これ、よく聞かれるので、ここで解説しておきたい。
なお、動画でも同様の内容を話しているので、宜しければ参照して欲しい。
保険に入るタイミングとして、昔から「結婚したら」というものがある。
しかし、これはかなり「古い」考え方であろう。
一昔前、と言っても30年、40年前の話だが、この頃は「結婚=寿退社」というのが常識で、結婚し家庭に入る女性が多かった。
そのため、結婚すると「収入は旦那さんのお給料のみ」という形になる。
また、女性の再就職なども一般的でなかったため、旦那さんが亡くなると経済的に大変苦しくなる。
だからこそ、
結婚=女性に対する責任が発生する
ということで保険に入ることが「常識」とされていた。
が、今はどうだろうか?
結婚したら家庭に入って欲しい
そんなことを言う男性はほとんどいないし、子供がいない段階で専業主婦になるような人はごく少数派だろう。
結婚した、と言ってもその実態は「独身者が2人」で「同じ家に暮らしているだけ」である。
この状態で「本当に保険が必要か?」という質問は、独身の時に聞かれたそれと変わらない。
まず大前提として、保険はないよりはあった方が良い。
保険に入っていれば、入院した時にお金が受け取れて、死ねば残された人がお金を得る。
その「効果」自体には何のデメリットもない。
だからこそ「ないよりはあった方が良い」のだが、反面、その効果を得るために毎月の支出を強いられる。
保険料だ。
これをどう考えるか?
独身(特に若ければ)であれば、やはり「ピンとこない」というのが正直なところだろう。
入院なんてしないんじゃない?死亡?死なない、死なない(笑)
という感じだろうし、実際、入院も死亡もそのリスクはかなり低い。
だが、もちろんゼロではない。
そして実際に入院したり、死んでしまえばお金もかかる。
入院であれば、多少お金がかかっても貯金で何とかなるか、何ともならなければ家族、親戚、友人に借りるしかない。
そして元気になったら、返済すれば済む。
「ああ、医療保険に入っておけば良かったなぁ」
と多少、後悔するくらいだろう。
しかし、亡くなってしまった場合には、後始末は家族がすることになる。
親が葬式をあげ、そのコストを負担することになる。
だが、これも貯金があるなら、それでまかなえるし、仮にそれが無かったとしても、
もう、しょうがなくね?
という話である。
親に対して申し訳ない話ではあるが、そもそも親より先に死ぬことが、最大の親不孝だ。
その上でお金まで出させるのは親不孝の上塗りではあるが、もうどうしようもないことであり、もちろん保険に入っていれば多少の金は渡せるが、なんかそういう話でもない。
だからこそ、独身で保険に入るか否かは、ひとえにその人本人の「責任感」にかかっている。
社会人になってまで親に迷惑をかけられない。
と考える立派(と言うか少々固苦しい)な人は保険に入るし、
まあ、死なないだろうし、もし死んじゃったら、申し訳ないけど後は宜しく
という若者らしい無責任な人は入らない。
ただ、そんな責任感が若い頃からあるか?と言えば、まあ、大抵の人はないだろう。(ちなみに筆者自身も若い頃はそうだった)
そんな「独身」が、2人いるだけ。
それが結婚直後の夫婦の実態である。
「結婚したんだからしっかりしなさい!!」
というお説教臭い概念は分かるが、結婚したからと言って、すぐに成長するわけでもない。
このような点から「結婚=保険に入る」という必然性は特にはない。
自分が死んだら周囲に迷惑をかけたくない、というような責任感と自尊心のある人は入れば良いし、こういう人は独身の頃からちゃんと入っていたりするので、別に結婚が契機にっているわけでもない。
また、別にどちらかが死亡しても、残された方は「独身に戻るだけ」とも言えるので、悲しいとか、苦しいというような感情論を抜きにすれば、特に経済的なマイナスはない。
ただ、お葬式代だけは多少考えておいた方が良いかもしれない。
これがない場合、リアル独身の時には親に迷惑をかけるが、まあ、これは親子だから仕方がない面もある。
だが、夫婦の場合、根本的には他人である。
また、一応は神様の前で約束して「一生一緒に生きていこう」と誓ったにも関わらず死んでしまうというのは、ある種の契約不履行でもある。
その上で葬儀代まで負担させるというのは、これはちょっと酷だろう。
なお、若い人が死ぬと、葬儀代が結構かかる。
