提供会社:PGF生命
商品名:米国ドル建終身保険(基本タイプ)
米国ドル建終身保険NEO(三菱UFJでの取扱の名称)
想いの終身US(みずほでの取扱の名称)
米国ドル建終身保険PG(三井住友系での取扱の名称)
米ドル終身(りそな系での取扱の名称)
この保険の弱点はここだ!!
参考コラム:
ドル建商品の検討ってどうすればいいか?悩んだら
『ドル建商品の比較検討はこうすれば良い!!』
をご覧ください。
PGF生命が提供する銀行窓販専用(銀行が窓口として販売する)の商品で、販売する金融機関によって商品の名称が異なっているものの中身は同じ。
三菱UFJ銀行 … 米国ドル建終身保険NEO
みずほ銀行 … 想いの終身US
三井住友銀行系 … 米国ドル建終身保険PG
りそな銀行系 … 米ドル終身
これは、銀行窓販によくあることで、金融機関ごとに名前を変えて「差別化」を図っているだけ。
PGF生命の正式名称は「プルデンシャル・ジブラルタ・ファイナンシャル」と言い、プルデンシャル・グループの一社。
前身は大和生命という保険会社で、2008年のリーマンショックで破綻しかけたところを、プルデンシャルグループのジブラルタ生命に買収され、現在の形となった。
プルデンシャルグループの中では銀行窓販用の商品開発を担当している。
大和生命時代は「B+」という、かなり低い格付けだったが(実際に破綻しかけた)現在では「A+」まで回復している。
本商品は同グループのプルデンシャルや、ジブラルタが提供しているドル建終身保険をベースとしており、
「基本タイプ」
「介護タイプ」
の2種類を用意している。
本稿では「基本タイプ」について解説する。
PGF生命「米国ドル建終身保険(介護タイプ)」の解説はコチラ
内容としては、極めてスタンダードなドル建終身保険。
・保険料は、ドル建てで一定(ドルでも円でも支払可能)
・ドル建ての死亡、高度障害の保険金がついた一生涯の保障
また、ドル建て商品の比較する際に、ひとつの指標となる予定利率だが、こちらについては公表されていないものの、当サイトの調査では兄弟会社のプルデンシャルやジブラルタと同等の3.0~3.2%程度を維持している模様。
年齢、性別によっては兄弟会社たちより「ちょっとだけ良い(返戻率)」という状況。
ジブラルタ生命 米国ドル建終身保険&米国ドル建終身保険(低解約返戻金型) ★★★★☆
なお、予定利率について詳しく知りたい方は、
『同じ3%でも何故違う?「超」わかりやすい!!予定利率と利回りの違い!!』
の解説をご覧いただきたい。
それでは、弱点について解説していこうと思う。
弱点1 低解約型がない
ドル建て終身保険には「低解約型」というタイプがある。
保険料を支払っている間は、解約返戻金が低く抑えられており、そのため「低解約型」と呼ばれる。
下の図を見て頂くと分かりやすいが、緑の線が「低解約型」の返戻率で、黄色の線が一般的なドル建終身の返戻率。
低解約型が保険料払込期間中、返戻率が低いのが分かる。
しかし、その分、この低解約期間を終了すると返戻率は一気にあがり、普通のドル建終身保険より高くなるという仕組み。
「原則、解約出来ない(大きく損をするため)」
というデメリットがある代わりに、
「将来の返戻率(返戻金)は高い」
「保険料が割安」
というメリットがある。
「解約しない」
と覚悟を決められるのであれば低解約型の方が良い。
ジブラルタでは低解約型も用意しているし、他社でも「普通」と「低解約型」の2つを提供しているところは多い。
なお、同グループのジブラルタの低解約型のドル建終身の方が、本商品より保険料も安く、将来の返戻率も高い。
選択肢が少ない。という点では弱点と言える。
弱点2 為替手数料が高い
ドル建の商品では「為替手数料」というものが必要になる。
例えば毎月の保険料が100ドルだった場合、100ドルを買うために「1ドルあたり〇円」という手数料がかかる。
これが各社バラバラ。
最も安いところでは1ドルあたり0.01円(1銭)というところから、1ドルあたり0.5円まで、50倍もの開きがある。
本商品の為替手数料は0.5円と高い。
例えば100ドルで1ドル110円の時に保険料を支払うとすれば、
為替手数料 0.01円 → 110.1円×100ドル=11,010円
為替手数料 0.5円 → 110.5円×100ドル=11,050円
と49円違う。大した金額ではないがい、これが長い間続くので、塵も積もればで、バカに出来ない。
ドルを買うためだけの手数料は「コスト」でしかないので、安いにこしたことはないだろう。
参考コラム:
ドル建商品の検討ってどうすればいいか?悩んだら
『ドル建商品の比較検討はこうすれば良い!!』
をご覧ください。
各社の外貨建終身保険の☆評価一覧は、コチラ
弱点3 銀行から入る必要があるか?
