相談事例:医療保険の「細かい違い」の比較について考える がん診断一時金編

以下、フジさんからの投稿(ご相談)

各商品の中身をとてもよく勉強されていて、ご質問も「なるほど・・・これは難しいですね・・・」という内容。

今後、同様のことで悩む方も多いと思うので「相談事例」として取り上げさせて貰います。
(フジさん、ありがとうございます。)

相談内容!!

いつも拝見してます。
とても勉強になります。ありがとうございます。

36歳です。医療保険の「がん診断一時金」について悩んでおります。

各社のがん診断一時金について、初回はどこも「診断(がんです。と言われただけ)」で受け取れますが、2回目以降の給付については商品によって違いがあるようです。

具体的には以下のような「違い」を、どう理解すれば良いか?と思案しております。

質問A
初回のがんの治療が長引き、1年経過後もがんが「残っている」場合、なないろ生命の「メディカル礎」のがん診断一時金では特に治療を行っていなくても2回目の一時金が受け取れますが、ひまわり生命の「健康のお守り」では「何かしらの治療(抗がん剤、ホルモン療法、疼痛緩和など)」をした場合に給付されます。
つまり、初回のがんが素直に治らずに1年経過してしまった場合、前者は「がんがある」という事実だけでOKですが、後者は「治療をしている」という事実が必要になります。
ひまわり生命の方が毎月500円ほど高いのですが、保障内容の差と保険料の差をどのように考えれば良いかご意見をお聞かせください。

質問B
がん診断給付型の2回目以降の給付条件について、以下のAとBではどちらの重要性が高いと思われますでしょうか。加入年齢は36歳です。

A.「在宅医療による緩和療養」でも給付される
B.「寛解し再発予防のための抗がん剤治療(ホルモン剤・経口薬)のための通院」でも給付される

具体的には、ひまわりのがん保険にはAはあるがBがなく、ネオファーストのがん保険にはBはあるけどAがないといった状況です。

回答の前に・・・大前提の話!!

まず回答を申し上げる前に「大前提」のお話をしたい。(がん診断一時金の基本的情報)

現状、医療保険やがん保険のオプションとして「ガン診断一時金」というものがある。

その名の通り、がんの時に一時金を受け取れる内容で、その分かりやすさから人気があるが、その給付条件については「各社によってばらつき」がある。

まず初回のがんについては、基本的にはどこの会社も「診断のみ」でOK。

「はい、あなたはがんです」そう医師に言われれば一時金を受け取れる。

違いが出るのは「2回目以降」

ある会社では「初回のがんから2年経過しないと払わない」という激辛の条件を提示しているところもあれば、ある会社では「1年経過後から払う」としているところもある。

但し、本稿を執筆している時点(2023年5月)では、ほとんどの会社が「1年経過後」としている。

だが、この「1年経過後」の解釈に微妙な違いがあり、何とも分かりにくい。

それが今回、フジさんから寄せられた質問でもある。

では、その詳細を紐解いていこう。




質問Aへの回答!!

「回答!!」と大きく出たが、実際には「経験上、私はこう思いますよ」という程度の考察だと思って欲しい。

まず質問Aだが、これは「初回に診断されたがんが1年経過にも残っていた場合」の話だ。

各社のがん診断一時金は「初回がんから1年経過」、「1年に1回」、「回数無制限」となっていることが多いのだが、この「1年経過」には、2つのパターンがある。

1 初回のがんは一応治った(治療完了)が、1年経過後に転移や再発をした(2回目のがん)

2 初回のがんが治らず、治療が長期化。1年経過後もがんが残っている

原則的にはどちらも支払い対象になる。(一部、2は支払い対象外の商品もある)

1は分かりやすい。

前回のがんから1年経過後に「新たながん」が発見されれば支払い対象となるわけだ。

対して2に関しては、各社で支払い条件が「微妙に」異なっている。

このご質問では、なないろ生命では「がんがある」という事実だけで支払うが、ひまわり生命では「何かしらの治療」を要するとある。

この2つだけを比べれば、もちろん「がんがある」だけで払ってくれるなないろ生命の方が優れている。

例えば、

「がん治療は辛い・・・もう諦めて遺された時間を静かに送りたい・・・」

と一切の治療を拒否しているような場面でも、なないろ生命は払ってくれるからだ。

だが、保険料は500円ほど高いと言う。

この支払条件の違いに、500円の価値はあるのだろうか?・・・

そういう趣旨の質問だ。

なかなか判断が難しいケースで、最終的には「その人の感覚」で決めるしかないのだが、筆者としては

ひまわり生命で良いんじゃない?

