提供会社:なないろ生命(朝日生命グループ)
商品名:なないろ がん治療保険 極
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この保険の弱点はここだ!!
なないろ生命は朝日生命グループの保険会社で、主に保険ショップ向けやネット向けの商品の開発・販売を担当している。
2021年4月に創設された新しい保険会社だ。
朝日生命本体は、営業職員も契約者も高齢化しており、なかなか若い層にアプローチ出来ない。
そのための「別働隊」として設立されたのがなないろ生命という位置づけだ。
参考コラム:大手が続々参入 別働隊「第二生保設立」の裏事情とは?
本商品は「実費精算型」と呼ばれる(当サイトではそう呼んでいる)タイプのがん保険で、保険料はかなり安くしている。
「なないろ生命、勝負してきたな」
という感じ。
そもそも、なないろ生命がスタート直後に「がん治療保険」という前身商品を出していたのだが、保険料や保障内容にさほどのインパクトがなかった。
なないろ生命 がん一時金保険/なないろ がん治療保険 ★★★☆☆(販売停止)
更に運が悪いことに、同時期にリニューアルをかけてきた「ひまわり生命のがん保険」にかなり似通った構成であるため、そこと比較されてしまうと、
新しい保険会社として知名度がない
という点で劣っており、保険料もそこまで安くないので、初っ端から苦戦を強いられていたようだ。
本体の朝日生命であれば、専属のセールスレディーがいて、多少ハンディのある商品でも、彼女たちの力と人脈でそれなりのは売れるが、なないろ生命の主戦場は保険ショップやネットでは、そんなものは通じない。
冷静に商品のスペック(保障内容、保険料、保険会社の知名度)のみを判断され「他社に劣っている」と判断されれば、提案の土台にすら乗らない。
「新規参入組がこれではいかん!!」
そう思ったのか、すぐにリニューアルをかけてきた。
このあたりは判断が早く、流石である。
そして新販売されたのが、本商品「がん治療保険 極」
名前はダサい。
きわみ?
まるでファーストフード店のハンバーガーのようなネーミングセンスだが、このあたり朝日生命から来た偉いおじさんが
「よし!!新商品は極だ!!」
と叫び、周りの若手が「えー、よりによって極かよ・・・」などと苦々しく思っている様子が目に浮かぶ。
極というのは、究極とか極限とか「もうこれ以上はない」というニュアンスであり、そうなると
「次の商品はどうするのかね?・・・」
という気もする。
まあ、名前を小馬鹿にするのはこのくらいにしておこう。
さて、名前のダサさとは裏腹に、商品としては良い。
保障内容も「がんでホントに大変なことになったら役に立つだろうな」という感じで、保険料も安い。
そのため星4つとした。
まず、商品概要から解説していこう。
本商品は実費精算型と呼ばれるタイプのがん保険である。
参考コラム:医療保険 実費精算タイプのメリット・デメリット
実費精算型を理解するには「保険点数」を知る必要がある。
我々が病院に行くと、医師の問診を始め、色々な治療を受けるが、これにはすべて「診療報酬点数」というものが付いている。
全国一律で厚生労働省が決めている。
例えば風邪を引いて、診察を受け「ああ風邪だね」なんて言われ、喉にちょっと薬をつけてもらって、薬を処方して貰う。
場合によってはマスクみたいのつけて霧状の薬を吸うこともあるかもしれない。
これで、診療報酬点数は大体700点から800点くらい。
1点10円なので、病院は7,000円から8,000円を得るわけだ。
だが、我々が会計時に実際に支払うのは、この3割。2,100円か2,400円くらいだろう。
本商品では、この診療報酬点数に×3円をした金額を給付金として支払う。
診療報酬点数は1点10円なので、そのうちの3円ということは、つまり自己負担の3割分と同じということ。
