この保険の弱点はここだ!太陽生命「スマ保険 終身認知症年金保険」

提供会社:太陽生命ダイレクト

商品名:スマ保険 終身認知症年金保険

この保険の弱点はここだ!!

参考コラム:

民間の介護保険は必要か?「介護保険の考え方」

「介護付」終身保険のメリット・デメリット

認知症保険は「原則」必要ない

音声解説はこちら↓

 

少々どぎつい言い方をすれば、

毒(損)にも薬(得)にもならない商品

ただし、認知症系の商品は、認知症にならなければ大きく毒(損)になるもののも多いので、それよりはマシか、ということで星3つ。

詳しくは後述するが、唯一、この商品で損をするのは「短期で解約」をした時のみ。

つまりそのリスクさえクリアすれば毒にはならない。

解決策としては、

「余分なお金でやること」

それがないのであればやるべきではない。

そのあたりの事情を理解するために、まずは商品の概要を見ていこう。

契約例:65歳 男性 一括前払保険料 2,999,970円
基本認知症年金額 155,373円/年 20年保障&一生涯継続

本商品は、まとまったお金を一度に預けるところからスタートする。

上記の契約例では、299万9,970円をドカンと預ける。

そうすることで、

・器質性認知症に該当し、かつ(and)見当識障害があると診断された状態

に該当した場合、あらかじめ決まった年金を一生涯受け取れる。

要は認知症対策の保険なのだが、上記で挙げた条件は「軽い認知症」というレベルではなく、「まあ、結構症状が進んでますね。」という状況なので、認知症の中期から末期だと思っておいた方が良い。

なお、「器質性うんぬん」という条件の詳細については、以下、コラムにて解説しているので、本商品を検討するのであればご一読頂きたい。

参考コラム:認知症の基礎。器質性認知症、見当識障害、MCIとはどんな状況?

おおよそ300万円支払って、認知症になると15万円弱の年金。

元本を回収するには20年近くかかる。

全くゼロでもないだろうが、実際のところ先程の条件に該当して、そこから20年間生きている人はほとんどいないので、99.9%の人は、生きている間に元本を回収出来ない。

