この保険の弱点はここだ!ニッセイウィルス生命「ニッセイ・ウェルス生存給付金付終身保険」

提供会社:ニッセイウィルス生命

商品名:ニッセイ・ウェルス生存給付金付終身保険:野村証券
プレシャスギフト:三菱UFJモルガン・スタンレー証券
未来のバトン:大和証券
賢者のギフト:熊本銀行、十八親和銀行、福岡銀行

この保険の弱点はここだ!!

ニッセイウェルスは日本生命の子会社で、銀行窓販で販売する商品の開発を担当している。

本商品は主に贈与を目的とした商品で、流れとしては以下のようになっている。

・まとまったお金を預ける

・それを指定した通貨で運用する(円、米ドル、豪ドル)

・スタート直後から年金が開始され、子や孫などに年金を渡していく

・年金は外貨で決まっている(年間1万ドルなど)ため、為替のレートによっては贈与税の非課税枠(110万円)を超えてしまう可能性もある。
 そのような場合、110万円を超えた分は契約者(親や祖父・祖母など)に渡す機能もある。

保険会社が資産を外貨で運用し、更に贈与を代行してくれるような商品。

円換算で110万円の控除枠を超えないような配慮もされており、商品としては芸が細かい。

なお、取り扱っている金融機関ごとに商品名が違うが、これは販売の現場が

「うちだけのオリジナル商品ですよ!!」

と言いたいだけの小細工であり、中身はまったく一緒。

当サイトが把握しているのは、以下のようなところ。

ニッセイ・ウェルス生存給付金付終身保険:野村証券
プレシャスギフト:三菱UFJモルガン・スタンレー証券
未来のバトン:大和証券
賢者のギフト:熊本銀行、十八親和銀行、福岡銀行

では、弱点の解説に移る。

弱点1 自分でやった方が良い

まあ、元も子もないことを言うが、こんな商品を利用するより自分で計画的に贈与をした方が良い。

毎年決まった日、子や孫の誕生日でも良いし、正月明けでも良いので、その日にお金を贈与してあげる。

贈与契約書などは、複数年分作っておき、たまに会った時にお互いがまとめて署名捺印すれば良いだけ。

別に大した手間でもない。




確かにこの商品を使えば、贈与を楽に出来るのだが、為替リスクという余計なものを抱えることにもなるし(弱点2で詳細を解説したい)、途中で計画を柔軟に見直すことが出来ない。

当初は子や孫に贈与をしてあげようと思い立っても、高齢者にはいつどんな問題が起こるか分からない。

思っていたよりも早く体にガタが来て、有料老人ホームなどに入らなくてはいけないなり、お金が必要になった。

子や孫との関係が悪くなり、贈与の停止をしたくなった。

こんな時、この商品に入ってしまっていると、何とも融通が利かない。

無論、贈与を停止するのは、受取人を自分に変更して、子や孫にお金がいかないようにすれば良いだけだし、まとまったお金が必要であれば解約をすれば良いのだが、解約時には解約控除などのペナルティもある。

また、外貨で運用していた場合、解約時にも為替リスクがあるので「円高(1ドル90円など)」になっていれば大損する可能性もある。

要は一旦決めたら、

右折も左折もUターンもしにくい

のである。(日本円でやる場合でも同様)

手元にお金を持っておいて、自分の健康状態、子や孫の状況に応じて贈与してあげる方が無難。

弱点2 ドルは悪くない、がレート次第。&超分かりにくい。

本商品は「自動的」に贈与をしてくれることと、外貨で運用した場合、「出来るだけ元本を減らさない」という点がセールスポイントだろう。

例えば、日本円で1,100万円であれば、110万円の贈与を10回したら、そこで終わってしまうが、これをドル化して日本円より高い利率で運用することで、多少なりとも元本を増やすことが出来る。

結果、例えば現在(本稿執筆時2022年11月)の利率3.98%であれば、単純計算で10年で+40%程度のリターンが期待できる。

だが、本商品の場合「贈与の結果、年々元本が減っていく」という特性があるため、実際には10年で+15%程度だろうが(筆者の手計算)、それでも贈与が11回、12回程度出来るだろう。(為替レートにもよる)

つまり、「ドル化することで元本の寿命を延ばせる」のである。

先に挙げた3.98%であれば「悪くないかな」ともお思う。

なお、本稿の初稿は2020年4月だが、その時はコロナ真っ最中でもあり、0.98%とドル建にしては「あり得ない」低水準だった(なので、その当時は「絶対やるな」と述べていた)

ただ、同時に今はドル高でもある。

1ドル140円前後で推移しており、仮にこのタイミングで投資をして、将来1ドル120円程度に下がれば、いくら利率が3.98%でも大損だ。

なので、1ドル120円、利率3%以上なら「やっても良いかな」というのが、筆者の水準。

だが、それでも弱点1で述べた「融通が利かない」という点は共通している。




本商品を検討している方の目的は「増やすこと」よりは「暦年贈与で相続財産を減らすこと」だろう。

二兎追う者は一兎も追えず

格言にもそうある通り、どちらかに集中した方が良いのでは?とも思う。

為替リスクなどという余計なものは抱えず、普通に暦年贈与をやっていった方が良い。

弱点3 暦年贈与自体がどうなるか分からない

これはここで論じても仕方がないのだが、暦年贈与の仕組みそのものが、今後どうなるか分からない。

既に自民党の税調でもかなり論じられていて、「金持ち優遇処置、特別扱いおかしい」という意見も根強い。

そのため、これから110万円が減額される可能性は高い。

その意味でも、現状のシステムを前提にした本商品に入るのはちょっと怖いかな?という気もする。

弱点4 市場調整価格あり

弱点というよりは、注意喚起。

本商品には、解約時に市場調整価格がある。

弱点1でも述べたが、暦年贈与は家族間での話でもあるので、関係が悪くなったり、何か問題が起こったりして、途中でやめる可能性も高い。

そのような時に、本商品を解約すると市場調整価格というものがかかる。

あまり甘く考えていると、痛い目を見ることもあるので、まずはしっかりと市場調整価格について知ること。

参考コラム:市場価格調整とは?

そして、もしやるのであれば「絶対に解約はしない」と決め、その範囲でしかお金を預けないことが重要。




この商品の弱点、こう考えろ!!(解決策)

根本的に筆者はこの手の商品にはネガティブ。

贈与は自分でコントール出来るなら、自分でやった方が良い。

外貨の高利回りのメリットが欲しいのであれば、子や孫に贈与したお金を外貨建定期預金にでもすれば良い話だし、そもそも貰った本人が考えれば良いことだろう。

もしくは暦年贈与するほどの資産があるのであれば、別の資産をドル化しても良い。

わざわざ暦年贈与に外貨を絡める必要もないと考える。

だが、どうしても「毎年の贈与が面倒」と言うなら、本商品のようなものを使っても良いが、弱点4でも述べた通り、途中解約にはペナルティもあるので、「絶対解約しない」と思える程度の金額にしておくべきだろう。

それが終わって、まだ余力があるのであれば、またその時に考えれば良い話。

口コミ・評判(販売側から)

なし

謝礼Amazonギフトカード300円!! アナタの口コミ教えて下さい!!
保険会社勤務、代理店勤務の方でも、販売現場の情報や、当サイトで指摘していない弱点(デメリット)などには謝礼(amazonカード300円)をお支払い致します。

口コミ・評判(契約者から)

なし

比較した方が良い商品

太陽生命 マイ贈与(米ドル・豪ドル)★☆☆☆☆

編集後記:

約款