民間の介護保険は必要か?「介護保険の考え方」

当ブログでは保険会社が販売している介護保険について、以下の商品の分析をしている。

朝日生命 あんしん介護 ★★☆☆☆

アフラック スーパー介護年金プランVタイプ ★☆☆☆☆

※随時追加中

それぞれの詳細については各稿に譲るとして、ここでは

民間の介護保険に加入する必要はあるか?

という点について触れたい。

まず、結論から言うと、

介護になるなら入っておいた方が良いが、他でも代用は利くので無理して入らなくても良い

という、少々歯切れの悪いものになる。

まずは、介護状態になる「確率」から説明したい。

諸々の統計を見ると、30%~40%の間だ。

それ以外の人は、介護になる前にがんや脳卒中、心筋梗塞、その他で亡くなる。

介護保険に加入していても、実際に給付を受けられる(介護になる)人は3人のうち1人(30~40%)で、残りの2人は給付を受けることが出来ないということ。

次にお金の話だが、こちらも統計を見ると、介護施設や、デイサービスの利用などで平均、毎月7~8万円の費用がかかる。
(国の介護保険を使った上での支出)

年間で言えば100万円前後となるが、これらの出費額は実際のところピンキリ。

お金がなくて、ほぼ家から出ないという人もいれば、優雅な老人ホームで余生を過ごす人もいるので、それらの「平均」というのはあまりあてにならないのだが、それでも年間100万円くらいかければ、それなりの介護を受けられると言える。

最後に期間。

どれくらい介護が続くのか?ということ。

こちらも統計データの平均では「約5年」となっているが、人によっては10年以上介護が続くこともあり、こればかりは何とも言えない。

だが、介護期間が「10年以上」と回答した人は全体のうち14%程度なので、86%は「10年以内」に亡くなっているということ。

「最長10年」と考えておけば、ほぼ間違いないだろう。

3人に1人、年間100万円、平均5年、最長10年(500~1,000万円)

これが介護の実態だ。

もちろん、今後、超高齢化社会で、3人に1人が2人に1人に、100万円が200万円に、10年が20年になる可能性もなくはないが、それは今考えても仕方ないことだし、ここで論じても結論は出ない。

要は3人に1人が老後に500~1,000万円を出費する可能性があるのだが、これを

民間の保険で賄う必要があるのか?

という点がポイントとなる。




民間の介護保険には色々な商品があるが、大別すると以下の3種類となる。

・一時払い型
 例:一時払いで2,000万円を預ける 要介護2以上で年間100万円を亡くなるまで給付

・終身保険のオマケ型
 例:終身保険1,000万円。但し死亡時だけでなく、要介護2以上で年間100万円を受け取れる(上限1,000万円)

・掛け捨て型
 例:50歳 男性 毎月12,000円 要介護2以上で年間100万円を亡くなるまで給付

一時払い型の介護保険は、ただの貯金。

単純に言えば、預けておいたお金が「介護になれば戻ってくる」というだけ。

預けた分だけ多少は増えるが、今の低金利下ではそれもしれたもの。

だったら別に手元に置いておいて、別のもので運用しても良い。

わざわざ介護保険にお金を預ける意味は薄い。

2番目の終身保険のオマケ型は、基本的にはただの終身保険なのだが、死亡した時だけでなく、「要介護2」になった時には、生前に1,000万円のうちの一部が受け取れる。

但し、支払い範囲が広い分、普通の終身保険より保険料は割高に設定されている。

これについては、最後に触れたい。




まず、ここでは、最後の掛け捨て型の介護保険を例に、

介護保険の有効性

を考えてみたい。

ここで例に挙げたものは、毎月の負担が12,000円なので、年間14.4万円ということになる。

介護状態になるのは、おおよそ80歳近辺が多いので、50歳から80歳まで、30年間の保険料の総額は

14.4万円×30年=432万円

介護期間は平均で5年、最長でも10年程度なので、給付総額は5年で500万円(100万円×5年)、10年で1,000万円(100万円×10年)

432万円の負担で、平均500万円、最長1,000万円のリターンがあるのだから、悪くはない。

冒頭で述べた通り、

介護になるなら入っておいた方が良い

というのは、このような事情から。

が、一方で3人に2人は「払い損になる」ということも忘れてはいけない。

432万円を捨てただけ、ということ。

ここまで説明すると、ほとんどの人がこう思う。

「介護になってお金がないのも嫌だけど、400万円以上のお金を捨てるのも嫌だなぁ」

と。

結論からすれば、このような保険に入らなければ、手元に400万円の現金が貯まっているはずなので、介護になればそれを使えば良いという話。




これがもう一つの結論。

他でも代用は利くので無理して入らなくても良い

ということ。

一番、単純なのは貯金。

もしくは保険でも投資信託でも良いので、自分でしっかりと運用して、70歳後半から80歳くらいまでにかけて500~1,000万円の資産を作る。

そうすれば、介護になればそのお金で何とかなるし、介護にならなければ老後の資金として使えば良い。

民間の介護保険に関しては「意味がない」とまでは言わないが、別に保険じゃなくても良いとは思う。

なお、ここまでの話をすると、

「終身保険なら貯蓄にもなるので、死亡だけではなく介護でも支払われる『オマケ型』が良いのでは?」

とおっしゃる方がいる。

なお、このような商品を「介護付終身」などと言う(会社によっても呼び方は変わる)

確かに選択肢としては悪くない。

しかし、これにも欠点がある。

このような介護付終身は、死亡だけの終身保険より支払い範囲が広いため、保険料が割高に設定されている。

要は「オマケの分」だけ高くなっているのだが、筆者の経験上、保険料が5~10%くらの違うことが多い。

通常の終身保険 1,000万円(死亡のみ)     20,000円/月
介護付き終身保険 1,000万円(死亡+介護) 21,000~22,000円/月
注:あくまでイメージ

介護にならず死亡すれば、どちらも1,000万円受け取れるので、毎月支払ってきた+1,000~2,000円は無駄ということになり、これは本質的に掛け捨ての介護保険と同じ話だ。

結局のところ、

「3人に1人の介護のために、割高(5~10%)な保険料を負担するか?」

ということ。

この5~10%の保険料に関しては、個々人で反応が分かれるだろう。

「それくらいの負担なら介護も対象の方が良い」

と思うのであれば、特段、反対する理由もない。

もしくは、

「『介護付き』でない普通の終身保険でも貯蓄性はある。いざ介護となれば、解約して返戻金を使えば良いので、毎月の保険料は安い方が良い」

という逆の考え方もアリだと思う。

どちらかと言うと、筆者は後者を推す。

なるかならないか分からない介護を恐れるより、保険料が安い方が良いだろう。

以上、民間の介護保険についての「考え方」を解説した。