そのため、本商品では「20年間の支払保障」がついており、契約者が死亡したとしても、その遺族、配偶者(妻、夫)や子に支払いを続ける。

「一族」としての受け取り総額は

155,373円/年 × 20年 = 3,107,460円

となるので、2,999,970円の元本に対して、返戻率は103.58%となる。

これは恐らく、相続対策としての面もあるのだろう。

そのあたりも後ほど述べたい。

なお、本商品には、

Ⅰ型 介護+死亡
Ⅱ型 認知症+死亡
Ⅲ型 介護+認知症+死亡

の3つの型があるが、本稿では主にネットで加入出来るⅡ型を中心に論じている。

介護全体を含むⅠ型、Ⅲ型の方が、認知症だけを支払対象としているⅡ型よりカバーしている範囲が広いが、その分、保険料は割高で、将来の返戻率も落ちる。

また、介護に関しては「要介護2以上」が対象であり、昨今の介護系の商品は「要介護1」から払うものも多いので、それらの商品と比べると、スペックは落ちる。

「損はしない」

という点ではⅡ型と共通してはいるが、Ⅱ型よりリターン(返戻率)が落ちるのであれば、やる必要はないかな、というのが筆者の印象。

弱点1 短期解約で損、5年間は絶対解約しないこと

本商品の「売り」は、5年間預けると、「多少増える」という点であり、サイトなどでもその点を大きく謳っている。

再び、先ほどの契約例。

65歳 男性 一括前払保険料 2,999,970円
基本認知症年金額 155,373円/年 20年保障&一生涯継続

この場合、5年後の解約返戻金は3,036,920円となり、返戻率は101.2%となっている。

5年で+1.2%に魅力を感じるかどうかは人によるが、まあ、この長引く低金利を考えれば、随分と頑張っていると感じる。

反面、この5年間の手前で、解約をしてしまうと、

1年目 938350円 93.8%
2年目 887840円 88.7%
3年目 837400円 83.7%
4年目 787030円 78.7%

と大きく目減りしてしまう。

要は「5年は絶対解約出来ない」ということ。

冒頭、「余分な金でやれ」と述べたが、これはそのような事情から。

例えば、認知症対策でこの保険に入ったは良いが、いざ認知症を発症した時、当初は軽度で、本商品の支払い条件に該当しない。しかも手元にお金もない。

背に腹は代えられず、泣く泣く解約して損をする。

そんな状況が最悪。

このようなことにならないためにも、手元資金を潤沢に用意した上で、

多少増えるなら5年間くらい預けとくか

くらいの気持ちでやること。

弱点2 認知症対策としては役不足、実態は相続対策

また、本商品では300万円預けて、認知症になったとしても、実質的には20年間の分割払いとなってしまうので、毎年手元に届くお金は15万円弱。

毎月にならせば1万円ちょっとなので、はっきり言って、さほどの足しにはならない。

要は認知症になっても、あてにならない。

サイトには明確には書いていないが、裏の目的としては相続対策だろう。

「300万円の現金」で遺すより、「年金払いの300万円」の方が相続税評価額が下がる。

今すぐ使える300万円と、長い期間かけて手元に返ってくる「すぐには使えない」300万円では、価値が違うというのが相続税の考え方で、つまりは年金払にしておく方が、相続税は安くなる。

それ用の商品だと思っても良い。

その目的に合致しているなら、別に良いが、そうでないなら5年目に返戻率が上がった段階で解約し、手元に持っておいた方が良いのではないか?

家のリフォームや、施設に入る初期費用など、認知症には段階ごとにまとまったお金が必要になることがあり、細々と年金で受取るより、手元にお金を置いておいたほうが何かとやりやすいだろう。

65歳、男性の場合で、5年目の返戻率101.2%、仮に認知症になり20年間の年金で受け取ったとしても103.58%。

20年かけて、+2.4%程度であれば、「今」使えた方が良い。

なお、余談ながら、本商品。

若い人が入るのも「あり」だと思う。

30歳男性が加入した場合、5年目に101.9%の返戻率となり、高齢者よりは多少上がる。

筆者の個人的な意見としては、5年で1.9%程度なら、株や投資信託でもやれば?とは思うものの、これらの商品は下落リスクもあり、何の知識もなく始めれば火傷してしまう可能性もある。

また、本当に面倒くさがりの人もいる。

その点、本商品なら、何もしなくても5年で2%弱増えるので、銀行に入れておくよりは良いのではないか?

但し、前項でも触れたが5年以内の短期解約だけは厳禁なので、あくまで余剰資金、絶対に5年間は手をつけないと決められるお金でやること。

ただ一点だけ注意点。

多分、本商品は太陽生命にとっては「赤字」だろう。

今の低金利で、5年で101.9%返すのは無茶な話で、本商品は客寄せパンダ的な意味合いもあると思う。

若い層を取り込みたいという意図があるかも知れず、そのため仮に加入したならば、結構しつこく電話などがかかってくるかもしれない。

実際、筆者の知り合いでも太陽生命に加入している人がいるが、結構頻繁に電話を貰うようだ。(担当者にもよるだろうが)

その方は「営業熱心で関心」とポジティブな反応だったが、若い人などでは

「そういうのは嫌だ・・・」

と思う人も多いかもしれない。

そのような方にとってはマイナスポイント。

弱点3 告知がある

本商品。加入時に告知がある。

本商品の死亡保険金、解約返戻金も、支払った保険料の101~102.5%程度で、要は自分の払ったお金に「多少イロがついて」戻ってくるだけ。

対して、早期解約では最大20%超減額される可能性もある。

この条件で保険会社に何のリスクがあるのだろうか?

契約者を「告知」でフィルターする意味がよく分からない。

同種の商品では、職業だけを告げ、健康状態については無告知のものが多い。

本商品も無告知で良いじゃん。と思うのだが、一般的な告知よりは、多少緩いものの、結構ちゃんとした告知を取る。

なんでだろうね?

というのが率直な疑問。

特に高齢者の場合、色々と持病もあるので、真摯に告知に答えれば入れない人も多いだろう。

一時払系の商品なのに、告知があるというのはデメリットだと言える。

口コミ・評判(契約者から)

・なし

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比較した方が良い商品

認知症対策として考えるなら(全般的にあまり高評価のものはない)

明治安田生命 認知症ケアMCIプラス ★★☆☆☆

ネオファースト生命 認知症保険toスマイル ★★☆☆☆

太陽生命 認知症治療終身保険 ★★☆☆☆

SOMPOひまわり生命 認知症保険 笑顔をまもる認知症保険 ★☆☆☆☆

一時払系の認知症対策商品なら

マニュライフ生命 パワーカレンシー 介護保障タイプ(作成中)

米国ドル建介護終身保険Neo ★★★☆☆

編集後記

約款