会社関係や友人関係などが「あいつも行くなら俺も行かないと」という妙な連帯感で大挙して押し寄せ、斎場なども大きなところを用意しないといけない。
反面、若い世代の友人などが持ってくる香典など、数千円なので葬式自体は「大赤字」になってしまうのである。
筆者の知る限り、800万円くらいかかったケースもある。(実際に多いのは400、500万円くらい)
これらを夫婦の貯金から払うのは、残された身としては辛い。
あいつ死んだ上に貯金まで持って行っちゃったよ・・・・
という感じだろう。
そういう意味では、貯金とは別に「葬儀代くらいは用意出来る保険」はあった方が良い。
元を正せば他人同士である「夫婦」の最低限の約束という感じか・・・
なお、すでに貯金が何千万円もあって、葬儀代くらい問題ないという方なら、もちろん入る必要はない。
また、冒頭、「今はほとんど共働き」と言ったが、それでも稀に「家庭に入って欲しい」という昭和風の男もいる。
こういう人は、それなりに保険に入るべき。
と言うのも、女性が家庭に入ることは「キャリアを切ってしまう」ことを意味するからだ。
同じ仕事をずっと続けているのと、間に数年のブランクがあるのでは、評価はかなり違う。
仮に28歳で結婚し、その5年後に旦那が死亡。妻が33歳で就職しようとした場合、やはり5年のブランクは無視出来ない。
採用する方からしても、求める職種に対して「ずっとやってました」という人と、「5年前までやってました」という人では、どうしたって前者を採る。
後者を採るのであれば、やはり時給なり月給なりを下げるだろう。
要は足元を見られるということ。
「家庭に入ってくれ」とお願いすることは、それらのリスクについても責任を負うということでもあるが、若くして死んだ場合、その責任を果たすためには、高額な資産を残すか、保険金を残しかしかないだろう。
流石に「一生食っていいけるくらい」の保険金を残す必要はないが、2,3年は食っていける分の金(1,000~2,000万円)は残してあげないと可愛そうだ。
余談ながら「家庭に入って欲しい」などと格好つけて言う人に限って、意外と年収も低く、保険に入るのも躊躇する人もいる。
要は奥さんに自分の「母親の代わり」になって欲しいだけの子供で、こういうタイプと結婚すると苦労する。
まあ、それは良い。
以上、ここまでの話をまとめると
・結婚した直後は、単に独身者が2人が同じ家で暮らしているだけ
・保険に入る必然性はなく、結局のところ、保険に入るか否かは相手に対する責任感があるか、ないかだけ
・ただ、仮に死亡した場合、葬式代はかかるので、それは貯金とは別に用意しておいた方がベター
(もの凄い貯金があるなら、考える必要なし)
・妻に専業主婦になって欲しいなら、それなりの保険に入ること
という感じ。
では、具体的にはどのような商品が良いのだろうか?
筆者は以下の3条件を満たすものが良いと思う。
1 「掛け捨て」で
2 「なるべく安い」もので
3 死亡時500万円(葬式代)を用意する
医療保険に関しては、冒頭でも述べた通り、最悪入ってなくてもどうにかなるので、好きにすれば良い。
実際の商品としては、ライフネットやチューリッヒなどのネット系生保の定期保険、もしくは都民共済や県民共済などでも良い。
20代や30代前半であれば、死亡保険金500万円で月々の保険料など、1000円前後だろう。
これならさほどの負担にならない。
また、共済であれば、その共済の年間収支で「余った分」は返金されるので、毎月2,000円の保険料を支払ったとしても、だいたい4割くらい(月800円、年間1万円くらい)は後から戻ってくる。
そのため実負担は毎月1,200円くらいで済む。
共済の方は医療保険もセットになっているものも多いので、こちらの方がお得かもしれない。
注:死亡保険だけで良い、という方は、共済だと医療もセットになってしまうので、おそらくネット生保だけに入った方が安い。
なお、保険期間は10年で十分。(共済は毎年更新なので、保険期間の設定はない)
と言うのも、結婚してからの数年は、出産や家の購入などでライフステージががらがら変わる。
そのため、あまり先のことなど考えず、とにかく「今、安い」もので保障だけを得る。
子供が生まれた時などは、本気で保険と向き合わないといけない時期なので、それはその時考えれば良いだろう。
