この保険の弱点はここだ!太陽生命「100歳時代年金」

提供会社:太陽生命

商品名:100歳時代年金

 

この保険の弱点はここだ!!

なんだか複雑な商品だな。という印象。

色々な要素を盛り込み過ぎで、この商品の「本質」がイマイチ良くわからない。

軸としては、2つある。

1 要介護2以上で終身年金

2 ある年齢になってからの終身年金

この2つの条件が絡まるので、一体どうなれば得(入っておいて良かった)なのか、どうなれば損なのかという判断が難しい。

本稿では、このあたりを探っていきたい。

なお、トンチン型年金の概要や、民間の介護系保険商品については以下でも詳細を解説しているので、ご参照頂きたい。

参考コラム:トンチン型年金とは何か?特徴、背景、デメリット

参考コラム:民間の介護保険は必要か?「介護保険の考え方」

弱点1 多くのケースで「損」

具体的な契約例を太陽生命のサイトから抜粋し、それを元に考察してみたい。

50歳 男性
保険料払込期間:75歳まで
保険料:17,469円/月(割引制度適用価格)
総支払保険料:約524万円

保障内容
・要介護2以上で 48万円/年を終身(亡くなるまで)受け取り
・75歳から年金 24万円/年を終身(亡くなるまで)受け取り

50歳から75歳まで、毎月17,469円を支払えば、75歳から年金24万円を受け取れて、かつ要介護2以上になれば、保険料払込途中でも、75歳以降でも48万円を生きている限り受け取れる。

さて、では、どのようなケースで、どの程度受け取れるのか?ということを、各種データを元に算出してみたい。

ケース1 介護にならない

まずは、大きく「介護になる場合」と「ならない場合」に分けて考えてみたい。

まずは「介護にならない場合」

確率論で言えば、男性の1/3、女性の1/2は、人生の最終幕で介護を必要とする。

逆に言えば、男性の2/3、女性の1/2は介護にならないということ。

本商品でも、男性より女性の方が総じて保険料が高いのは、このような理由から。

女性の方が介護年金を払う確率が「高い」から、その分、保険料も高いのである。

さて、この商品で介護にならない場合には、基本的な年金24万円/年しか受け取れないので、

75歳から24万円/年

が給付されることになる。

また死亡時には介護の保障の方から1年分(48万円)が受け取れる。(介護にならなくても死亡時に受け取れる)

75歳までに支払っている総支払保険料は524万円なので、単純計算で20回(20年)+死亡時の48万円を受け取れば、ほぼトントンとなる。

75歳から20年後は95歳。

95歳でトントン・・・

これも確率論で言えば、100歳を超える人は高齢者のうち100人に1人程度なので、95歳となると、まあ多くても3人程度ではなかろうか?

つまり、97%の確率で「負ける」ということ。

まあ、ほとんどの人は支払った保険料を回収できずにあの世行きだろう。

ケース2 介護になる(75歳から、介護5年間)

75歳の年金開始と同時に、要介護2となり、年金(24万円)と介護年金(48万円)を受けとった場合、年間の給付金額は72万円となる。

ここでも介護にかかわるデータと関連付けて考察してみたい。

生命保険文化センターの調査では、介護経験者へ「どの程度の期間介護を経験したか?」という質問に対して、以下のような結果となっている。

6ヶ月未満  3.9%
1年未満   6.1%
2年未満   10.5%
3年未満   12.3%
4年未満   15.1%
4~10年未満 31.5%
10年以上    17.6%
不明     3%

介護期間が4年未満を集計すると、47.9%と全体の半数近くになるものの、一方、10年以上も17.6%とあり、人によって千差万別であることが分かる。

これらの全体平均は5年1ヶ月となっている。

だが、これは「介護のスタートからラストまで」の期間であり、最も軽い要支援1程度から要介護5,6という最後の段階までの「全ての期間」である。

対して、本商品の支払条件は要介護2。
(注:これとは別に保険会社が規定した支払条件もあるが、総じて要介護2より厳しい。実質的には要介護2に認定される方が早いだろう)

要支援1から、要介護5,6という最終局面までの道のりの中で、要介護2がどこに位置するのか?

あくまで筆者が見てきたケース(筆者自身も10年近く親の介護を経験した)で言えば、要介護2は

5,6合目あたりかな

という印象。

ちょうど介護生活の折返しあたりが要介護2だと思う。

もちろん、人によって症状の進行状況は違う。

何とか要介護1で長らく踏みとどまっていた人が、要介護2になった瞬間「崩れるように」症状が進行し、3,4,5と進みあっという間に亡くなってしまうこともあれば、要介護2までは早かったのに、そこからは小康状態が続くようなこともある。

なお、余談ながら要介護2。外部から見れば、認知症にせよ身体的な介護にせよ(頭はしっかりしているが身体の自由が効かない、など)

「結構進んでますね・・・」

という感じではある。

何が言いたいのかと言うと、この商品の介護年金は

「そんなに軽い状態では貰えないよ」

ということ。

誰がどう見ても「介護状態ですね」というところまで進まないと給付対象とならないので、先の挙げた介護期間においても、その期間中、実際に年金を受け取れるのは「半分程度」と考えておいた方が良い。

介護期間が4,5年なら、給付対象期間は2,3年。10年なら5年程度ではないだろうか?