そもそも論だが、銀行の窓口で保険に入る必要があるか?という疑問がある。
銀行経由で保険に加入するもっとも大きなデメリットは担当者が固定しないことだ。
銀行はどうしても行員の2.3年おきの転勤があり、加入した当時の担当者が一つの支店に長くいることはない。
もちろん担当は引き継がれるが、加入当時の事情を全て理解しているわけでもないし、中には新契約にしか興味がなく、引き継いだお客さんのフォローを一切しないような人もいる(それは普通の保険会社でも同じだが)
保険は息の長い商品である。
また本商品は「ドル建」であるため、為替相場の急変などによっては「打つべき手」もある。
例えば急激な円高(1ドル90円など)が進んだ時などは、手元に資金があれば「安いドル」をまとめて買っておいた方が良い。
そうすれば、将来、円安(1ドル130円など)に振れた時にも、手元の割安なドルを使って保険料を「ドルで支払うこと」が出来るのである。
本来であれば、1ドル130円という「高いドル」を買わないといけない局面で、以前に買っておいた「安いドル」を使えば、為替のヘッジに繋がる。
このようなことは、しっかりとした担当者が付いていれば、
「そろそろドルが割安になってきたので、現物のドルを買っておいたらいかがですか?」
「保険料をドルでお支払いすることも可能ですよ」
などと、色々な情報を提供してくれる。
しかし、ころころ変わる銀行の窓口の担当者ではそのような対応は望めない。
餅は餅屋。
ドル建終身保険に加入するのであれば、保険会社から、そしてちゃんとフォローしてくれそうな担当者から入った方が良いのでは?とは思う。
なお、たとえ保険会社経由であっても、すぐ辞めたり、自分のメリットしか考えていない奴もいるので、その仕事を
・保険の仕事を長く続けていて(実績がある)
・人間としての波長も合う
ような人を選びたい。
弱点4 為替リスクをしっかり認識すること
これは弱点というよりは、ドル建て商品全般に当てはまる注意喚起。
ドル建の商品は予定利率も高く「将来増える」ので、セールスの現場ではその点ばかりが強調される。
しかし、当然ながら為替リスクがある。
1ドル120円で買って、死亡したり解約したりした時に1ドル80円になればドル自体で35%も価値が下落していることになる。
そうなると例え将来の返戻金が120%に増えていても、円に換算すれば損をしてしまう。
なお、このような場面では「とりあえずはドルで受け取って」おいて、為替の調子が良くなった時(1ドル110円など)に円に換える、などの防御策が有効ではある。
だが、これも「待てるだけの余裕」があるから出来ることで、どうしてもお金が必要で「背に腹は代えられない」という場合には、不利であることが分かっていても円に換えなくてはいけない。
つまり、生活に使うための日本円と資産運用のドルの資産バランスにはしっかり気を配り、ドル資産に関しては絶対に「やり過ぎ」てはいけない。ということ。
お得感だけに騙されて、身の丈以上の契約をしないように気を付けたい。
比較した方が良い商品
オリックス生命 米国ドル建終身保険candle(キャンドル) ★★★☆☆
ジブラルタ生命 米国ドル建終身保険&米国ドル建終身保険(低解約返戻金型) ★★★★☆
メットライフ生命 USドル建終身保険 ドルスマートS ★★★★☆
参考コラム:
ドル建商品の検討ってどうすればいいか?悩んだら
『ドル建商品の比較検討はこうすれば良い!!』
をご覧ください。
各社の外貨建終身保険の☆評価一覧は、コチラ