予算感としては、夫婦で4,5千円程度が目安。
モデルケース
・夫婦の2人でそれぞれ共済 2,000円×2人(実質負担は1,200円×2人)
・ネット系生保 旦那1,000円(死亡時500万円 10年定期)
医療保険 旦那2,000円(入院5,000円、がんの保障など追加)
医療保険 妻 2,000円(同上)
こんな感じで十分。
ちなみに
「もし自分に何かあったら妻にお金を残してあげたい!!」
そんな責任感が強い人なら、もうちょっと予算をかけても良いが、それでも1万円以内くらいにしておいた方が良い。
ここまでが基本的な考え方。
なお、これらは「保険に入るなら」という話であり、もし夫婦お互いが
「どちらかが死んだら、もうそれは仕方ない。残された方が後始末して、また独身に戻って新しい人生を生きていく」
と納得して同意できるなら(保険に入らないなら)、それはそれで立派な決断だ。
保険の仕事をしている身からすれば「そんな片意地張らずに1,000円くらいかけておけば良いじゃん・・・」とは思うものの、そこは本人の考え方次第。
葬式代の負担と言ったところで、それが人生に致命的な打撃をもたらすわけでもなく、最悪、親の援助などもあるだろうから、要は「なんとでもなる」レベルの話ではある。
この点、子供がいる場合、保険がないと「致命的」なことになる場合もあるが、夫婦だけの場合、気楽と言えば気楽である。
最後に、「たまにいる人」の話をしておく。
どうしても掛け捨てが嫌な人のケースだ。
稀にいる。
たかだ1,000円でも嫌という人だ。
このタイプは年収に関係なくいる。
年収300万円でも5,000万円でも「捨てるのが嫌」という人。
そのため、どうしても貯蓄系の保険に入るしかないし、保険屋からすればありがたい客とも言える。
先にも述べたが、実際のところ、若くして死ぬ確率は相当低い。
だからこそ、掛け捨ての保険料も安いのだが、この保険料も相当の確率で「捨てる」ことにはなる。(ほとんど死なないため)
だったらちょっとでも「貯めておきたい」と思うのも、考え方としてアリだと思う。
今なら、ドル建の終身保険や変額保険などは、保障を得ながらお金を貯めることも出来るので、若いうちに入っておくのも良いだろう。(以下、当サイトで高評価の商品一覧)
ドル建保険
ジブラルタ生命 米国ドル建終身保険&米国ドル建終身保険(低解約返戻金型) ★★★★☆
ジブラルタ生命 米国ドル建特定疾病保障終身保険(低解約返戻金型) ★★★★☆
メットライフ生命 USドル建終身保険 ドルスマートS ★★★★☆
変額保険
ソニー生命 バリアブルライフ 変額終身・変額定期 ★★★☆☆
アクサ生命 アクサの「資産形成」の変額保険 ユニット・リンク ★★☆☆☆
プルデンシャル生命 変額保険(終身タイプ/一時払タイプ) ★★☆☆☆
メットライフ生命 ライフインベスト/ライフインベスト プラス ★★☆☆☆
だが、ここでも一点だけ注意点がある。
それは
やりすぎないこと
貯蓄の話は皆好きだ。
「将来、こんな貯まりますよ!!」
などと言われると、どうしても今ちょっとでも無理して頑張ろうとしてしまう。
また、結婚直後は何となく「2人で明るい未来を!!」みたいな、おめでたモードに入っており、しかも金銭感覚が独身の頃のままである人が多い。
「今から2人の老後のために!!」
と乗せられれば、ついその気になってしまう。
だが、老後の前に色々やることがある。
子供が生まれた後、どれほどお金がかかるか、家の頭金を貯めるのがどれほどしんどいか。
それらを知らずに、毎月、5万円も6万円も「突っ込んでしまう」と後で泣きを見る。
筆者の保険見直しセミナーなどでも、散見される。(外資系の保険営業マンに多い)
一旦冷静になり、まずは死亡保障で500万円程度を用意出来るレベルで十分。
商品にもよるが、毎月1,2万円だろう。
追加はいつでも出来るし、何より保険は一度始めてしまうと、途中でやめられない。
注:保険屋が「途中で払うのをやめて、払済なども出来ます」などと口八丁なことを言うが、大抵は損をする。
貯蓄系の保険に入ること自体は否定しないが、無理のない範囲にしておくこと。
以上、「結婚したら保険にはいるべき?」という質問に対し、筆者の考えを解説した。
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