窓口で支払う実費と同じ金額を給付するから「実費精算型」と呼んでいる。
保障内容はⅠ型とⅡ型がある。
Ⅰ型 抗がん剤、ホルモン剤、放射線治療 上限まで(10、20、30万円:加入時に決める)
自由診療抗がん剤治療(上記上限の2倍まで:20、40、60万円)
その月の給付額×5%を上乗せ(がん治療見舞金)
Ⅱ型 Ⅰ型に加え、手術、入院、緩和ケアも対象となる
ここで重要なのは、支払われるのは上限ではなく「実費」だということ。
例えば、20万円上限のプランに入っていた場合、実際の負担額が13万円であれば、給付されるのも13万円であり、20万円ではない。
給付の上限(10、20、30万円:どのプランでも給付上限は4,000万円)、そして治療の対象(Ⅰ型かⅡ型か)を決め、更に払込免除やがんと診断された時に一時金を受け取れる「がん診断一時金特約」、がんによる先進医療を受けた場合や、患者申出療養を受けた場合に2,000万円までの実費を負担してくれる「がん先進医療・患者申出療養特約」、がんで入院した場合に差額ベット代を上乗せしてくれる「がん差額ベッド特約」などのオプションがあり、好みに応じて付けることが可能。
以上、商品概要。
弱点1 軽いがんではメリットなし
一口にがんと言っても、軽重がある。
サクッと手術して1週間程度の入院で治療が完了する「軽いがん」もあれば、手術だけでは取り切れず、その後、何度かの抗がん剤や放射線治療を要する「重いがん」
更には、根本的に治る見込みはないが、月一回の抗がん剤で何とかがんを抑え込むような「末期的ながん」
本商品はこの中でも、重いがんや、末期的ながんにフォーカスをしている。
逆に言えば、1週間程度で治療が終わるがんの場合、ほとんど給付金はない。
抗がん剤、放射線治療、ホルモン剤が対象のⅠ型であれば「ホントにゼロ」だし、手術、入院が対象のⅡ型でも「1ヶ月分の上限金額」くらいだろう。
これをどう考えるかは人による。
「軽いって言ってもがんでしょ?やっぱりちゃんとお金が欲しい・・・」
というような方であれば、他社のがん保険の方が良いかもしれない。
がんと言われれば一時金100万円+入院1日1万円
みたいなやつだ。(なないろ生命にもこの形式の「がん一時金保険」がある)
もしくは本商品のオプションでも、がん診断一時金特約があるので、それをつけておいた方が良い。
だが、これを付けると保険料は結構上がる。
保険会社からすれば、「がんです」と言われたら必ず一時金を支払わなくてはいけないので、事前にそれなりの保険料をもらっておかないといけないからだ。
本商品はあくまで、重いがん対応のもので、目先で得が出来るようなものではない。
このことは肝に命じた方が良いだろう。
弱点2 実費清算型の良し悪し
本商品と比較するとすれば、抗がん剤給付型のがん保険だろう。
抗がん剤給付型は最近主流になりつつあるがん保険で、抗がん剤(放射線、ホルモン剤も含む)を受けた月に毎月10万円を受け取れるというもの。
本商品に非常に似てはいないか?
だが、大きな違いがある。
本商品の給付は「上限」だが、抗がん剤給付型は「確定」ということ。
例えば、ある月に抗がん剤治療を受けた。
窓口で支払ったのは15万円。
この場合、本商品の上限10万円のプランに加入していれば、10万円を受け取れる。
抗がん剤給付型でも、10万円を受け取れる。
だが、窓口で支払ったのが8万円だったら?
本商品は8万円だが、抗がん剤給付型は10万円を受け取れる。
これが「上限」と「確定」の違い。
この2つを比べれば、ほとんどの方が「絶対貰える確定給付の抗がん剤給付型の方が良い」と答えるだろう。
だが、保険料が違う。
例えば、本商品に「30歳 男性」が「10万円(Ⅰ型)」で入ったとしよう。
この場合、保険料は639円/月となっている。
では「確定給付」の抗がん剤治療なら?