今まで散々「確率だ、データだ」と言ってきて、ここにきて急に「個人の感想的」な話になってしまったが、要介護2までどの程度時間がかかるか?要介護2からどの程度生存するか?などについては有意なデータがないため、ある程度は筆者の主観になってしまうことをご容赦頂きたい。

ただ確実なのは、「介護のスタートからすぐに貰えるわけではない」ということ。

随分回り道をしてしまったが、そろそろ当初の「75歳で要介護2」になった場合に話を戻す。

この場合、通常の年金24万円と介護年金48万円で合計72万円を受け取れるので、それが5年続いた場合の受け取り総額は360万円となる。

総支払保険料は524万円なので、これでも赤字。

7年間で504万円、8年で576万円となるため、損益分岐点は「8年」

率直に言って「かなりハードルが高い」ように感じる。

要介護2になっても、その期間が「かなり長くなければ」、受け取れる年金が、支払った保険料を超えることは難しいだろう。

・「得」をする場合は?

ここまで述べてきたことを含め、逆に「得をする場合」、つまり、この保険に入っておいて良かったな、と思えるケースを考えてみたい。

まず、ケース2から分かる通り、早い段階(75歳など)で、年金+介護のダブル受給で、それが長期(8年以上)になる場合、支払った保険料総額を超える給付を得ることが出来る。

もしくは、基本的な年金を長く受け取り、最後の数年間だけ介護が上乗せされるケースでも「得をする」だろう。

75歳から85歳まで24万円/年 24万円✕10年間 =240万円

85歳から5年間介護

(年金24万円+介護年金48万円)✕年 =360万円

90歳で死亡

総額600万円(総支払保険料524万円)

他にも、

・90歳まで通常の年金(24万円/年)、そこから3年介護(72万円/年) 総額 576万円

・95歳まで通常の年金(24万円/年)、そこから1年介護(72万円/年) 総額 552万円

などでもギリギリ得をするという感じか。

このようにシミュレーションしてみると、実際にこの保険に入っていて得をするケースは「ない話ではない」ものの「結構稀かな。」という気もする。

・総括

話があっちこっちに行ってしまい我ながら小難しい話になってしまったが、これも本商品は「年金+介護」を混ぜた構成になっているからである。

この点、冒頭でも述べた通り「複雑な商品」だと言える。

但し、色々なシミュレーションをしてみて分かったのは、

・単に年金だけを受取るだけなら、95歳以上まで生きる必要があり、ほとんどの人が損をする

・そのため、支払保険料を回収するには「介護になることがほぼ必須」

・そして、介護には男性の2/3、女性の1/2は「ならない」、そのため本商品に入っている男女も同じ割合で損をする確率が高い(95歳以上まで生存しない限り)

・長生きして、最後の数年間「介護が必要」というような場合は得をするが、それでも「数十万円程度」であり、逆に損をする確率を考えれば、そこまでのメリットとも思えない

ということ。

本商品の本質は「長生き」、「介護」という高齢者が抱える2つのリスクに対して、老人同士で支え合う。ということだろう。

早く死んだ人の分(損)が長生き&介護になった人に渡る(得)という仕組み。

それが、年金と介護両分野に渡っている。

年金だけの商品なら「長生き」が勝ちポイントで、介護だけの商品なら「介護になる」が勝ちポイントとなるが、その点、本商品は「長生き&介護」という2つの面を満たす必要があり、年金、介護などの単体商品よりギャンブル性が高い設定となっている。

ちなみに、仮に筆者の親が「この商品に入りたい」と言ったらなら、筆者はこう言う。

「そんな知らない爺さん、婆さんのために金を捨てる(可能性がある)なら、子供や孫に遺してくれよ」

と。

つまり、長生きしても、介護になっても良いように、自分でちゃんと資産運用をして「自分自身のためだけ」にお金を貯めておく方が良い。

そうすれば、仮にこれらの貯金を使わずに亡くなったとしても、その資産は次世代に継がれていく。

資産運用の選択肢は、株、投資信託、不動産、保険など多岐に渡るので、別に保険でなくても良いのだが、保険の良いところは

「保険会社にお任せで手間いらず」

という点にある。

その分、手数料が高かったり、リターンが低かったりとデメリットもあるのだが、それでも知識のない高齢者にとっては、有効な手段でもある。

「保険で資産運用を」という点から言えば、本商品より、外貨や株などに連動する変額の方がよっぽどマシではないだろうか?

これの商品にも為替リスクや、株のリスクがあるが、それでも本商品に入って「早く死んでしまって大損」するリスクよりは低いような気がするのだが。

下記に当サイトで高評価の運用系の商品を列記する。

JA共済「ライフロード 」★★★☆☆

ソニー生命 変額個人年金保険 (無配当) ★★★☆☆

プルデンシャル生命 ドル建リタイアメントインカム ★★★☆☆

マニュライフ生命 こだわり個人年金[外貨建] ★★★☆☆

口コミ・評判(販売から)

・なし

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比較した方が良い商品

第一生命 トンチン年金 ながいき物語 ★★☆☆☆

日本生命 長寿生存保険グランエイジ ★☆☆☆☆

編集後記:

約款