良いか?
ということだが、これは正直難しい。
当然ながら保険料が変わらないのであれば1型(がんを含む)の方が良いが、保険料が結構違うので、筆者は2型でも良いと思う。
元も子もない話をするが、がんが1年以内に再発、転移するというのは「相当に危ない」
もちろん助かる人もいるが、かなりの高確率で亡くなってしまうだろう。
そのような局面では、お金うんぬんより、むしろどう死んでいくか?ということであり、残された時間をどう過ごすのかが焦点となる。
通常の生命保険(定期保険や終身保険)には余命半年の人には生前にまとまったお金を支払うことが出来る「リビングニーズ」というサービスもあり、どうしてもお金が必要なのであればそれを使っても良いだろう。
保険料が負担できるのであれば1型を選べば良いが、「ちょっと高いな」と感じるならがんに関しては「なったらなったで仕方なし」と割り切って2型を選ぶのもアリだと思う。
3 がん一時金が2回目以降も「診断のみ」でOK
最後にがん一時金の「2回目以降」のルールについてだが、これも細かい話ではあるものの意外と重要。
がんの一時金は初回は「診断」だけで払われる。
「がんです」
そう言われたらOK。
しかし、2回目以降は「入院・手術」を条件としている商品が多い。
多い、というより、ほとんどの商品がそうなっている。
何故か?
この要因については、保険会社によっても言うことが異なるのだが、色々な話を聞くと、どうやらこういうことらしい。
がんも2回目になると、その時点で諦めたり、自然療養的な方向に行ったりする方もいる。ということ。
保険は「病気と闘うため」ということが基本コンセプトであり、保険会社としては「治す意思のある人」にお金を届けたい。
その点から「入院=治す意思」と捉えて、2回目以降は入院を支払い条件としている。らしい。
だが、当の契約者からすれば、そんなことは「大きなお世話」だ。
がんになったのは事実であり、だったら金払えよ!!というのが本音だろう。
そのお金を治療に使おうが、何に使おうが、そんなことはこちらの勝手。
まさにその通りだと思う。
初回は診断だけで払うのに、何故に2回目は条件を付けるのか?
と、言うことで本商品では2回目以降も「診断」だけで払う。
本来そうあるべきで、非常に良い改善だと思う。
以上、商品概要の説明。
では弱点に移る。
この保険の弱点(デメリット)はここだ!!
その1 保険会社の信用度がやや劣る
3大疾病一時金保険の商品として、本稿を書いている2024年12月時点ではトップランカーだろう。
ただし、今後、他社も「180日ルール」、「がん2回目でも診断のみでOK」という内容をキャッチアップしてくる。
つまり「狙われる立場」になる。
そしてある程度時間が経過すると、他社と大差がない、という状況になることが想定されるだろう。
そのような場合、「ネームバリュー・信用度」が効いてくる。
先ほどライバル商品として挙げたネオファーストは第一生命グループ、なないろ生命は朝日生命グループであり、やはり知名度、信用力では第一生命に分がある。
実際の格付けでも、第一生命はAA-(R&I)だが、朝日生命はBBB(同、R&I)とやや劣る。
現時点でネオファーストもなないろも格付けは取得していないが、ほぼ親会社と同評価と考えて良いだろう。
この保険の弱点、こう考えろ!!(解決策)
散々書いてきたが、商品としての完成度は高い。
当サイトにしては珍しく手離しで褒めているわけだが、特に他社に先駆けて180日ルールの導入したことについては、
「なかなかやるな」
と、率直に感じる。
良い商品だと思うので、三大疾病の保険に入るのであれば有力な選択肢になるのではないか?
なお、弱点において「やや信用が劣る」と指摘はしたが、正直、そこまで気にしなくても良いとは思う。
朝日生命は老舗でもあり、今のところ経営危機的な話はない。
他社との合併や買収などをしてきていないので、規模が小さく、それ故、格付け機関からは評価しにくいという面があるのだろう。
そもそも、格付け機関自体が怪しい存在で、過去には日本で唯一の「AAA(トリプルA)」と評価されていたアリコジャパン(現在のメットライフ)がリーマンショックで破綻寸前まで追い詰められたのは有名な話だ。
そのため、商品自体が「良い」と思うなら格付けについては重視しなくても良いかと思う。
付けるべき特約!!
なし
付けても良いかも?な特約!!(がん治療、払込免除など)
がん治療特約
がん治療として、抗がん剤治療、放射線治療、自由診療抗がん剤治療のどれかを受けた場合、月単位で給付される特約。
基本的には「がん治療が長期化した場合」のためのもので、出来れば付けておいた方が良い。
詳細は以下コラム参照。(抗がん剤治療特約と呼ぶところが多い)
参考コラム:抗がん剤治療特約は付けるべきか?
特定3大疾病保険料払込免除特則
がん、心臓、脳で1回でも一時金を受け取れば、以後の保険料は免除される。
この3つの病気は日本人の70%程度が経験するため、つまり「免除される可能性が7割」とも言える。
だが、これを付けると保険料が1.5倍から2倍程度に増えるため、仮に免除されたとしても
「それまでに免除分の保険料を払っている」
ということ。
流石に30代、40代で免除になればメリットも大きいが、実際のところがん、心臓、脳は65歳以降に急激に増えるため、そこまで1.5倍から2倍の保険料を支払っていれば、通常の保険料を平均寿命まで支払っているのとさほど変わらないのでは?とも思う。
また、逆に免除されずにずっと払い続けた場合、
「割高の保険料を負担していただけ」
にもなるので、筆者の個人的な感想としては「要らない」とは思うのだが、何故か日本人はこの手のオプションが好き。
さほど高くない保険料に更に「保険」をかけるようなもので、どれだけ怖がりなんだよ・・・と呆れる気もするが、まあ、これも国民性だろう。
声を大にして反対する気もないので、一応「付けても良いのでは?」に分類している。
参考コラム:保険に「払込免除特約」は必要か?
先進医療・患者申出療養特約
100円程度のオプションなので付けておいた方が無難。
但し、他の医療保険などで付けているなら「二重には支払わない」ので付ける必要はない。
参考コラム:先進医療特約は「終身型」を選びなさい!!
付ける必要なし、な特約!!
なし
口コミ・評判(販売側から)
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口コミ・評判(契約者から)
なし
比較検討した方が良い商品
当サイトで高評価の3大疾病用の保険は以下の通り。
東京海上日動あんしん生命 あんしん治療サポート保険R ★★★★☆
オリックス生命 特定疾病保障保険With(ウィズ) ★★★☆☆
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編集後記
初稿:2024年10月18日