ここでは、ひまわり生命のがん保険「勇気のお守り」と比較してみたい。
なないろ生命の前進のがん保険が「内容丸かぶり」して惨敗した因縁の商品だ。
同じく「30歳 男性 月10万円」で820円となっている。
この2つ。正確には保障内容は微妙に違うのだが「抗がん剤を受けたら10万円」という保障内容では同じ。
僅差だが、なないろ生命の方が安い。
もちろん「ひまわりに負けたくない!!」というマーケティン的な理由もあるだろうが、根本的には「上限」と「確定」の違いがある。
だが、実際問題として、抗がん剤治療を受けれれば、ほとんどの場合で、「窓口で10万円以上支払うこと」になる。
抗がん剤治療の保険点数は、すぐに3万点(30万円)、4万点(40万円)になるので、その3割負担でも、10万円などは超えてしまうのである。
そのため「安い」とは言っても、ほとんど保険料に差はない。
しかし、これが20万円になると、また違ってくる。
ひまわり生命の抗がん剤給付型は、先程と条件が同じ場合、給付額を20万円にすると1,640円である。
単純に倍になる。
これは「支払いが確定している」のだから当然の話。
一方、本商品は997円。
10万円の時の639円から1.5倍ほどしか上がっていない。
ちなみに、30万円で比較すると、ひまわり2,460円に対して、なないろ1,236円と、更に差が広がる。
なないろ生命からすれば、10万円が20万円、30万円になったところで、それは「あくまで上限」でしかない。
上限30万円とは言え、実際に30万円を支払うケースは稀で、18万円とか、23万円とか。多くの場合、30万円までは到達しない。
そのため保険料も割安になっていくのだ。
以上述べてきたように「実費精算」には良し悪しがある。
これを好きか、嫌いか、というの人それぞれだろう。
しかし、何となく難しい印象もあって、日本ではそれほど広まっていない。
なお、この点については、後述の「この商品の弱点、こう考えろ!!」でもう少し掘り下げてみたいと思う。
弱点3 復活が出来ない
これは、なないろ生命の商品全体に言える。
以下のコラムにて解説しているので、詳細はそちらを参照頂きたい。
参考コラム:新興系保険会社のデメリット 保険の復活が出来ない?!
この商品の弱点、こう考えろ!!(解決策)
実費精算型というのは、過去、複数の保険会社からいくつか商品が販売されてはいるのだが、爆発的に売れたようなものはない。
分かりにくい、というのもあるし「これになったらいくら貰える!!」という条件が決まったことが好きな日本人の性質もあるのかもしれない。
だが、本商品。
4つ星を付けていることからも分かる通り、筆者は悪くないと思っている。
筆者なら「30万 Ⅱ型」を勧める。
保険料免除や、診断一時金、差額ベッドなどは「予算があれば付けても良いが、なくても困らない」という感じ。
がん先進は付けておいた方がベターだろう。
ちなみに、この内容で30歳 男性の場合、毎月1,731円となっている。
このプランの場合、弱点1で述べた通り「軽いがん」ならほとんど何も受け取れない。だが、手術や入院などをすれば1ヶ月分の上限いっぱいの30万円くらいにはなるだろう。(Ⅱ型は手術と入院も対象のため)
だが、このケースであれば、それはむしろラッキーということ。
1週間程度で復帰出来るのであれば、本質的には保険など必要ないとも言える。
がんで一番怖いのは「長期化してしまった時」であり、これに異論を挟む人はいないだろう。
毎月抗がん剤治療を受る。
1週間入院して大変な思いをして抗がん剤でがんを叩き、退院後1週間は具合が悪い。何とか人並みに生活が出来るのは、その後2週間で、そして再び抗がん剤。
これを繰り返す。
何人かのお客様がこれを経験し、その方々から話も聞いたし、実際にお見舞いにも行ったことがあるが、筆舌に尽くしがたい苦痛である。
このような時、本商品であれば相当な支えになる。
実際のところ、抗がん剤の治療費(自己負担分)はまちまちで、毎月10万円程度で済むこともあれば、1回500万円というようなものもある。
それでも筆者が知る限りでは、毎月20から30万円くらいかかることが多い。
本商品で「30万円のプラン」に入っておけば、かなりの確率でそれらを賄える。
また、賄えるだけでなく、実質的には副収入にもなるだろう。
その理由は「高額療養費制度」
