提供会社:プルデンシャル生命
商品名:米国ドル建平準定期保険
この保険の弱点はここだ!!
主に法人向けの、何とも不思議な商品。
同社には従来から、ドル建終身保険というものがあったが、終身保険は法人で契約しても「全額資産計上」となり経費にならない。
そのため、本商品では「100歳定期」という「定期(返戻率によって、2~4割程度損金になる)」という形にしているが、その実は100歳までの保障なので、実質的には終身保険とほとんど変わらない。
だが、予定利率もさほど高くなく、円建の100歳定期と返戻率も大して変わらないので、
ドルの為替変動リスクを取ってまでやるべきか?
という点は疑問。
ニーズとしてあるとすれば「法人としてドル資産を持っておきたい」という感じくらいだろう。
実際にドルを使って決済までやるような貿易系や製造業系の会社であれば、
・一部損金で
・ドルを積立てられる
・そのため、緊急時には解約してこのドルを使える
という感じで「ハマる」かもしれないが、一般の企業の場合、さほどのメリットはないように思う。
ドル建商品の魅力は、円に比べて高利回り、高利率であることだが、前述の通り、本商品の利率はそこまで高くない。
本稿を書いている2023年1月時点で、米国債は相次ぐ利上げで極めて高い水準の利回りであるから、その米国債を使えばもっと高い利率も実現できそうなものだが、法人保険の場合、利率を上げて将来の返戻率を高くなると、その分、目先の損金が取れなくなる。(詳しくは以下コラム参照)
参考コラム:法人保険の「節税」今、昔。原則的に保険で節税は出来ないよ、という話
そのため、利率(返戻率)が高ければ良いというものでもない。
また、利率を高くすればするほど、「ほとんど損金が取れない」という状況になり、であるならば「ドル建終身保険で良いだろ?」という話にもなる。
そのような背景もあり「適度に損金が取れて、適度に溜まって」ということを実現するため、現状、敢えて低い利率に抑えているのかもしれない。
但し、実際のところ返戻率が低ければ、その分「損をしている」ということも事実。
その損をしてまで、
・ドル建でやる必要があるか?
・為替変動リスクのあるドル建での保障を持つ必要があるか?
ということを考えると、メリットは低いと思う。
いずれにせよ、一般の企業が手を出すような商品ではないかな?という印象。
弱点1 為替リスク
もう言わずもがなだが、本商品には為替リスクがある。
保険料もドルの変動によって上下するので、正直、将来の保険料が読みにくい。
そして、「為替は動くときには動く」ということは、2022年後半に1ドル120円台から、一気に150円まで円安が進んだことでも分かる。
企業にとって「将来の変動が読めない」ものは、正直リスクでしかない。
もちろん程度にもよる。
売上10億円の会社で、年間保険料が200万円程度であれば「動く」と言ったところで±30万円程度なので「そこまで気にする必要はない」が、目先の節税目的で「あまりやり過ぎる」と、将来、保険料負担が重荷となり、思わぬ足枷になるかもしれない。
そのあたりの危機管理をした上で、もし本商品に加入するのであれば1ドル150円程度でも「払える」という保険料を設定しておくこと。
この保険の弱点、こう考えろ!!(解決策)
冒頭でも書いた通り、多少の節税になり、ドル資産を内部留保したい、という企業以外、本商品に入る必要はないかな?と思う。
また、もし法人でドル建資産を積み上げたいならドル建リタイアメントインカムを「福利厚生」で入る方が良い。
プルデンシャル生命 ドル建リタイアメントインカム ★★★☆☆
福利厚生プランは「入社〇年以降」という条件で、全員加入することを条件に保険料の1/2を損金処理出来るというものだが、こちらの方がドル建平準定期より返戻率は高いし、50%損金なのでメリットが大きい。
だが、ネックは「全員加入」ということ。
経営者はこれを嫌がる。
要は節税な内部留保に社員を巻き込むと、後々面倒なことになるので「出来れば自分の身一つでやりたい」と思うのだ。
だが、福利厚生プランも制度の設計次第。
「入社10年以上」など加入する社員のハードルを高く設けたり、加入出来る年齢性芸を設けたり(加入は50歳以下とする、など)、上手くやれば人数を絞って制度を運用できる。
社長や経営幹部だけで入るドル建平準定期、社員も加入させるドル建の福利厚生プラン
この2つはしっかと比較してみても良いだろう。
個人であれば(ほとんど提案されないと思うが)、絶対に「普通のドル建終身保険」の方が良い。
なお、プルデンシャルのドル建終身保険は、業界でも「割と良い方」ではあるが、条件(年齢、性別、支払い期間など)によっては他社の方が良い場合も多い。
まず同社と兄弟会社のジブラルタやPGF生命などは、兄弟間であるのに「プルデンシャルよりちょっと良い」というケースが目立つし、他にもマニュライフやメットライフなども結構強い。
このあたりは保険ショップなどに行けば、一覧で提案書と比較書をくれるので、参考資料として見てみると良いだろう。
口コミ・評判(販売側から)
なし
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保険会社勤務、代理店勤務の方でも、販売現場の情報や、当サイトで指摘していない弱点(デメリット)などには謝礼(amazonカード300円)をお支払い致します。
口コミ・評判(契約者から)
なし
検討した方がいい他社商品
編集後記