という結論。

まず、1年経過後もがんが残っていれば、何かしらの治療はしている可能性が高いし(本人的には相当辛い状況だが)、仮に「諦めた状態」であっても50万なり、100万円なりのまとまった一時金を受け取れるのであえば、そのために1回くらい「治療」をしても良い。

それすら億劫ということであれば、もうその心理状態はお金の損得で動くようなものではなく「どう生き?どう死ぬか?」という死生観の話となってしまうので、保険がどうこうというレベルではない。

また実際にどのような「気持ち」になるかは、その状況になってみないと分からないだろう。

がんで亡くなった多くの事例を見てきた筆者の個人的な感想で言えば

「何も治療しない(痛み止めも含め)というのはあり得ないのでは?」

とも思う。それくらい人間の生存本能は強い。

なので「がんがあるだけで払う」というなないろ生命が「条件が良い」ことは認めるが、そこまでする必要もないのかな?とは思う。

話はやや横道に逸れるが、保険会社も「熾烈な競争」をしているので、どうしても支払い条件の優劣のアピール合戦になることが多い。

「他は『治療』しないと払いませんが、うちは『がんがあるだけ』で払いますよ!!」

こんな感じだ。

正直、違いとしては「ほんのわずか」でもあり、実際には「どっちでも良いよ・・・」という話なのだが、これを「聞いてしまった」一般消費者は戸惑う。

一度情報を聞いてしまうと、好条件と悪条件のどちらかを「選択」しないといけないからだ。

つまり、悪条件の方を選ぶ場合には「1年以上の長期治療になった時にも諦めずにがんと闘う!!」と決めなくてはならず、反面「静かに死んで行きたい」という状態になったとしても、一時金は受け取れないことを「了承する」ことになる。

今回のように保険料が500円も違うならわりと簡単に「必要ない」と判断できるが、これが200円なら?100円なら?50円なら?

金額差が少なくなればなるほど、判断が難しくなっていく。(「100円くらいなら、良い方が・・・」という人が多い)

敢えて小さな論点(不安)を作り出して、そのポイントで自社の優位性を主張するというやり方で、心配性の日本人はこの手の情報戦に弱い。

個人的には「お客さんが混乱するから、下らない自己主張はやめなさいよ・・・・」というのが本音。

本件で言えば「1年経過後にがんがあれば、99%は何かしらの治療をしているだろう」と合理的に考えて、安いひまわり生命で良いと思う。

質問Bの回答

前段が長くなってしまったので、改めてご質問を見てみよう。

質問B
がん診断給付型の2回目以降の給付条件について、以下のAとBではどちらの重要性が高いと思われますでしょうか。加入年齢は36歳です。

1.「在宅医療による緩和療養」でも給付される
2.「寛解し再発予防のための抗がん剤治療(ホルモン剤・経口薬)のための通院」でも給付される

具体的には、ひまわりのがん保険にはAはあるがBがなく、ネオファーストのがん保険にはBはあるけどAがないといった状況です。

これも筆者としては1(ひまわり生命)の方が重要だと考える。

状態としては、どう考えてもAの方がキツイからだ。

対して2は「治ってんだったら別に良いじゃないか」という感じ。

実際には1年という短期で寛解(がんの場合、完治ではなく寛解と言う。がん細胞が極めてゼロの近い状態を指す)することはなく、おおよそ5年経過しても再発・転移してない状態を「寛解」と言う。

それくらいがんはしつこい病気であり、だからこそ怖い。

そのため、外科的に手術で悪性腫瘍を取りきっていても「念のため」に抗がん剤治療をすることがある。

手術では取りきれない「細かいがん細胞」を無くすためにやるようで、筆者の経験ではにゅうがん、胃がんなどで実施する場合が多かった。

但し、やっても1回か2回。

そのため、「診断」、「入院」、「手術」、「念のための抗がん剤」までは、長くても3,4ヵ月かな?というスケジュールなので、1年を超えることはないだろう。

稀に「術後1年後に抗がん剤(もしくはホルモン剤)をやっておきましょう」というケースもなくはないのだろうが、抗がん剤もホルモンも体に良いものではないので、検査をして問題なければ「再発予防」だけのために乱発するようなものでもないような気がする。

対して1の状態「在宅で緩和療法」というのは極めて深刻で、基本的には「もう助からない」という状態だと思われる。

仕事も出来ないだろうし、そうなると経済的にも辛い。

50万円、100万円程度の一時金は焼け石に水かもしれないが、それでもあるのとないのでは全然違うだろう。

以上のことから、1の状態の方を優先して考えた方が良いと思う。




最後に・・・・

今回のご質問の回答でも、以下2つの大原則をご理解頂けれると思う。

1 多少の差(考えても仕方がないほどの)であれば、保険料が安い方が良い

2 より過酷な状況で役に立つ方を優先する

医療保険やがん保険は各社の仕様が異なっているので、なかなか比較が難しい。

だからこそ、多少の差には「敢えて鈍感」になることも重要。

入院日額、一時金の金額など、基本スペックと保険料で並べてみて、原則的には「一番安い」もので良いというのが当サイトのスタンス。

細かい条件やシチュエーションのことを考え出すとキリがないし、大抵の場合

「この状況ではA社が優れているが、別の状況ではB社が優れている」

という逆転現象が発生するので、一概に「こちらが良い」とは決められないことが多い。

また視点がミクロになり過ぎると、細かい論点ばかりに目が行ってしまい大きなリスクを見落とすことにもなる。

とは言え、何が重要で、何が重要でないか?という線引きは一般の方にはなかなか難しいのも事実。

このあたりは複数のプロから、様々な意見を聞くことで考えを整理出来るだろう。

要は

「ちゃんと自分で調べて、その上で人の話を聞いて、勉強しながら自分の考えを固める」

ということであり、この点、近道はない。

当サイトがその一助になれば幸いである。

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