がん患者の多くはこの高額療養費制度を利用し、保険診療の範囲内であれば、どんなに高くなっても、最終的には8万円程度の自己負担で済んでいる。
例えば、100万円の抗がん剤治療を受けて、自己負担が30万円だったとしても、8万円を超えた分は国が支払ってくれるのである。
一方、本商品は診療報酬点数と連動するので、自己負担が30万円(10万点:100万円の治療)であれば、その10万円に3円を掛け算した金額が給付される。
保険会社からの給付が30万円。最終的な自己負担は8万円(注:実際には食事やクリーニング費用などは高額療養費制度の対象外なので、もう少しかかるが)
その差額は自分の収入となるので、がんと闘う身には本当にありがたい。
「確定ではないものの、抗がん剤地獄になった時に毎月30万円受け取れるプランに安く入れる」
という点では評価出来る。
逆に10万円程度であれば、他社の抗がん剤給付型の方が良い。
保障内容
がん治療保険
がん治療サポート給付金
下記、Ⅰ型、Ⅱ型を選択の上、毎月の給付上限金額を選択
Ⅰ型の支払対象
・抗がん剤(ホルモン剤含む)治療
・放射線治療
Ⅱ型の支払対象
・抗がん剤(ホルモン剤含む)治療
・放射線治療
・手術
・入院
・緩和ケア
付けるべき特約!!(先進医療)
がん先進医療・患者申出療養特約
保険適用外の先進医療を受けた場合、その実費+実費の10%(お見舞金的なもの)を受け取れる。
但し、別途医療保険などで、既に先進医療特約に入っているなら、入る必要はない。
参考コラム:先進医療特約は「終身型」を選びなさい!!
患者申出療養については、実際のところほとんど利用例がないが、まあ、ないよりはあった方が良いかな。という程度。
参考コラム:患者申出療養制度とは?
付けても良いかも?な特約(払込免除、一時金、治療)
保険料払込免除
がん(上皮内がん含む)と診断されたら、以後の払込みが免除される。
参考コラム:保険に「払込免除特約」は必要か?
がん診断一時金特約
がんと診断された場合、50万円、100万円などの一時金が受け取れる。
1年に一度を上限に、回数は無制限。
予算があるなら検討しても良い。
参考コラム:がん診断一時金、3大疾病一時金は付けるべきか?
がん差額ベット特約
がんによる入院時に、差額ベット代が発生した場合、1日1万円(プランによっては3万円まで増額可能)を受け取れる。
筆者自身の経験で言うと、がんの場合、率直に言うと「個室の方が良い」とは思っている。
治療によっては相当痛かったり、気持ち悪かったり(まあ、どんな病気でも同じだが)結構大変なので、周りの人に気を使うよりは、個室もしくは人数が少ない4人部屋や2人部屋の方が気は楽だ。
だが、昨今、病院の個室(や、2・4人部屋)は高騰しており、平気で1日+1、2万円は取られる。
それを自腹で払うとなると、
「がんになっちゃったし・・・毎日、1万円出ていくし・・・散々だよ」
となるが、ここに1万円の補助があれば助かるのは事実。
そのため、差額ベット代の保障もあった方が良い。
本特約の保険料は、30歳 男性の場合で、+355円/月。
年間4,260円。10年で4.2万円、20年で8.4万円、30年で12.6万円ということになる。
がんの入院はだいたい1回10日前後であることが多いので、1回入院すればほぼ元は取れる計算。
付ける必要なし!!な特約!!
なし
注:通常、他社のがん保険には「これは要らないよね」というようなムダなオプションが多いのだが、そのようなものがないという点でも、本商品は良く考えられている。
口コミ・評判(販売側から)
保険ショップ勤務さんからの口コミ
前回のなないろのがん保険より、確実に売れていると思う。
ただ、実費精算について説明するのが面倒で、頭の悪い人はそこで付いてこれなくなるのが面倒。
だが、しっかりと理解出来る人なら、良さをわかってくれて、しかも実費精算型はライバルも少ないので、これに簡単に決まる。
売り方、相手次第かな?という感じで、万人向けではないが良い商品だと思う。
謝礼Amazonギフトカード300円!! アナタの口コミ教えて下さい!!
保険会社勤務、代理店勤務の方でも、販売現場の情報や、当サイトで指摘していない弱点(デメリット)などには謝礼(amazonカード300円)をお支払い致します。
口コミ・評判(契約者から)
なし
比較した方が良い商品
アフラック 生きるためのがん保険寄りそうDays ★★★★☆
編集後記: